KZ Z1

こんにちは。今回は「KZ Z1」、中華イヤホンブランド「KZ」の完全ワイヤレス(TWS)イヤホンです。実は6月初旬にこっそりオーダーして随分前に届いていたのですが、ちょうど引っ越しなどで慌ただしいタイミングでそのままになっていたイヤホンのひとつです。同様に購入したまになってる中華イヤホンが何個かあり、その他も含めて、例によって書きかけ状態のレビューが大量に残っていますので、今後合間を見てぼちぼち仕上げていくかも、です(^^;)。

KZ Z1KZ Z1

最近になってKZも「ZSTX」や「ZSN PRO X」など定番モデルのリニューアル版のリリースを始めていますが、今回の「KZ Z1」が登場する頃までは「もうKZはワイヤレスしか作る気ないんじゃないだろうか?」と思ってしまうようなハイペースでワイヤレス製品を投入しています。実際2020年に入ってKZがリリースした製品は「KZ S1」「KZ S1D」「KZ S2」、そして今回の「KZ Z1」と見事にTWSが続いていましたね。まあ今後もワイヤレスの新モデルも予定されてはいるようなので、この調子は続きそうですが。
KZ S1 / S1D / S2

さて、初期販売をクラウドファンディングに委ねた「KZ S2」からほぼ間髪を入れず5月下旬にリリースされた「KZ Z1」の最大の特徴は、KZが独自に開発した「XUN」というダイナミックドライバーにあります。完全ワイヤレス(TWS)の場合、イヤホンのハウジング内にBluetoothのワイヤレス機構、オーディオ機構、そしてバッテリなど様々な電子部品を収容する必要があるため、ドライバー部分は一般的には6mmサイズの小さなダイナミックドライバーを使用します。しかし「XUN」はドライバーを収容するケース形状や電子回路をTWS用に工夫することで10mmサイズのダイナミックドライバー搭載を実現させています。
KZ Z1 - XUN Driver Unit -KZ Z1 - XUN Driver Unit -
その構造は以下の通りです。ドライバー背面部分の独立したシャーシ形状を採用し、ドライバーの電磁コイルによりサウンドをターボチャージャーのように増幅させます。 KZの従来の10mmダイナミックドライバーでは背面部に円形で装着されていた出力コントロール用のPCB(ネットワーク回路)を側面にコンパクトに収容。 高分子ポリマー素材のダイヤフラム(振動版)を採用し、優れた音響特性を実現しています。
要するに「KZ Z1」の最大の特徴はこの「XUN」ドライバーユニットに完結しているといってよいでしょう。

搭載ドライバー10mm XUN 二重磁気回路DD
Bluetooth5.0
コーデックAAC / SBC
連続駆動時間2時間~
ケース待機時間~100時間
バッテリ容量30mAh (片側)、400mAh (ケース)
接続距離~20m
充電コネクタmicro USB
重量(本体) 10g、(ケース) 50g
TWSとしての主要なスペックはハイブリッド仕様の「KZ S1」に準じており、充電ケースは「S1」の300mAhから400mAhに大容量されています。またシェルをより耳にフィットするデザインにするなど上位グレードの仕上がりになっています。いっぽうでイヤホン本体の搭載バッテリ容量は「S1」の40mAhからドライバーの大口径化に伴って30mAhになっており、本体の連続稼働時間が2時間程度とTWSとしてはかなり短い設定となっています。こまめに充電ケースに戻す想定で長時間の連続利用にはあまり向かないですね。
KZ Z1KZ Z1

KZ Z1」のカラーバリエーションは「グリーン」と「ブラック」。価格はAliExpressが34ドル~、アマゾンが 4,900円 となっています。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。アマゾンは現在は国内に在庫があるセラーもあるので購入後すぐに入手できそうですね。また万が一の場合の返品などの対応もしやすいと思います。
AliExpress(Easy Earphones): KZ Z1
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ Z1 ※掲載時アマゾン国内在庫あり
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): KZ Z1


