こんにちは。今回はKZの最新モデル「KZ ZAX」です。中国のイヤホンブランド「KZ」はいわゆる「低価格中華イヤホン」の代表的な存在ですが、同時に恐竜的進化でハイスペック化を牽引してるメーカーとしてもマニアの間ではお馴染み。今回の「KZ ZAX」では 7BA+1DD という構成で60ドル台、7千円前後という「は?」と思わず二度見してしまうようなスペックと価格設定を実現しています。
KZは以前から8BA構成で1万円ちょっとの「KZ AS16」を販売していますし、最近では姉妹ブランドのCCAですでに7BA+1DD構成で1万円以下の「CCA CA16」をリリースしていますが、「KZ ZAX」では搭載しているドライバー構成にさらに「ひとひねり」加えており、音質面でも「アンダー1万円クラスのマルチドライバー搭載イヤホンの究極形」を感じさせる完成度の高さになっています。
「KZ ZAX」は樹脂製ハウジングと金属製フェイスプレートのシェルデザインを採用。先行してリリースされている7BA+1DD構成の「CCA CA16」ではKZ製完全ワイヤレス(TWS)である「KZ S2」のシェル形状を踏襲し、ダイナミックドライバーも共通の7mmサイズを採用していましたが、「KZ ZAX」では「KZ ZSN Pro X」(1BA+1DD)や「KZ ZS10 Pro」(4BA+1DD)といった従来モデルのシェルサイズを継承し、5BA+1DDの「KZ ZSX」「CCA C12」よりコンパクトなハウジングに7基のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーと10mmのダイナミックドライバーを搭載しています。
「KZ ZAX」のドライバー構成は高域用の「30095」BAがステムノズル部分1セットに、ハウジング部分にミッドレンジを中心に幅広くカバーする「50024」2BAユニットが2セット(4BA)、さらにボーカル帯域のディテールを強化する中高域ユニットの「30019」BAが2セット、そして、「KZ ZSX」などでも採用されている最新の「10mm 二重磁気回路ダイナミックドライバー」を搭載。合計で7BA+1DDの4way構成となります。
ミッドレンジ2BAユニットの「50024」は「CCA CA16」から登場した新しいユニットで、TWSの「CCA CX10」でも搭載されていますが、「KZ ZSX」で「DWEK」と表記されたミッドレンジ2BAユニットと同一かは不明です。また「30019」もKZおよびCCAでは新しいユニットで、「KZ ZAX」以外ではTWSの「CCA CX4」の高域用ユニットとして搭載されています。また同じ「30019」というモデルナンバーはTRNでは「TRN V90」の高域用BAとしても採用されています。
KZ ZAX: (ステム部) [30095] (ハウジング部) [30019]×2+[50024 (2BA)]×2+10mmDD
また低域のダイナミックドライバーも「KZ ZSX」と同様の最新タイプの10mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載し、TWSの「KZ S2」と同じ7mmドライバーを採用した「CCA CA16」とは同じ7BA+1DDでもかなりドライバー構成に違いがあるのがわかりますね。
「KZ ZAX」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。価格はAliExpressが60ドル~、アマゾンが7,280円です。
AliExpress(Easy Earphones): KZ ZAX
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※WTSUN Audioでは現在5% OFFクーポンを配付中で実質「6,916円」で購入できます。
■ 従来サイズのハウジングにドライバーがびっしり。シンプルでコンパクトな印象のシェルデザイン
「KZ ZAX」のパッケージはハイグレードモデルで採用されている黒箱タイプ。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書と従来通り最小限となっています。付属ケーブルは「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」同様に銀メッキ線タイプになりました。
