こんにちは。今回は久しぶりの「個人的な好みイヤホン」のランキング企画です。昨年10月に「低価格中華イヤホン」縛りのランキングを掲載しましたが、こちらが思いのほか好評で、現在でもコンスタントにアクセスを頂いています。掲載時点ではあまり意識していなかったのですが、「個人的な好み」であると同時に「個人的にお勧め」な低価格中華イヤホンの「まとめ」にもなっていて、個人的に振り返る際にも結構便利だな、と思ったりしました(^^;)。
→ 【低価格中華イヤホン】 「個人的な好みランキング」 トップ10 (オマケつき)※ 2019年10月編
というわけで、今回は少し価格帯をアップして、100ドル以上のミドルグレードの中華イヤホンの「好み」ランキングを紹介したいと思います。
具体的には、2020年3月末までに本ブログにて掲載したレビューのうち、「販売価格100ドル前後~200ドル未満の中華イヤホン」を対象にしています。日本で購入する場合、メーカーや中華セラーによる越境ECでの購入のケースと日本での正規販売代理店経由の場合があるため、あえて日本円ではなく海外版のドル建ての価格で比較しておりますのでご了承ください。
※ランキング対象となるレビューはこちらのリンクの中で、2020年3月末までの掲載分で、また本記事掲載時点で購入可能なものを対象としています。
→ 過去記事(一覧):中華イヤホン(アラウンド100ドル~200ドル未満)のレビュー
なお、毎回記載していますが、「個人的な好みランキング」は普段のレビュー(「レビュー方針」の通りさまざまな利用シーンを想定して書いています)とは異なり、あくまで「私個人の好み」のみでのランキングですので、通常のレビュー評価とは必ずしも一致しません。また私自身が「個人的にどれくらい好みか」というのを、
「総合評価」 (※「コストパフォーマンス」はランキング掲載時点での評価)
・「音質」 「デザイン(およびビルドクオリティ)」 「装着性」 「コストパフォーマンス」
「好み加点」
・「見た目の好み」 「傾向の好み」 「利用頻度」
といった視点で極めて主観的に割り振った「好み評点」をつけています。また「好み評点」は前回より「総合評価」と「加点」に分けて掲載しています。「総合評価」の「コストパフォーマンス」および、「好み加点」の各項目は相対的に「かなり頻繁に」変動するため、同じイヤホンでもランキングの掲載時期に応じて「好み評点」が上下する場合があります(笑)。
このような理由のため過去のレビューで評価が高くても入れていないイヤホンも多くありますし、ランキングが毎回変動することもあります。異論も多数あると思いますが「あくまで私の好み」ですのでご了承ください。また、個々の詳細のレビューについては各「レビュー」リンクを参照くださいね(^^)。
■ ミドルグレード中華イヤホン好みランキング TOP 10 (100ドル前後~200ドル未満)
【 ミドルグレード(100ドルクラス~)中華イヤホン 】
「TRI」はKBEARなどと同様にEasy Earphonesなどが販売するセラー系ブランドですが、KBEARよりラインナップを絞ってじっくり販売する印象ですね。「TRI-i3」は10mmサイズの平面磁界駆動型ドライバー(英語表記で「Isomagnetic Driver」)という通常の平面ダイナミックドライバーとは仕様の異なる特殊なドライバーを搭載し、さらに8mmのダイナミックドライバーを並列に、ステム部分にBAドライバーを配置するハイブリッド構成になっています。
10mmと8mmのドライバーを並列に搭載しているため鏡面処理された金属ハウジングは非常に巨大で見た目にもインパクトのあるイヤホンです。ところが音質的にはキワモノ感は無く、中華ハイブリッドらしさを感じる傾向にまとめつつも、平面磁界駆動型ドライバーが僅かにウォームで厚みのある音場感を生み出しており、個性的なドライバー構成や異彩を放つシェル形状からは想像も付かない非常にまとまりが良く心地良いサウンドを実感できます。完成度の高いイヤホンでリスニングイヤホンとしてメインに据えられる実力を持った製品です。
確か限定生産だったはずですが在庫がまだあるようですし、アマゾンでは金額の大きいクーポンも出てますので興味のある方はお早めに、ですね(^^)。
