
こんにちは。今回は「CCA CA16」の紹介です。私のブログではすっかりお馴染みのKZの姉妹ブランド「CCA」の最新モデルで格安スペックモンスターの健在ぶりを伺わせる、「7BA+1DD」構成で1万円以下、100ドル以下という怒涛の構成となっています。最近では本家のKZは完全ワイヤレス(TWS)製品に傾倒ぎみで中華イヤホンマニアとしては多少の寂しさも感じていましたので、この内容はとてもワクワクしますね(^^)。
購入は先日レビューした「TRN VX」とほぼ同時期ですが、個人的な引っ越しその他もろもろでこのタイミングでの紹介になってしまいました。


これまでKZ/CCAのハイブリッドというと10mmサイズのダイナミックドライバーを中心にKZブランドのBAユニットを組み合わせる構成が主流でしたが、「CCA CA16」では新たに7mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーを採用。これは「KZ S2」など最近のKZ製TWS製品で採用されているユニットと同じものである可能性が高いですね。シェル形状、金属製ステムノズルの形状も同様にKZ製TWSのデザインを踏襲しており、「CCA CA16」では有線イヤホンとなることで空いたスペースにBAユニットを詰め込んだ、というようにも見えますね。
「CCA CA16」(7BA+1DD): 低 7mm DD 中「50024」(2BA) ×2 高「30095」×3
「TRN VX」 (6BA+1DD): 低 10mm DD 中「50060」×3 高「30095」×3
「CCA C12」 (5BA+1DD) : 低 10mm DD 中「DWEK」(2BA) ×2 高「30095」×1
「TRN V90」 (4BA+1DD): 低 10mm DD 中「50060」×2 高「30019」×2
「TRN BA5」 (5BA) : 低「22955」×1 中「29689」×1 高「30095」×3
また「CCA CA16」のミッドレンジでは新しいデュアルBAユニットの「50024」を2基(合計4BA分)搭載しています。「CCA C12」および同構成の「KZ ZSX」でも型番不明(製品ページでは「DWEK」と表記)の2BAユニットが2基搭載されていますが、これが「CCA CA16」と同じ「50024」かどうかは不明です。もし分解して調べてみる猛者がいらっしゃいましたらぜひ教えてください(^^;)。さらに高域で「30095」を3基、それぞれ少し位置をずらして設置し、ネットワークで調整するアプローチは先日レビューした「TRN VX」と同じ方法ですね。


「CCA CA16」のカラーリングはブラックのみで、シェルは樹脂製。コネクタは最近のモデル同様にKZタイプC仕様となっています。
「CCA CA16」の購入はアマゾンのHiFiHear Audioにて。価格は8,480円です。長らく在庫切れでしたがようやくアマゾンの国内倉庫にも入荷しましたね。
AliExpress(Easy Earphones): CCA CA16
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): CCA CA16
■ 最近のTWS製品を踏襲したデザイン。樹脂製シェルながら装着性も見た目の高級感も抜群。
「CCA CA16」のパッケージは従来のものより少しだけ大きく、KZのTWS製品と同様なサイズ感になっています。説明書などが紙のケースに入っているのも少し高級感がアップしてますね。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書と従来通り最小限となっています。




「CCA CA16」のハウジングは樹脂製で完全ワイヤレスの「KZ S2」に非常に近いデザインとなっています。ただフェイス部分は湾曲のある平面でCCAのロゴがシルクスクリーンでプリントされているのみですので結構印象は異なります。また、ステム部分もKZのTWS製品の共通の細いタイプが採用されており、これにあわせてイヤーピースも半透明の専用タイプが付属します。


従来のモデルと比較すると「KZ ZSX」に比較的近いサイズ感で、6BA+1DDの「TRN VX」よりはかなり大きいことがわかります。とはいえ装着感は非常に良好で、しっかり耳にホールドされます。ただ細いステム部品もあり遮音性は一般レベル。


