TFZ TxBEAR MONICA

こんにちは。今回は「TFZ TxBEAR MONICA」の紹介です。手元に届いてから軽く1ヶ月以上経っているのですがこのタイミングでの掲載となってしましました(汗)

TFZ TxBEAR MONICA」は私のブログではすっかりお馴染み中国のイヤホンブランド「TFZ(THE FRAGRANT ZITHER)」の、「TFZ NO.3」で搭載された第3世代ダイナミックドライバー(ドライバーコード名「M1U」)を採用した最新シリーズの製品のひとつになります。この「M1U」ユニットを搭載した最新シリーズの製品では「TFZ TxBEAR MONICA」のほか、先日レビューを掲載した「TFZ QUEEN LTD」と、「TFZ KING EDITION」が既にリリースされています。このうち「QUEEN LTD」はどうやら日本では販売されないらしいですが、今回紹介する「TFZ TxBEAR MONICA」、そして次回予定の「TFZ KING EDITION」は11月のイベントでも参考出品されており、年末に掛けて国内でのリリースも計画されているようですね。
TFZ TxBEAR MONICATFZ TxBEAR MONICA

今回紹介する「TFZ TxBEAR MONICA」は、TFZが展開する「TxBEAR」ラインの最新モデルですが、
これまでは「TxBEAR 1」(シングルBA/149ドル)、「TxBEAR 3」(3BA/219ドル)、「TxBEAR 10」(10BA/729ドル)とKnowles製BA搭載モデルのみだったところへようやくTFZらしいシングルダイナミックの製品が加わったことになります。

TFZ TxBEAR MONICATFZ TxBEAR MONICA」の搭載ドライバー「M1U」はもともとTFZの「第3世代」とよばれていたもので、仕様としては「11.4mm デュアル磁気回路ダイヤモンド振動板ダイナミックドライバー」になります。
「M1U」ユニットで採用されている大口径の11.4mmドライバーでは、TFZ独自のデュアル磁気回路(高いダイナミックレンジと分離性を持つ二重コイルおよび二重チャンバー構造)に加えてダイヤモンドコーティングされたダイヤフラム(振動板)とネオジウム(NdFeB) N50 の非常に強力な磁性体(テスラマグネティック)によりさらなる高音質化を実現しています。
TFZ TxBEAR MONICA」のインピーダンスは20Ω、感度は108dB/mWと「TFZ NO.3」や「TFZ KING III」とスペック的に同等の仕様になっています。実際のところ、「TFZ TxBEAR MONICA」は「TFZ KING III」をベースにチューニングを行い、より低コストな樹脂製ハウジング(フェイスプレートは金属製)に変更した製品、という可能性も高そうです。

TFZ TxBEAR MONICA Limited (Chinese Ver.)というのも、当初は 「TxBEAR × MONICA 限定イヤホン」(TFZ TxBEAR X Monica Limited)として、中国の有名ショップとの(正確にはその名物店主「Monicaさん」との)コラボモデルだったようですね。日本で言えば「e○ヤ(スタッフ監修)限定モデル」みたいなものでしょうか(汗)。
ただ、「TFZ TxBEAR MONICA」に関しては、完成度が非常に高く(某製品のeイ○スタッフ監修モデルの場合とは・・滝汗)、それもあってか海外でも販売される通常の主力ラインの製品に格上げになったようです。TFZでは以前にも限定コラボ製品だったのがそのままシリーズ名になった「MY LOVE」のパターンもありますね。
実際のところ、今回の「TFZ TxBEAR MONICA」はおそらく来年以降のTFZの「主力モデル」になりそうなポテンシャルをもった製品で、内容的にも「KING EDITION」より評価が高くなりそうな予感もしています。

TFZ TxBEAR MONICATFZ TxBEAR MONICA

TFZ TxBEAR MONICA」は、今回も香港のイヤホンセラー「Penon Audio」で購入しました。価格は 99ドル です。AliExpressの「Penon Audio」のショップのほか、直営店ではPayPalでの支払いも可能です。
AliExpress(Penon Audio Store): TFZ TxBEAR MONICA
Penon Audio(直営店): TFZ TxBEAR MONICA

