こんにちは。今回は台湾のイヤホンブランド「DUNU-TOPSOUND」の「DUNU DM380」です。同社公式アカウント(@DUNU_Headphone)からのサンプル提供での紹介となります。
「DUNU DM380」はDNNUでは最新のエントリーモデルに位置づけられる製品で、税込み6千円台と、同社製品のなかではかなり購入しやすい価格設定になっています。有名ブランド製品としてはかなり珍しい、高域2+中低域1のトリプルダイナミック(3DD)構成のイヤホンで、購入しやすい価格帯ながら手軽にDNNUチューニングのサウンドを楽しめる製品に仕上がっています。
「DUNU DM380」はDNNU-TOPSOUNDによって自社開発された、3基のチタニウムコート振動板ダイナミックドライバーを搭載するトリプルドライバー(3DD)イヤホンです。構成的には、2基の5mmサイズのツィーターと、1基の6mmサイズのフルレンジドライバーは中音域と低域をカバーします。これらの3つのダイナミックドライバーが並列に搭載され、最適にチューニングされた仕様となっています。
余談ですが、私のブログでは「DUNU DM380」と非常によく似たデザインおよび仕様のイヤホン(セラーブランドの中華イヤホン)を過去に紹介していますが、「DUNU DM380」はこれらの製品と同じ中国の工場で製造されているものの、使用するトリプルダイナミックドライバーは上記の通りDNNU-TOPSOUNDの自社開発のものになっており、DNNU-TOPSOUNDのエンジニアによるサウンドチューニングが施されることで全く別次元の製品に仕上がっているとのことです。
現在国内の主要ショップなどで取り扱っており、国内正規品の価格は 約5,980円(税別)となっています。海外版の価格も49.9ドルですので為替を考慮すると同程度の設定ですね。DNNUブランドのイヤホンとしてはかなり購入しやすい価格設定となっています。
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■ トリプルドライバー搭載ながら非常にコンパクトなハウジング。リケーブルは不可。
「DUNU DM380」のパッケージは低価格製品ながら上位モデルと遜色なくしっかりしたボックスで届きました。パッケージ内容は、イヤホン本体、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、レザーケース、説明書となっています。
「DUNU DM380」の本体は樹脂製ハウジングで、ケーブル接続部で金属製部品が使用されています。ケーブルはOFC銀メッキ線タイプでマイクコントロール付きとなっています。以前販売されていた同様のデザインの中華イヤホンはMMCX仕様でしたが「DUNU DM380」はリケーブルには未対応で交換はできない点はちょっとだけ残念ですね。
イヤホン本体は樹脂製のハウジングでゴールドとブラックのカラーリングが価格以上にハイグレードな印象を感じます。またクリアブラックのハウジングから3基のドライバーが少しだけ透けて見えます。厚みのあるデザインに見えますが、実際はハウジング自体が非常にコンパクトなため相対的に分厚く見える感じですね。コンパクトなハウジングもあり装着性は比較的良好です。ただし、イヤーピースは付属品より、できれば定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」などに交換してフィット感を向上させることをお勧めします。
■ 明瞭感のある中高域メインのサウンド。3DD構成を活かしたチューニングで音場感を演出。
「DUNU DM380」の音質傾向はフラット寄りで中高域メインのDNNUらしさも感じるサウンド。明るく鮮やかな印象です。3DD構成と言うことで低域メインのイヤホンを想像しがちですが、実際は、高域2+中低域1のドライバー構成そのままに中高域の主張が強めで低域は控えめ。また、「DUNU DM380」で採用されているチタンコート振動板ドライバーの影響もあり、立ち上がりの早いスピード感ある音を鳴らします。3ドライバーを並列にならし意図的にクロスオーバーを作り出す構造もあり、ツインツィーターによる煌めきのあるスッキリめの高域とともに、奥行きのある音場表現で中音域のグルーヴ感を感じるサウンドになっています。
