TRI i3

こんにちは。今回はEasy系の新ブランド「TRI Audio」の限定モデル「TRI i3」の紹介です。10mmサイズの平面磁界駆動型ドライバー(Isomagnetic Driver)に8mmダイナミックドライバーとバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを組み合わせたトリプルドライバー・ハイブリッドイヤホンです。
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TRI i3」で搭載される「平面磁界駆動型ドライバー」、ここでは「Isomagnetic Driver」は、「平面駆動ドライバー(Planar Magnetic Driver)」のなかでも、直訳で「等磁力ドライバー」として区別される場合もあります。その名の通り、平面振動板を稼働させるボイスコイルが2重になっている点が通常の平面駆動ドライバーとの違いのようです。平面駆動ドライバー搭載の製品は私のブログでもいくつか紹介していますが、「Isomagnetic Driver」については、既に販売されている具体的な製品は非常に少なく、知る限り50万円級の高級ヘッドフォン「Meze Audio Empyrean」くらいかな、と思います。ちなみに「Isomagnetic」は「Empyrean」のドライバーを製造しているRinaro社の登録商標みたいです・・・汗。そのため、もちろんイヤホンとヘッドフォンという差もありますし、「TRI i3」で採用されている「平面磁界駆動型ドライバー」は、Rinaro社の「ISOMAGNETIC」とは全く別物だけど、他の平面ドライバーとはちょっと違うよ、くらいに思っておいた方が良いかもしれませんね。もっとも、AliExpressでは普通に「Planar Magnetic Driver」という表記になっていたりしますが(^^;)。
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TRI i3」は10mmサイズの平面磁界駆動型ドライバーと並列で8mmサイズの複合ダイナミックドライバーを配置し、さらにステム部分にバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーをシングルで搭載しています。この非常に珍しいトリプルドライバーのハイブリッドをアルミニウム合金製のハウジングに収納し、ハウジング自体も光沢のあるクロームメッキで高級感のある仕上がりとなっています。また、非常にレアなドライバーを使用していることもあり、「TRI i3」は150本の限定生産モデルとなっています。
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TRI i3」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。表示価格はAliExpressが 168.62ドル、アマゾンが 19,900円 です。「TRI i3」は150本の限定生産らしいため、現在販売している在庫がなくなると販売終了となる可能性もあります。AliExpressでの購入方法およびフォロワー値引きについてはこちらを参照ください。

AliExpress(Easy Earphones): TRI i3 ※BlackFriday価格: 159.13ドル(11/29日17時まで)
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): TRI i3 ※BlackFriday価格: 15,920円(11/24日まで)
※WTSUN Audioではさらに3,000円 OFFのクーポンを配布中です。


■ 想像以上に大きなハウジング。開封時は磨きクロスで鏡面仕上げを際立たせよう。

TRI i3」のパッケージは、最近のEasy系(「TRI」や「KB EAR」「KINBOOFI」など)のハイグレードモデルで共通のボックスサイズでTRI Audioのロゴの入ったグレーの箱に入っています。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(白色、グレーのS/M/Lサイズ、ウレタン1ペア)、布製ポーチ、説明書、といった構成です。
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イヤホン本体は特に刻印等のないクローム加工された鏡面仕上げです。ただ保護フィルムなどは貼られていなかったため、開封時に細かな傷が表面にある場合があります。そのときは磨き用のクロス(たとえばエレコム「クリーニングクロス」やタミヤ「コンパウンド用クロス」など)で丁寧に拭いてあげると美しい光沢が復活します。
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本体の形状は、ハウジング部分に比較的大口径のドライバーが並列で搭載されていることもあり、シェルサイズはかなり大振りな印象。クロームメッキ仕上げもあり重量感のあるデザインにみえます。しかし実際はアルミ合金製のハウジングはとても軽量でイヤホン全体でも思ったほどの重さは感じません。また耳からは大きくはみ出るものの、思ったよりしっかり装着できる形状となっていて、装着感も比較的良好です。
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とはいえ、1BA+1DD構成の「TRI i4」と比べると親子かと思うほどの大きさの違いがあり、やはりなかなか迫力のあるサイズ感ですね。付属ケーブルは撚り線タイプの銅線ケーブルで、MMCXコネクタ部分やケーブル分岐部分も本体同様クロームメッキ仕上げとなっています。またイヤーピースについては、必要に応じてよりフィット感の高いものへの交換もお勧めです。具体的には定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」などがお勧めです。


