CCA C10 Pro

こんにちは。今回は「CCA C10 Pro」です。 中国のイヤホンブランド「CCA」も「KZ」の姉妹ブランドとして中華イヤホン界隈ではすっかりお馴染みになりました。今回の「CCA C10 Pro」は4BA+1DD構成のハイブリッドイヤホンで、CCAの「出世作」ともいえる初期の代表モデル「CCA C10」の後継機種となる製品ですね。私のブログで「CCA C10」を紹介した頃はまだちょっとキワモノ感もあったのですが、その後、当時のKZの多くの製品とはアプローチが異なる、ボーカル帯域によりフォーカスしたサウンドチューニングは多くのファンに受入れられ、一気に大人気モデルになりました。
CCA C10 ProCCA C10 Pro
今回の「CCA C10 Pro」も4BA+1DDのドライバー構成を踏襲しつつ、ハウジング形状を上位モデルの「CCA C12」をベースにしたものに変更。さらにKZの4BA+1DDモデル「KZ ZS10 Pro」のクロームメッキのフェイスプレートの「ダークサイド」バージョンのようなブラック&ゴールドでまとめられている点も話題になりました。巷ではこのデザインは「ガンダムUC」の準主役MS「バンシィ(ユニコーンガンダム2号機)」ということになってるみたいです(^^)。そういえば中国でもガンダム(ガンプラ)はもの凄く人気があるみたいですね。

閑話休題、「CCA C10 Pro」のドライバー構成は高域用の「30095」ツィーターとミッドレンジの「50060」の2種類のBAドライバーを組み合わせが1セット、「CCA C12」と同じ2BAの複合ユニットが1セットをハウジング内に収容。ハウジング中央にはKZ/CCAではお馴染み10mmダイナミックドライバーを搭載。このドライバーは「KZ ZSX」「CCA C12」で採用されている最新タイプの二重磁気回路ダイナミックドライバーで、「KZ ZS10 Pro」および最初の「CCA C10」で搭載されたダイナミックドライバーより音質面がグレードアップしています。また「30095」および「40060」についても数多くのモデルが登場する課程で少しずつブラッシュアップを続けており、「CCA C10」の頃より同様に音質向上しているようです。
CCA C10 ProCCA C10 Pro
なお、発売前のサイト掲載のCGでは複合ユニットが2つではなく、複合ユニットと50060がハウジングに、30095がステムに、というものが掲載されており、現在でもアマゾンやAliExpressの購入ページではそのCGが掲載されているケースも多いですが、これはCG作成時の「誤記」というアナウンスがされています。実際に出荷されている製品は本レビューで引用しているCGのタイプになっています。別に両方のバージョンが有るわけではないので、「そーゆーものだ」と思っておきましょう。

これまで、同様のドライバー構成で複数のモデルを「作り分ける」アプローチを続けているKZおよびCCAのイヤホンでは「ドライバーユニットの配置」というのは重要なチューニング要素であることは私のブログでも繰り返し紹介しています。今回の「CCA C10 Pro」と既存の「CCA C12」「CCA C10」そして「KZ ZS10 Pro」と比較すると、同社のアプローチの違いが見えてきます。
CCA C10/KZ ZS10 Pro/CCA C12

CCA C10 Pro: (ステム部) なし (ハウジング部) [30095+50060]+[複合2BA]+10mm DD (新)
CCA C12:     (ステム部) [30095] (ハウジング部) [複合2BA]×2 + 10mm DD (新)
CCA C10:     (ステム部) [30095+50060] (ハウジング部) [30095+50060] + 10mm DD

KZ ZS10 Pro:  (ステム部) [30095] (ハウジング部) [30095] + [50060]×2 + 10mm DD

単純にハウジング形状や配置のみを比較すると、「CCA C10 Pro」は「CCA C12」からステム部分の「30095」ツィーターを除いたダウングレード版であることがわかります。しかし、「CCA C10 Pro」はかつての「CCA C10」とBA部分の基本的な構成は同じにしつつ、ダイナミックドライバー部分が最新のタイプにグレードアップしたことに合せて、ステム部分のユニットがハウジング内に下がり、よりダイナミックドライバーの出力を反映しやすい構成になっている、という見方もできます。「CCA C10 Pro」では新しいダイナミックドライバーの表現力を活かし、低域だけでなく、中高域部分においてもBAユニットのサウンドを補完するチューニングであると考えられますね。いっぽう「KZ ZS10 Pro」とは同じ4BA+1DD構成でもアプローチの違いがかなり明確に伺えます。

