BLON BL-05S

こんにちは。今回は「BLON BL-05S」です。以前レビューした「BLON BL-05」のスペシャルバージョンで、非常に目をひくライトグリーンのカラーリングに加え、サウンドチューニングにもアップデートが行われています。従来モデルの「BLON BL-05」も併売されており、あくまで特別版、という位置づけですね。「BL-05」はちょっと「前のめり」なチューニングに多少賛否が分かれる部分がありましたが、「BLON BL-05S」ではよりボーカル帯域にフォーカスしたチューニングがおこなわれており、リ付属ケーブルでもより「分りやすい」サウンドに進化しています。このような意味で、カラーリングの発想は「SE215」に対するミク色の「SE215SPE」みたいなものかな、と勝手に解釈しています。
→ 過去記事: 「BLON BL-05」 明るくスッキリとした中音域メインのサウンド。改良型カーボンナノチューブ(CNT)ドライバーを搭載した低価格中華イヤホン【レビュー】

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BLON BL-05S」は「BL-05」同様、既存の「BL-03」よりブラッシュアップさせた新しい10mm カーボンナノチューブ(CNT)振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載します。このドライバーは、熱音響を使用して、カーボンナノチューブを流れる電流によって生成される音波を作成する仕組みを採用しています。また人間の耳が拾う音響特性を反映するように設計された内部音響チャンバー部分もボーカル曲を中心としたリスニングに最適にアップデートが加えられています。

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また「BLON BL-05S」のハウジング部分はステンレス鋼で製造されています。ケーブルは0.78mm 2pinコネクタですが、本体側にBLON独自の形状の凸部分があり(形状はTFZなどと同じですが少し長い)ケーブルのコネクタ部分のカバーで覆うデザインになっています。

BLON BL-05S」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」、またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。価格はAliExpress(中国から発送)が45ドル~、アマゾンが 5,500円です。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
AliExpress(Easy Earphones): BLON BL-05S
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): BLON BL-05S


■ カラフルなライトグリーンのカラーリングが目をひくデザイン。

BLON BL-05S」のパッケージも「BLON BL-05」同様にTFZ風。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(開口部が広いタイプが大小2ペア、普通のタイプがS/M/Lサイズ)、布製ポーチ、説明書です。
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ハウジングも「BL-05」と同じ金属製ですが、一見するとプラスチック製かなと思ってしまうような、なかなか派手なカラーリングですね。個人的にはブルーとかレッドとか、もう少し一般ウケするカラーもあったほうが・・・と思いますが、「カワイイ系」とかんがえれば「むしろ有り」なのかも。この辺はちょっとご意見を伺いたいところです。
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装着性は悪くありませんが細長いイヤーピースは好みが分かれそうです。個人的には付属イヤーピースはどのタイプも十分なフィット感が得られない印象です。また「BL-05」もそうですが、「BLON BL-05S」はイヤーピースは音質面でも影響があるため交換は必須と考えた方が良いでしょう。イヤーピースは定番のJVCの「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部の大きいイヤーピースを合せるのが良いと思います。またステム部分がしっかりと入らない場合は「AET06」や「RHAダブルフランジイヤーピース」などのダブルフランジタイプを組み合わせるとしっかり固定できると思います。


■ よりボーカル帯域にフォーカスしたチューニングで中低域の印象が改善

BLON BL-05SBLON BL-05S」の音質傾向はほぼ「BL-05」を踏襲しており、緩やかなドンシャリで中高域に寄った多少あっさり目のサウンドで全体的に明るい印象の鳴り方をします。さらにポップスやアニソンなどのボーカル曲に最適化されたチューニングが行われているらしく、主に中低域の印象に変化が感じられます。「BL-05」では低域の響きを多少コントロールすることで中低域の主張を強く感じる印象でしたが、「BLON BL-05S」ではカーボンナノチューブ(CNT)ドライバーの中高域の印象を継承しつつ、多少ドンシャリ傾向に低域のバランスを変化させているのがわかります。そういった意味では少しだけ「BL-03」寄りにしているとも言えますね。僅かな変化ではありますが、付属ケーブルでも中音域の音像はより捉えやすくなっており、ボーカルは前面で明瞭に再生され、演奏は少し下がって奥行きを感じさせます。とはいえ、「BLON BL-05S」もやはり再生環境による変化は大きく、印象として多少「薄く」または「軽く」感じやすいサウンドである点は「BL-05」と同様です。そのためリケーブルは「BLON BL-05S」でも必要な印象で、情報量の多いケーブルに交換することで全体のバランスが向上し、より聴きやすく快適なリスニングができるのではと思います。

BLON BL-05SBLON BL-05S」の高域はスッキリした印象の音を鳴らします。「BL-05」同様に「BL-03」より多少控えめの印象を受けますが、適度に刺激を抑えつつある程度の主張があり、同様の煌びやかさを感じます。またリケーブルにより変化が得られやすく、解像感や伸びがより向上したサウンドを実感できます。
中音域はボーカル帯域を中心に「BLON BL-05S」でチューニングに変化が加えられたポイントと思われます。「BL-05」ではボーカル向けなのか演奏向けなのかいまひとつ狙い所がよく分らない印象も感じられましたが、「BLON BL-05S」ではより明確なボーカル向けのチューニングが加えられているのを実感します。ボーカルが前面で定位し明瞭に鳴ります。演奏は後方で鳴ることで奥行きを感じ、かつ自然な範囲での広がりがあるため「BL-05」では多少狭く感じた音場も多少広がった雰囲気となります。また全体的に硬質な印象でサッパリとした音は同様です。
BLON BL-05S」の低域は「BL-05」より僅かですが量的に増加している印象となります。重低音の表現力は「BL-05」同様に個人的にはいまひとつで「BL-03」ほどの沈み込みはありません。ただミッドベースを中心に厚みが増しており、よりメリハリを感じやすいチューニングになっています。それでも中高域との分離の良さは確保されており、比較的音数の多い曲でもベースラインを捉えやすい印象です。ただ低域の質感を求める方にはやはり「BL-03」のほうが好感されそうです。

IMG_20200918_075336相性の良いのはポップスやアニソンなどのボーカル曲で、他のジャンルの曲もアップテンポの曲を楽しむうえでは良いと思います。また奥行きや広がりが多少向上しているためライブ音源での臨場感も良くなっています。とはいえ定位は正確ではなく、低域も物足りなさがあるため、クラシックやジャズなどはやはり向いていないようです。
リケーブルについても「BL-05」と基本的には同様で、情報量の多いケーブルにリケーブルすることで解像感が大幅に向上します。付属ケーブルでは分離の良さに解像度が追い付いていないと感じる場合もありますが、それだけリケーブル効果が大きいイヤホンだともいえるでしょう。よりスッキリした印象なら銀メッキ線やミックス線、低域の厚みを意識するなら銅線タイプのケーブルを選択すると良いのではと思います。


というわけで、「BLON BL-05S」は「BL-05」の傾向を踏襲しつつ、よりボーカル向けに最適化を行った製品でした。個人的には「BLON BL-05S」のチューニングの方が好印象だったことも有り、他のカラーバリエーションを追加するか、現状のガンメタルとシルバーの「BL-05」についても「BLON BL-05S」仕様にアップデートされることが望ましいなと感じています。まあそれでも多少好みの分かれるイヤホンであること自体は変わりないという感じもしますね(^^;)。