■ フラット系ハッキリサウンドながら音場の広さと厚みのある中低域が印象的。

TRI i3」の音質傾向はフラット傾向でやや中低域寄りのサウンド。多少派手めな中高域に対して非常に厚みのある中低域広さを感じる音場が特徴的です。1音1音の描写など表現力は高く、各音域で音像をくっきりと描写していくタイプのサウンドです。多少人工的な中華ハイブリッドらしい要素ももちつつ、大口径の平面磁界駆動型ドライバーによる濃いサウンドを活かしつつ非常にバランス良くまとめられていると思います。
TRI i3最近増えている、ちょっとレアなドライバーを採用しているハイブリッドイヤホン、という製品の場合、つい「やたら個性が前面に出たサウンド」を想像しがちですが、「TRI i3」は相当に手堅く、逆を言えば「思ったより普通に良い音」なイヤホンに仕上がっています。とはいえ、中低域の分厚い表現力は他の中華ハイブリッドとは一線を画すものでじっくり聴くとその個性を堪能できる仕上がりになっています。
インピーダンスは15Ωと低いですが、感度が103dBと少し鳴りにくい仕様もあり、ハイゲインである程度駆動力のあるDAPやアンプでしっかり鳴らした方が「TRI i3」の実力を実感できると思います。

TRI i3」の高域は、比較的明るく明瞭な音ですが、中低域の厚みもあり相対的に主張はやや抑えめに感じます。中華ハイブリッドらしい硬質さもありますが、刺さり等の刺激はありません。シンバルなども綺麗に鳴っており籠もることはありません。伸びの良さも感じますが音量をあげるとやや派手さが出てくる場合もあります。

中音域はフラットな印象ですが、低域の厚みにより曲によっては僅かに凹みます。主張は強めで輪郭の明瞭さを感じ、音の密度感が際立つ厚みのあるサウンドです。音場は包み込むような「広がる音」ではなく、もともと広さのある空間で鳴らしているような印象。厚みのある印象のため音の密度は高く、キレの良さはあまり感じませんが、中高域もやや控えめながら籠もることなく綺麗に伸びます。
TRI i3TRI i3」では、おそらくこの中音域が平面磁界駆動型ドライバーの特徴が最も出ている音域だと思われます。ボーカル帯域は自然な距離感があり、さらに演奏は奥行きを感じる定位をします。非常に濃い音なのですが味付けは無く、ボーカルはややドライな鳴り方をします。余韻などのボーカルの質感は「TRI i4」のほうが艶があって心地良く感じるかもしれませんね。いっぽうで演奏の表現力は非常に高く、分析的なリスニングにも適したモニター的な音ともいえます。どちらかというとEDMや最近のポップス、アニソンなど打ち込み系の曲との相性が良いハッキリめのサウンドですが、広い音場と表現力でクラシック等のオーケストラ演奏も意外といける印象です。

低音域は量感のある鳴り方をします。解像度は一般的で特に高いという印象はないですが、つながりは良く力強さのある音です。中低域は存在感があり膨らむこと無くなります。重低音も心地良く、深く重量感のある沈み込みがあります。平面駆動ドライバー、または搭載ハイブリッドのイヤホンの場合、どうしても中高域メインの腰高なサウンドになるか、派手めのドンシャリ傾向になることが多いですが、「TRI i3」では全体的なフラットさを維持できる範囲でまとめられており、非常に聴きやすく、違和感を感じないサウンドにまとめられている点は好感が持てます。

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このように「TRI i3」は非常にバランスの良い音作りが行われていますが、全体的に駆動力が必要なイヤホンですし、特に中高域をもっとスッキリさせたい場合はリケーブルは有効な手段です。Yinyoo「YYX4865」などミドルグレード16芯タイプの銀メッキ線ケーブルの場合、全体的な解像感がアップし、中高域のキレが向上するのを実感できます。またOHFC線ケーブルのYinyoo「YYX4759」の場合、全体的に見通しの良さが向上し、より透明感のある立体的な音場を楽しむことができると思います。


TRI i3というわけで、「TRI i3」は平面磁界駆動型ドライバーを搭載した150本限定生産の「レアなハイブリッドイヤホン」という製品でしたが、想像御以上にサウンドは「まっとう」で、完成度の高いイヤホンでした。似たようなサウンドの製品は他にもありそうな気もするのですが、この中低域の表現力やバランスは案外探しても見つからないという印象で、奇抜さこそ無いのの持ってると結構使い勝手の良い製品だと思います。少なくともこの手の製品に多い「好みから外れれば地雷」(^^;)的な心配はない手堅いサウンドのイヤホンでもありますので、もし興味があれば、限定数の残っているうちに挑戦されるのもお勧めだと思いますよ。