CCA C10 Pro」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」、またはアマゾンの「WTSUN Audio」および「HiFiHear Audio」にて。価格はAliExpress(中国から発送)が35.15ドル~、アマゾンが 5,280円です。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
AliExpress(Easy Earphones): CCA C10 Pro

またアマゾンはプライム在庫があればすぐに届きますし、万が一の場合アマゾン経由でのサポートが受入れられるメリットがありますね。
Amazon.co.jp(CCA Offical Store): CCA C10 Pro
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): CCA C10 Pro
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): CCA C10 Pro


■ C10より少し大きくグレードアップしたハウジング。銀メッキ線ケーブルで見た目もクール。

CCA C10 Pro」のパッケージは従来のものより少しだけ大きく、「CCA CA16」と同じタイプの白箱になっています。箱の正面はCCAのロゴだけで、側面に製品製説明が記載されているのが最近の特徴です。説明書などが紙のケースに入っているのも少し高級感がアップしてますね。
CCA C10 ProCCA C10 Pro
CCA C10 ProCCA C10 Pro
パッケージ内容は本体、ケーブル、本体付属イヤーピース(Mサイズ)、従来タイプのイヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書と従来通り最小限となっています。付属ケーブルは「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」同様に銀メッキ線タイプになりました。

CCA C10 ProCCA C10 Pro
CCA C10 Pro」のシェル形状は「CCA C12」と同じサイズで亜鉛合金製のフェイスプレートは「ZS10 Pro」風のデザインが施されています。個人的にはCCAのロゴ入りよりは良い感じですね。「ZS10 Pro」や「ZSN Pro X」などのKZ製イヤホンと比べると僅かに大きく、多少角張ったデザインと鳴ります。そのため、耳の小さい方は装着に多少イヤーピースなどを工夫した方が良いかもしれませんね。
CCA C10 ProCCA C10 Pro
イヤーピースはいつものタイプのほか、「ZSN Pro X」などと同様にMサイズの別タイプのものが装着済みとなっています。このイヤーピースは従来のものよりは多少良いとは思いますが、やはりイヤーピースは交換した方がよいでしょう。定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするタイプのイヤーピースがお勧めです。今回私は「AET07」を選択しました。


■ より解像感が向上しスッキリしたサウンドに。独特の高域はしっかりした再生環境で堪能したい。

CCA C10 ProCCA C10 Pro」の音質傾向はKZらしさも感じる寒色系のドンシャリで、同様のシェルデザインをもつ「CCA C12」と似た印象はあるものの、よりスッキリした中高域および高域と力強さが増した低域で多少「ZS10 Pro」の方向性にも近いアプローチを感じます。
「CCA C12」と比べてステム部分の高域BAが除かれた事で、「CCA C10 Pro」では耳からの距離が異なる2セットの複合ユニットが高域までをまんべんなくカバーしており、中音域~中高域で同じユニットを集中的に鳴らしていた「CCA C12」よりスッキリして見通しの良いチューニングとなりました。
「CCA C12」はかつての「CCA C10」からボーカル帯域を中心とした濃密さを強化した印象なのに対し、「CCA C10 Pro」はバランスの良さを踏襲しつつKZ的な「寒色系ドンシャリ」のアプローチもより感じさせるサウンド、というように、どちらも上手いポジショニングがされているなと感じます。つまり、「CCA C10 Pro」はその名称の通り「CCA C12」とは別のアプローチでブラッシュアップした「CCA C10」の後継機とも取れますし、そのフェイスパネルのデザインの通り、再定義された「KZ ZS10 Pro」のアップデートという解釈もできるイヤホンだと思えます。アンダー50ドル、30ドル台のカテゴリーでは非常に良い仕上がりになっていると思います。いっぽうで「CCA C12」「KZ ZSX」や今後レビュー予定の「KZ ZAX」とちゃんとアプローチやグレードを分けた音作りができている点も「さすが」と思ったりします。

CCA C10 ProCCA C10 Pro」の高域は非常に明瞭で抜けの良い音を鳴らします。結構再生環境で明瞭感に変化が出るのですが、個人的には最近のKZ/CCAでは「CCA C10 Pro」の高域が最も好みの音だったりします。KZ/CCAはもちろんTRNなども含め多くの中華ハイブリッドが「30095」ツイーターユニットをステム部に配置し、「いかにも」な硬質な高音を作っていますが、「CCA C10 Pro」ではある意味中華ハイブリッドらしくないニュートラルさがあります。ただし、しっかりとした再生環境で鳴らさないと、これらのモデルよりちょっと曇った印象に感じるのは少し難点ではあります。
駆動力のある再生環境、またはリケーブルのうえで再生した「CCA C10 Pro」の高域は非常にスッキリした印象でより解像感のある明瞭な音を鳴らします。非常に伸びが良く最近のKZやCCAのボーカル帯域寄りのチューニングと比べると高域は強めの主張に感じます。そのため、刺さりやすい帯域もしっかり鳴らしていますが、絶妙なバランスにより刺さる少し手前くらいで押さえられています。ただ金属質な煌めきはあるもののよりニュートラルな印象のため、従来のKZ/CCAの硬質さが気になる方には多少聴きやすく感じるのではと思います。

