BLON BL-05

こんにちは。今回は「BLON BL-05」の紹介です。中国のイヤホンブランド「BLON」の最新モデルで、以前レビューした「BL-03」に次いでの登場となります。クールデザインの金属製ハウジングによりブラッシュアップさせた新しい10mm カーボンナノチューブ(CNT)振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載します。
→ 過去記事: 「BLON BL-03」 個性的メタルハウジングに明瞭でキレの良いサウンドが楽しい、「カーボンナノチューブ」ドライバー搭載低価格中華イヤホン【レビュー】
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BLON BL-05」は、CNTダイナミックドライバーを搭載する低価格イヤホンとして「BLON BL-03」をリリース後、そのフィードバックを開発に反映させて製品化とのこと。まず、「BL-03」に搭載されるドライバーをブラッシュアップし、振動膜の剛性と速度を向上させた「第2世代」の 10mm カーボンナノチューブ(CNT)振動板ダイナミックドライバーに進化させました。このドライバーは、熱音響を使用して、カーボンナノチューブを流れる電流によって生成される音波を作成する仕組みを採用しています。また内部音響チャンバー部分もオーケストラホールで人間の耳が拾う音響特性を反映するように設計されたとのことです。
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また「BLON BL-05」のハウジング部分はステンレス鋼で製造されています。ケーブルは0.78mm 2pinコネクタですが、本体側にBLON独自の形状の凸部分があり、ケーブルのコネクタ部分のカバーで覆うデザインになっています。
現在アマゾンではBLON純正「4芯 単結晶銅ケーブル」が販売されており、さらにAliExpressではBLONコネクタ用交換ケーブルが数種類購入できるようです。
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BLON BL-05」の購入はアマゾンの「HifiHear Audio」にて。ブログ掲載時点ではプライム在庫がありましたので国内アマゾン倉庫からの発送ですぐに届きますね。価格は 5,380円 です。
カラーバリエーションは「ガンメタル」と「シルバー」の2色を選択できます。
AliExpress(Easy Earphones): BLON BL-05
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): BLON BL-05

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■ より使いやすく装着性を向上した金属ハウジング。イヤーピースは交換必須かも。

BLON BL-05」のパッケージは今回もTFZ風(^^;)。「BL-03」のレビューでも書きましたが、「BLON」の意味と思われる言葉がちょっと意味不明な感じも含めて初期のTFZのパッケージを彷彿させるのでこれはこれで良いのかも、と思えてくるから不思議です(笑)。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(開口部が広いタイプが大小2ペア、普通のタイプがS/M/Lサイズ)、布製ポーチ、説明書。
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ガンメタルカラーの「BLON BL-05」の金属製のハウジングは結構渋いデザインで高級感があります。どうやらシルバーのほうは「BL-03」同様の鏡面仕上げのようですのでまた雰囲気が変わりそうですね。
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コネクタ部分は今回も独自の形状、凸部分の形状はTFZ製イヤホンと同じサイズですが、より長く出ています。そのため、この部分をラバー製のカバーで覆うタイプの付属ケーブルはかなりしっかりとホールドされますね。付属するケーブルは「BL-03」と同じ撚り線タイプの銅線ケーブルです。
一般的な耳掛けタイプの形状となったため装着性は「BL-03」より大幅に向上しています。しかし、実際に装着してみると決して耳にフィットするデザインというわけでもなく、さらに付属イヤーピースはどのタイプも十分なフィット感が得られない印象です。
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後述しますがイヤーピースは音質面でも影響があるため交換は必須と考えた方が良いでしょう。イヤーピースは定番のJVCの「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部の大きいイヤーピースを合せるのが良いと思います。またステム部分がしっかりと入らない場合は「AET06」や「RHAダブルフランジイヤーピース」などのダブルフランジタイプを組み合わせるとしっかり固定できると思います。


■ よりボーカル向けに中高域の強化し、分離性を向上したスッキリサウンド

BLON BL-05」の音質傾向は緩やかなドンシャリで中高域に寄った多少あっさり目のサウンド。ボーカル曲が聴きやすい印象ですが全体的にはニュートラルで明るい音で鳴ります。「BL-03」も低価格のカーボンナノチューブ(CNT)ドライバーの特長を活かした明瞭さとともにメリハリのあるサウンドでしたが、「BLON BL-05」では低域の響きを多少コントロールすることでよりスッキリした印象の中低域となっているようです。また中高域の主張も「BL-03」と比べると増えていますね。そのため中音域の音像は非常にとらえやすく、ボーカルは前面で再生され、演奏は少し下がって奥行きを感じさせます。
BLON BL-05男性・女性どちらのボーカルもクールで多少人工的な印象を受けます。また演奏の解像感、特に低域については量というより質の面で物足りなさを感じます。これについてはリケーブルによって情報量を向上させることである程度の改善が得られます。また曲のジャンルだけでなく、再生環境にもかなり影響されやすく、様々な要因で評価や好き嫌いが結構分かれそうな印象も感じました。印象として多少「薄く」または「軽く」感じやすいチューニングで、再生環境によってはそれが顕著に表れることが最大の理由ですね。特に付属ケーブルではちょっとバランスが崩れている印象があり、リケーブルは必須だと思いますが、自分に合ったセッティングにすることで、聴きやすく快適なリスニングができるのではと思います。