「KZ ZAX」は10mmのダイナミックドライバーに7基のBAを搭載というスペックですがシェルサイズは想像以上に小さい印象。同じ7BA+1DD構成の「CCA CA16」よりひとまわり以上コンパクトで、クリアカラーの樹脂製ハウジング内にびっしり詰まったドライバーが確認できます。
金属製フェイスプレートの丸みを帯びたデザインもよりコンパクトな印象を持たせているかも知れませんね。フェイス部分のスリットの奥にはメッシュ状のパーツが見えますが、いちおう透明な樹脂製のふたのようなものもあり全てが開口しているわけではないようです。ただこの部分にベント(空気孔)はあるようで、かつての「KZ ZS6」「ZS7」くらいの音漏れはあります。静かな図書館などでは気になるかも知れませんが、現在のソーシャルディスタンスを考慮すれば普段使いではまず問題ないでしょう。遮音性については一般的なレベルです。
サイズ的には5BA+1DD構成の「KZ ZSX」よりひとまわり以上コンパクトで並べるとより小ささが際立ちます。実際には「KZ ZAX」のシェルはフェイスプレートに厚みがあるものの、樹脂製のハウジング部分は「KZ ZSN Pro X」や「KZ ZS10 Pro」と全く同じサイズおよび形状で、アルミ合金製ステムノズルやKZタイプC仕様のコネクタ位置なども全く同じです。ただこれら2モデルと比べても「より小さく見えるデザイン」になっているのがわかります。そのため装着性は従来のKZ製イヤホンと同様で、ハウジングが大きくなりがちないわゆる「多ドラ」イヤホンとしてはかなり良い方といっていいでしょう。
付属ケーブルも「KZ ZSTX」「KZ ZSN Pro X」と同じ銀メッキ線ケーブルが付属。こちらも「CCA CA16」では従来の銅線ケーブルでしたので、よりアップグレードしていますね。いっぽうでイヤーピースは残念ながら従来通り。やはりイヤーピースは交換した方がよいでしょう。定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするタイプのイヤーピースがお勧めです。今回私は「スパイラルドット」を選択しました。
■ KZらしさを僅かに感じつつも従来より格段に進化した完成度の高いサウンド。
「KZ ZAX」の音質傾向は、非常にバランスの整った弱ドンシャリ。KZのカラーというか、中高域にあるKZ/CCA独特の金属質な色味は多少感じられるものの、高域の伸びや中音域の抜け感、低域のパフォーマンスの高さなど、どれを取っても従来のKZおよびCCAブランドのイヤホンの中で最もまとまりがあり、質の高さを感じるものです。
7基ものバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを搭載しているにもかかわらず、そのチューニングは秀逸で「多ドラ」イヤホン特有の音の重なり感(これを厚みや音の細かさといったようにポジティブに捉える場合もあれば、籠もりといったネガティブな捉え方もありますね)が非常に少なく、中高域にはシングルダイナミックのような抜けの良さと透明感があります。いっぽうで、「KZ ZSX」を含む従来のKZ/CCAのハイブリッド構成のモデルと比べて解像感は高く、全体的に癖のないニュートラルな表現のなかに各音域の主張がはっきり読み取れ、様々なジャンルの曲で十分なパフォーマンスを発揮します。つまり、KZのハイブリッドイヤホンのなかでも、完成度の上では間違いなく最もお勧めできるモデルのひとつと言えるでしょう。
「KZ ZAX」の高域は伸びが良く、従来より透明感が増した明るい音を鳴らします。「KZ ZSX」や「CCA C12」が多少「CCA C10」方向で多少温かさを感じる印象だったのに対し、「KZ ZAX」の高域は「KZ ZS10 Pro」などの「いかにもKZらしい」「中華ハイブリッドらしい」という寒色系の音になっています。明瞭かつ硬質な音ではあるものの、伸びの良さや見通しの良さをより実感じやすい音になった印象。シンバル音なども比較的綺麗に鳴っており従来のKZより質の向上を実感します。刺さり等の刺激は適度にコントロールされています。7BA+1DDというドライバー構成を考えれば非常に良くまとめられた高音だと思います。