■ 何故か既存モデルとは似て非なるデザイン。低価格イヤホンなのに効率とか気にしないのか不思議

今回私は6月初旬にブラックを購入。中国からの発送で6月下旬に届いています。「KZ Z1」のパッケージサイズは先日レビューした「CCA CA16」と同じサイズ、というか発売時期から言えば「CCA CA16」のほうが「KZ Z1」と同じサイズ、と書くべきですね(^^;)。箱を開けると説明書や保証書が入った紙のケースでふたがされている状態。さらにその中に充電ケースとアクセサリーの入った箱が現れます。
KZ Z1KZ Z1
パッケージ内容はイヤホン本体・充電ケース、イヤーピース(本体装着済みSサイズ、M/Lサイズと形状の異なるSサイズ)、充電ケーブル(micro USB)、説明書、保証書。「KZ S1」「S1D」「S2」ではUSB Type-Cコネクタだったのに、何故かmicro USBに逆行してますね。この辺にこの製品の生い立ちのようなものが見え隠れします。「KZ Z1」は「S1/S1D」や「S2」と同時進行で開発が行われており、もしかしたらプロジェクト自体は「KZ Z1」のほうが先にスタートしている可能性も高いのでは、という憶測もできますね。
KZ Z1KZ Z1

本体は「KZ S1」「S2」同様のプラスチック製でとても軽量です。「KZ ZS4」のように耳にギュッとフィットするデザインで個人的には装着感はとても良いのですが、耳の上部にあたる部分の形状が合わない方もいらっしゃるかもしれません。
KZ Z1KZ Z1
シェル形状を比較してみると「KZ S2」が最も大きく、実は「KZ Z1」がもっともシェイプされた形状であることがわかります。逆に言うと、「KZ S2」や「S1」のシェルをそのまま使えば、もっと大きいバッテリを詰めたのではないかと・・・・(うーん)。
KZ Z1KZ Z1
充電ケースの容量は400mAhと、「S1」「S1D」の300mAhと、「S2」の500mAのちょうど中間。いやしつこいですが、これも「S2」のシェルと一緒に充電ケースもそのまま採用すれば、機種ごとに別のケースを作らなくても・・・(汗)。こうなってくると、それぞれのそうできない理由でもあったのかと勘ぐりたくもなりますね。例えば、「S1」「S1D」チーム、「S2」チーム、「Z1」チームでなんらかのコンペティションをしていたとか・・・。ちょっと生臭い話になってきました(^^;)。
KZ Z1KZ Z1
ちなみに、どの機種もイヤホンをケースに収納するとBluetoothを切断し電源OFFになるはずですが、「S1/S1D」と「S2」はケースに入れてもOFFやスリープ状態にならず知らない間にケース内でペアリングしてた、というちょっと残念なトラブルが時々ありましたが、「KZ Z1」については今のところそんなことは無く、普通に使えています。


■ KZでこのサウンドが出せたんだ、という驚きが、まさか低価格のTWSで実感するとは

KZ Z1KZ Z1」の音質傾向は中低域寄りでバランスの良いドンシャリ傾向。しかし、いわゆるKZが醸成したとも言える「中華ハイブリッド的な寒色系ドンシャリ」とは全くキャラクターが異なるサウンドで、「KZでもこんなシングルダイナミックのサウンドが作れるのか」とちょっと驚きを感じました。なんというか、完全ワイヤレスとか、そういうことを抜きにして、普通に音が良いイヤホン、という印象。非常に重くパワフルな低域が特徴的ですが過度に膨らむ事は無く、中高域は明瞭で音場は広く、高域は綺麗に伸びていきます。シングルダイナミックらしく、各音域のつながりは良く、非常にスムーズ。連続稼働時間の異常な短さは普段使いでは結構致命的ともいえる部分ですが、それを踏まえてもこの価格のワイヤレスイヤホンとしては素晴らしいサウンドです。

KZ Z1」の高域は明瞭で綺麗に伸びる音を鳴らします。KZというと「KZ 30095」などのツィーターBAユニットによる金属質の高域というのに慣れきってしまっているためか、「KZ Z1」の高域は非常に驚きを感じるものです。実は既に「KZ S1D」という6mmのシングルダイナミック仕様のモデルもあるわけですが、両者の高域は全く異なる印象です。「KZ S1D」の場合はハイブリッド構成の「S1」より少し天井が低く中高域くらいまでが厚い印象ですが基本的には「S1」ど同様のやや硬質な高域を鳴らします。しかし「KZ Z1」では煌めきや曲によっては歯擦音を感じない程度の鋭さもある高域ですが、より柔らかく、温かさがあります。綺麗に伸びる抜けの良さを感じるサウンドです。低音域がかなりパワフルで量感もありますが特に曇りを感じることなく、見通しの良さを維持している点は好感が持てます。

