
こんにちは。今回は「ネットワークオーディオ」についてのネタ記事です(^^)。
プレーヤーとなるのは、実は「NAS(Network Attached Storage)」、要するにネットワークHDDです。台湾のNASブランド「ASUSTOR」製のNASボックス(Intel CPU搭載モデル)を使用します(「ASUSTOR」はPC/マザーボードメーカーの「ASUS」の子会社です)。
Intel CPUを搭載した現行モデルの「ASUSTOR」NASには、インストールできるアプリのなかに「HiRes Player」というソフトウェアがあり、これが外部にUSB-DACを組み合わせることで「ASUSTOR」NASそのものを手軽に高音質ディスク内蔵ネットワークオーディオプレーヤー(NAP)化できるという独自の機能があります。


実は今回紹介する「ASUSTOR」製NASによるNAP環境はずいぶん前(2年以上くらい)にいちど紹介しているのですが、今回東京のリスニング用にマイナーチェンジモデルを追加購入したこともあり、改めて紹介することにしました。以前紹介した記事はこちらになります。
→ ASUSTORを高性能ミュージックサーバ/HDDオーディオプレーヤーとして活用する (2016.6.17)

また、メディアサーバーとしての基本性能に加えHDMIでAVアンプやテレビに接続し、「KODI」アプリとスマートフォンリモコンによりメディアプレーヤーとしても活用できるなど同じ台湾メーカーの「QNAP」と同レベルの多機能さを有しています。
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「ASUSTOR」NASによるオーディオプレーヤーの構築はわりと簡単で、その日のうちに実際にプレイして楽しむことが出来ると思います。届いた製品を指示通り組み立てます。メーカーサイトにガイドがあるので参照してみてください。
→「入門 - ASUSTOR NAS」: https://www.asustor.com/getting_start/steps?series=12
慣れている人であればマニュアル無しでも初期セットアップまですぐに完了するでしょう。今回はNAS用のHDD「WD Red」×2本(RAID1)で組みましたが、SSDに3.5inchのガイドパーツを組み合わせて使用すればさらなる高速化と静音化ができますね(SSDの場合はRAID0構成でも良いと思います)。


セットアップ後、あらかじめ定義されている「Music」などの共有フォルダにPCやMacからのアクセス権を設定し、音楽データなどを適時コピーします。フォルダ分けにルールはないので後々に自分で使いやすいように分類したいところです。


さらに「ASUSTOR」NASのメニュー画面からアプリ管理機能である「App Central」を起動し、「HiRes Player」など必要なアプリをインストールします(インストール時に必要な他のツールも一緒にインストールされます)。追加された「Hi-Res Player」をクリックすると別画面でプレーヤーのリンクが開きます(このURLはブックマークしておくと便利ですね)。
上部左側の「Select Share Folder」で曲データをコピーした共有フォルダ(「Music」など)にチェックを入れます。OKすれば自動的にライブラリ(ミュージックコレクション)の更新を行います。


ASUSTOR NAS背面のUSBポートにUSB-DACを接続し(USB Audio Class 2.0対応のDACであればドライバー無しで認識します)、上部左側の設定アイコンを押してプルダウンメニューを表示します。言語は「日本語」も選べます(標準の英語のままのほうが、再生時にネット経由で取得する曲情報は多くなります)。メニューをスクロールしていくと、「オーディオ出力」の項目に接続したUSB-DACが表示されますのでスイッチを有効にします(されない場合はリロードアイコンを押します)。またDSD(DoP)に対応しているDACの場合はDoPも有効にしておきます。
行うべき設定はこれで「終り」です。あとは実際に「HiRes Player」のWeb画面でライブラリから再生したい曲をプレイリストにドラッグし再生すればDAC経由で音が出ると思います。また、テーマカラーを変更したり、「Last.FM」にアカウントを登録して曲情報取得の設定を変更するなどを任意で行います。ミュージックコレクションの更新もこのメニューで手動で行うことが出来ます。

内部で使用されている「MPD」はもともとCPUの処理能力により音質が向上すると言われており、「Raspberry Pi」と比べれば圧倒的に処理能力の高いIntel CPUを使用し、また曲データを自身のHDDまたはSSDに持ち、ギガビットの有線LANで接続される「ASUSTOR」NASは、ラズパイオーディオにおける処理能力面のオーバーヘッドはほぼクリアできている環境といえます。実際ビットレートの高いWAVファイルやDSD256の音源でも極めてスムーズに鳴らせており、かなり納得のいくサウンド環境を手軽に構築できることに驚くのではないかと思います。
そして「HiRes Player」をNAP(ネットワークオーディオプレーヤー)として使用するためには、リモートアプリの存在が不可欠です。前述のとおりベースアプリでは「MPD」が動いているため、「MPD」用のクライアントは原則的に全て使用することが出来ます。
なお、iOS(iPhone/iPad用)として過去記事で紹介した「MPoD」「MPaD」は公開が終了してしまっているため、代替のアプリを使用します。現時点で iOS用としては「Soundirok」(600円)または「MPDeluxe」(360円)といった有償アプリがあります。



iPadでの利用では「Soundirok」がお勧めで、ビジュアル面に優れさまざまな表示方法で利用できる点が特徴です。またiPhoneで操作する場合は「MPDeluxe」のシンプルな操作性が向いているでしょう。ただこちらはカバーアートなどの表示機能はないため、iPadだとかなり地味な印象になります。他にも「Rigelian」というアプリがあり機能面および操作性では最も優れていますが月額または年額の課金制な点がネックですね。
いっぽうAndroid用のアプリは現在も無償アプリで豊富な選択肢があります。以前の記事では「MPDroid」と「MPD Control」を紹介しましたが、現在私が使用しているのは「M.A.L.P.」です。


操作性も良く、ビジュアル面も含め必要な機能はほぼ全ても網羅しているため、メインの操作アプリとして愛用しています。これのiOS版が出れば完璧なのですが・・・(^^;)。

単なるファイルサーバやメディアサーバーとして使用するだけでなく、「ネットワークオーディオプレーヤー」「高機能メディアプレーヤー」としても活用できるため利用範囲が一気に拡大しますね。そう考えるとかなりコストパフォーマンスの高い製品だと思いますよ(^^)。
【オマケ】
余談ですが、「AS3102T V2」はLANポートが2系統付いているのですが、私はLAN2ポートは母艦として使っているMac miniに追加したネットワークポートに直結で接続し、「Music」フォルダをNFSで外部ボリュームとしてルート配下にマウントしています。このフォルダを「Audirvana Plus」のライブラリフォルダとしてMac側で登録していいます。そのため、ひとつの音楽データのストックで「ミュージックサーバ(DLNA)」「ネットワークオーディオプレーヤー(HiRes Plyer/MPD)」そしてMacの「Audirvana Plus」ライブラリの3つの系統でリスニングすることが出来るわけですね。NFSでのMacとの接続など詳細についても興味がありましたらリクエストをいただければ後日追加で記事にしてみたいと思います。
私は以前からASUSTORの202TEという機種を持っていましたが、こちらの記事を見てネットワークオーディオの機能に興味を持ちました。
大変面白い記事でした。
参考にさせていただきます。
続報を楽しみにしています。