ちなみに、以前レビューした同系統デザインの3DDモデル(いずれも既に販売終了)では、「KBF F60」が低音イヤホン的サウンド、グラフェンドライバーを採用した「NEX N3」がやや硬質のドンシャリ傾向と、「DUNU DM380」のサウンドとは大きく異なっており、全く別物の製品と考えるべきでしょうね。
ちなみに、以前レビューした同系統デザインの3DDモデル(いずれも既に販売終了)では、「KBF F60」が低音イヤホン的サウンド、グラフェンドライバーを採用した「NEX N3」がやや硬質のドンシャリ傾向と、「DUNU DM380」のサウンドとは大きく異なっており、全く別物の製品と考えるべきでしょうね。
「DUNU DM380」の高域は、ある程度コントロールされた印象ながら、高域はツインツィーターによる明瞭で解像度の高い音を鳴らします。ただし、付属のイヤーピースの場合、やや濁りや歪みを感じる場合が有り、本来のサウンドを楽しむためには、できる限り耳にあったフィット感の高いイヤーピースに交換することを強く推奨します。
イヤーピースを交換し、しっかりフィットした状態の「DUNU DM380」の高域は、比較的伸びは良く分離性の高い音を鳴らします。寒色系の音で適度な煌めきを感じますが、刺激などは抑えられており高域成分の多い曲でも刺さりを感じる事はありません。ただ、最近の中華ハイブリッドのような派手めで硬質なサウンドとは大きく異なり、これらの製品ほどの解像感は得られないものの、適度に柔らかく、籠もらない程度の分離感と表現力を持っている印象です。
中音域は曲によって僅かに凹みますが、癖のない自然な印象の音を鳴らします。ボーカル帯域は少し下がって定位しますがしっかりした主張があります。トリプルドライバー構成らしさというか、クロスオーバーしている部分のつながりに多少人工的で、別のドライバーが鳴ってると感じる部分もあります。しかし、逆にボーカルと演奏に奥行きのある定位を感じさせる表現になっていて、リスニングイヤホンとしては結構面白いと思います。マルチBAのような解像感や、シングルダイナミックのようなフォーカスの高さはないものの、十分に明瞭でエッジの効いたサウンドが楽しめます。ハイトーンなどの中高域で少し撥ねた感じの煌めきがあり、多少抜けきらないと感じる部分もさほど意識させないチューニングになっています。この辺の演出はDUNUの音作りの成せるところかもしれませんね。
低域は印象としては相対的に控えめな印象に感じるものの、量的には十分で中低域がやや膨らむことで十分な存在感があります。重低音はある程度割り切った印象で、小口径ドライバーのイヤホンとしてどこに重きを置くか、ということを意識して音作りをしている感じがします。そのため、全体のバランスとして低域が少ないという印象はあまりなく、ボーカル帯域を中心に聴きやすいバランスでまとめられたイヤホンという印象になっていますね。
「DUNU DM380」が相性が良いのはロック、ポップスのほか、低域が少ないもののEDMなども結構楽しく聴くことができます。多少人工的な音作りを感じる部分もありますので、分析的に聴くのには向きませんが、気軽に楽しめるリスニングイヤホンとして、DUNUのサウンドを堪能するのには最適な製品だと思います。
というわけで、「DUNU DM380」は「気軽に楽しむリスニングイヤホン」というスタンスの製品ではあるものの、トリプルダイナミックドライバー構成により低コストながら完成度の高いサウンドを実現した製品でした。レザーケースの品質も良く、ゴールドを基調とした本体デザインと併せて普段使いでちょっと目をひく高級感も良いですね。また「DUNU DM380」はスマートフォン用のマイクコントロール付きケーブルのイヤホンですが、インピーダンス16Ω±15%、感度110±5dB/mWとスマートフォンでも鳴らしやすい仕様となっている点もより多くのユーザーを意識した点でしょう。同価格帯の中華イヤホンのようなスペック推しの製品ではありませんが、これらの製品とは少し異なる、DUNUのサウンドに触れてみるのも良いと思いますよ(^^)。