「KZ ZAX」は従来のKZ製イヤホンに比べても非常にバランスの良いサウンドで、多くの場合ジャンルを選ばずに楽しめるイヤホンだと思います。同じ7BA+1DD構成の「CCA CA16」と比較しても格段に鳴らしやすく、再生環境への依存度は少なく、付属ケーブルでもそれなりに楽しめるイヤホンだと思います(いっぽう「CCA CA16」はちゃんと鳴らすためには駆動力のある再生環境が必要で、リケーブルも必須です)。音質的には「CCA CA16」がボーカル帯域に濃密さととともに多少ウォームな印象を感じるのに対し、「KZ ZAX」はより硬質かつクールなサウンドで、スッキリした明瞭感で多少分析的に鳴ります。どちらもより自然なサウンドの方向性に向かいつつも、両者を比較すると「CCA CA16」はよりCCA的な、「KZ ZAX」はよりKZ的な印象を持つチューニングであることを実感します。
「KZ ZAX」は樹脂製ハウジングと金属製フェイスプレートのシェルデザインを採用。先行してリリースされている7BA+1DD構成の「CCA CA16」ではKZ製完全ワイヤレス(TWS)である「KZ S2」のシェル形状を踏襲し、ダイナミックドライバーも共通の7mmサイズを採用していましたが、「KZ ZAX」では「KZ ZSN Pro X」(1BA+1DD)や「KZ ZS10 Pro」(4BA+1DD)といった従来モデルのシェルサイズを継承し、5BA+1DDの「KZ ZSX」「CCA C12」よりコンパクトなハウジングに7基のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーと10mmのダイナミックドライバーを搭載しています。
「KZ ZAX」のドライバー構成は高域用の「30095」BAがステムノズル部分1セットに、ハウジング部分にミッドレンジを中心に幅広くカバーする「50024」2BAユニットが2セット(4BA)、さらにボーカル帯域のディテールを強化する中高域ユニットの「30019」BAが2セット、そして、「KZ ZSX」などでも採用されている最新の「10mm 二重磁気回路ダイナミックドライバー」を搭載。合計で7BA+1DDの4way構成となります。
ミッドレンジ2BAユニットの「50024」は「CCA CA16」から登場した新しいユニットで、TWSの「CCA CX10」でも搭載されていますが、「KZ ZSX」で「DWEK」と表記されたミッドレンジ2BAユニットと同一かは不明です。また「30019」もKZおよびCCAでは新しいユニットで、「KZ ZAX」以外ではTWSの「CCA CX4」の高域用ユニットとして搭載されています。また同じ「30019」というモデルナンバーはTRNでは「TRN V90」の高域用BAとしても採用されています。
KZ ZAX: (ステム部) [30095] (ハウジング部) [30019]×2+[50024 (2BA)]×2+10mmDD
KZ ZSX: (ステム部) [30095] (ハウジング部) [DWEK (2BA)]×2+10mm DD
CCA CA16: (ステム部) なし (ハウジング部) [30095]×3+[50024 (2BA)]×2+7mmDD
TRN VX: (ステム部) [30095]×2 (ハウジング部) [50060]×2+[50060+30095]+10mmDDまた低域のダイナミックドライバーも「KZ ZSX」と同様の最新タイプの10mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載し、TWSの「KZ S2」と同じ7mmドライバーを採用した「CCA CA16」とは同じ7BA+1DDでもかなりドライバー構成に違いがあるのがわかりますね。
「KZ ZAX」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」またはアマゾンの「WTSUN Audio」にて。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。価格はAliExpressが60ドル~、アマゾンが7,280円です。