「BQEYZ Spring 1」はピエゾドライバーの搭載などドライバー構成が個性的なハイブリッドイヤホン。BQEYZはまだまだ知名度の低いメーカーで製品の種類も少なめですが、マニアの間では評価の高い印象です。
ピエゾセラミックによる高域はまっすぐ鮮明に伸びていく印象で、全体的にも自然な印象にまとまっておりリスニングイヤホンとしての高い完成度に仕上がっています。同様にピエゾドライバーを加えたハイブリッドの「NICEHCK NX7 PRO」が分りやすく派手めのサウンドなのとは対照的ですね。
ランキングを多少下げているのは付属ケーブルがイマイチな点と、音質傾向的にも見た目的にも「キャラが弱い」点。このイヤホンを選択したい、という「推し」の部分が弱いのは惜しいですね。最近新しいカラーバリエーションも増えたようですし、まだまだ「伸びしろ」はあるかもしれません。
「低価格編」では170ポイントだった「NX7」がフィルターが付いて、ケーブルが変わって、パーツ交換ができるようになった「だけ」の「NICEHCK NX7 PRO」が45ポイントアップとまさかの大躍進。この強豪ひしめくミドルグレードでもトップ10にランクインさせてしまいました(^^;)。
まあ見るからに「変態スペック」のイヤホンですし、もともとポテンシャルはものすごく高かったものの、無印「NX7」ではいろいろと「残念」だった部分が解消されたことで本来の評価ができた、という感じです。音質面ではスペックに見合う情報量を提供できてなかったケーブルが改善され、フィルターによって微調整できるようになったことでマルチドライバーらしさを活かしつつ、サウンドバランスが劇的に改善されました。またKZの安いモデルのようにみえたシェルもカラーリングを変えるだけで大きく印象が変わりましたね。買うなら「PRO」です。絶対にこちらがお勧めです。
「KXXS」のシェルデザインを踏襲しつつ星空をイメージした濃いブルーのメタリック塗装とケーブルが見た目にも印象的。ドライバーにはカーボンナノチューブ(CNT)振動板を採用しコストダウンと同時に一般受けしやすいドンシャリ寄りのサウンドチューニングにしてます。確かに「KXXS」等と比べると「水月雨らしさ」は薄まっているものの、中音域の艶のあるサウンドは非常に心地良く、ボーカル曲向けに特化したイヤホンとしてはとても使いやすく良いイヤホンだと思います。
■ ミドルグレード中華イヤホン好みランキング 11位~20位 (100ドル前後~200ドル未満)
11位~20位のラインナップは新旧バラエティに富んだものになりました。定番モデルでは12位の「SIMGOT EN700 PRO」、15位の「TFZ KING LTD」など。ちなみにTFZの「KING PRO」は個人的にはいまでもランキング上位で10位圏内に入れても、という感じですが、国内では販売を終了しているため(現在も「Penon Audio」などでは購入可能)今回はランク外としました。
11位のTINHIFIの平面稼働ドライバー搭載モデル「TINHIFI P1」は平面稼働イヤホンとしては比較的安価で完成度も高く、個人的には結構好きなイヤホンですが利用頻度でこのポジション。13位の先日レビューを掲載した「AUDIOSENSE DT200」も2BAながら巨大なコンデンサーにより厚みのあるサウンドを実現しており、非常に興味深い製品です。この辺は音質的にはトップ10とも全く遜色なく、幅広くお勧めできるイヤホンだと思います。
中華セラー系、ファクトリー系では、6BA+1DDのマルチドライバーをバランス良く配置し、スッキリとした明瞭感のあるサウンドの「KBEAR Hi7」(14位)や4BA+2DD構成で中低域が魅力の「Yinyoo D2B4」(18位)が手堅い印象の仕上がり。どちらも100ドル程度の価格設定で、人気ハイブリッド「BGVP DMG」(4BA+2DD/現在は販売終了)と同じファクトリーで作られた(たぶん)、非常にコストパフォーマンスの高いイヤホン。それぞれのキャラクターに合わせてブラッシュアップしたサウンドチューニングが魅力的です。実際ネット上での評価も想像以上に高く、多くのユーザーが愛用しているのが伺えますね。いっぽうでこれらの製品を作っているファクトリーでは、キワモノ臭がたまらない「Shuoer TAPE」(同率18位)も作られている模様で、その振り幅の大きさに驚かされます。「Shuoer TAPE」は「静電型(コンデンサー型)」のマイクロツィーターを搭載したハイブリッドイヤホンで、カセットテープ型のデザインに加えてドライバー構成のレアさで注目されました。結構特徴のある派手めのサウンドで、ハマるとやみつきになりそうですが結構曲を選ぶため、最初のイヤホンには絶対ならない(笑)印象です。とはいえ、マニアなら気になるアイテムかなと思います。
