iBasso DC01 / DC02

※当初「iBasso DC01」のみのレビューとして掲載しましたが、追加で「DC02」も購入しましたので比較記事として追記・再構成しました。

こんにちは。今回は先日購入したハイレゾ対応の小型オーディオアダプタ「iBasso DC01」 と「iBasso DC02」を紹介します。「iBasso DC01」および「DC02」は、USB Type-Cに対応した高音質オーディオアダプタで、で6千円台の価格設定ながら32bit/384kHz、DSD256Xに対応するハイスペックさと、「iBasso DC01」については2.5mmバランス接続使用のコネクタを搭載しています。どちらも現在は入荷してもすぐに品切れ状態が続いています。個人的にLightning対応やUSB Type-C対応のオーディオアダプタはこれまでも何種類も購入してきましたが、コンパクトタイプとしては、ようやく「決定版」と言って良い製品に巡り会えたかなという印象ですね。
iBasso DC01」はDACチップに「AK4493EQ」を採用し、PCM 32bit/384kHz、DSD256に対応するハイスペックな小型オーディオアダプタで、さらに「2.5mm/4極」バランス出力コネクタ仕様という「かなり攻めた」内容となっています。また、このバランス駆動のため超低歪LDOリニアレギュレータをデュアルで搭載。USBオーディオアダプタとしては十分な出力に加え、THD+Nが0.001%未満と極めて歪み・ノイズが少ない仕様になっています。
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そして、3.5mmステレオ出力コネクタ仕様の「iBasso DC02」のほうは、DACに「AK4490EQ」を搭載し、「iBasso DC01」同様にTHD+Nが0.001%未満と極めてクリアなサウンドを実現しています。
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今回「iBasso DC01」を購入し、その使い勝手の良さとノイズが少なく高いサウンドクオリティですっかり気に入ったため、追加で「iBasso DC02」のほうも注文しました。大変な人気商品のため次回の入荷待ちとなっていて、届くまでに3週間ほど待つ必要がありました。
iBasso DC01」の参考価格は6,800円、「iBasso DC02」は 6,100円 前後となっています。


■コンパクトで使いやすいサイズ感。ただし発熱とバッテリ消費には要注意

iBasso DC01」および「iBasso DC02」のパッケージは非常にシンプルで付属品なども本体、USB-Aへの変換コネクタ、説明書と至ってシンプルです。
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iBasso DC01」のサイズは非常にコンパクトにまとまっており、スマートフォンとの組み合わせで屋外で使用しても十分に実用的です。OTG対応(最近は対応していないモデルの方がまずないですね)のAndroidスマートフォンではプラグすればすぐに使用することが出来ます。

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またUAC2.0(USB Audio Class 2.0)に対応しているため、MacおよびUAC2.0に対応した比較的新しいWindows 10環境でもプラスしただけで使用することが出来ます。またWindows用のASIOドライバーもiBassoのダウンロードサイトにて入手できます。
またUAC2.0に対応しているため、iPhoneなどのLightning仕様のiOSデバイスでも「USB-Lightningカメラアダプタ」を経由すれば対応するUSB-DACと同様に利用することが可能です。
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ちなみに、金属製のシャーシから放熱する仕様になったいるため、特にハイレゾ再生中の本体の発熱は結構大きく、相当に「熱く」なります。また相応にバッテリーも消費しますので、その辺は利用環境で確認した方が良さそうです。HUAWEIの「Mate 20 Pro」は比較的大容量のバッテリーを搭載していますが、「iBasso DC01」でハイレゾ再生を続けていると通常の倍ほどのペースでバッテリが減っていく印象でした。「iBasso DC02」も比較的近い印象ですが、出力(駆動力)に差があることもあり、接続するイヤホンによっては「DC01」よりはややバッテリ消費は少なめの印象でした。