AliExpress(Easy Earphones): KZ ZAX
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): KZ ZAX
※WTSUN Audioでは現在5% OFFクーポンを配付中で実質「6,916円」で購入できます。
■ 従来サイズのハウジングにドライバーがびっしり。シンプルでコンパクトな印象のシェルデザイン
「KZ ZAX」のパッケージはハイグレードモデルで採用されている黒箱タイプ。パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書と従来通り最小限となっています。付属ケーブルは「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」同様に銀メッキ線タイプになりました。
「KZ ZAX」は10mmのダイナミックドライバーに7基のBAを搭載というスペックですがシェルサイズは想像以上に小さい印象。同じ7BA+1DD構成の「CCA CA16」よりひとまわり以上コンパクトで、クリアカラーの樹脂製ハウジング内にびっしり詰まったドライバーが確認できます。
金属製フェイスプレートの丸みを帯びたデザインもよりコンパクトな印象を持たせているかも知れませんね。フェイス部分のスリットの奥にはメッシュ状のパーツが見えますが、いちおう透明な樹脂製のふたのようなものもあり全てが開口しているわけではないようです。ただこの部分にベント(空気孔)はあるようで、かつての「KZ ZS6」「ZS7」くらいの音漏れはあります。静かな図書館などでは気になるかも知れませんが、現在のソーシャルディスタンスを考慮すれば普段使いではまず問題ないでしょう。遮音性については一般的なレベルです。
サイズ的には5BA+1DD構成の「KZ ZSX」よりひとまわり以上コンパクトで並べるとより小ささが際立ちます。実際には「KZ ZAX」のシェルはフェイスプレートに厚みがあるものの、樹脂製のハウジング部分は「KZ ZSN Pro X」や「KZ ZS10 Pro」と全く同じサイズおよび形状で、アルミ合金製ステムノズルやKZタイプC仕様のコネクタ位置なども全く同じです。ただこれら2モデルと比べても「より小さく見えるデザイン」になっているのがわかります。そのため装着性は従来のKZ製イヤホンと同様で、ハウジングが大きくなりがちないわゆる「多ドラ」イヤホンとしてはかなり良い方といっていいでしょう。
付属ケーブルも「KZ ZSTX」「KZ ZSN Pro X」と同じ銀メッキ線ケーブルが付属。こちらも「CCA CA16」では従来の銅線ケーブルでしたので、よりアップグレードしていますね。いっぽうでイヤーピースは残念ながら従来通り。やはりイヤーピースは交換した方がよいでしょう。定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするタイプのイヤーピースがお勧めです。今回私は「スパイラルドット」を選択しました。
■ KZらしさを僅かに感じつつも従来より格段に進化した完成度の高いサウンド。
「KZ ZAX」の音質傾向は、非常にバランスの整った弱ドンシャリ。KZのカラーというか、中高域にあるKZ/CCA独特の金属質な色味は多少感じられるものの、高域の伸びや中音域の抜け感、低域のパフォーマンスの高さなど、どれを取っても従来のKZおよびCCAブランドのイヤホンの中で最もまとまりがあり、質の高さを感じるものです。
7基ものバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを搭載しているにもかかわらず、そのチューニングは秀逸で「多ドラ」イヤホン特有の音の重なり感(これを厚みや音の細かさといったようにポジティブに捉える場合もあれば、籠もりといったネガティブな捉え方もありますね)が非常に少なく、中高域にはシングルダイナミックのような抜けの良さと透明感があります。いっぽうで、「KZ ZSX」を含む従来のKZ/CCAのハイブリッド構成のモデルと比べて解像感は高く、全体的に癖のないニュートラルな表現のなかに各音域の主張がはっきり読み取れ、様々なジャンルの曲で十分なパフォーマンスを発揮します。つまり、KZのハイブリッドイヤホンのなかでも、完成度の上では間違いなく最もお勧めできるモデルのひとつと言えるでしょう。