ちなみに、100~150ドル台の充実っぷりに比べると、150ドルオーバーは一部の強力な製品以外はなかなか値付けが難しいラインなのかもしれません。逆に200ドルを超えると「qdc Uranus」などまた魅力的な製品が出てきます。200ドルオーバーといえば、私のブログではレビューをしていないのですが中華DAPメーカー系(具体的には「FiiO」「Shanling」「iBasso」「Hidiz」)のイヤホンも結構興味深いですね。これらの製品も折を見て挑戦してみようかなと思案中です。
というわけで、次の「好みランキング」は前回のランキングからもうすぐ1年になる「総合ランキング」となりそうです。こちらも手持ちイヤホンの「棚からレビュー」企画なども織り交ぜながら、順次ネタを仕込んでいこうかと思います(^^;)。
というわけで、今回は少し価格帯をアップして、100ドル以上のミドルグレードの中華イヤホンの「好み」ランキングを紹介したいと思います。
具体的には、2020年3月末までに本ブログにて掲載したレビューのうち、「販売価格100ドル前後~200ドル未満の中華イヤホン」を対象にしています。日本で購入する場合、メーカーや中華セラーによる越境ECでの購入のケースと日本での正規販売代理店経由の場合があるため、あえて日本円ではなく海外版のドル建ての価格で比較しておりますのでご了承ください。
※ランキング対象となるレビューはこちらのリンクの中で、2020年3月末までの掲載分で、また本記事掲載時点で購入可能なものを対象としています。
→ 過去記事(一覧):中華イヤホン(アラウンド100ドル~200ドル未満)のレビュー
なお、毎回記載していますが、「個人的な好みランキング」は普段のレビュー(「レビュー方針」の通りさまざまな利用シーンを想定して書いています)とは異なり、あくまで「私個人の好み」のみでのランキングですので、通常のレビュー評価とは必ずしも一致しません。また私自身が「個人的にどれくらい好みか」というのを、
「総合評価」 (※「コストパフォーマンス」はランキング掲載時点での評価)
・「音質」 「デザイン(およびビルドクオリティ)」 「装着性」 「コストパフォーマンス」
「好み加点」
・「見た目の好み」 「傾向の好み」 「利用頻度」
といった視点で極めて主観的に割り振った「好み評点」をつけています。また「好み評点」は前回より「総合評価」と「加点」に分けて掲載しています。「総合評価」の「コストパフォーマンス」および、「好み加点」の各項目は相対的に「かなり頻繁に」変動するため、同じイヤホンでもランキングの掲載時期に応じて「好み評点」が上下する場合があります(笑)。
このような理由のため過去のレビューで評価が高くても入れていないイヤホンも多くありますし、ランキングが毎回変動することもあります。異論も多数あると思いますが「あくまで私の好み」ですのでご了承ください。また、個々の詳細のレビューについては各「レビュー」リンクを参照くださいね(^^)。
■ ミドルグレード中華イヤホン好みランキング TOP 10 (100ドル前後~200ドル未満)
① | Moondrop KXXS | 255P / レビュー |
---|---|---|
② | TFZ KING EDITION | 253P / レビュー |
③ | IKKO OH10 | 250P / レビュー |
④ | TINHIFI T4 | 245P / レビュー |
⑤ | TFZ NO.3 | 242P / レビュー |
⑥ | TRI i3 | 240P / レビュー |
⑦ | BQEYZ Spring 1 | 230P / レビュー |
⑧ | KINBOOFI KBF MX4 | 225P / レビュー |
⑨ | NICEHCK NX7 PRO | 220P / レビュー |
