こんにちは。今回は「TFZ LIVE 1」(マイク付きは「TFZ LIVE 1M」)の紹介です。中国のイヤホンブランドTFZ(The Fragrant Zither)のシングルダイナミック構成のイヤホン。実績のあるグラフェン振動板を採用した第2世代デュアル磁気回路ダイナミックドライバーをブラッシュアップして搭載し、さらに低価格化を行った最新のエントリーモデルになります。昨年の「KING EDITION」などから約1年ぶりでの新製品となりますね。
TFZでは今回の「TFZ LIVE 1」を皮切りに、「LIVE」ラインの製品を順次シリーズ化していくようで、すでに上位モデルとなる「LIVE 3」がすでにプレセールスを開始しました。「TFZ LIVE 1」は初期のTFZでいうとちょうど「SERIES 1」「SERIES 1S」の価格帯の製品となるため、同様に「SERIES 3/3S」ポジションの「LIVE 3」、「SERIES 5/5S」ポジションの「LIVE 5」といった風に今後ラインナップが改めて整理されるのかもしれませんね。
TFZ製品については私のブログがおそらく日本で最も多くのモデルをレビューしている気もしますが、ここ数年は複数のモデル名が混在しラインナップが非常に分りにくくなっていました(過去記事でTFZのラインナップについては3回に分けて「まとめ」を行っています)。今回の「LIVE」で改めてラインナップが分りやすくなるのは良いことですね。
→ 過去記事: 【メーカー別まとめ】TFZイヤホン編 その① (前編) / その② (中編) / その③ (後編)
またTFZ製イヤホンのラインナップについては私のブログにて独自に作成した価格帯マトリクスを公開しており、随時更新をしています。よろしければ併せて参照ください。
・【メーカー別まとめ】 「TFZ」イヤホン編 / 最新版・価格別マトリクスチャート ※随時更新
「TFZ LIVE1」はTFZの新しいエントリーグレードの製品として、ベースとしては「T2 Galaxy (T2G)」で採用された「第2世代」グラフェン振動板デュアル磁気回路ダイナミックドライバーを30%パフォーマンス向上して採用してます。第2世代ドライバーは「EXCLUSIVE KING」(初代「KING」)で最初に搭載されて以降、数多くの製品に搭載されたTFZにとっても歴史のある「使い慣れた」存在。「TFZ LIVE1」ではすでに成熟したドライバーをブラッシュアップすることで、質の高いサウンドを低価格で実現することに成功しています。
また「TFZ LIVE1」では「マイク付き」ケーブルモデルを初めて設定。KZなどの低価格中華イヤホンではお馴染みですが、実はTFZでは「T1S」など一部の機種でマイク付きモデルがあった以外は実は今回がはじめてだったりします。オンラインミーティングやゲームなど、従来のスマートフォン通話以外でのマイク付きイヤホンのニーズが増える中で、新たな普及モデルである「TFZ LIVE1」にマイク付きモデルが設定されるのは当然の流れといえるでしょう。またパッケージも一新され、色々な意味で新しいシリーズであることを改めて実感します。
「TFZ LIVE 1」のカラーバリエーションは8色で、日本国内では「Shiny White」「Shiny Black」「Shiny Blue」「Shiny Green」の4色が通常販売、「Shiny Red」「Shiny Yellow」「Shiny Pink」「Dark Gray」の4色が代理店の直販限定となるようです。かつて同様に豊富なカラーバリエーションがあった「SERIES 2」が日本でもマニアの間で人気モデルだったものの「カラバリが多すぎる」という理由で日本での販売が見送られた経緯を考えると、良い対応だと思います。
「TFZ LIVE 1」の購入は、海外版はAliExpressの「The Fragrant Zither Official Store」をはじめとする各ストアまたは「SHENZHENAUDIO」など。海外版の価格は 39.90ドル~で、さらにTwitterなどでセール情報などもあらかじめチェックしておくのも良いでしょう。
AliExpress(The Fragrant Zither Official Store): TFZ LIVE 1
SHENZHENAUDIO : TFZ LIVE 1
また9月26日より国内版も各専門店やアマゾンなどで購入できます。
日本国内版は「TFZ LIVE 1」(マイク無し)が 6,200円、「TFZ LIVE 1M」(マイク付き)が 6,800円になるようです。
Amazon.co.jp(国内正規版): TFZ LIVE 1
楽天市場(検索結果): TFZ LIVE 1
■ 従来の縦長ボックスからパッケージを一新。今回からイヤホンポーチは付属せず?
