BLON BL-03

本レビューは2019年7月26日に掲載した内容を元に、新しく新たにパープルカラーのモデルの内容を加えて追記・再構成しております。

こんにちは。今回紹介するのは、「BLON BL-03」というコンパクトなシングルダイナミック型イヤホンです。中国のイヤホンブランド「BLON」の製品で高音質なカーボンナノチューブ振動板ダイナミックドライバーを搭載し、鏡面仕上げの金属製シェルが特徴的なイヤホンですね。30ドル台で購入可能な低価格イヤホンながら、音質的にもキレのあるスッキリした高域と存在感があり深いところも表現する低域が楽しいなかなか良いイヤホンだと思います。
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BLON BL-03」は亜鉛合金の一種であるKirsite材質(カーサイト/亜鉛銅アルミ合金)の金属製ハウジングを採用しています。「シルバー」は表面はクローム処理された鏡面仕上げで「ブラウン」も光沢仕上げになっています。また新たに追加された「パープル」では丈夫な被膜でのコート塗装が施されています。非常にコンパクトなサイズにまとめられているため、重量感のある材質ながら装着性にも配慮したデザインとなっているようです。
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搭載されているドライバーは 10mmサイズのカーボンナノチューブ振動板(ダイヤフラム)を採用した高音質ダイナミックドライバーをシングルで搭載しています。カーボンナノチューブ振動板というと、以前に比べ採用される製品も増えており、最近では中華イヤホンでもLZ系の「SEMKARCH」など時々見かけるようになってきました。カーボンナノチューブは非常に軽く高い剛性(アルミの半分の軽さで鋼鉄の20倍の強度)を持つ材質として知られており、通常の樹脂製ダイアフラムと比べより繊細さとキレの有るサウンドが特徴です。

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そういえば、「BLON BL-03」の発売前の先行予約時にEasy Earphonesの告知ツイートに「199ドル相当の製品」という記述があったのですが、これは「BLON BL-03」で採用されているこのドライバーが某VS○NIC社(例によって伏せ字になってないですね^^;)の製品(「GR09」あたり?)のカーボンナノチューブドライバーに匹敵するものを使用してるから、という話が有ったような無かったような・・・もしかしたら気のせいかもしれません(笑)。それに「GR09」は確か11mmのドライバーだったはずですね。まあ「BLON BL-03」が何らかの形で意識してるのは間違いないと思いますのでもし両方持ってるという強者の方がいらっしゃいましたら比較してみるのも面白いかも知れませんね。
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BLON BL-03」は0.78mm 2pinコネクターを採用しており、リケーブルにも対応しています。ただし、ケーブルにはコネクタ部分を覆うカバーがついている点は注意が必要です。本体部分はTFZ用コネクタと同様の形状の突起がありますが、長さが違うためTFZ用だとカバーが覆いきれない感じになります。
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本体カラーは「シルバー」と「ブラウン」の2色に加え、新たに「パープル」が追加されました。
購入はAliExpressの「Easy Earphones」またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。価格はAliExpressが25.06ドル(シルバー/ブラウン)、26.06ドル(パープル)で、アマゾンが 4,500円 (シルバー/ブラウン)となっています。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらをご覧ください。
AliExpress(Easy Earphones): BLON BL-03
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): BLON BL-03


■特徴的デザインの金属ハウジング。リケーブルとイヤーピース交換はできれば実施したい

今回私はプレセールスでのオーダーしましたのでカラーの選択はできなかったのですが、最初に届いたのは「シルバー」のバージョンでした。(追記)その後、「パープル」バージョンも届きました。パッケージはひと目見てわかる「TFZ」製イヤホンのもろパ○リぽいです(笑)。もちろん本家と並べると相応の違いはありますが、雰囲気はそのまんまですね(^^;)。まあこのようにTFZとは明らかに質感の異なるパッケージのため、とりあえず、これはパ○リというより、オマージュ、あるいはパロディと考えましょう。
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何よりパッケージの表にも裏にも書かれている、「BLON」の意味(?)と思われる謎のメッセージや限りなくどーでもよいことを注釈(アノテーション)されたりと、「ちょっと何言ってるかわからない」と全力でツッコミを入れずにはいられない記述が大変味わい深いですね(^^)。
そういえば初期のTFZのパッケージも裏面に謎のポエムっぽい文章が書かれていたのがお馴染みでしたが、それをパッケージ全体でやってしまう辺りは、狙ってるとしたら相当の確信犯だなと思うのでした。なお、誤解のないように書いておきますが、別に悪く思ってないですからね(笑)。久々の「これぞ中華イヤホン」みたいな「らしさ」に触れてちょっと楽しくなっただけですよ。念のため。
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さてさて、開封前からパッケージデザインだけでひとしきり堪能したところで、「BLON BL-03」の内容ですが、本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、布製ポーチ、説明書といった内容。

