KBEAR KBX4904

こんにちは。今回はKBEAR「KBX4904」4芯 4N 純銀線イヤホンケーブルです。最近中華イヤホン界隈でもにわかに脚光を浴びている、いわゆる「激安純銀線」のイヤホンケーブルですが、当然のように中華イヤホンブランドの「KBEAR」もさっそく乗っかってきました(^^)。こちらのケーブルも純銀線さしさとともに美しさもあり、特に高性能化が進む低価格中華イヤホンとの組み合わせに最適なケーブルです。選択肢が増えるのは有り難いですね。
ところで、イヤホンのケーブル部分の「線材」についてもいろいろな種類がありますが(この辺の詳しくは「解説編」で取りあげていますので宜しければ参照ください)「純銀線」はハイグレードなケーブルのひとつとしてマニアの間では幅広く認知されており、国内で販売されている製品も数万円以上のものも少なくありません。中華ケーブルでも数十ドル程度の「自称・純銀線」ケーブルは何種類かありましたが、「解説編」でも記載の通り多くは銅線の芯材に純銀線を巻き付けたものや厚めの純銀メッキを施したものなど「純銀線を使ってる」という意味のケーブルも少なくありませんでした。しかし中華イヤホンのマニアを中心にリケーブルが積極的に行われるようになり、市場が拡大したことで「KBF4782」など、100ドル~程度の価格設定の本来の純銀線ケーブルも登場するようになります。そして、今年に入り「TRN T3」や「NICEHCK LitzPS」といった30ドルを下回る「激安純銀線」が登場します。そして数々の人気イヤホンを矢継ぎ早にリリースしているKBEARからも今回「KBX4904」がリリースされました。これまで高級ケーブルだった純銀線も、グレードではなく、高純度銅線や銀メッキ線同様に音質傾向で選ぶ時代に突入したようですね。

KBEAR「KBX4904」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。今回手元にパッケージングの異なる2種類の製品が届いたため、そちらの比較も併せて紹介しています。


[ KBX4904 ] KBEAR Limpid 4芯 4N 純銀線イヤホンケーブル(シルバー)
KBEAR Limpid 4 Core 4N 99.99% Purity Silver Earphone Cable with 2Pin/QDC/MMCX/TFZ Connector
【 MMCX 】【 中華 2pin 】【qdc (CIEM極性)】【TFZ】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】

KBEAR KBX4904KBEAR KBX4904

KBEAR「KBX4904」は4N(99.99%以上)の純銀線を使用した4芯ケーブルで、1芯ごとに0.08mmの線材を10本使用したケーブルです。コネクタ(MMCX/2pin)およびプラグ、ケーブル分岐、スライダー部分などの部品は同社のミドルグレード以上のケーブルで採用されているクローム仕上げの金属製パーツを採用しており、見た目にも高級感のある仕上がりになっています。
KBEAR KBX4904KBEAR KBX4904
プラグは3.5mmステレオ、2.5mm/4極、4.4mm/5極バランス仕様が選択できます。またコネクタ部分にはMMCX、中華2pinのほか、KZ/CCA/TRNのタイプCの代替としての利用の多いqdcコネクタ、TFZコネクタの4種類を選択可能。埋め込みタイプのCIEM 2pin仕様以外のほとんどのイヤホンのリケーブルで使用できます。また耳掛け部分は樹脂加工が施されています。
KBEAR KBX4904KBEAR KBX4904
今回、私の手元には形態の異なる2種類のパッケージが届きましたので、それぞれのパッケージについて比較レビューをしたいと思います。

「KBX4904 (ビニールパック)」

本レビュー掲載時点でアマゾンで販売されている「KBX4904」は「バージョン1」仕様で、線材としては「NICEHCK LitzPS」とほぼ同じ外観のものを採用しています。いつものビニールパック包装で届きます。今回アマゾンからqdcコネクタ仕様を購入してみました。
KBEAR KBX4904 (Version 1)KBEAR KBX4904 (Version 1)
光沢のある透明な樹脂被膜は多少弾力があるものの柔らかい印象。ケーブル自体はやや細い印象ですが高級感のあるクロームメッキ仕上げのプラグなどの部品との組み合わせで非常に美しいケーブルで取り回しも良好です。