⑩ | Moondrop Starfield | 215P / レビュー |
⑩ | TFZ TxBEAR MONICA | 215P / レビュー |
【 ミドルグレード(100ドルクラス~)中華イヤホン 】
おそらく、現在この価格帯の中華イヤホンはもっとも「面白い」カテゴリーではないかとおもっています。100ドル以下(たとえば99ドルなど)というのは間違いなくひとつの価格ラインですが、そこを超えて少し余裕が出てきたところで非常に個性的な製品が登場してきます。
この価格帯の製品となると、最近の傾向としてはKZなど低価格ハイブリッドの上位互換的な「いかにも中華」なサウンドは少数派で、よりピュアオーディオ寄りのニュートラルなサウンドをベースに、独自のドライバー構成やチューニングにより個性を出していく方向性が際立っています。いっぽうでセラー系やファクトリー系ではさらに特殊なドライバー構成による「キワモノ系」な製品も時折登場したりして結構楽しめる価格帯でもありますね。
ちなみにインナーイヤーの「CHACONNE」や「Liebesleid」は価格も上がりますがより水月雨の醍醐味を堪能できます。個人的にはカナル型を使いたい場面が多いため、実際の購入には至っていませんが(^^;)。また「Moondrop KXXS」の付属ケーブルも質の良いものですがリケーブルによりさらに鮮やかさを増したサウンドを楽しめます。同価格帯の他の中華イヤホンとは一線を画したサウンドという点では、是非とも押さえておきたい、間違いなくお勧めのイヤホンだと思います。
この価格帯の製品となると、最近の傾向としてはKZなど低価格ハイブリッドの上位互換的な「いかにも中華」なサウンドは少数派で、よりピュアオーディオ寄りのニュートラルなサウンドをベースに、独自のドライバー構成やチューニングにより個性を出していく方向性が際立っています。いっぽうでセラー系やファクトリー系ではさらに特殊なドライバー構成による「キワモノ系」な製品も時折登場したりして結構楽しめる価格帯でもありますね。
① Moondrop KXXS [ レビュー ] (189ドル前後~ / 20,350円~) 1DD
好み評点: 255 (総合評価 220 + 好み加点 35 )
実は利用頻度では次の「TFZ KING EDITION」のほうが多いのですが、やはり水月雨ならではの柔らかく透明感のあるサウンドは代えがたい、というわけで1位です。この製品の登場でDLC(ダイヤモンドライクカーボン)振動版のダイナミックドライバーを搭載した製品が次々と登場していますが、「Moondrop KXXS」の完成度にはなかなか及ばない印象です。ちなみにインナーイヤーの「CHACONNE」や「Liebesleid」は価格も上がりますがより水月雨の醍醐味を堪能できます。個人的にはカナル型を使いたい場面が多いため、実際の購入には至っていませんが(^^;)。また「Moondrop KXXS」の付属ケーブルも質の良いものですがリケーブルによりさらに鮮やかさを増したサウンドを楽しめます。同価格帯の他の中華イヤホンとは一線を画したサウンドという点では、是非とも押さえておきたい、間違いなくお勧めのイヤホンだと思います。
② TFZ KING EDITION [ レビュー ] (129ドル / 18,800円) 1DD
好み評点: 253 (総合評価 218 + 好み加点 35 )
なんだかんだ言って結局TFZが好き、ということでKINGラインの最新モデル「TFZ KING EDITION」の好み評点はどうしても高くなります。日本での価格では2万円近い設定なのですが、実は129ドル。2万円のイヤホンであればもう少し評価が厳しくなる可能性もありますが、129ドルのイヤホンだと考えればこの高ポイントも納得いただけるのでは。「TFZ KING EDITION」はTFZ王道の硬質な印象で「NO.3 Ti」の雰囲気のある音場感とは異なり、鮮やかで高い解像感とスピード感のあるサウンドは個人的には大満足です。なお、スイッチは「ON」(Professional Mode)、ケーブルは低価格純銀線の「TRN T3」にリケーブルしています。このイヤホンも付属ケーブルでは全然本気出せないので中高域がしっかり出るケーブルへのリケーブルを推奨です。名機「KING PRO」とは少しベクトルの異なるサウンドですが、初代「KING」からの直系を思わせるサウンドはやはり楽しいですね。
