Smabat NCO

こんにちは。今回は「Smabat NCO」です。インナーイヤー型で評価の高いイヤホンを送り出し続けている「Smabat」(スメイバ、と発音)の珍しいカナル型モデル。同社の普及クラスの「Smabat M1 Pro」のカナル型版、といった感じの製品ですね。今回オーダーは6月だったのですが、発送後1ヶ月間以上、中国国内で足止めされてしまいました。
Smabat NCOSmabat NCO
「Smabat」の最近の代表的なモデル「ST10」シリーズは、インナーイヤー型の構造的に音抜けしやすい低域をハウジング内背面の音響トンネルによってバックロードホーン型スピーカーと同様の音響効果を実現しているのが特徴。さらにカナル型のような明瞭さを感じるイヤホンでもありました。
いっぽう今回の「Smabat NCO」は中低域寄りのフラット傾向と「M1 Pro」を踏襲したサウンドとなっており、独特の少し下がって定位しスピーカーのように感じる空気感があり、今度は逆にカナル型ながら少し「インナーイヤー型ぽさのある製品といえるかもしれませんね。少しクセのあるイヤホンですが、クラシックなジャズなどアコースティックな音源を穏やかに聴く印象のサウンドです。
Smabat NCOSmabat NCO

Smabat NCO」は「M1 Pro」同様にドライバーにポリマーグラフェン振動板ダイナミックドライバーを採用。ドライバーの大きさはインナーイヤー型の「M1 Pro」が14.2mmサイズでしたが、「Smabat NCO」ではハウジング形状に合わせた8mmサイズとなっています。ドライバーは薄型のものを採用することで、同社製イヤホンの「売り」ともいえるハウジング背面の音響スペースは確保している模様です。ハウジングはCNC加工されたアルミニウム合金製で軽量ながらハウジング内の不要な振動を吸収し、安定したサウンドを実現しているようです。

Smabat NCOSmabat NCO

コネクタ部分はMMCXを採用し、リケーブルが可能です。「Smabat NCO」では高純度無酸素銅線の撚り線ケーブルが付属します。「Smabat NCO」の購入はAliExpressのNiceHCK Audio Storeにて。価格は 59.80ドルです。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
AliExpress(NiceHCK Audio Store):  Smabat NCO


■ 「M1 Pro」がそのままカナル型になったようなスタイル。軽量でケーブルの取り回しも良好

Smabat NCO」のパッケージは白箱タイプで同社のインナーイヤー型イヤホン同様にコンパクトなサイズ感。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(シリコンタイプS/M/Lサイズ、ウレタンタイプ1ペア)、説明書。
Smabat NCOSmabat NCO
Smabat NCOSmabat NCO

Smabat NCO」の本体は非常にコンパクトで、アルミニウム合金生徒と言うことあり軽量です。耳穴にすっぽりと収まるサイズで、ステムもやや細めのノズル形状です。ハウジングの背面は「Smabat M1 Pro」と同じ形状の円筒形で上部側面に多めのベント(空気孔)があります。
Smabat NCOSmabat NCO
Smabat NCO」と「M1 Pro」を比べてみるとハウジングの背面部分は全く同じ形状でドライバを収納している前半部分のみが大きく異なることがわかります。

付属するケーブルはOFC(高純度無酸素銅線)の撚り線ケーブルで取り回しは良好です。「M1 Pro」では跳ね返りが強めですこしべた付く樹脂被膜タイプの銀メッキ線ケーブルでしたのでケーブルについてはかなり使い勝手が向上した印象ですね。
Smabat NCOSmabat NCO
イヤーピースはシリコンタイプとウレタンタイプが付属しますが、このシリコンタイプはあまり良いとは言えません。音質傾向的にもフォーカスが甘くなり締まりの無い音に感じてしまうため、よりフィット感の高いものに交換した方が良いでしょう。ステムノズルは少し細めで、イヤーピースの引っかかりのないタイプですので、取付け部分がやや細めでホールドしやすいイヤーピースを選ぶ方が良いでしょう。個人的にはAcoustuneの「AET08」やRHA「RHAシリコンイヤーピース」など、またはAZLA「SednaEarfit Light」のように開口部は大きいものの長さあり奥まで装着できるタイプがお勧めです。また解像感は少し下がりますが付属のウレタンタイプも低域の厚みが向上しますので、好みに応じて使ってみるのも良いかもしれませんね。