BLON BL-05」の高域は比較的スッキリした印象の音を鳴らします。「BLON BL-05」ではボーカル帯域の主張が明るく強いこともあり、高域は「BL-03」よりわずかに控えめの印象を受けますがそれでもしっかりとした主張があり、同様の煌びやかさを感じるタイプの高音です。「BLON BL-05」では刺激を感じやすい中高域が「BL-03」より若干強調されているため、再生環境によっては多少刺激を感じますが強い歯擦音などはほぼ感じないレベルです。またリケーブルにより変化が得られやすく、解像感や伸びがより向上したサウンドを実感できます。

中音域は「BLON BL-05」で「BL-03」との違いを最も感じる部分です。「BL-03」ではわかりやすいドンシャリ傾向だったこともありボーカル帯域の主張がやや控えめでしたが、「BLON BL-05」ではよりボーカル帯域が前面にスッキリ目に再生されます。明瞭感とキレのあるカーボンナノチューブ振動板らしく分離も良好ですが多少人工的に感じるクールな印象で、表現力については多少好みが分かれそうです。また演奏は後方で鳴り奥行きを感じますが定位は正確ではなく、音場は自然な範囲での広がりがあるもののやや狭い印象です。
BLON BL-05男性ボーカルも女性ボーカルも味付けのない音でニュートラルに鳴りますが、多少主張が強いバランスのため曲によっては雰囲気が崩れたり高音は多少強く感じる場合もあります。いっぽう「BL-03」ほどの濃厚さはなく、曲によっては硬質で多少淡白な印象を受ける曲もありそうです。解像感はそれなりな印象です。濃厚さや艶のある傾向を好まれる方には少し物足りなく感じるかもしれませんが、明るくスッキリとしたボーカルのため聴きやすさを感じますが快適なリスニングのためにはリケーブルが必須だろうと思います。

そして「BLON BL-05」の低域はさらに好みが分かれやすいポイントです。「BL-03」と比べて全体的にコントロールされた印象で、相対的に中高域に比べて量的に少なく、多少「軽い」鳴り方になっています。印象としてはミッドベースをやや抑えて中高域への見通しを良くすることで、全体的な分離感を向上させ、音数の多い曲でも聴きやすく、音を捉えやすくしている感じですね。そのため響きの良さや重量感のある沈み込みはあまりないものの、中高域を基準に考えればベースラインも捉えやすく十分なレスポンスを得られるなど、ある程度の表現力をもった低域といえるでしょう。ただしパワフルで厚みや重量感を求める方には真逆の方向性ではありますね。

相性の良いのはなかなか難しいのですが、リケーブル後の印象ではポップスやアニソンなどのボーカル曲で、他のジャンルの曲もキレの良い音を楽しむうえでは良いと思います。いっぽうモニター的には透明度の高さに対してもう少し解像感が欲しく感じることも多そうです。AliExpressでは専用コネクタに対応したリケーブル製品が販売されており(Yinyooから「BL-03」用のミックスおよびグレー、BLON純正の「BL-05」用ガンメタルとシルバー)、より音質面でのグレードアップを考慮する場合は有効な選択肢となりそうです。今後アマゾンでも購入可能になるのも期待したいところです。
BLON Gun Clor Cable for BL-05BLON Silver Clor Cable for BL-05
このようなBLON仕様のコネクタに対応していないケーブルでも基本的に0.78mm 2pin仕様であれば代用可能です。特にミドルグレード16芯ケーブルなどでリリースされている「TFZ仕様」のコネクタは凸部分の形状は同じため、さほど違和感なく使用できますね。
BLON BL-05BLON BL-05
情報量の多いケーブルにリケーブルすることで解像感が大幅に向上します。「BL-05」はスッキリとして見通しの良い音である反面、付属ケーブルでは中音域のディテールなど表現し切れていないと感じる場合がありますが、それだけリケーブル効果が大きく、ポテンシャルのあるイヤホンだともいえるでしょう。また低域については重量感自体はあまり変わりませんが、駆動力のある再生環境で鳴らすことで量感は向上します。よりスッキリした印象なら銀メッキ線やミックス線、低域の厚みを意識するなら銅線タイプのケーブルを選択すると良いのではと思います。


というわけで、「BLON BL-05」はちょっと重厚な印象の見た目と異なり、非常に明るくシャープな印象の中高域サウンドが特徴的なイヤホンでした。「BL-03」からのブラッシュアップ版という位置づけながら、かなり傾向が大きく変化していることにちょっと驚かされましたが、アプローチとしては興味深い製品だと思います。多少好みが分かれる要素もあり、リケーブルが必須などちょっと気になるポイントもありますが、この価格帯のイヤホンとしては面白い選択肢だと思います。見た目はなかなかクールなイヤホンですので、アレンジして楽しむのも良いと思います。