■ どちらもノイズが少なく素直なサウンド。バランス接続の「iBasso DC01」は駆動力も高め。

iBasso DC01」「DC02」のDACチップの「AK4493」および「AK4490」は傾向として非常にニュートラルなサウンドですが、「iBasso DC01」「DC02」のどちらも味付けの無い印象で様々な傾向のイヤホンやヘッドフォンとも合せやすい音だと感じました。
また、この手の小型オーディオアダプタ製品の場合、反応の良いマルチBAイヤホン等の場合どうしてもホワイトノイズが発生するのですが、「iBasso DC01」「DC02」では特にホワイトノイズを感じることはなく、非常にクリアなサウンドを実感できました。個人的には反応の良いイヤホンを利用する頻度も非常に多いため、超低歪かつノイズの少ないサウンドは非常に有り難いところです。
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iBasso DC01」および「DC02」の音質比較ですが、バランスケーブルでリケーブルした数種類のイヤホンで聴き比べたところ(「DC02」は2.5mm→3.5mm変換プラグを使用)、音質傾向およびS/N感はどちらもほぼ同じですが、駆動力についてはバランス接続の「iBasso DC01」のほうが確実にあり、多少音圧が強めの印象になります。「iBasso DC01」(1.9Vrms)はヘッドフォンアンプICを2個搭載していることもあり、「iBasso DC02」(0.9Vrms)の倍以上の仕様ですのでこの辺はスペック通りという印象ですね。逆に「iBasso DC02」のほうがニュートラルな印象で、「DC01」は僅かにメリハリが強くエッジの立った印象の音になります。また分離感については両者でさほど差はなく、バランス接続によるメリットは限定的な印象です。もっともこの辺は価格差や構造を考慮すれば妥当なところでしょう。
iBasso DC01 / DC02iBasso DC01
いっぽう「iBasso DC01」のほうはバランス接続によりある程度駆動力が稼げるため、バランスケーブルにリケーブルしたインピーダンス300Ωの「HD6XX」(Massdropコラボのゼンハイザー HD650相当品)を接続してもボリュームを最大に上げる必要も無く十分な音量を確保できました。ただ、バランス接続でデュアルアンプを搭載しているとはいえ、駆動力に余裕のあるDAPやポータブルアンプに比べるとどうしても奥行きの無い「軽い音」になってしまいがちで、インピーダンスの高いヘッドフォンの場合その差がより顕著に感じられます。まあこの辺は製品のキャラクターを考慮して割り切って使い分けるというのが正解だと思いますね。

iBasso DC01ちなみに、スマートフォンでの音楽再生の場合、現在最も多く考えられるのは「Apple Music」や「Spotify」などのストリーミングでの再生だと思います。後述する「Amazon Music HD」以外はハイレゾに対応した配信サービスではないため、「iBasso DC01」の高音質はあまり活かされないようにも感じられますが、高音質イヤホンと組み合わせたときのノイズの少なさや明瞭感は同価格以上のオーディオアダプタや低価格のOTG対応USB-DACより大幅に凌駕しています。わたしのブログでもAndroid用およびLightning用の小型オーディオアダプタは数種類紹介していますが、「iBasso DC01」はこれらの製品より確実に高音質だと感じました。またiBassoが提供してる音量アプリ「iBasso UAC」をインストールすることでこれらのアプリでもハードウェアボリュームによる音量調整が可能になります。


■Andorid用ハイレゾ再生アプリで使用する(各アプリの設定について)

いっぽう、「iBasso DC01」「DC02」の本来のスペックであるハイレゾ音源の再生の場合は、AndroidやiOSデバイスの場合は対応するプレーヤーアプリの利用が必要です。ここでは手持ちのAndroid 用プレーヤーアプリでの設定をまとめておきました。特に私がメインで使っているUAPP(USB Audio Player PRO)については細かな設定を行いましたので、多少詳しく記載してます。宜しければ参考にしていただければと思います。

【 USB Audio Player PRO (UAPP) 】
USB Audio Player PRO」、一般的には「UAPP」という略称でも呼ばれるAndroid用の高音質プレーヤーアプリです。その特徴はアプリの名称のとおり、USB-DACを組み合わせたときの非常に細かな設定が可能な点。またSMB(Windowsファイル共有)やUPnP(DLNA)でのNASの音楽データの参照・再生や「TIDAL」「Qobuz」「Google Play Music」といったストリーミングサービスの再生機能もあり、Android上でこれらのサービスでUSB-DACを連携させて使用する上でも欠かせないアプリです。
スマートフォンはもちろん、Android搭載のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)用の再生ソフトとしても愛用者が多く、有償ソフトながら購入しておいても損は無いアプリだと思います。
「iBasso DC01」「DC02」「iBasso DC01」「DC02」iBasso DC01 / UAPP
「UAPP」では「iBasso DC01」用に非常に細かい設定が可能なため、音質面でも他のプレーヤーアプリより深掘りしたチューニングが可能です。ただアップサンプリングなどを効かせすぎると本体の発熱がさらに進む可能性もありますのでその点はご注意ください。

「UAPP」での主要な設定箇所は次の通りです。左側のメニューアイコンから一覧を表示し、下の方の「設定」をタップします。一番上の「内部オーディオドライバ」は「ハイレゾダイレクトドライバ」に、「Androidオーディオ」で「Android経由で再生」のチェックを外します。また念のため「高度な設定」で「USB DACを使用」にもチェックを入れておきます。
iBasso DC01 / UAPPiBasso DC01 / UAPPiBasso DC01 / UAPP
この状態で「iBasso DC01」「DC02」を接続し、UAPPへのアクセスを許可することでUAPPの「ハイレゾダイレクトドライバ」が適用されます。再度「設定」に戻り、任意で「USBオーディオ」の項目の設定をします。「最大までアップサンプリング」はアップサンプリングの有無を設定します。この辺は好みですがアップサンプリングをする場合は「オンににしてサンプルレートの整数倍を使用」がおすすめ。
またDSDフォーマットのデータを持っている場合は「DSD再生モード」で「DoP(DSD over PCM)」を選びます(「DSDネイティブ再生」を選ぶと音が出ません)。
iBasso DC01 / UAPPiBasso DC01 / UAPPiBasso DC01 / UAPP

