FiiO UTWS1

こんにちは。今回は「FiiO UTWS1」です。MMCXコネクタに対応するイヤホンを完全ワイヤレス(TWS)化するアダプターで、aptX/AACに対応しつつ1万円以下の価格設定など、国内で販売される同種の他社製品比べて大幅に低価格・高性能な点がポイントです。
ただ実はこの製品、私のブログでも以前紹介した中国のイヤホンブランド「TRN」の「BT20S」と外観および仕様がほぼ同じで、少なくとも製造しているファクトリーは同じ、内部的にも同じ製品の別バージョンだろうと考えられています。ということで私もレビュー予定は無かったのですが、手持ちの「BT20S」が2pin仕様のもでるだったため、MMCX版を買うならこっちかな、ということで結局入手してしまいました(^^;)。ただ実際に購入してみると、元々の性能の良さや音質に加えて、「FiiO UTWS1」での細かな改善点が想像以上に効果が得られたりとよりメリットを感じることができました。

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FiiO UTWS1」はBluetooth 5.0対応のワイヤレスアダプタでチップセットには高性能TWS用チップとしてお馴染みのQualcomm「QCC3020」を採用。aptXおよびAACコーデックに対応し、左右が直接端末と接続する「TWS+」もサポート。音声通話については「cVc」通話ノイズキャンセリングによりクリアな音声通話が可能になります。さらに連続8時間稼働の長時間バッテリーを搭載するなど、MMCX仕様の有線イヤホンを本格的な完全ワイヤレス化できる点が「FiiO UTWS1」の大きな魅力です。
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FiiO UTWS1」の耳掛けワイヤー部分はチタン形状記憶ワイヤが使用されており、安定したフィット感と長時間の利用でも快適さを維持しています。「FiiO UTWS1」のイヤホンへの出力は5mW@32Ωで鳴らしにくい一部のイヤホン以外は多くの製品で利用することが可能です。現在はMMCX仕様のみが販売されていますが、海外では0.78mm 2pinタイプも存在しており、今後ラインナップに加わる可能性もありますね。
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FiiO UTWS1」はオープン価格で、アマゾンでは 8,690円で販売されていました。
Amazon.co.jp(国内正規品): FiiO UTWS1


■ 長時間バッテリで個別充電でも使い勝手に問題なし。本体の耐久性だけちょっと注意かも。

FiiO UTWS1」の内容は、本体、充電ケーブル、装着したイヤホンごと収納できるイヤホンケース、日本語の説明書。日本国内版ですので説明書も日本語ものが付属しており設定で迷うことが無い点は嬉しいですね。技適マークおよび認可番号はシールで本体側面に貼り付けられています。
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本体はプラスチック製で非常に軽量です。チタン形状記憶ワイヤを使用している耳掛け部分の耐久性についてはサイトにも記述がありますが、いっぽう本体部分は接合部分などで「割れる」可能性もあるため、あまり乱暴に扱うのは気をつけた方が良さそうです。この辺の耐久性の部分はShureやFostexの製品と比べて価格相応の違いはあると思った方が良いでしょう。充電は左右の本体にmicroUSBの端子がカバーで覆われており、付属の2股に分かれたUSB充電ケーブルで充電します。充電ケースにマウントするだけのTWS製品に比べると手軽さは少ないですが、単独で8時間稼働できるため、それほど不便に思うことは少ないと思います。
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本体のボタンはひとつで、この操作で各種操作ができます。「FiiO UTWS1」では再生中および通話中の音量調節がシングルクリックで可能になった(右側:音量+。左側:音量-)ことにより、再生/停止はダブルクリックでのアクションになりました。なお、着信時の受話および通話後の終話はシングルクリックのままになっています。
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本体背面の各種記述を見ると「FCC ID」に「BT20S」という記述があり、内部的に「BT20S」と同じかベースになっていることをあらためて確認できます。両者を比較してみると、スペックはもちろん、形状などは全く同じですが、「FiiO UTWS1」のほうは操作ボタン部分とコネクタ部分にメタリックカラーの装飾が施されており、より高級感を感じる仕上がりになっています。