今回私は「ホワイト」と「レッド」の2色を購入。つい複数のカラバリをまよわず買ってしまう辺りが我ながら沼が深いですね・・・(汗)。TFZ Offical Storeのプレセール期間に購入したため、オマケでレザーケースが同梱され、パッケージとは別箱で付いてきました。今回からパッケージのボックス形状が変更となっているのは前述の通りです。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル(NO.3以降のTFZではお馴染みの銀メッキ線タイプ)、イヤーピース(2種類、それぞれS/M/Lサイズと本体付属のMサイズ)、ケーブルフック、説明書。従来のTFZで付属していたポーチは今回付属しませんでした。私の購入分ではレザーケースをおまけに付けてもらいましたが、通常商品ではケースやポーチは付属しないことになりそうですね。
シェル形状は「TFZ MY LOVE II」や「SERIES 2」と共通の樹脂製で、お馴染みのデザイン。フェイスパネルは下部にラインストーンがあしらわれたデザインは「MY LOVE 2」に近い印象ですが、ハウジング自体は透明なデザイン。こちらは「MY LOVE 2」や「SERIES 2」(フェイスと同色)とは異なり、「TFZ LIVE 1」独自のカラーリングとなります。より透明感があり美しさを感じますね。従来のTFZと同じ形状のため、装着感も従来モデルと同様です。多少大きなハウジングのため耳の小さな方は合わない場合もありますが、装着感自体は悪くありません。
イヤーピースは付属の開口部の大きい方(原音忠実)と小さい方(やや低域がアップ)のほか、定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするタイプのイヤーピースがお勧めです。他にもダブルフランジタイプの「AET06」や「RHA ダブルフランジイヤーピース」を組み合わせるのも良いと思います。
■ 「SERIES 2」の濃厚な中音域を踏襲しつつ、各音域の主張をアップ。より明瞭なサウンドに。
「TFZ LIVE 1」の音質傾向は最近のTFZ製イヤホンのなかでは中高域寄りの元気なサウンドで、かなり明るく鳴る高域と伸びの良い中高域が特徴的なサウンドです。とはいえ低域もタイトぎみですがかなりパワフル。高域、中音域、低域の各音域に強い主張があるため、全体的な傾向としては弱ドンシャリくらいにまとまっていますが、最近ちょっと大人しめにまとめることが多いTFZでは久々に「かなり派手な音」といえるでしょう。
このような傾向が「LIVE」シリーズ共通の方向性なのか、モデルによってドライバーのキャラクターに合せてサウンドも変えてくるかは次の「LIVE 3」(第3世代ドライバー搭載)を待って判断する必要がありますが、個人的には「第2世代」ドライバーは「EXCLUSIVE KING」に代表される主張強めのサウンドが得意なドライバーと考えており、「TFZ LIVE 1」はその特徴を活かしたチューニングだと感じます。
もともとTFZの各世代のダイナミックドライバーにわたり共通の二重磁気回路(Dual-Magnetic Circuit Two Divided-Frequency Unit)は「二重のコイル」と「二重のチャンバー」という2つの磁気回路により、ひとつの振動版でデュアルドライバーやハイブリッドのように音域ごとに鳴らし分けダイナミックレンジの広さを実現しており、シングルドライバーらしい「つながりの良さ」と両立させることで他社にはないサウンドを実現しています。