国内版が12月13日に日本でも発売になります。アマゾンでの表示価格は 16,280円 でした。


■ ベアロゴマークが光る、ブロンズカラーが何故かカッコイイデザイン

というわけで、海外向けに販売されている「TFZ TxBEAR MONICA」のパッケージはいつもの縦長タイプ。パッケージ構成は最近のモデル同様で、イヤホン本体、ケーブル、白い布製ポーチ、イヤーピースは装着済みのMサイズに加えて、乳白色のシリコンタイプが開口部の大きいタイプの小さいタイプの2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、説明書となっています。
TFZ TxBEAR MONICATFZ TxBEAR MONICA
TFZ TxBEAR MONICATFZ TxBEAR MONICA
本体は濃いクリアーブラックの樹脂製シェルに、落ち着いたブロンズカラーの金属製フェイスパネルで、「KING PRO」「KING II/LTD」を思い出させる円形のプレートには最近の「S2 PRO」でも使われている右側が「BEAR」、左側が「T」のデザインになっています。また「TFZ TxBEAR MONICA」については左側の「T」のロゴの横に「Monica」というサインのようなデザインも加えられています。
TFZ TxBEAR MONICATFZ TxBEAR MONICA
このようにとても落ち着いたデザインであることもあり「クマさんなのにやたら格好良い」というのが見たときの印象です(^^;)。ほんと、TFZが突如としてクマさんデザインをフェイスに取り入れだしたときはどうしたものかと思いましたが、それでも格好良く作れるんだから全く問題なかったですね(笑)。
TFZ TxBEAR MONICATFZ TxBEAR MONICA
シェルの形状は伝統的なTFZの「SERIES」や「KING」「KING PRO」「KING II/LTD」で採用されている形状を踏襲しています。そのため装着性についてもこれらの従来モデルと同様です。なお「KING III」「SERIES 7」や最新の「KING EDITION」では若干形状が異なる金属製ハウジングを採用していて、これらの製品とは「TFZ TxBEAR MONICA」のほうが横に若干広く、幅は少し浅くなっています。

ケーブルは「TFZ NO.3」以降の製品で採用されているOFC銀メッキ線ケーブルでコネクタもTFZタイプのカバー形状を採用した0.78mm 2pin仕様です。イヤーピースは付属する2系統のシリコンタイプのほか、よりフィット感を高めるために、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」などなど開口部が大きいタイプの製品を利用することをお勧めします。本体サイズが大きく耳に入りきらない感じの方は「AET06」や「RHA ダブルフランジイヤーピース」などのダブルフランジタイプを使用するのもお勧めです。


■ 往年のTFZを思い出すパワフルな低域と最新の明瞭で高解像度な中高域を両立させたサウンド

TFZ TxBEAR MONICA」の音質傾向は、「TFZ NO.3」同様の光沢感と鮮やかさのある中高域をしっかり感じさせつつ、さらに、より近く、そして低域は「往年のTFZ」を感じさせるような力強く硬質ながら分厚さを感じるチューニングで、よりドンシャリ方向にメリハリと派手さを増したサウンドです。
TFZ TxBEAR MONICA「往年のTFZ」という低域とは、ここでは初期の「SERIES 1/3/5」から「EXCLUSIVE KING」(初代「KING」)あたりの製品で感じられた印象ですが、実は最近のTFZは明瞭感などの高解像度化が進むいっぽうでサウンドバランスはフラット寄りとなり、多少腰高な印象のモデルが増えるなど、このような傾向からはやや外れてしまっていました。さらにモデルによってはそのチューニングのまま低域を厚くすることで標準ケーブルでは逆に籠もりがちになってしまう、というケースもありました。しかし、「TFZ TxBEAR MONICA」では比較的スッキリした明瞭な中高域を維持しつつ低域は非常にパワフルで、かつ分離も良く鳴る印象になっています。最近の製品の中ではもしかしたら「TFZさしさ」を最も感じるのが(もともとコラボモデルだった)この製品かもしれませんね。

