NF AUDIO NM2

こんにちは。今回は「NF Audio NM2」 です。中国のイヤホンブランド「NF Audio」が今年にはいってリリースした製品で、よりリスニング向けの「NF Audio NA2」と、同じドライバーユニットを使用し、プロフェッショナルモニター向けにチューニングされた製品が今回紹介する「NF Audio NM2」となります。
「NF Audio」は日本ではちょっとマイナーな印象ですが、中国国内ではCIEMメーカーとしても知られる、2014年設立の古株の中華イヤホンのブランドのひとつとです。「NF Audio NM2」および「NA2」は日本でも5月下旬頃より国内版が販売されています。私が入手したのは7月中旬くらいだったと思います。購入前の店頭の試聴でどちらも良いイヤホンだと思いましたが、特に「NF Audio NM2」 は中高域寄りの非常に明瞭なモニターサウンドで、適度な距離感で定位しつつ1音1音を捉えやすい精緻な表現力はこの価格帯のイヤホンとしてはかなり良いと感じました。

NF AUDIO NM2NF AUDIO NM2
ハウジングには高強度ポリカーボネート(PC)樹脂素材を採用。中華イヤホンの樹脂製ハウジングでよく使われるABSより耐衝撃性の高い素材として知られていますね。シェル形状は人間工学に基づいており、特にアジア人の耳の形状に合わせたデザインになっているようです。

NF AUDIO NM2NF AUDIO NM2
そして、「NF Audio NM2」および「NA2」では10mmサイズの独自のダイナミックドライバー「MC2L-10」を搭載。厚さ5μmの振動版を強力な二重磁気回路とリアのダブルキャビティ構造により高い出力特性と制振性を持っています。「NM2」と「NA2」ではそれぞれチューニングが異なっており、よりリスニングチューンの「NA2」に対し、スタジオモニター向けのチューニングが行われた「NM2」という位置づけのようですね。

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NF Audio NM2」の付属品はイヤホン本体、ケーブルのほか、イヤーピースがバランスタイプと低域タイプの2タイプ(各S/M/Lサイズ)、6.3mmプラグへの変換コネクタ、ケースなどです。またカラーは「ブルー」と「ブラック」の2色が選択できます。

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NF Audio NM2」 の国内版の価格は 12,800円 です。海外版の価格が99ドルで為替を考慮すれば価格差は非常に小さく、サポート面を考慮しても通常は国内版を購入した方がよいでしょう。
AliExpress: NF Audio NM2($94.05)NF Audio NM2($93.42)

Amazon.co.jp(国内正規品): NF Audio NM2(ブルー)
Amazon.co.jp(国内正規品): NF Audio NM2(ブラック)


■ 装着性の良いポリカーボネート製ハウジング。シンプルで使いやすいデザイン。

NF Audio NM2」 の透明なPC樹脂製ハウジングはTFZやKZなどのイヤホンと比べるとフェイス部分が多少細長く、ひとまわりコンパクトな印象。そのため、大きめのハウジングが耳に入りにくい方でも装着しやすいデザインになっています。10mmサイズのダイナミックドライバーのみが収容されたシンプルなデザインも良いと思います。
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5N 銀メッキ無酸素銅(OFC)線を使用した付属ケーブルは柔らかい被膜で取り回しも良く、使い勝手の良いケーブルです。また据置きオーディオ用の6.3mm変換プラグが付属するのもモニター仕様っぽさがありますね。
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イヤーピースは白色のバランスタイプと黒色の低域を強調させるタイプの2種類が選択できます。SIMGOTやTFZなどの付属イヤーピースと同じく穴の大きい/小さいの差ですが、個人的にはバランスタイプのほうがフィット感が良く好みでした。またバランスタイプは形状や質感なども私のレビューで都度お勧めしているイヤーピースのひとつ、Acoustuneの「AET07」とほぼ同じ印象です。それ以外には同様に定番の定番のJVC「スパイラルドット」やAZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするタイプのイヤーピースに交換するのもお勧めです。