KZ Z1中音域は曲によっては僅かに凹みますが、ボーカル帯域は存在感があり、広い音場でしっかり定位する印象。解像感もこの価格帯のワイヤレスイヤホンであることをつい忘れてしまうほど高く、屋内での電波状態の良いリスニング環境ではしっかり分離して非常にバランスの良いサウンドを楽しめます。KZのハイブリッドはもちろん、ボーカル帯域が僅かにウォームなチューニングのCCAの製品と比較しても「KZ Z1」の中音域はより柔らかさと温かさがあります。そのためキレの良さやスピード感を重視される方はやや穏やかなサウンドに感じる可能性もあります。しかし、一般的なロックやポップス、アニソンなどの曲では分離の良さから音が混雑するような印象を感じることはないでしょう。女性ボーカルやピアノの高音も比較的綺麗ですが、男性ボーカルやギターなどの中低音が非常にリアルで特に良いと思います。

低域は非常にパワフルで重量感があります。しかし過度に膨らむこと無く、塊となって押し寄せてくる印象。最近のボーカル曲が映えるチューニングに準じており、ミッドベースにより強いパンチがあります。またレスポンスも比較的良く、スピード感のある曲でもしっかり楽しめます。重低音の沈み込みもこの価格帯のTWSとしてはかなり上質では無いかと思います。
相性が良いのはロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲にくわえて、中低域が魅力的なこともありジャズなども楽しめるサウンドです。いっぽうでキレの良さや疾走感を求める方にはハイブリッド製品の方が向いているかも知れませんね。

なお、「KZ Z1」のタッチセンサーの仕様は「KZ S1」と全く同じです。「S1」「S2」同様に3回タッチによる低遅延モード(ゲームモード)が利用できます。なお充電ケースに収容したときイヤホン本体のフェイス部分のLEDが赤色点灯で充電中、青色で充電100%、充電ケースのLEDはグリーンが100~70%、イエローが70~30%、レッドが30~0%のバッテリ状態を示します。

再生/停止1回タッチ(左右どちらか)
曲戻し左側 2回タッチ
曲送り右側 2回タッチ
受話・終話着信時1回タッチ(左右どちらか) 
着信拒否着信時長押し(左右どちらか)
音声アシスタント左右どちらかを2秒長押し 
ゲームモード3回タッチ(左右どちらか)
手動オン/オフ左右どちらかを3秒長押し
電源オン/オフ充電ケースから出す/戻す 

というわけで「KZ Z1」は音質的には従来のKZ製TWSはもちろん、有線のイヤホンを含めても非常に興味深い仕上がりだったのですが、それだけにAACコーデックまでの対応や、なにより連続稼働時間が2時間という短さなど低価格モデルの「KZ S1」「S1D」よりスペックダウンしている部分については「そもそもTWSとしての基本仕様が音質に追いついていない」という感じは否めません。個人的にはそれを踏まえた使い方をすればいいかな、とも思うのですが、やはり幅広くはお勧めしづらくなります。
KZ Z1「XUN」ドライバーにより、シングルダイナミックでここまで質の高いサウンドを実現できたのだから、製品としてもそれに見合った内容でしっかり製品化すれば、と思うのですが、もしかしたら「すげーイイ音になったから、とにかく今あるユニットですぐにでも製品にしちゃおうぜっ!」みたいに勢いだけで突っ走っちゃったのかも、そんな情景も目に浮かびます。あるいはかなり早い段階からプロジェクトはスタートしていたものの「XUN」ドライバーを仕上げるのに時間がかかってしまったため、ワイヤレスの機構部分はあり合わせてすぐに製品化しないといけなかったとか・・(まあ結局憶測ですが)。
どちらにせよ、せっかく良い製品なのに今ひとつツメが甘く、つい勢いまかせで、みたいな部分はいかにもKZというか、いかにも中華イヤホンというか、まあ我々の感覚とはちょっと違うんだろうなぁとは思います。おそらくその辺のノリをどの程度理解できるか、あとは「XUN」搭載の次の製品がそのうちに出るかもしれないので、それまでの期間を楽しむ製品と割り切れるか、という音質以外の部分がこの製品を購入する上での評価ポイントとなるかもしれませんね。
音質「だけ」を捉えれば購入する価値は十分にある製品だと思いますよ(^^;)。