亜鉛合金製の本体はそれなりに重量感がありますが非常にコンパクトなため実際の仕様で重さで支障を感じる事はないでしょう。「シルバー」の鏡面仕上げされたシェルのビルドクオリティは高くこの価格帯のイヤホンとしてはとても良い質感です。また新しい「パープル」も表面処理は異なりますがとても高級感があります。
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先日レビューした「TRI-i4」も結構コンパクトなイヤホンでしたが、「BLON BL-03」はさらにコンパクトな印象です。そののため本体は耳にすっぽりと収まるものの、装着性についてはイヤーピースをしっかり合せる必要があります。ステム部分がちょっと浅いため、「シルバー」「ブラウン」の初期モデルに付属した皿状の付属のイヤーピースの場合ケーブルの耳掛け部分の弾力でホールドする感じになります。そのためイヤホン自体が耳奥まで入らない場合があり、遮音性も低下とともに音が遠く低域が少し抜けたように感じてしまいます。この場合はイヤーピースの交換は必須ですね。
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(追記)これが先日届いたパープルタイプではもう少し長さがあり耳奥まで入るタイプのイヤーピースに変更されました。初期タイプのイヤーピースでは本来のサウンドを実感できないケースもあったため、これは嬉しい変更です。
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もちろんよりフィット感の高いイヤーピースへ替えるのも良いでしょう。具体的には「final E」シリーズ、「RHA製イヤーピース」、「SpinFit」など好みに応じて選択してみてください(今回私はRHAのイヤーピースを選択しました)。
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2pinコネクタは一般的な0.78mmサイズですが、ケーブルのカバー部分で覆われる突起部(透明な樹脂製コネクタ部分)はリケーブルの際は中華2pinタイプでこの突起部分が露出することになります。いちおうTFZ仕様のコネクタケーブルもちょっとはみ出ますが使用できます。中華2pinなどを組み合わせて気になる場合はパイオニアのコネクタシールドなどをするのも良いと思います。


■スッキリした質の良い高域と低域が楽しめる、明瞭でキレの良い寒色系サウンド

BLON BL-03BLON BL-03」の音質傾向は各音域ともしっかりとした主張のあるバランスの良いサウンドですが、全体的にカーボンナノチューブ振動板らしいキレのあるサウンドで、高域および低域の存在感がかなり強めのため、印象としては寒色系でかなり派手めの鳴り方に感じます。沈み込みの良い低域は同じくカーボンナノチューブ振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載する「SEMKARCH」の印象とも似た部分がありますが、「BLON BL-03」では金属質でスッキリした印象の高域の主張がより強く、とにかく「音楽を楽しむ」という点で非常に分りやすいチューニングのイヤホンだと思います。30ドル程度で購入できる低価格イヤホンとしては「見た目」も含めかなりコストパフォーマンスの高い製品であることは間違いないでしょう

BLON BL-03」の高域は、想像以上にスッキリした明瞭な音で寒色系で派手めの鳴らします。シンバルなどの主張は強めで金属質な煌びやかさを感じるタイプの高音です。再生環境によってはそれなりに刺激を感じますが個人的にはとても聴きやすいバランスで耳に付くような印象はありません。また音抜けが良く見通しの良い高音で余韻も感じる事ができます。このように非常にスッキリした高音のため、寒色系の派手な音ではあるものの、低価格中華ハイブリッドの高域BAとは全く異なり、とても綺麗な音という印象です。カーボンナノチューブの特長を活かしたキレが良く、煌びやかさと鮮やかさのある高音はこの価格帯のイヤホンとしてはかなり好感が持てます。

中音域は高域や低域に比べると少し控えめにも感じますが、実際はボーカルやピアノの音色などは十分な主張が有り、特に凹むことなく鳴ります。ボーカルの質感は基本的には味付けなどは無く素直な音とという印象ですが、全体的に分離が良く、輪郭がハッキリしているため明瞭感のあるサウンドが楽しめます。高域同様にアタックが強めに出るためロックやアニソンなどはとても楽しいですがバラード曲などは派手すぎるかもしれませんね。また特に中高域の伸びが良く、女性ボーカルなどは気持ちよく聴くことができるでしょう。

BLON BL-03低音域はスッキリした中高域を邪魔すること無くキレのあるサウンドが楽しめます。沈み込みが深く重低音も結構出るためこの価格帯としてはかなり低域を楽しめるイヤホンだと思います。バスドラムの鳴りの良さはまさに「ドンシャリ」といった印象でロック等との相性もとても良い楽しいサウンドです。ただ前述の通り付属ケーブルおよび標準イヤーピースで装着が浅めの場合、やや低域が抜けるような印象となり、相対的に弱めの印象に感じるかもしれません。またインピーダンス32Ω、感度102dB/mWと決して鳴りにくいわけではないのですが再生環境はそれなりに駆動力を持たせる方が、「ドライバーがしっかり鳴ってくれている」と感じるサウンドを楽しめると思います。また個人的には「BLON BL-03」はジャズやクラシックとの相性の良さを感じます。「BLON BL-03」のサウンドはこれらの音源をより自然にとらえることができ、むしろボーカルよりインストゥルメンタルで実力を発揮するイヤホンかもしれませんね。

また、前述の通りリケーブルにより装着性が大きく向上するだけでなく、再生環境(駆動力など)で音質面での向上があることから同様にリケーブルでも効果が期待できます。ケーブルは最近2千円程度で販売されている低価格8芯ケーブルや、3千円程度の低価格16芯ケーブルがおすすめ。「BLON BL-03」はもともと主張がはっきりしたイヤホンですので、これらのケーブルのように、あまり音質傾向を変化させずに情報量が増加するタイプのケーブルと相性が良いですね。またコネクタ形状を少しでも合せたい場合は、少し価格は上がりますがTFZコネクタが選択できるミドルグレードの16芯ケーブルも良いですね。
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リケーブルによるベースラインなど低域の輪郭がより明瞭になり、さらにメリハリのある気持ちよいサウンドに変化します。また元々やや狭めの音場感が向上しより臨場感を感じることができると思います。
→ レビュー(一覧):  2千円以下の低価格ケーブル / 3千円前後のイヤホンケーブル

というわけで「BLON BL-03」はちょっとデザイン的に個性的なため、リケーブルやイヤーピース交換等のアレンジが望ましい部分はあるものの、音質的にはこの価格帯のイヤホンとしてはかなり高く、多くの方にお勧めできる製品だと思います。興味がある方は1,000円OFFクーポンがあるうちにチャレンジされるのも良いと思いますよ(^^)。