同じ「第2世代」ドライバーを搭載した「SERIES 2」および「T2 Galaxy (T2G)」と比較すると、似た傾向ながら、より中高域が強調された印象です。そのためアニソンやポップスなどの女性ボーカル曲と非常に相性が良く、パワフルでキレのあるサウンドを楽しめます。また、派手めの中華ハイブリッドなどのメリハリのあるサウンドが好みの方には受入れやすい傾向で、40ドル程度の価格設定ながら、同価格帯のKZやTRNのハイブリッドより解像感があり、TRNなどで良く感じられる中高域の金属質な音色と比べると、硬質ではあるもののまっすぐ伸びていく印象はより自然に感じると思います。個人的には前回レビューした7BA+1DD構成の「KZ ZAX」の3分の2程度の価格ですが「TFZ LIVE 1」の音質的には十分に匹敵するか、それ以上の解像感や表現力があると思います。特に中高域から高域については個人的には「TFZ LIVE 1」のほうが好みです。この点は良し悪しと言うより好みで意見が分かれる部分だと思います。
「TFZ LIVE 1」の高域は明るく開放感がある伸びの良い音を鳴らします。また解像感もアンダー50ドルのイヤホンとしてはかなり高く、スッキリとした見通しの良い音で詳細なディテールを実感できます。「SERIES 2」や「T2 Galaxy (T2G)」より主張は強いもののシャリ付きなどは少ない印象。適度な鋭さが有り個人的には好印象です。ただし刺さりやすい帯域の刺激も少し多いため、再生環境によっては鋭すぎると感じる方もいらっしゃるかも知れません。
中音域は明瞭さの中に濃厚さを感じる主張の強いサウンド。「SERIES 2」や「T2 Galaxy (T2G)」同様に適度な広さと奥行きのある音場感と、明瞭で少し前に出るボーカルのバランスが優れています。特に女性ボーカルは美しく伸びの良さが有り、高音も明瞭に抜けます。中低域もスッキリしており音数が多くても分離の良さがあります。多少硬質で力強くはっきりとした輪郭のある音ですが、極端に人工的にはならずにまとめられている点は好印象です。ただ解像感を感じやすいため聴き疲れしやすい、という側面もあります。
低域もパワフルでパンチのあるサウンドで、レスポンスが良くキレのある音を鳴らします。スピード感のある曲でも十分に厚みと深さがあり、エネルギッシュな印象です。非常に力強い低域ですが締まりが有り、中高域との分離ははっきりしています。性能アップした「第2世代」ドライバーの表現力は高く、適度な質感があります。
「TFZ LIVE 1」のサウンドは、ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲と相性が良く、非常にパワフルかつエネルギッシュに楽しむことができます。また音場が広く臨場感があるためライブ音源も非常に魅力的ですし、EDMなども相性が良いと思います。いっぽうでジャズやクラシックなどは、くっきりはっきりし過ぎで温かさが足りないと感じるでしょうし、BGM的に使うのには聴き疲れしやすい音かもしれません。また解像度は高いものの、モニター的な音とはかなり異なります。
「TFZ LIVE 1」は全体的に主張が強い傾向と言うこともあって、付属ケーブルでも十分に明瞭に鳴ってくれます。リケーブルなしでも十分に楽しめるというのは、マイク付きケーブルが付属する「TFZ LIVE 1M」をラインナップしている事を考慮するととても有り難いことです。しかし、さらにリケーブルを見当する場合は、本来のサウンドバランスを維持したまま情報量を向上させたり、透明感をアップさせることが望ましいでしょう。透明感という上では最近低価格化が進んでいる純銀線ケーブル、具体的には「NICEHCK LitzPS」や「KBEAR KBX4904」などとの組み合わせが良いでしょう。さらに低域の厚みをアップしつつ全体的な情報量の向上という点では「KBX4905」などの8芯ミックス線ケーブルや音質傾向の変化が少ない銀メッキ線ケーブルなどを組み合わせるのも良いでしょう。
というわけで、「TFZ LIVE 1」(および「TFZ LIVE 1M」)は第2世代ドライバーをブラッシュアップし、ようやく本当の意味で「SERIES 2」をリプレースできる製品として登場しました。従来の製品を踏襲している部分も多く、もしかしたら本命は今後の「LIVE 3」(現在プレセール中)や、あるいは登場しそうな「LIVE 5」といった製品なのかも知れません。しかし、「TFZ LIVE 1」も新しいパッケージやより洗練されたサウンドなど、これまでのTFZ製品の経験を反映した非常にコストパフォーマンスの高いイヤホンに仕上がっていました。
