こんにちは。今回紹介するのは「BGVP DMS」、6BA+1DD構成のハイブリッドイヤホンです。以前紹介した4BA+2DD構成の「BGVP DMG」のよく似たデザインの金属製ハウジングのデザインですが、今回の「BGVP DMS」は「DMG」のようなフィルター交換式のギミックは搭載せず、BAドライバーの搭載数を増やし、比較的大きなベンド(空気孔)がある開放型デザインを採用することで「DMG」とは異なるサウンドアレンジを加えた仕様となっています。
「BGVP」はハイブリッドやマルチBA構成の製品をハイグレードから低価格帯まで幅広くリリースしている中国のイヤホンブランドですが、最近では私のブログでも紹介した「BGVP DMG」(4BA+2DD)が音質面の完成度の高さと抜群のコストパフォーマンスで人気を博しています。
過去記事: BGVP DMGのレビュー(その①) / BGVP DMGのレビュー(その②)
「BGVP DMS」は高域および超高域にKnowles製の「SWFK-31736」デュアルBAユニット(2BA)を使用し、中低域にBGVP独自の「DEK-60318」デュアルBAユニットを2基(4BA)を組み合わせた6BA構成に複合素材振動膜を使用したダイナミックドライバーによるハイブリッド構成を採用。
これらのドライバーユニットを3Dプリンターで加工されたブラケットで固定し、CNC加工されたアルミ合金製のハウジングによって覆う構造となっています。「BGVP DMS」も「BGVP DMG」同様に1万円台のイヤホンとしては非常にコストのかかった設計となっていて、この品質が安定した音作りにも少なからず影響しているものと考えられますね。
「BGVP DMS」はインピーダンス12Ω、感度110dB/mWで、さらにMMCX仕様の銀メッキ線ケーブルが付属します。
購入はいつもお世話になっている中国のイヤホンセラー「L.S オーディオ」にて。カラーはアマゾンのマーケットプレイスにて「ブラック」と「ブルー」が選択できます。価格は 17,600円 です。
アマゾン倉庫に在庫があればプライム扱いですぐに届きますし、アマゾン経由でのサポートを受けることができますので安心感がありますね。またL.S オーディオのTwitterアカウント(@North_Bear7)へのDM等でも相談に対応してくれます。
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): BGVP DMS
■今回はフィルター交換はなし。大型ベントが特徴的なメタルハウジング
「BGVP DMS」は製品情報などがしっかり記載された専用のパッケージで届きました。あいかわらずしっかりした作りでミドルグレードの製品としての質の高さを伺わせます。
パッケージ内容はイヤホン本体、MMCXケーブル、イヤーピース(シリコン製3種類、それぞれS/M/Lサイズ、およびウレタン製1ペア)、ケーブルフック、説明書、保証書など。
「BGVP DMS」の金属製シェルは今回もビルドクオリティは高く、しっかりとした仕上がりとなっています。ハウジングの形状は「BGVP DMG」によく似ており、装着性も良好です。今回はフィルター交換式ではないため、ステムノズルの取り外しはできません。
「BGVP DMS」と「BGVP DMG」を比較してみると、フェイス部分のベント(空気孔)やステム口径の違いなどはありますが形状は非常によく似ていることが分ります。
音漏れに関してはフェイス部分に大きなベント(空気孔)がある開放型のデザインのため、イヤホンに耳を近づけると多少の音漏れは聞こえます。
しかし通常の音量で聴く場合、図書館など余程静かな場所でなければまず問題は無いレベルでしょう。印象としてはKZ ZS6くらい、ですね。
そのため普通に電車内で使う場合などは環境ノイズのほうが遙かに大きいのでまず問題になることはありませんが、満員電車のように密接している場合は少し厳しいかも知れませんね。
しかし通常の音量で聴く場合、図書館など余程静かな場所でなければまず問題は無いレベルでしょう。印象としてはKZ ZS6くらい、ですね。
そのため普通に電車内で使う場合などは環境ノイズのほうが遙かに大きいのでまず問題になることはありませんが、満員電車のように密接している場合は少し厳しいかも知れませんね。
6BA+1DDの構成ながら「DMG」同様に工夫されたシェルデザインにより装着性はまずまずです。遮音性は一般的なシュア掛けタイプのイヤホンと同程度でまずまずというレベルでしょう。イヤーイースは標準で口径の異なるシリコンタイプが3種類とウレタンタイプが1種類付属し使い分ける事ができます。ただよりフィット感を向上させるためには定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きいタイプのイヤーピースを組み合わせた方が良い印象となるようですね。
また、付属ケーブルは仕様では4芯のOCC線ケーブルとのことですが、「BGVP DMG」(マイクなしモデル)の付属ケーブルと比べると多少スペックダウンした印象は否めまん。被膜も少し硬めのそり返しも強いため取り回しも今ひとつに感じます。できればこちらもリケーブルを検討したいところですね。
■より中高域の密度を向上させつつ、広がりのあるサウンドを実現
「BGVP DMS」の音質傾向は、中低域寄りのドンシャリで「DMG」とも近い印象を受けますが、開放型のシェルデザインの影響もあり、より広がりのあるサウンドです。また全体的に濃厚で密度がより向上しており、ややウォーム寄りな印象にも感じます。また低域も「DMG」同様に量感がありますがさらに締まりが良く力強く鳴ってくれます。ハイブリッドに多い派手さを感じる音とは異なるため、多少好みがわかれる印象ではありますが、全体的に聴きやすく楽しめるサウンドという感じですね。