同社の「OH1」と基本的に同じドライバー構成の1BA+1DDハイブリッドですが、ハウジングの素材とチューニングが異なる、TFZでいえば「NO.3」に対する「NO.3 Ti」みたいな感じの製品でしょうか。もともとの「OH1」も優れた製品でしたがブラッシュアップされた「IKKO OH10 Obsidian」は明瞭な中高域と厚みのある低域のバランスが本当に絶妙。ハイブリッドという「いいとこ取り」の構成の「有るべき姿」を見たようなサウンドを楽しめるイヤホンです。迷ったらこれを買っておけばとりあえず大丈夫、みたいなオールラウンドでの使い勝手の良さと安心感のあるイヤホンだと思います。
実際、1位~3位の3種類はそれぞれに個性があって甲乙が付けがたく、私自身も聴く曲やその時の気分で使い分けています(結果的に評点も非常に細かく刻んでおります^^;)。
「TINHIFI T4」はカーボンナノチューブ振動板(CNT)ダイナミックドライバーをシングルで搭載した、「TINHIFI」のTシリーズの最新モデル。やはり地味な印象があるのか、マニア評価の高さのわりにすごく人気がある、という感じならないのはアレですが、イヤホンとしての完成度はとにかく高いです。
CNTドライバーらしいキレのある解像感としっかりとした主張のあるサウンドが魅力的。傾向としてはフラット寄りで非常にバランスが良く、あらゆるジャンルの曲をクリアに鳴らす印象。非常に表現力豊かなイヤホンなのですが、いっぽうでやたら個性的な中高域を持った既存2DDモデルの「T2」「T2 PRO」の印象が強い方が聴くとちょっとキャラが弱い(手堅い)サウンドに感じてしまう場合も。とはいえ、より「HiFi感」を楽しみたい、ピュアオーディオ的な高音質イヤホンを探している方にはこの価格帯では最強のイヤホンだと思います。
好み評点: 250 (総合評価 218 + 好み加点 32 )
「IKKO OH10 Obsidian」と「TFZ KING EDITION」は総合評価では同点、好み加点の差のみで3位です。つまり完全に個人的な好みと利用頻度だけの違いですね。また、一般的な評価では「IKKO OH10 Obsidian」のほうが「KING EDITION」より好印象を持つ方が多いのではないかと思います。同社の「OH1」と基本的に同じドライバー構成の1BA+1DDハイブリッドですが、ハウジングの素材とチューニングが異なる、TFZでいえば「NO.3」に対する「NO.3 Ti」みたいな感じの製品でしょうか。もともとの「OH1」も優れた製品でしたがブラッシュアップされた「IKKO OH10 Obsidian」は明瞭な中高域と厚みのある低域のバランスが本当に絶妙。ハイブリッドという「いいとこ取り」の構成の「有るべき姿」を見たようなサウンドを楽しめるイヤホンです。迷ったらこれを買っておけばとりあえず大丈夫、みたいなオールラウンドでの使い勝手の良さと安心感のあるイヤホンだと思います。
実際、1位~3位の3種類はそれぞれに個性があって甲乙が付けがたく、私自身も聴く曲やその時の気分で使い分けています(結果的に評点も非常に細かく刻んでおります^^;)。
④ TINHIFI T4 [ レビュー ] (99ドル~ / 11,800円) 1DD
好み評点: 245 (総合評価 215 + 好み加点 30 )
※現在アマゾンにて購入時 5%OFFクーポンあり「TINHIFI T4」はカーボンナノチューブ振動板(CNT)ダイナミックドライバーをシングルで搭載した、「TINHIFI」のTシリーズの最新モデル。やはり地味な印象があるのか、マニア評価の高さのわりにすごく人気がある、という感じならないのはアレですが、イヤホンとしての完成度はとにかく高いです。
CNTドライバーらしいキレのある解像感としっかりとした主張のあるサウンドが魅力的。傾向としてはフラット寄りで非常にバランスが良く、あらゆるジャンルの曲をクリアに鳴らす印象。非常に表現力豊かなイヤホンなのですが、いっぽうでやたら個性的な中高域を持った既存2DDモデルの「T2」「T2 PRO」の印象が強い方が聴くとちょっとキャラが弱い(手堅い)サウンドに感じてしまう場合も。とはいえ、より「HiFi感」を楽しみたい、ピュアオーディオ的な高音質イヤホンを探している方にはこの価格帯では最強のイヤホンだと思います。