個人的にはこの製品が40ドル以下で購入できるというのはかなりお買得ですね。また、国内モデルは6千円だと少し高めになりますが、是非とも「KZ ZAX」あたりと聴き比べて欲しい製品で、音質的にもお勧め度の高いイヤホンだと思いますよ。
TFZ製品については私のブログがおそらく日本で最も多くのモデルをレビューしている気もしますが、ここ数年は複数のモデル名が混在しラインナップが非常に分りにくくなっていました(過去記事でTFZのラインナップについては3回に分けて「まとめ」を行っています)。今回の「LIVE」で改めてラインナップが分りやすくなるのは良いことですね。
→ 過去記事: 【メーカー別まとめ】TFZイヤホン編 その① (前編) / その② (中編) / その③ (後編)
またTFZ製イヤホンのラインナップについては私のブログにて独自に作成した価格帯マトリクスを公開しており、随時更新をしています。よろしければ併せて参照ください。
・【メーカー別まとめ】 「TFZ」イヤホン編 / 最新版・価格別マトリクスチャート ※随時更新
「TFZ LIVE1」はTFZの新しいエントリーグレードの製品として、ベースとしては「T2 Galaxy (T2G)」で採用された「第2世代」グラフェン振動板デュアル磁気回路ダイナミックドライバーを30%パフォーマンス向上して採用してます。第2世代ドライバーは「EXCLUSIVE KING」(初代「KING」)で最初に搭載されて以降、数多くの製品に搭載されたTFZにとっても歴史のある「使い慣れた」存在。「TFZ LIVE1」ではすでに成熟したドライバーをブラッシュアップすることで、質の高いサウンドを低価格で実現することに成功しています。
また「TFZ LIVE1」では「マイク付き」ケーブルモデルを初めて設定。KZなどの低価格中華イヤホンではお馴染みですが、実はTFZでは「T1S」など一部の機種でマイク付きモデルがあった以外は実は今回がはじめてだったりします。オンラインミーティングやゲームなど、従来のスマートフォン通話以外でのマイク付きイヤホンのニーズが増える中で、新たな普及モデルである「TFZ LIVE1」にマイク付きモデルが設定されるのは当然の流れといえるでしょう。またパッケージも一新され、色々な意味で新しいシリーズであることを改めて実感します。
「TFZ LIVE 1」のカラーバリエーションは8色で、日本国内では「Shiny White」「Shiny Black」「Shiny Blue」「Shiny Green」の4色が通常販売、「Shiny Red」「Shiny Yellow」「Shiny Pink」「Dark Gray」の4色が代理店の直販限定となるようです。かつて同様に豊富なカラーバリエーションがあった「SERIES 2」が日本でもマニアの間で人気モデルだったものの「カラバリが多すぎる」という理由で日本での販売が見送られた経緯を考えると、良い対応だと思います。
「TFZ LIVE 1」の購入は、海外版はAliExpressの「The Fragrant Zither Official Store」をはじめとする各ストアまたは「SHENZHENAUDIO」など。海外版の価格は 39.90ドル~で、さらにTwitterなどでセール情報などもあらかじめチェックしておくのも良いでしょう。
AliExpress(The Fragrant Zither Official Store): TFZ LIVE 1
SHENZHENAUDIO : TFZ LIVE 1
また9月26日より国内版も各専門店やアマゾンなどで購入できます。
日本国内版は「TFZ LIVE 1」(マイク無し)が 6,200円、「TFZ LIVE 1M」(マイク付き)が 6,800円になるようです。
Amazon.co.jp(国内正規版): TFZ LIVE 1
楽天市場(検索結果): TFZ LIVE 1
■ 従来の縦長ボックスからパッケージを一新。今回からイヤホンポーチは付属せず?