ただ「BGVP DMG」同様、「BGVP DMS」もリケーブルで変化しやすい(よりポテンシャルの高い)傾向もあり、付属の硬めのケーブルをより情報量の多い16芯ケーブルやOCCケーブルにリケーブルすることで特に高域はより明瞭感のが向上した印象に変化します。
「BGVP DMS」の高域は極端に主張するタイプの音ではありませんが、聴きやすく存在感のあるサウンドです。明るく鮮やかな印象で、「DMG」のような明瞭さはないものの、過度に人工的な印象にならず適度なバランスで鳴ります。今回もLZ-A6などLZ製ハイブリッドの高域とは異なる音で、高域の刺激が苦手な方でも聴きやすい印象を持つと思います。前面に出ると言うよりは自然な距離感で綺麗に鳴ってくれる印象です。Knowles製BAによる質の高さも特徴的ですがチューニングとしては聴きやすさにポイントを置いている印象です。そのため高域好きの方は好みが分かれる音かもしれませんね。
「BGVP DMS」の高域は極端に主張するタイプの音ではありませんが、聴きやすく存在感のあるサウンドです。明るく鮮やかな印象で、「DMG」のような明瞭さはないものの、過度に人工的な印象にならず適度なバランスで鳴ります。今回もLZ-A6などLZ製ハイブリッドの高域とは異なる音で、高域の刺激が苦手な方でも聴きやすい印象を持つと思います。前面に出ると言うよりは自然な距離感で綺麗に鳴ってくれる印象です。Knowles製BAによる質の高さも特徴的ですがチューニングとしては聴きやすさにポイントを置いている印象です。そのため高域好きの方は好みが分かれる音かもしれませんね。
中音域は濃密で情報量の多い音です。6BA化による解像感の向上により、密度の高い印象を受けますが、派手さよりややウォーム気味に鳴ります。近めで定位し音場の広さは自体は一般的ですが、「DMG」とも通じる臨場感のある響きがあり、より奥行きを感じる音場感とボーカルやギターの余韻も自然に表現してくれる印象があります。また伸びや音抜けの良さも向上しており、フェイスプレートのベントによるチューニングも効いているようです。
低域は力強く、結構存在感のある鳴り方をしますが、「DMG」よりさらに締まりのあるタイトな音で中高域とはしっかり分離します。沈み込みも良く重量感のある重低音がとても心地良く感じます。解像度が高く分離性も良いことからとてもスッキリとした印象を受けるのも特徴的でしょう。「BGVP DMS」では「DMG」の2DDから1DDとなり、2基搭載されたBGVP独自の中低域デュアルBAユニットが低域にも影響をしているはずですが、低域についても質の向上を実感させる仕上がりとなっているようです。
個人的には「BGVP DMS」はリケーブルは必須に近い印象で、ある程度のグレードのケーブルの組み合わせによりかなり印象が向上します。リケーブルは5千円~8千円程度の16芯ケーブルやOCC線ケーブルとの組み合わせがお勧めです。具体的には「おすすめ中華イヤホンケーブルまとめ(中編)【5,000~】」などを参考にしていただければと思います。
ある程度情報量を引き出せるケーブルへの交換後の「BGVP DMS」は苦手なジャンルは少ないイヤホンで、さまざまな音源で楽しめると思います。ロック、ポップス、アニソンなどさまざまなジャンルのボーカル曲と相性の良さを感じます。また臨場感のあるサウンドですのでライブ音源等も楽しいと思います。あとは、ちょっとスッキリした感じになるもののジャズなども非常に心地良いですね。いっぽうより高域の明瞭さや派手めのサウンドを好まれる方は同様なハイブリッドイヤホンでもLZ-A6等のほうが良く感じるかもしれませんね。
ある程度情報量を引き出せるケーブルへの交換後の「BGVP DMS」は苦手なジャンルは少ないイヤホンで、さまざまな音源で楽しめると思います。ロック、ポップス、アニソンなどさまざまなジャンルのボーカル曲と相性の良さを感じます。また臨場感のあるサウンドですのでライブ音源等も楽しいと思います。あとは、ちょっとスッキリした感じになるもののジャズなども非常に心地良いですね。いっぽうより高域の明瞭さや派手めのサウンドを好まれる方は同様なハイブリッドイヤホンでもLZ-A6等のほうが良く感じるかもしれませんね。
というわけで、「BGVP DMS」はドンシャリ系のバランスながら中華ハイブリッドに多い寒色系の派手な音と言うより濃密かつ自然なサウンドに仕上がっていました。「DMG」のほうは4BA+2DDでノズルフィルター交換によるサウンドバランスの変更ができましたが、高域強調のフィルターを組み合わせた場合などでは、中高域で多少粗さを感じ、本来の良さが失われる印象もありました。しかし、「BGVP DMS」は中低域寄りのサウンドにあらためてフォーカスし質を高めていくことで、全体的にとてもリッチでDMGに比べより方向性が明確になった印象がありますね。開放型デザインによる音漏れが多少有りますし、高域のスッキリ感など「DMG」とキャラクターの異なる部分もありますが、中高域の密度感増し、やや暖色系のサウンドと広がりのある音場を感じられる点は「BGVP DMS」の特徴的な部分でしょう。このサウンドは2BA+1DDの「BGVP DS1」の方向性にも近く、BGVPの音作りの方向性のひとつなのかもしれませんね。このような点も含め、アンダー2万円クラスのハイブリッドイヤホンとしては興味深い製品のひとつだと思います。