好み評点: 242 (総合評価 205 + 好み加点 37 )
販売開始から少し経ち、最近ではカラーバリエーションも追加されたTFZの「第3世代ドライバー」搭載の最初のモデル「TFZ NO.3」が安定のポジションです。チタンシェルの「NO.3 Ti」は個人的な定番イヤホンのひとつですが、ベースとなった「TFZ NO.3」は手ごろな価格で「TFZらしさ」と「より幅広い使い勝手の良さ」を両立できる「メイン使いに最適」なイヤホンです。実は「総合評価」は次の「TRI-i3」のほうが高いのですが、気軽に使える使い勝手の良さとリケーブルで変化を楽しめるポテンシャルの高さで「好み加点」を多く付けてひとつ順位を上げました。
分離が良く各音域のしっかりとしたした主張でやや派手めに感じるものの、第3世代のダイヤモンドコーティングのダイナミックドライバーを搭載することで「TFZ T2G」より解像感に優れるいっぽうで、ドンシャリ具合は控えめでバランスとしてはニュートラルな印象。また鮮やかで抜けの良いスッキリした中高域により女性ボーカルの美しさも特徴的なイヤホンです。リケーブルにより明瞭感が大きく変化するのも印象的です。また従来のTFZ製イヤホンより耳の小さい方でも装着性が多少良くなっている点もポイントですね。
分離が良く各音域のしっかりとしたした主張でやや派手めに感じるものの、第3世代のダイヤモンドコーティングのダイナミックドライバーを搭載することで「TFZ T2G」より解像感に優れるいっぽうで、ドンシャリ具合は控えめでバランスとしてはニュートラルな印象。また鮮やかで抜けの良いスッキリした中高域により女性ボーカルの美しさも特徴的なイヤホンです。リケーブルにより明瞭感が大きく変化するのも印象的です。また従来のTFZ製イヤホンより耳の小さい方でも装着性が多少良くなっている点もポイントですね。
好み評点: 240 (総合評価 210 + 好み加点 30 )
※現在アマゾンにて5,000円OFFクーポンあり(14,980円で購入可能)「TRI」はKBEARなどと同様にEasy Earphonesなどが販売するセラー系ブランドですが、KBEARよりラインナップを絞ってじっくり販売する印象ですね。「TRI-i3」は10mmサイズの平面磁界駆動型ドライバー(英語表記で「Isomagnetic Driver」)という通常の平面ダイナミックドライバーとは仕様の異なる特殊なドライバーを搭載し、さらに8mmのダイナミックドライバーを並列に、ステム部分にBAドライバーを配置するハイブリッド構成になっています。
10mmと8mmのドライバーを並列に搭載しているため鏡面処理された金属ハウジングは非常に巨大で見た目にもインパクトのあるイヤホンです。ところが音質的にはキワモノ感は無く、中華ハイブリッドらしさを感じる傾向にまとめつつも、平面磁界駆動型ドライバーが僅かにウォームで厚みのある音場感を生み出しており、個性的なドライバー構成や異彩を放つシェル形状からは想像も付かない非常にまとまりが良く心地良いサウンドを実感できます。完成度の高いイヤホンでリスニングイヤホンとしてメインに据えられる実力を持った製品です。
確か限定生産だったはずですが在庫がまだあるようですし、アマゾンでは金額の大きいクーポンも出てますので興味のある方はお早めに、ですね(^^)。
⑦ BQEYZ Spring 1 [ レビュー ] (139ドル / 14,899円) 1BA+1D+1Ceramic
好み評点: 230 (総合評価 200 + 好み加点 30 )
※現在アマゾンにて1,000円OFFクーポンあり(13,899円で購入可能)「BQEYZ Spring 1」はピエゾドライバーの搭載などドライバー構成が個性的なハイブリッドイヤホン。BQEYZはまだまだ知名度の低いメーカーで製品の種類も少なめですが、マニアの間では評価の高い印象です。
ピエゾセラミックによる高域はまっすぐ鮮明に伸びていく印象で、全体的にも自然な印象にまとまっておりリスニングイヤホンとしての高い完成度に仕上がっています。同様にピエゾドライバーを加えたハイブリッドの「NICEHCK NX7 PRO」が分りやすく派手めのサウンドなのとは対照的ですね。