イヤーピースはステムノズルが細いため「スパイラルドット」などの開口部の大きいタイプは使用しづらいですが、「RHAイヤーピース」や「final Eタイプ」などは良いと思います。個人的には「RHAイヤーピース」が装着性・遮音性のうえでもお勧めの組み合わせです。
■ CCAらしさもある手堅いバランスながら、「多ドラ」ならではの濃密さを実感するサウンド
「CCA CA16」の音質傾向はボーカル帯域の濃密さを感じる中低域寄りの弱ドンシャリ。中華ハイブリッドらしいメリハリの中にも中高域に感じるウォーム感は、かつての「CCA C10」とも通じる印象かも知れません。寒色系ドンシャリのメリハリサウンドが特徴的なKZに対する「CCAブランド」の違いを感じる、という点においては「CCA C12」より「らしい」製品かもしれませんね。音場は一般的な広さで「多ドラ」イヤホンとしては定位はしっかりしている印象です。
ただ、7ドライバー構成と言うこともあって、従来のKZ/CCA製品のなかでも群を抜いて駆動力を必要とします。またリケーブル効果も非常に大きく、再生環境によっては標準ケーブルで低域過多に感じる可能性もあります。そういった意味で「リケーブル必須」のイヤホンといえるでしょう。

「CCA CA16」の高域は中華ハイブリッドらしい鮮やかさを感じる印象ながら、刺さりなどのない自然な音を鳴らします。硬質な煌めきはあるものの「KZ ZSX」や「CCA C12」と比べて多少ウォームさも感じます。「KZ 30095」ツィーターは結構派手めに鳴る印象があるのですが、「CCA CA16」ではこれを3基搭載することで1基あたりの出力を抑制し、さらに配置する位置を調整することで以前のモデルより歪みを抑え、より癖のないナチュラルに伸びる見通しの良い音に仕上げているようです。

低域は中高域の6基のBAユニットに全くひけを取らない力強さと存在感があります。BAユニットが本気を出すのに結構駆動力が必要なのに対し、この新しい7mm二重磁気ダイナミックドライバーはアグレッシブに鳴るため、駆動力の少ない環境では低域が前面に出た低域過多の印象になる場合があります。その場合は後述の通り情報量の多い16芯のバランスケーブルなどにリケーブルすることでかなり印象を変化することができるでしょう。このようにパワフルな低域ですが、中高域との分離の良さと締まりがあり、籠もるようなことはありません。また重低音の沈み込みも良好で、しっかり鳴らしてくれるのも好印象です。曲によってはベースラインが少し強めに感じる場合があります。しっかりとした低域の下支えがあり、キレもあるため、音数の多いEDMなどでもしっかり鳴らしてくれると思います。

また「CCA CA16」は本来の実力を発揮させるためにはリケーブルは必須でしょう。お勧めなのは「HiF4848」やミドルグレードの「YYX4865」など、情報量の多い16芯銀メッキ線タイプ。バランス接続で駆動力を稼ぐのもアリでしょう。
16芯ケーブルでリケーブルした「CCA CA16」は解像感や分離の向上はもちろん、音場か一気に立体的になり、広がりと奥行きのあるサウンドを楽しめます。高域の煌めきはより瑞々しく、ボーカルも深みを持つのが実感できます。「CCA CA16」のポテンシャルを活かす上でリケーブルは必須ですね。
というわけで、「CCA CA16」は最近ワイヤレスへの傾倒が著しいKZがCCAブランドながらまだまだ健在であることを実感させた「いかにも」なイヤホンでした。このイヤホンが1万円以下というのはやはり非常識ですね。本来のサウンドを実感するためには相応のDAPやアンプが必要ですし、リケーブルも必須などマニア向けの製品だとは思いますが、逆に中華イヤホンのマニアなら条件をクリアした上でやはり持っていたい、そんなアイテムとしてお勧めできると思いますよ(^^