さらに設定の「ボリューム」で「iBasso DC01」「DC02」のハードウェアボリュームを使えるようにします。「ボリューム設定」「ハードウェアによるボリューム調整(可能な場合)」を選択、ボリューム段階の指定は「100」段階にしておきます。「iBasso DC01」「DC02」の場合、ハードウェアボリュームで実際に音が出て音量調整が可能なのは上3分の1くらいの音量なので、できるだけ細かく調整幅を刻むことで極端に音量が上がることを防ぎます。
iBasso DC01 / UAPPiBasso DC01 / UAPPiBasso DC01 / UAPP

これらの設定により、「UAPP」で再生中に本体の音量ボタンで「iBasso DC01」「DC02」のハードウェアボリュームの制御が可能になります(右上のグラフ状のアイコンをタップし、音量のスライダーを操作しても同様です。この際、念のため「ハードウェアボリューム」が正しく動作していることを確認するため、音量のスライダーの「ハードウェアボリューム」項目をタップした際のボリュームが連動しているいることを確認しておいてください。
iBasso DC01 / UAPPiBasso DC01 / UAPPiBasso DC01 / UAPP
ちなみに余談ですが「iBasso DC01」でのDSD再生について、2.8MHz(DSD64)、5.6GHz(DSD128)の場合は、そのままDSD形式のままDoP経由でネイティブ再生されますが、11.2MHz(DSD256)形式のデータの場合は384kHzのPCMに変換して再生されるようです。


【 Onkyo HF Player (アンロック済み) 】
HF Player」はスマートフォン用の国産ハイレゾ対応アプリとして非常によく知られたオンキヨーのプレーヤー。アプリ自体は無料で有料のアンロックを行うことでハイレゾ対応になります。イコライザなどの機能の使いやすさに定評がありますね。「HF Player」での設定は一般的なUSB-DACとほぼ同様ですね。
Onkyo HF PlayerOnkyo HF PlayerOnkyo HF Player


【 Radius NePLAYER 】
ラディウスの「NePLAYER」はiOS版と合せて購入しています。再生中のスペクトラム表示が見やすいですね。iOS版はNASなどのネットワーク再生にも対応しますが、Android用は本体のストレージのみなのが少し残念。
Radius NePlayerRadius NePlayerRadius NePlayer


【 HiBy Music (海貝音楽) 】
最近は自社製DAPも人気の中国「HiBy」のプレーヤー。通常は「HiBy Link」で対応するDAPをスマートフォン側から遠隔操作するためのアプリですが、無償で、かつ単独でもハイレゾプレーヤーアプリとして利用できます。実際にDAPに入っているプレーヤーアプリの汎用版のため、設定項目も「UAPP」に次いで充実しています。直感的で使い勝手も良いため結構おすすめです。
HiBy MusicHiBy MusicHiBy Music


【 Amazon Music HD (Amazon Music) 】
最後に「Amazon Music」はハイレゾアプリではなく、Apple MusicやSpotifyと同様のアマゾンの音楽配信サービス用のアプリですが、最近開始したハイレゾ対応の配信サービス「Amazon Music HD」の対応について付記しておきます。「Amazon Music」アプリはアマゾンの「Prime Music」および配信サービスの「Amazon Music Unlimited」、そして「Amazon Music HD」の各契約に対応した配信サービスを提供しています。ハイレゾに対応していますが、上記のプレーヤーアプリのように専用ドライバーは使用せずAndroid標準の「SRC」(サンプリングレートコンバータ)を経由する仕様となっています。現在のバージョンの「Amazon Music」(バージョン16.2.2)アプリでは、(バックグラウンドも含めて)アプリが起動したときのハードウェアのサンプリングレートを参照するため、「iBasso DC01」「DC02」を接続してもスマートフォン本体の仕様に合せて最大「16bit/44kHz」または「24bit/48kHz」までしか対応してくれません。
Amazon Music HDiBasso DC01iBasso DC01
そこで、いったん「iBasso DC01」「DC02」を接続したあと、Androidの「設定」メニューの「アプリ」からアプリの一覧を表示し、「Amaon Music」のアプリ情報から「強制終了」させ、改めて起動することで最大24bit/192kHzまでの再生が可能になります(この辺の詳細はメーカーやバージョンによっても多少異なるので個別の操作については別途検索いただくなどご確認ください。また端末の仕様によっては24bit/96kHzまでの場合もあります)。ちょっと裏技的な手法のため、今後のAmazon Musicアプリのバージョンアップで改善されると良いですね。