TFZ TxBEAR MONICA」の高域は、明瞭かつ発色の良さを感じるサウンド。とても伸びやかで聴きやすい音を鳴らします。硬質で煌めきと光沢感のある音は同じ「M1U」ドライバーユニットを採用している「TFZ NO.3」の高域にも近い印象です。若干シャリ付きを感じる微細な粒状感があるものの、刺さるか刺さらないか程度の刺激にコントロールされています。スペック面で同様の「TFZ KING III」はよりフラット傾向で付属ケーブルではやや曇りを感じる事がありましたが、「TFZ TxBEAR MONICA」は籠もること無くスッキリとした明るい高域ですね。

TFZ TxBEAR MONICA中音域も非常にハッキリとした明るい音を鳴らします。「TFZ NO.3」が少し下がっていたのに対し、「TFZ TxBEAR MONICA」では一段前にでて近くで定位します。輪郭が明瞭でエッジの効いたサウンドは「M1U」ユニットによるダイヤモンドドライバーの特徴といえる部分でしょう。全体的にドライでシャープな印象の派手めの音です。
低域も非常に強いこともあり、「TFZ NO.3」より音場は狭く感じますが、分離は良く、こちらもきめの細かい粒状感のある鳴り方をします。女性ボーカルのハイトーンやピアノの高音なども綺麗に伸び、抜けも良好です。

低域は最近のTFZでは少し珍しくなってきている非常に力強く重量感のある音です。非常に濃い音ですが中高域との分離は良く、キレのある鳴り方をします。再生環境にもよりますが、ミッドベースは付属ケーブルではやや膨らみ、前に出る傾向があります。重低音の沈み込みは良好でしっかり沈む音を楽しめます。曲によってはやや低音が元気すぎる印象に感じる場合もありますが、「TFZ TxBEAR MONICA」も最近のTFZのモデル同様に、リケーブルなどにより印象はかなり変化するようです。

TFZ TxBEAR MONICA相性が良いのはロック、ポップス、アニソンなど。いっぽうで全体的に派手めのサウンドなどで静かなバラードなどではちょっと明るすぎる印象に感じるかもしれませんね。
TFZ TxBEAR MONICA」は付属ケーブルでも「KING III」のような籠もりを感じる事は無くハッキリとしたサウンドで鳴ってくれますが(「KING III」のレビューで記載の通り、あちらはリケーブルが必須で付属ケーブルではちょっと残念な音になる)、やや低域が強く出過ぎる印象もあり、解像感についても本気を出せていない印象があります。最近は主要なセラーより「ミドルグレードの16芯タイプ」を中心に「TFZ仕様のコネクタ」のケーブルが販売されており、これらとのリケーブルにより「劇的に印象を向上」させることができます。

お勧めなのは「NICEHCK C16-1」および「Yinyoo YYX4865」といったミドルグレードの16芯タイプケーブルで、「TFZ TxBEAR MONICA」のバランスを維持させつつ、より全体の解像感が向上し、中高域の音場も広がります。また「NICEHCK C16-3」および「Yinyoo YYX4861」高純度銅線ケーブルでは全体的なより中高域と低域の分離感が向上し、メリハリのあるサウンドと立体的な音場感を楽しむことができます。付属ケーブルでのサウンドを楽しんだら是非ともリケーブルにも挑戦いただくことをお勧めします。
TFZ TxBEAR MONICATFZ TxBEAR MONICA

というわけで、「TFZ TxBEAR MONICA」はTFZ的にも、中華イヤホンとしても、ある意味とても分かりやすく楽しいサウンドに仕上がっているイヤホンでした。印象としては「ikko OH10」のようなより高価格帯のハイブリッド製品の印象にも近く、多くの人に好感されるサウンドでは無いかと思います。国内版が登場すると試聴機会も増えるためより多くの評価を得られそうですが、個人的にも最近のフラット傾向のTFZをちょっと敬遠されていた方もお勧めできる、完成度の高いイヤホンだと思いますよ(^^)。

また「TFZ」ブランドの各製品についてはほぼ毎回購入してレビューしています。既存モデルとの比較という意味でもよろしければ併せて参照ください。
過去記事(一覧): TFZ製イヤホンのレビュー