音質傾向はとてもナチュラルで、より繊細な表現力を与える印象。同価格帯の銀メッキ線ケーブルのような派手めの変化はありませんが、組み合わせるイヤホンによって高域の煌びやかさが増したり中音域の粒状感をアップすることでより濃密さを感じるサウンドを実感することができます。低域は組み合わせるイヤホンによっては少し細る印象になりますが全体としてはスッキリとまとめる印象です。
KBEAR KBX4904線材の見た目的には「NICEHCK LitzPS」とほぼ同じにみえますが、音質傾向は酷似しているものの「KBX4904」のほうが多少情報量が多い印象で、「LitzPS」では多少音が細る印象のイヤホンの場合でも「KBX4904」のほうがその傾向は少ないと感じました。高域の伸びなどは「LitzPS」のほうが多少強めに出る反面、音場感などの見通しは「KBX4904」のほうが良く感じます。この辺は好みで選ぶ要素になりそうです。非常に似たケーブルですが線材自体は多少異なるのかも知れませんね。また、アマゾンでの販売価格は「KBX4904」のほうが若干高めですが、より高級感のあるクロームメッキ仕上げのプラグや分岐部分、スライダーなどの部品を採用しており、音質面と見た目の両方でドレスアップできるケーブルとしてはとても良い選択肢だろうと思います。


「KBX4904 (箱入りバージョン)」

そして、同じ「KBX4904」ですが、この「箱入りバージョン」は今後販売されると思われる新しいロットの製品です。現在はAliExpressからオーダーし、中国から発送を受けた場合はこちらのバージョンが届く可能性が高いと思います。また今後アマゾンでもKBEARを扱う他のセラーで「KBX4904」が販売された場合もこちらになりそうですね。
KBEAR KBX4904 (Version 2)KBEAR KBX4904 (Version 2)
KBX4904」(箱入りバージョン)は、KBEAR製ケーブルで採用されている黒いボックス入り。ただこのロットから微妙に箱の仕様が変わっており、ボックスにKBEARのロゴがゴールドでプリントされています。そしてそれ以上に大きな変更点が「KBEARのロゴ入りポーチ」が付属する点。従来は内箱にケーブルを巻き付ける円形の突起が貼り付けられていましたが、今回のボックスではそれが無く、かわりにこのポーチが同梱されるようになりました。特にKZ/CCA/TRNなどの低価格イヤホンの場合、イヤホンケースやポーチが付属しないため、このようなオマケは非常に嬉しい配慮です。「KBX4904」(箱入りバージョン)に限らず、今後出荷されるKBEAR製ケーブルでも順次このタイプに変更してもらえるととても有り難いですね。
KBEAR KBX4904 (Version 2)KBEAR KBX4904 (Version 2)
KBX4904」(箱入りバージョン)もビニールパック版同様に0.08mmの純銀線を10本束ねた芯材を使用した4芯ケーブルですが、微妙に被膜の太さが異なっており、ケーブルの編み込みも異なっています。音質傾向自体はどちらのバージョンもほぼ同じで、違いがあっても誤差の範疇といえるでしょう。ですので、付属品や見た目の違いはありますが、どちらのバージョンを購入しても音質的には違いはないと思います。

KBX4904」はどちらのバージョンのケーブルでも最近の音質向上が著しいKZ/CCAなどの50ドル~クラスの中華ハイブリッドや、TFZのシングルダイナミックなど、もともと十分に明瞭で解像感のあるイヤホンとの組み合わせで相性の良さを感じます。これらのイヤホンでは音質傾向を変化させずに粒立ちや伸びを向上させ、より繊細な表現を引き出すと思います。
KBEAR KBX4904KBEAR KBX4904 (Version 2)
また明瞭感のある中高域寄りのマルチBAイヤホンやカスタムIEMなどの組み合わせでも同様の効果が得られそうです。いっぽう同じマルチBAでもYinyoo HQ/YQの様な多ドラ仕様イヤホンのように結構メリハリの強めのケーブルと相性が良いイヤホンの場合、中音域のバランスが崩れてしまい、いまひとつな印象となりあまり相性はよくありません。また、ハイグレードなシングルダイナミックに多い比較的鳴らしにくく、駆動力を必要とするイヤホンではやはり多少音が細り合わないケースが多いようです。このようにある意味「純銀線そのもの」の傾向ともいえますが、相性は多少選ぶケーブルであるということも念頭に置いておいた方が良いでしょう。


KBEAR KBX4904というわけで、「KBX4904」は低価格純銀線ケーブルというジャンルで投入された新しい選択肢なわけですが、当初「LitzPS」のメーカー違いかと思いきや、音質傾向的にも違いがあり、とても興味深い印象でした。「TRN T3」「LitzPS」、そして今回の「KBX4904」と、たぶん「謎銀線ではない」低価格ケーブルが3種類出揃い、これまではレアな選択肢だった純銀線が中華イヤホンのリケーブルの選択肢として気軽に選べるようになりました。
ますますスペックモンスター化が著しい各社の低価格イヤホンに「見合う」ケーブルが同様に低価格で購入できるのはとてもハッピーな事だなと思います。まあ、なんというかマニア度というか、「沼」がいっそう広く深まっている気がしないでもないですけどね(^^;)。