Yinyoo V6

こんにちは。今回はKnowles製2BA+米国製DDによる2BA+1DDイヤホン「Yinyoo V6」の紹介です。中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」を中心に展開するイヤホンブランド「Yinyoo」(音佑)のオリジナルモデルのハイブリッドイヤホンです。本来は昨年登場予定だったのですが同じ米国製ダイナミックドライバーを使用するシングルダイナミック仕様の「Yinyoo V2」のチューニング変更に伴い販売を延期、事実上いったん「お蔵入り」したモデルでもあります。
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その後シングルダイナミック仕様の「Yinyoo V2」は何度か内部バージョンアップが行われ、「最終版」としてリリースされた「Version 3」については先日追加レビューをしました。そして満を持してリリースされたのが上位モデルである今回の「Yinyoo V6」になります。「Yinyoo V6」は高域用にKnowlesのデュアルBAユニット「TWFK-30017」を搭載します。さらに「Yinyoo V2」でも採用された米国製の二重振動板ダイナミック型ドライバーを搭載。CNC加工された「V2」と同じデザインのアルミニウム合金製ハウジングは濃いメタリックブルーで仕上げられています。

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また本体は0.78mm 2pinコネクタによるリケーブルが可能な仕様となっています。また標準でも「V2」の付属ケーブルより太い線材を使用した銀メッキ線ケーブルが付属します。

Yinyoo V6」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」、またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。価格はAliExpressが 169ドル、アマゾンが 17,500円 となっています。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらを参照ください。またアマゾンの場合、万が一の場合もアマゾン経由でのサポートが受けられるメリットは大きいですね。
AliExpress(Easy Earphones): Yinyoo V6
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): Yinyoo V6

※アマゾンのWTSUN Audioでは「Yinyoo V6」を購入時に10% OFFとなるキャンペーン中です。


■Yinyoo V2共通のデザイン。濃いメタリックブルーのカラーリングが印象的

Yinyoo V6」のパッケージ構成は最近の1万円以上のYinyooイヤホン共通のボックスタイプ。箱の中のケースの中に付属品が入っています。パッケージ内容はイヤホン本体、2pin銀メッキ線ケーブル、イヤーピース(グレー・S/M/Lサイズ、白色が本体装着済み)、ケース、保証書。
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Yinyoo V6」の本体は「Yinyoo V2」と全く同じデザインですが、濃いメタリックブルーのカラーリングはなかなか渋く、思ったより高級感があります。ビルドクオリティもまずまず高いと思います。

付属する銀メッキ線ケーブルは太めの線材の銀メッキ線ケーブルで取り回しは良好です。情報量も多く、バランス接続や音の印象に変化を付けたい場合以外はリケーブルしなくても十分なクオリティだと思います。
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イヤーピースは最初から装着していた白色タイプは比較的良い印象でしたが、グレーのものは安価なものでフィット感がいまひとつだったので交換した方がよさそうです。定番ですが、JVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部が大きくフィット感の高い製品との組み合わせがお勧めです。


■じっくり作り込まれたサウンドチューニング。立体的な音場感と深みのある音が印象的

Yinyoo V6」の音質傾向はフラット寄りの印象で、開封直後から中高域スッキリ目の心地良いバランスです。開封直後は若干低域が軽く感じましたが、イヤーピースを調整し(私はスパイラルドットを選択)、多少エージングを行うことで、「Yinyoo V2」にも共通する深みのある心地良い低音を実感することができました。音場は広く立体的なサウンドで、演奏位置を実感できる定位感があります。おそらく「満を持して」製品化したと思われる「Yinyoo V6」ですが、音質面ではそのこだわりを反映し、一聴して「良い音」と感じる仕上がりになっています。

Yinyoo V6Yinyoo V6」の高域は抜けの良い明瞭な音ながら過度に主張しない自然な音です。ハイハットなどは鮮やかさを感じつつも自然な印象。Knowles製BAらしい歪みの少ない伸びの良さと明瞭でありつつ上品な質感を持ったサウンドが特徴的です。
中音域は少し広がりを感じる厚みのある音を鳴らします。しっかりホールドされたコンパクトな金属製ハウジングとフェイス部分の大きめのベント(空気孔)により、ボーカルなどでは音抜けの良さと響きによる適度の広がりを感じます。広く立体的な音場感で響きのある音を鳴らしつつ、しっかり分離することで他の音域を邪魔しない心地良いバランスを維持しています。特にボーカルを中心にマスタリングされた音源が印象的で、響きのある伸びの良さもあり思わず聴き入ってしまいます。非常にこだわりを感じる上手いチューニングだと思います。
低音域は深く厚みのある音で、情報量の多さが印象的。低域は「Yinyoo V2」でも使用されているデュアルダイアフラムを使用した米国製DDを採用していますが、マルチBAイヤホンにも通じるような密度の高さと深い沈み込みが特徴的。基本的には改良型の「V2 Version 3」と共通する印象で、量的に多くある程度主張のある低域ですが、分離性は良く中高域が籠もる印象はありません。初期型「V2」の印象と比較すると随分とスッキリした印象に感じるのではないでしょうか。
Yinyoo V6情報量が多く、締まりを感じる低域ですのでベースラインはつかみやすく、立ち上がりの速い曲でも比較的良く鳴ってくれる印象です。ただ、沈み込みの深さはあるものの、ボーカル主体の曲では重低音の重量感がやや軽めに感じるのは全体のバランスとのトレードオフな部分かもしれませんね。
Yinyoo V6」はロック、ポップス、アニソンなどボーカル曲全般と相性が良さを感じます。またサウンドバランス的に多少好みは分かれる可能性はありますが、個人的にはジャズなどのインストゥルメンタル曲でもその立体的な音場感を堪能できるため好印象でした。
いっぽう、高域好き、低域好きの方にはもう少しメリハリのあるサウンドの方が良く感じるかもしれませんね。その場合はリケーブルなどにより多少傾向をアレンジしてみるのも良いと思います。

Yinyoo V6Yinyoo V6」は発売時に多少の「曰くがあった」製品ということもあり、どうしてもマイナー感は否めないのですが、もろもろの先入観を排除し単純にひとつのイヤホンとして評価すると音作りのこだわりを感じられる非常に完成度の高い製品に仕上がっていることを実感できると思います。また「2BA+1DD」構成の直列配置というデザインは数年前までならついAKG「K3003」と比較したくなったのですが、「Yinyoo V6」のサウンドにはその辺のイヤホンを意識したような形跡は全く無く、あくまで同社の考えるサウンドチューニングが行われてる点も好感できます。アンダー2万円の価格設定と最近の中華イヤホンのなかでは割高に感じるマニア向けのアイテムではあるもの、もし興味があればチャレンジするのも良いイヤホンだと思いますよ(^^)。