
※2019年9月:「クロームシルバー」の追加購入に併せて内容を追記しています。
こんにちは。今回紹介するのは「TFZ (2019) MY LOVE EDITION」(通称「MLE」)です。現在はPenonなど海外セラーでのみ入手可能なモデルで、購入後手元に届いてから1ヶ月近く経ちますが、このタイミングのレビューになりました。「TFZ MY LOVE EDITION」は後述の通り「KING PRO」を継承したフラット傾向のサウンドのため、派手さや「T2G」のようなボーカル推しの傾向とは異なるものの、非常に完成度が高く、個人的にはかなりお勧めできるイヤホンだと思います。


「TFZ(The Fragrant Zither)」は中国のイヤホンブランドのなかでは日本国内でも主要なモデルが代理店よりリリースされており、さらにユーザー評価も高いこともあって比較的周知された存在だろうと思います。また、TFZは個人的に好きなブランドと言うことも有り多くのモデルをこれまでも購入レビューしてきました。
→ 過去記事(レビュー一覧): TFZ イヤホンのレビュー
今回紹介する「TFZ MY LOVE EDITION」(「TFZ MLE」と略する場合もあり)は、2019年版「MY LOVEバージョン」で、上位モデルの高音質ドライバーを搭載しつつ、普及モデルの「T2 Galaxy」(日本版「T2G」)並の価格設定でカラーバリエーションも豊富とかなり魅力的な内容になっています。
ところで、「MY LOVE」は初期のTFZが500個限定で販売した「SERIES 1S My Love」(2016年)以降、スペシャルバージョンとして毎年ペースでリリースしており、「SERIES4」をベースとした「MY LOVE 2」(2017年)や、「SECRET GARDEN」をベースとした「MY LOVE III」(2018年)といったモデルが販売されています。



そして今回、2019年モデルの「TFZ MY LOVE EDITION」では、TFZの大人気モデルのひとつ「KING PRO」のドライバーユニットを搭載した製品というのが最大の特徴です。「TFZ MY LOVE EDITION」では「第2.5世代」の12mm二重磁気回路グラフェン振動板ダイナミックドライバー(double magnetic circuit two divided-frequency graphene dynamic driver)を搭載します。


「KING PRO」はTFZの中では比較的珍しいフラット傾向のイヤホンで現在もTFZのなかでベストモデルに挙げる人も少なくない製品です。同様のドライバーを使用したモデルにはこれまで「KING II」(および「KING LTD」)といった製品もリリースされています。
「TFZ MY LOVE EDITION」は「SERIES 2」や「MY LOVE 2」と同様のデザインの樹脂製ハウジングのため、金属製ハウジングの「KING PRO」とは同じドライバー構成でも音質面に多少の変化はあると思いますが、半額以下のプライス設定で購入できるのは魅力と言えるでしょう。


「TFZ MY LOVE EDITION」のカラーは「Red」「Blue」「Black」「Purple」の4色が現在リリースされています。すべて白色のフェイスプレートと各色のメタリックカラーのカラーリングでとても魅力的なデザインとなっています。


さらに6月頃から一部のセラーでは追加モデルで「SERIES 2」を彷彿とさせる透明カラーの「Rainbow Purple」と「Rainbow Blue」の2色と、前面クロームメッキによる鏡面仕上げの「Silver」の取り扱いが開始されているようです。




「TFZ MY LOVE EDITION」の価格は海外版「T2 Galaxy」(日本版「T2G」)と同額の 59ドル で、私は香港のイヤホンセラー「Penon Audio」にて購入しました。Penon Audioの直営店の場合PayPal支払いでの購入も可能です。
Penon Audio(直営店): TFZ MY LOVE EDITION
他にAliExpressのストアでも同額での購入が可能です。
AliExpress(Penon Audio): TFZ MY LOVE EDITION
AliExpressで取り扱っているショップでは「Chrome Silver」も含め、選択できるカラーの在庫が限られている場合もあるようです。
■TFZのスタンダードデザインながら豊富なカラーバリエーションが楽しめる
今回まず「TFZ MY LOVE EDITION」の「レッド」をオーダーし、本レビューを掲載後に「クロームシルバー」を追加で購入しました。パッケージはいつもの縦長タイプのボックスで、パッケージから本体が確認できるデザインとなっています。