■ 質の良いモニターヘッドフォンのような精緻な表現と空間表現が魅力的。

NF AUDIO NM2NF Audio NM2」の音質傾向は非常に明瞭感のあるフラットサウンド。この価格帯のイヤホンとしては驚くほど定位が正確で、AKGやbeyerdynamicのモニターサウンドのヘッドフォンを聴いているような空間表現と精緻な描写が印象的です。非常にカチッとした音で1音1音の瑞々しさをより強く実感します。音場も自然に存在するような「広さ」があります。店頭で試聴した印象では「NA2」のほうが若干ドンシャリ寄りで低域が厚く、ボーカルは近く、高域は聴きやすい印象でした。「NF Audio NM2」はやや中高域寄りで「NA2」より自然な距離感で鳴ります。また空間表現は「NF Audio NM2」のほうがより広くより正確です。

NF Audio NM2」の高域は明るく伸びの良い音で、他の音域同様の主張はあるものの、力強さより描写の繊細さや1音1音の自然な表現が印象的な鳴り方をします。天井は高く見通しの良い音で、モニター的な意味でも良くできたイヤホンだと感じます。解像度は高く、適度な鋭さもありますが、刺さる音をうまくコントロールしており結構音量を上げて聴いても比較的聴きやすい印象。とはいえ「NA2」よりは高域は強めのため、強い高域が苦手な方にはそれなりに刺さる場合もあります。

NF AUDIO NM2中音域はニュートラルで伸びやかな音を鳴らします。音場は広さがあり、演奏とボーカルが自然に定位して奏でられているのを実感します。ボーカル帯域は演奏に合わせて自然な距離感があるものの、僅かに強調されており、適度に艶のある存在感のある鳴り方です。余韻や息遣いをしっかり感じられる表現力があります。分離感が良く輪郭もしっかりしているため、音が密集することなく演奏も詳細に聴くことができると思います。印象として非常に明瞭で解像感のある音ですが、自然な印象を損なわない程度に僅かな温かさがあり、分析的なモニターサウンドながらリスニングイヤホンとしての心地よさも感じます。

低域はメリハリのあるリスニングイヤホンと比較すると少なめに感じるかもしれません。相対的にやや軽くタイトに感じますが、実際には十分な量感があり、締まりのある音です。全体的にはどちらかというと中高域に重点を置いたチューニングに感じるものの、「NF Audio NM2」の低域は同価格帯の多くのイヤホンと比較しても十分に分離が良く解像感のある鳴り方をすると思います。ベースラインの輪郭もつかみやすく、重低音の沈み込みも深く、スピード感のある曲もしっかり対応します。


NF AUDIO NM2あらゆるジャンルに対応するサウンドで、ボーカルや楽器の音をしっかり捉えつつ、リスニングを楽しむ上でも優れたイヤホンだと思います。いっぽう、メリハリのある音や厚い低域を好まれる方、より温かく雰囲気のあるサウンドを楽しみたい方にはちょっと実直すぎると感じるかもしれませんね。
なお、「NF Audio NM2」(および「NA2」)の2pinコネクタは0.78mmで、一般的な中華2pinやCIEM 2pinケーブルが使用できます。またカバー部分はqdcコネクタと互換性のあるため、正確には極性はCIEM 2pinと同じですが、中華ケーブルで最近増えているqdcコネクタのものも使用可能です。
最近ではqdcコネクタ形状でCIEM極性の「タイプC」仕様のケーブルも一部存在しますね。個人的には付属ケーブルのサウンドで結構気に入っているのですが、もともとがフラットなモニターサウンドのため、特色のあるケーブルに交換することで少し変化を付けてみるのも面白いと思います。

NF AUDIO NM2というわけで、「NF Audio NM2」は中華イヤホンのなかでも結構マイナーな印象で、多ドラ祭りで恐竜的進化を続ける低価格中華ハイブリッドと比べると、あまり価格的にも構成的にもあまり目立つ存在では無いかも知れません。ただ寒色系ドンシャリ一辺倒のなかで、モニターヘッドフォンのような質の高いサウンドを手を出しやすい価格で気軽に楽しめる製品はとても貴重ですね。ちなみに海外版の「NF Audio NM2」は新色のピンクも発売されており、さらにアップグレードしたドライバーをメタルシェルに搭載したアップグレードモデル「NM2+」も最近リリースされました。個人的にも「「NF Audio NM2」はとても気に入っているイヤホンのため、「NM2+」もさっそくオーダーをしてみました。ちょっと価格はアップしますが、こちらもどのような進化をしているかとても楽しみですね(^^)。