■ フラット寄りで空気感のある柔らかいリスニングサウンド。リケーブルでの変化もおすすめ

Smabat NCOSmabat NCO」の音質傾向はフラット寄りで、すこし下がってスピーカーで聴いているような、カナル型としてはちょっと独特の空気感があるサウンド。付属のイヤーピースは使用せず、フィット感を向上させることで、暖色系ながらつながりの良い自然なサウンドが楽しめます。「Smabet M1 Pro」のカナル型バージョン、という方向性のサウンドバランスですが、「Smabet M1 Pro」の透明感のある伸びの良さは「Smabat NCO」には無く、比較すると多少緩さを感じる印象です。まあ、良く言えばより穏やかで自然なサウンドという印象になるかもしれませんね。この辺はドライバーのサイズおよびチューニングの違いを感じる部分ですね。

Smabat NCO」の高域は、適度な伸びを感じつつ聴きやすい印象の音を鳴らします。しかし「Smabet M1 Pro」の明るく明瞭感のある高域と比べると多少柔らかく自然な印象です。高音の質自体は良好で、シンバル音も煌めきがあり綺麗な音を鳴らしてくれますが、中高域から少し上のところでもう少し抜け感が欲しいと感じる部分がありました。いっぽうで刺さりなどの刺激は抑えられており、高域にストレスを感じやすい方はむしろ聴きやすく心地良いと感じそうです。

Smabat NCO中音域は凹むこと無く鳴り、全体的にニュートラルな印象。ボーカル帯域も少し下がって定位しますが癖のない音で聴きやすく表現されます。女性ボーカルの高音なども綺麗に伸び、男性ボーカルも適度な響きと広がりがあり心地良い印象。全体的に少し離れて鳴っているような広めの音場感があり、これにより柔らかく自然な雰囲気を作っています。そのため「Smabet M1 Pro」の明瞭感や透明感のある音とはかなり印象が異なります。とはいえ、ハッキリとした音のカナル型イヤホンを普段聴いている方でも「Smabat NCO」は違和感のない明瞭感と解像感があり、さらに適度に柔らかくウォームで聴きやすくまとめられたサウンドは新鮮に感じるかもしれません。特にアコースティックな音源で「Smabat NCO」の音の広がりと響きはとても心地良いものです。

低域は「Smabatらしい」厚みと響きのありつつ分離も良く、さらに柔らかく自然な印象の音を鳴らします。十分な量感がありつつ響きは適度に抑えられており、過度に膨らむこと無くなります。沈み込みも比較的良好な印象。全体的に柔らかくキレは少ないものの、レスポンスは悪くありません。ただ音数が多い曲ではやはり緩さがあります。「Smabat NCO」の低域はとても心地良くゆったりと楽しむのに最適です。おそらく中高域もこの低域に合せてチューニングされているのでしょう。解像感は多少緩さがありますが適度にウォームで聴きやすく、とても滑らかな低音です。


Smabat NCOSmabat NCO」はポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲を気軽に楽しむ用途や、ジャズやクラシックをゆっくり聴くといったいわゆるBGM的な使い方に向いているイヤホンです。刺激が少なくストレスの無いサウンドは適度な癒やしを感じさせてくれるでしょう。逆にしっかりとサウンドを楽しみたい方には全体的な緩さや空気感は向きませんし、スピード感のある曲でも物足りなさがありそうです。
リケーブルについては「NICEHCK C16-1」や「YYX4865」などの16芯銀メッキ線ケーブルがお勧めです。リケーブル後は明瞭感が一気にアップし「Smabet M1 Pro」に近い透明感のあるサウンドが楽しめます。ボーカルはより近くに定位し、空気の膜が取り払われたような印象になります。高域の伸びや低域の締まりが向上することで多少弱ドンシャリ方向に変化するため、もともとの柔らかく自然な音が好みの方には向きませんが、カナル型で「Smabet M1 Pro」により近いサウンドを楽しみたい方には最適でしょう。

というわけで、「Smabat NCO」はSmabatらしい音作りをしつつ、リケーブルやイヤーピースの変更によりアレンジが可能な興味深いイヤホンでした。やはりインナーイヤー型の「ST10」シリーズに人気の集中している同社ですのでカナル型はかなりマイナーな印象は否めませんが、もし興味があればチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。