ランキングを多少下げているのは付属ケーブルがイマイチな点と、音質傾向的にも見た目的にも「キャラが弱い」点。このイヤホンを選択したい、という「推し」の部分が弱いのは惜しいですね。最近新しいカラーバリエーションも増えたようですし、まだまだ「伸びしろ」はあるかもしれません。
⑧ KINBOOFI KBF MX4 [ レビュー ] (189ドル / 19,000円) 3BA+1DD
好み評点: 225 (総合評価 190 + 好み加点 35 )
KINBOOFIのオリジナルモデルはすでに定番化した感もある4BAモデルの「KBF MK4」を中心に根強い人気がありますが、3BA+1DD構成の「KBF MX4」は現在購入可能なハイブリッドモデルのひとつ。
「KBF MX4」は「KBF MK4」に次ぐ完成度の高さと購入しやすい価格帯を実現し、見た目に息をのむほど美しいパープルのクリアシェルで、個人的にはまさに出色の出来映えの製品だと思います。「KBF MX4」のドライバー構成的にも高域および中音域のBAドライバーは「KBF MK4」と同じで、低域BAがダイナミックに置き変えることで、非常に明瞭感のあるスッキリとしたサウンドを継承しつつ低域が厚めのドンシャリ方向に変化し、リスニングイヤホンとして使いやすいバランスになっています。側面スイッチの調整も可能になっているのも魅力的。こちらも興味のある方は在庫切れになる前に掴んでおいた方が良いかもしれませんね。
⑨ NICEHCK NX7 PRO [ レビュー ] (99ドル~ / 11,399円) 4BA+2D+1Ceramic
好み評点: 220 (総合評価 185 + 好み加点 35 )
※現在アマゾンにて購入時 15%OFFクーポンあり「低価格編」では170ポイントだった「NX7」がフィルターが付いて、ケーブルが変わって、パーツ交換ができるようになった「だけ」の「NICEHCK NX7 PRO」が45ポイントアップとまさかの大躍進。この強豪ひしめくミドルグレードでもトップ10にランクインさせてしまいました(^^;)。
まあ見るからに「変態スペック」のイヤホンですし、もともとポテンシャルはものすごく高かったものの、無印「NX7」ではいろいろと「残念」だった部分が解消されたことで本来の評価ができた、という感じです。音質面ではスペックに見合う情報量を提供できてなかったケーブルが改善され、フィルターによって微調整できるようになったことでマルチドライバーらしさを活かしつつ、サウンドバランスが劇的に改善されました。またKZの安いモデルのようにみえたシェルもカラーリングを変えるだけで大きく印象が変わりましたね。買うなら「PRO」です。絶対にこちらがお勧めです。
好み評点: 215 (総合評価 185 + 好み加点 30 )
「Moondrop Starfield」と「TFZ TxBEAR MONICA」は同率10位となりました。「KXXS」に続き低価格モデルの「SpaceShip」が大ヒットした「水月雨」が「KXXS」より購入しやすく、さらび多くのユーザに向けてリリースしたアラウンド100ドルクラスの製品です。「KXXS」のシェルデザインを踏襲しつつ星空をイメージした濃いブルーのメタリック塗装とケーブルが見た目にも印象的。ドライバーにはカーボンナノチューブ(CNT)振動板を採用しコストダウンと同時に一般受けしやすいドンシャリ寄りのサウンドチューニングにしてます。確かに「KXXS」等と比べると「水月雨らしさ」は薄まっているものの、中音域の艶のあるサウンドは非常に心地良く、ボーカル曲向けに特化したイヤホンとしてはとても使いやすく良いイヤホンだと思います。
好み評点: 215 (総合評価 185 + 好み加点 30 )
同率10位の「TFZ TxBEAR MONICA」はTFZの第3世代のドライバーを搭載したモデルの中でも、往年の「SERIES5/3/1」を彷彿とさせるドンシャリ傾向で迫力のある低域を実現しつつ、最新のTFZの中高域の解像感や明瞭感を両立させたサウンド。元々は中国のショップ限定モデルだったこの製品がかつてのTFZの印象を残しているというのも興味深いですね。「NO.3」が女性ボーカルが美しいとすると、「TxBEAR MONICA」は男性ボーカルが気持ちよい。ロックやEDMとも相性が良いイヤホンです。また「TxBEAR」ラインの「クマさん」のフェイスパネルなのに何故かカッコイイという絶妙なデザインも楽しいですね。■ ミドルグレード中華イヤホン好みランキング 11位~20位 (100ドル前後~200ドル未満)