今回私は「ホワイト」と「レッド」の2色を購入。つい複数のカラバリをまよわず買ってしまう辺りが我ながら沼が深いですね・・・(汗)。TFZ Offical Storeのプレセール期間に購入したため、オマケでレザーケースが同梱され、パッケージとは別箱で付いてきました。今回からパッケージのボックス形状が変更となっているのは前述の通りです。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル(NO.3以降のTFZではお馴染みの銀メッキ線タイプ)、イヤーピース(2種類、それぞれS/M/Lサイズと本体付属のMサイズ)、ケーブルフック、説明書。従来のTFZで付属していたポーチは今回付属しませんでした。私の購入分ではレザーケースをおまけに付けてもらいましたが、通常商品ではケースやポーチは付属しないことになりそうですね。
シェル形状は「TFZ MY LOVE II」や「SERIES 2」と共通の樹脂製で、お馴染みのデザイン。フェイスパネルは下部にラインストーンがあしらわれたデザインは「MY LOVE 2」に近い印象ですが、ハウジング自体は透明なデザイン。こちらは「MY LOVE 2」や「SERIES 2」(フェイスと同色)とは異なり、「TFZ LIVE 1」独自のカラーリングとなります。より透明感があり美しさを感じますね。従来のTFZと同じ形状のため、装着感も従来モデルと同様です。多少大きなハウジングのため耳の小さな方は合わない場合もありますが、装着感自体は悪くありません。
イヤーピースは付属の開口部の大きい方(原音忠実)と小さい方(やや低域がアップ)のほか、定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするタイプのイヤーピースがお勧めです。他にもダブルフランジタイプの「AET06」や「RHA ダブルフランジイヤーピース」を組み合わせるのも良いと思います。
■ 「SERIES 2」の濃厚な中音域を踏襲しつつ、各音域の主張をアップ。より明瞭なサウンドに。
「TFZ LIVE 1」の音質傾向は最近のTFZ製イヤホンのなかでは中高域寄りの元気なサウンドで、かなり明るく鳴る高域と伸びの良い中高域が特徴的なサウンドです。とはいえ低域もタイトぎみですがかなりパワフル。高域、中音域、低域の各音域に強い主張があるため、全体的な傾向としては弱ドンシャリくらいにまとまっていますが、最近ちょっと大人しめにまとめることが多いTFZでは久々に「かなり派手な音」といえるでしょう。
このような傾向が「LIVE」シリーズ共通の方向性なのか、モデルによってドライバーのキャラクターに合せてサウンドも変えてくるかは次の「LIVE 3」(第3世代ドライバー搭載)を待って判断する必要がありますが、個人的には「第2世代」ドライバーは「EXCLUSIVE KING」に代表される主張強めのサウンドが得意なドライバーと考えており、「TFZ LIVE 1」はその特徴を活かしたチューニングだと感じます。
もともとTFZの各世代のダイナミックドライバーにわたり共通の二重磁気回路(Dual-Magnetic Circuit Two Divided-Frequency Unit)は「二重のコイル」と「二重のチャンバー」という2つの磁気回路により、ひとつの振動版でデュアルドライバーやハイブリッドのように音域ごとに鳴らし分けダイナミックレンジの広さを実現しており、シングルドライバーらしい「つながりの良さ」と両立させることで他社にはないサウンドを実現しています。
同じ「第2世代」ドライバーを搭載した「SERIES 2」および「T2 Galaxy (T2G)」と比較すると、似た傾向ながら、より中高域が強調された印象です。そのためアニソンやポップスなどの女性ボーカル曲と非常に相性が良く、パワフルでキレのあるサウンドを楽しめます。また、派手めの中華ハイブリッドなどのメリハリのあるサウンドが好みの方には受入れやすい傾向で、40ドル程度の価格設定ながら、同価格帯のKZやTRNのハイブリッドより解像感があり、TRNなどで良く感じられる中高域の金属質な音色と比べると、硬質ではあるもののまっすぐ伸びていく印象はより自然に感じると思います。個人的には前回レビューした7BA+1DD構成の「KZ ZAX」の3分の2程度の価格ですが「TFZ LIVE 1」の音質的には十分に匹敵するか、それ以上の解像感や表現力があると思います。特に中高域から高域については個人的には「TFZ LIVE 1」のほうが好みです。この点は良し悪しと言うより好みで意見が分かれる部分だと思います。