■ 様々な製品との組み合わせで実力を発揮。音調調節の追加で鳴らしにくいイヤホンも対応。

FiiO UTWS1」はもちろんBluetoothアダプタとして通常のDAPより解像度などで相応に感じる部分はありますが、印象としては味付けの無い明瞭感のあるサウンドです。シングルBAからマルチBA、ハイブリッドと多彩なイヤホンのラインナップを持つFiiOブランドの製品と言うこともあり、どのようなタイプのイヤホンでも特徴を活かせる傾向になっていますね。これは「BT20S」とも共通しますがメリハリのはっきりしたハイブリッド系のイヤホンとの相性は非常に良く、比較的ハイグレードなイヤホンでも特徴を活かしつつスッキリした印象のサウンドを楽しめます。
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反応の良いマルチBAのイヤホンと組み合わせると、再生時の無音部分では多少のホワイトノイズを感じますが(停止中は出力がオフになるためホワイトノイズも無くなります)、このてのワイヤレスアダプタ製品の中では比較的ノイズは少なく十分に実用的な範囲内だと思います。おそらくFiiO製のイヤホンとの組み合わせであれば全く問題ないレベルでしょう。
手持ちイヤホンのなかでも「Andromeda」並に反応が敏感で非常にホワイトノイズを感じやすい「Yinyoo H5」(「MaGaosi K5」の別ブランド品)ではホワイトノイズを強めに感じましたが、「SE535LTD」「KBF MK4」等であれば実用的にはさほど困らないレベルでした。

FiiO UTWS1また「FiiO UTWS1」で「BT20S」と比較して追加された機能に音量調節がありますが、これは上手く使えば結構効果的です。「FiiO UTWS1」本体のボリュームはペアリングした端末側の音量とは独立しており、端末側の音量を下げておいて「FiiO UTWS1」の音量をアップすることも、逆に「FiiO UTWS1」の音量を下げておいて端末側で上げることもできます。おそらく音量の取りやすさが異なるイヤホンを組み合わせた場合もペアリングした端末側の音量は同じように操作できるように、という意図で追加された機能だと考えられます。そのため、「FiiO UTWS1」本体側のボリュームは電源をOFFにした後も記憶されますので、電源投入後に毎回ボリュームを設定し直す必要はありません。

FiiO UTWS1そして、組み合わせるイヤホンや接続デバイスでも変化しますが、この組み合わせの違いで結構音の印象が変わる場合があります。上記の非常に反応の良い「Yinyoo H5」の場合、「FiiO UTWS1」側の音量を必要以上に下げて、端末側の音量を上げると中音域が凹み歪みを感じやすい印象になります。いっぽう「鳴らしにくいイヤホン」のひとつである「Pnnacle PX」(「Pinnacle P1」のMassdropコラボ版)の場合も、「FiiO UTWS1」の音量を高めに設定しておくことで想像以上に余裕を持って鳴らすことができました。
音量調節のない「BT20S」では端末側のボリュームをより高めにして音量を取るため、このようなイヤホンでは2種類のアダプタで聴いた印象に違いが感じられました。つまり音量調節が付いたことで「FiiO UTWS1」と「BT20S」では結果的に実際に余裕を持って鳴らせるイヤホンに差が生まれたことになりますね。

FiiO UTWS1というわけで、個人的には「実質同じもの」だと思っていた「FiiO UTWS1」がより利用範囲が広がるアップデートが行われていたのは嬉しい誤算でした。
これらの2つの製品はハードウェア面ではおそらく違いは無く、あくまでファームウェアでの違いだけですので、今後「BT20S」も同様のアップデートを行ったバージョンがリリースされる可能性もあるわけですが、正式に日本国内で販売されており、またアマゾンでの実売でもそれほど大きな価格差が無いことを考慮すれば少なくともMMCX用には「FiiO UTWS1」を購入する方が良いでしょう。こうなると2pinバージョンも日本で販売してくれないかな、という要望が出てきますね・・・(^^;)。