パッケージ構成はイヤホン本体、ケーブル、白い布製ポーチ、イヤーピースは装着済みのMサイズに加えて、乳白色のシリコンタイプが開口部の大きいタイプの小さいタイプの2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、説明書と、これまで同様です。


本体はTFZの伝統的な形状の樹脂製ハウジング。金属製の「KING PRO」と比べるとかなり軽量な印象を受けます。メインカラーの4色のモデルはメタリックカラーのハウジング部とパールホワイトのフェイス部分に分かれ、左右異なるTFZのお馴染みのマークがプリントされています。これが新色の2色では「SERIES 2」と同じクリアカラーのシェルになります。また追加でオーダーした「クロームシルバー」は「NO.3 Ti」を彷彿とさせる前面クローム塗装による鏡面仕上げで、フェイス部分は無地になっています。


サイズ的には「MY LOVE 2」、「SERIES 2」と同一ですが、フェイスパネルの下部にスワロフスキー風のラインストーンをあしらったデザインは「MY LOVE 2」を彷彿とさせますね。しかし、本来「SERIES 2」「SERIES 4」はこの部分が金属製の小さなパーツによるベント(空気孔)になっており、「MY LOVE 2」ではラインストーンでベントを「塞ぐ」ことでチューニングを変えていました。しかし「TFZ MY LOVE EDITION」ではラインストーンの上部に小さなベントを追加するデザインとなっているのが確認できます。


またハウジングの側面には「KING PRO INSIDE」と記載されており、この製品が「KING PRO」をベースにしたイヤホンであることを特に強調しています。ただし、「TFZ MY LOVE EDITION」が樹脂製ハウジングなのに対して「KING PRO」はシェル全体がCNC加工された金属製でフェイスプレートにベントはありません。このように「TFZ MY LOVE EDITION」ではハウジングなどの違いを踏まえて「KING PRO」に寄せるために多少のチューニングが加えられていることが想像できますね。


付属するケーブルは「TFZ NO.3」以降のモデルで採用されている樹脂コートの白い銀メッキ線ケーブルで被膜の硬さはあるものの、しなやかで使い勝手の良いケーブルです。
イヤーピースは付属のもののほか、よりフィット感を向上させるために、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします。本体サイズが大きく耳に入りきらない感じの方は「AET06」や「RHA ダブルフランジイヤーピース」などのダブルフランジタイプを使用するのもお勧めです(今回私はRHAのダブルフランジを組み合わせました)。
■「KING PRO INSIDE」のフラットサウンドが心地良い。T2Gとは別方向の完成度の高さ
「TFZ MY LOVE EDITION」の音質傾向はTFZでは珍しいフラット寄りの傾向で確かに「KING PRO」に非常に近い印象を受けます。「第2.5世代」のグラフェンドライバーはTFZらしい金属質な煌めきと伸びの良さと合せてより第2世代より解像度の高い輪郭のしっかりした描写が特徴的です。
そして、「KING PRO」は「第2.5世代」ドライバーを搭載した代表的なモデルですが、「TFZ MY LOVE EDITION」ではスペック面でもインピーダンス55Ω、感度108dB/mWと「KING PRO」とほぼ同じのTFZとしてはかなり鳴りにくい仕様になっています。
「TFZ MY LOVE EDITION」の高域は寒色系でいかにもTFZのグラフェンドライバー、という印象のシャープな音です。硬質で明瞭感のある音でありつつも非常に伸びが良く、刺激のある音もある程度コントロールさせつつ、しっかりと煌びやかでエッジの聴いたサウンドを聴かせてくれます。とはいえ「T2G」のような派手さではなく比較的スッキリとした印象。またハイハットの描写などからも「T2G」と比べて解像度の高さを実感します。当然「KING PRO」とも非常に近い印象ですが、比較すると樹脂製ハウジングの「TFZ MY LOVE EDITION」のほうが少し上の方は緩やかな印象もあります。中音域は味付けのない非常にフラットな音で、明瞭ながら自然で伸びやかな音を鳴らします。定位は比較的近いものの自然な距離感で演奏もしっかり堪能できるチューニングです。
そのため、「T2G」と比べるとボーカルは多少淡泊な印象を受けるかも知れませんが、1音1音の描写が非常にしっかりしており、自然なつながりを持ちつつ明瞭感のある音なので、特に物足りなさを感じることは少ないでしょう。「KING PRO」のモニターライクな精緻さと比べると高域同様に描写に若干の緩さがありますが、全体的に質の高いサウンドといえるでしょう。
低音域は締まりのあるカチッとした音で適度な広がりを持ちつつ明瞭に鳴ります。シングルドライバーらしい中高域との自然なつながりの良さを感じつつもしっかりと分離する音で、解像度の高さを実感しつつも極端にエッジを強調しすぎない印象です。沈み込みも良く重低音も膨らむことはありませんが存在感のある音を鳴らします。どちらかというと明瞭さを感じるモニター系の音ですので低域の重量感や厚みどを求める方には多少物足りなさを感じるかも知れませんが、個人的にはどの音域も綺麗に鳴ってくれるチューニングは好感が持てます。また「KING PRO」よりやや響きが柔らかくなることでリスニング的な音場感を感じられる点は「TFZ MY LOVE EDITION」の個性と言えるかも知れませんね。
ところで、「KING」と同じ「第2世代」ドライバーの(海外では)同じ59ドルで販売されている「T2 Galaxy」(「T2G」)はフラット寄りの「SERIES 4」をベースにしているもののインピーダンス16Ω、感度110dB/mWとかなり鳴りやすく、またいかにもTFZらしい派手めで弱ドンシャリ傾向のチューニングが行われています。