「TFZ LIVE 1」の高域は明るく開放感がある伸びの良い音を鳴らします。また解像感もアンダー50ドルのイヤホンとしてはかなり高く、スッキリとした見通しの良い音で詳細なディテールを実感できます。「SERIES 2」や「T2 Galaxy (T2G)」より主張は強いもののシャリ付きなどは少ない印象。適度な鋭さが有り個人的には好印象です。ただし刺さりやすい帯域の刺激も少し多いため、再生環境によっては鋭すぎると感じる方もいらっしゃるかも知れません。
中音域は明瞭さの中に濃厚さを感じる主張の強いサウンド。「SERIES 2」や「T2 Galaxy (T2G)」同様に適度な広さと奥行きのある音場感と、明瞭で少し前に出るボーカルのバランスが優れています。特に女性ボーカルは美しく伸びの良さが有り、高音も明瞭に抜けます。中低域もスッキリしており音数が多くても分離の良さがあります。多少硬質で力強くはっきりとした輪郭のある音ですが、極端に人工的にはならずにまとめられている点は好印象です。ただ解像感を感じやすいため聴き疲れしやすい、という側面もあります。
低域もパワフルでパンチのあるサウンドで、レスポンスが良くキレのある音を鳴らします。スピード感のある曲でも十分に厚みと深さがあり、エネルギッシュな印象です。非常に力強い低域ですが締まりが有り、中高域との分離ははっきりしています。性能アップした「第2世代」ドライバーの表現力は高く、適度な質感があります。
「TFZ LIVE 1」のサウンドは、ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲と相性が良く、非常にパワフルかつエネルギッシュに楽しむことができます。また音場が広く臨場感があるためライブ音源も非常に魅力的ですし、EDMなども相性が良いと思います。いっぽうでジャズやクラシックなどは、くっきりはっきりし過ぎで温かさが足りないと感じるでしょうし、BGM的に使うのには聴き疲れしやすい音かもしれません。また解像度は高いものの、モニター的な音とはかなり異なります。
「TFZ LIVE 1」は全体的に主張が強い傾向と言うこともあって、付属ケーブルでも十分に明瞭に鳴ってくれます。リケーブルなしでも十分に楽しめるというのは、マイク付きケーブルが付属する「TFZ LIVE 1M」をラインナップしている事を考慮するととても有り難いことです。しかし、さらにリケーブルを見当する場合は、本来のサウンドバランスを維持したまま情報量を向上させたり、透明感をアップさせることが望ましいでしょう。透明感という上では最近低価格化が進んでいる純銀線ケーブル、具体的には「NICEHCK LitzPS」や「KBEAR KBX4904」などとの組み合わせが良いでしょう。さらに低域の厚みをアップしつつ全体的な情報量の向上という点では「KBX4905」などの8芯ミックス線ケーブルや音質傾向の変化が少ない銀メッキ線ケーブルなどを組み合わせるのも良いでしょう。
というわけで、「TFZ LIVE 1」(および「TFZ LIVE 1M」)は第2世代ドライバーをブラッシュアップし、ようやく本当の意味で「SERIES 2」をリプレースできる製品として登場しました。従来の製品を踏襲している部分も多く、もしかしたら本命は今後の「LIVE 3」(現在プレセール中)や、あるいは登場しそうな「LIVE 5」といった製品なのかも知れません。しかし、「TFZ LIVE 1」も新しいパッケージやより洗練されたサウンドなど、これまでのTFZ製品の経験を反映した非常にコストパフォーマンスの高いイヤホンに仕上がっていました。
個人的にはこの製品が40ドル以下で購入できるというのはかなりお買得ですね。また、国内モデルは6千円だと少し高めになりますが、是非とも「KZ ZAX」あたりと聴き比べて欲しい製品で、音質的にもお勧め度の高いイヤホンだと思いますよ。