⑪ | TINHIFI P1 | 210P / レビュー |
---|---|---|
⑫ | SIMGOT EN700 PRO | 205P / レビュー |
⑬ | AUDIOSENSE DT200 | 200P / レビュー |
⑭ | KBEAR Hi7 | 195P / レビュー |
⑮ | TFZ KING LTD | 190P / レビュー |
⑯ | SIMGOT EM2 | 180P / レビュー |
⑰ | Yinyoo HX4 | 175P / レビュー |
⑱ | Shuoer TAPE | 170P / レビュー |
⑱ | Yinyoo D2B4 | 170P / レビュー |
⑳ | KZ AS16 | 165P / レビュー |
11位~20位のラインナップは新旧バラエティに富んだものになりました。定番モデルでは12位の「SIMGOT EN700 PRO」、15位の「TFZ KING LTD」など。ちなみにTFZの「KING PRO」は個人的にはいまでもランキング上位で10位圏内に入れても、という感じですが、国内では販売を終了しているため(現在も「Penon Audio」などでは購入可能)今回はランク外としました。
11位のTINHIFIの平面稼働ドライバー搭載モデル「TINHIFI P1」は平面稼働イヤホンとしては比較的安価で完成度も高く、個人的には結構好きなイヤホンですが利用頻度でこのポジション。13位の先日レビューを掲載した「AUDIOSENSE DT200」も2BAながら巨大なコンデンサーにより厚みのあるサウンドを実現しており、非常に興味深い製品です。この辺は音質的にはトップ10とも全く遜色なく、幅広くお勧めできるイヤホンだと思います。
中華セラー系、ファクトリー系では、6BA+1DDのマルチドライバーをバランス良く配置し、スッキリとした明瞭感のあるサウンドの「KBEAR Hi7」(14位)や4BA+2DD構成で中低域が魅力の「Yinyoo D2B4」(18位)が手堅い印象の仕上がり。どちらも100ドル程度の価格設定で、人気ハイブリッド「BGVP DMG」(4BA+2DD/現在は販売終了)と同じファクトリーで作られた(たぶん)、非常にコストパフォーマンスの高いイヤホン。それぞれのキャラクターに合わせてブラッシュアップしたサウンドチューニングが魅力的です。実際ネット上での評価も想像以上に高く、多くのユーザーが愛用しているのが伺えますね。いっぽうでこれらの製品を作っているファクトリーでは、キワモノ臭がたまらない「Shuoer TAPE」(同率18位)も作られている模様で、その振り幅の大きさに驚かされます。「Shuoer TAPE」は「静電型(コンデンサー型)」のマイクロツィーターを搭載したハイブリッドイヤホンで、カセットテープ型のデザインに加えてドライバー構成のレアさで注目されました。結構特徴のある派手めのサウンドで、ハマるとやみつきになりそうですが結構曲を選ぶため、最初のイヤホンには絶対ならない(笑)印象です。とはいえ、マニアなら気になるアイテムかなと思います。
ちなみに、100~150ドル台の充実っぷりに比べると、150ドルオーバーは一部の強力な製品以外はなかなか値付けが難しいラインなのかもしれません。逆に200ドルを超えると「qdc Uranus」などまた魅力的な製品が出てきます。200ドルオーバーといえば、私のブログではレビューをしていないのですが中華DAPメーカー系(具体的には「FiiO」「Shanling」「iBasso」「Hidiz」)のイヤホンも結構興味深いですね。これらの製品も折を見て挑戦してみようかなと思案中です。
というわけで、次の「好みランキング」は前回のランキングからもうすぐ1年になる「総合ランキング」となりそうです。こちらも手持ちイヤホンの「棚からレビュー」企画なども織り交ぜながら、順次ネタを仕込んでいこうかと思います(^^;)。