「TFZ MY LOVE EDITION」と「T2G」(「T2 Galaxy」)を比較すると中高域のメリハリによる「音の濃さ」や、ボーカル帯域を中心とした音場感は「T2G」が圧倒的な特徴を感じるいっぽう、「TFZ MY LOVE EDITION」は味付けなく、1音1音を描写している印象ですが、各音域での解像度の高さ、特により原音に近い音の再現性や精緻さにおいては明らかに1ランク上のサウンドを実感しました。よりモニターライクという視点では「KING PRO」と比較し、高域の明瞭感や低域の沈み込みなどで多少の差は感じるものの、「T2G」(「T2 Galaxy」)とは異なる傾向のイヤホンとして改めてコストパフォーマンスの高さを実感しました。
また、「TFZ MY LOVE EDITION」は標準ケーブルでも十分に質の高さを実感できますが、「KING PRO」と比べると樹脂製ハウジングによるコストダウンもあって少し緩めに感じます。ここで情報量の多いケーブルすることで明瞭感が向上し、よりキレのある鮮やかなサウンドを実感できるようになります。「TFZ MY LOVE EDITION」は従来通り0.78mm 2pinコネクタ仕様のケーブルが使用できますが、最近では中華系セラーより「TFZ」と同じ仕様のカバー付のケーブルも登場し始めており、選択肢が増えていますね(なお、「qdc用」は形状が異なりますので使えません。ご注意を)。


お勧めは最近になって各セラーよりリリースされている16芯ケーブルで、大幅な情報量の向上で「KING PRO」に近い明瞭感が得られるとともに分離性の向上により、より立体的な音場感を感じる「濃い音」に変化すると思います。最近は3千円以下の低価格タイプの多く出ていますのでよりリーけぶるがしやすくなりましたね。
→ 中華イヤホンケーブル(一覧):16芯 タイプのイヤホンケーブルのレビュー
また、「TFZ」のコネクタ形状に対応したケーブルではHCKの「NICEHCK C16」シリーズがあり、「TFZ MY LOVE EDITION」ではもっとも中高域の明瞭感が向上した銀メッキ線タイプの「NICEHCK C16-1」がお勧めです。プラグや分岐部分もクローム処理された部品が使用されており、「クロームシルバー」と併せると見た目にもさらに高級感がアップしますね(^^)。
ということで、これまで「MY LOVE」というと主力と言うよりはメイン製品のサブカテゴリーという印象が強かったのですが今回の「TFZ MY LOVE EDITION」は普及価格帯の「もうひとつのメインモデル」という感じのする、看板モデルになってもおかしくないレベルの完成度でした。「T2G」が好み的に合わなかった方も是非ともチャレンジしてもらいたい製品だと思います。また今回ベースになった「KING PRO」を含むKING系のラインも「KING EDITION」と呼ばれるモデルの登場が今後控えています。今後もTFZ製品は目が離せないですね(^^)。









こちらのMy Love EditionとKING IIは同じ2.5世代ドライバーを使用していると思うのですが(間違っていたらすみません)、この二つについて音の違いはどのくらいありますか?