中音域は分離が良くスッキリした音を鳴らします。2セットの複合BAドライバーが中音域と高域を担っているためか、伸びの良い音で籠もること無く抜けの良いサウンドです。ボーカル帯域は近くに定位するものの「CCA C12」の濃密な印象とは異なり、よりドライな印象。音場は左右にかなり広く、「CCA C12」と比べて演奏を楽しめるチューニングだと感じました。高域同様に解像度は高く、より細かいディテールを実感することができます。

CCA C10 Pro低域も分離の良い明瞭な音を鳴らします。量的にも質的にも「CCA C12」と実際はほぼ同じだと思いますが、中音域との分離が格段に良く、非常にスムーズかつはっきりと分かれるため、相対的に中低域の鳴りがより強く実感でき、低音が多めに感じます。解像度が高くキレのある音で、重低音の沈み込みなども「CCA C10」や「KZ ZS10 Pro」などの頃より進化し質の向上を実感することができます。しっかりしたベースラインはとても心地良く感じます。「CCA C12」同様に過度に響くことはなく締まりのある低音です。

CCA C10 Pro」と相性の良いのはロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲のほか、インストゥルメンタルも「CCA C12」より広い音場と適度なメリハリにより楽しく聴くことができるでしょう。またキレと存在感のある低域はEDMなどでも合うと思います。いっぽうでドライかつクールな印象もあるため、バラード曲などは多少あっさりとした印象に、またジャズなどももう少し雰囲気が欲しく感じるかも知れませんね。

また「CCA C10 Pro」自体は比較的鳴らしやすいイヤホンですが、特に中高域を中心にポテンシャルを引き出すためにはある程度の駆動力が必要です。リケーブルの効果も大きく、付属の銀メッキ線ケーブルも以前の銅線ケーブルよりは格段に向上しているものの(以前のブラウンの付属ケーブルはTRNの付属ケーブルと比べても聴いてすぐ分るほどの差がある、ちょっと残念な印象でした)、イヤーピースと併せてできればリケーブルも行った方が良いでしょう。
KBEAR KBX4904CCA C10 Pro
お勧めなのは全体的なスッキリ感をより引き立たせて高域の伸びをよくする「KBX4904」4芯純銀線ケーブルで、さらに全体的にメリハリをと厚みを向上させたい場合は「TRN T4s」8芯単結晶銅線ケーブル、音質傾向を維持したまま情報量をアップして解像感を高めたい場合には「KBX4905」8芯ミックス線ケーブル等が良いと思います。どれも汎用性が非常に高いケーブルですので、KZ/CCAなどの複数の中華イヤホンをお使いの方であれば、これらのケーブルを3種類とも所有していろいろ比べてみるのも良いと思いますよ。


というわけで、「CCA C10 Pro」は予想以上に「攻めた」アプローチで、「CCA C10」をリプレースするだけでなく、同社のイヤホンのライアンナップをブラッシュアップする役目を果たしていました。かつての「ZS10」は当時のKZとしてはかなり異色の音作りで賛否が分かれましたが、その後「CCA C10」で大きくブラッシュアップして以降の同ブランドのイヤホンで継承する流れを作ってきました。
CCA C10 Pro (Purple)いっぽうで、「ZS5」「ZS6」で多くのマニアに認知された「寒色系ドンシャリ」の方向性は「ZSN Pro」そして「ZS10 Pro」でより多くの方が受入れやすいバランスで再構築され、その後「ZSX」「CCA C12」、そして最新の「KZ ZAX」と、より成熟したサウンドへ進化しています(なお「CCA CA16」は亜種扱い^^;)。そんななか、「CCA C10 Pro」は「CCA C10」および「ZS10 Pro」の位置をリプレースする製品として、「ZSTX」より高い解像度と情報量で、「CCA C12」「ZSX」よりスッキリ聴けるイヤホンに進化しました。そういえばサイトでは「CCA C10 Pro」の新色もリリースされており、こちらは「ZS10 Pro」思いっきりリプレースに来てる感じになってますね。ここに来て同社の新製品も一気にリリースされていますし、今後の展開もますます楽しみですね。