「KZ ZAX」の高域は伸びが良く、従来より透明感が増した明るい音を鳴らします。「KZ ZSX」や「CCA C12」が多少「CCA C10」方向で多少温かさを感じる印象だったのに対し、「KZ ZAX」の高域は「KZ ZS10 Pro」などの「いかにもKZらしい」「中華ハイブリッドらしい」という寒色系の音になっています。明瞭かつ硬質な音ではあるものの、伸びの良さや見通しの良さをより実感じやすい音になった印象。シンバル音なども比較的綺麗に鳴っており従来のKZより質の向上を実感します。刺さり等の刺激は適度にコントロールされています。7BA+1DDというドライバー構成を考えれば非常に良くまとめられた高音だと思います。
中音域も解像度の高い明瞭な音で凹むこと無く鳴ります。ボーカル帯域は「CCA C10 Pro」や「KZ ZSX」より自然な距離感で定位し、より奥行きと広がりのある立体的な音場感があります。ボーカル帯域はしっかりとした主張がありますが、癖のないニュートラルな音で、マルチドライバー特有の籠もり感も無く、明瞭でスッキリとした印象。特に女性ボーカルやピアノの高音など中高域の伸びの良さが格段に向上しているのが分ります。
他のKZやCCAのハイブリッド製品では特有の色味というか、多少「ギラついた」金属感が中高域部分にはあるのですが、「KZ ZAX」では新たに「30019」BAドライバーをデュアルで搭載したことによる影響か、かなり自然な印象になっています。そのため、従来のKZ製ハイブリッドより若干ですが艶があり、より様々なジャンルの曲を楽しめる印象です。
他のKZやCCAのハイブリッド製品では特有の色味というか、多少「ギラついた」金属感が中高域部分にはあるのですが、「KZ ZAX」では新たに「30019」BAドライバーをデュアルで搭載したことによる影響か、かなり自然な印象になっています。そのため、従来のKZ製ハイブリッドより若干ですが艶があり、より様々なジャンルの曲を楽しめる印象です。
私のブログでもKZのついては派手で「ちょっと下品なところ」が独特の「らしさ」であり「味」だと思うということを繰り返し書いていますが、「KZ ZAX」では特にその「味」がはっきり出る中高域部分で「普通に綺麗な音」にしようとしている感じはあります。とはいえバランスは良くなっているものの派手なサウンドであること自体は変わらないわけですが。
低域はキレのある明瞭な鳴り方をします。中高域との分離の良さも有り十分な存在感があり、パワフルなミッドベースと沈み込みのあるサブベースと、改めてこちらもダイナミックドライバーの進化に合せて質の向上を改めて実感します。ミッドベースはとても力強さがありますが過度な響きは無く締まりの良さを感じます。分離性に優れ、しっかりしたベースラインはとても心地良く、しっかりと中高域を下支えしている印象です。重低音の沈み込みも十分な深さがあり解像度も高い印象です。
低域はキレのある明瞭な鳴り方をします。中高域との分離の良さも有り十分な存在感があり、パワフルなミッドベースと沈み込みのあるサブベースと、改めてこちらもダイナミックドライバーの進化に合せて質の向上を改めて実感します。ミッドベースはとても力強さがありますが過度な響きは無く締まりの良さを感じます。分離性に優れ、しっかりしたベースラインはとても心地良く、しっかりと中高域を下支えしている印象です。重低音の沈み込みも十分な深さがあり解像度も高い印象です。
「KZ ZAX」は従来のKZ製イヤホンに比べても非常にバランスの良いサウンドで、多くの場合ジャンルを選ばずに楽しめるイヤホンだと思います。同じ7BA+1DD構成の「CCA CA16」と比較しても格段に鳴らしやすく、再生環境への依存度は少なく、付属ケーブルでもそれなりに楽しめるイヤホンだと思います(いっぽう「CCA CA16」はちゃんと鳴らすためには駆動力のある再生環境が必要で、リケーブルも必須です)。音質的には「CCA CA16」がボーカル帯域に濃密さととともに多少ウォームな印象を感じるのに対し、「KZ ZAX」はより硬質かつクールなサウンドで、スッキリした明瞭感で多少分析的に鳴ります。どちらもより自然なサウンドの方向性に向かいつつも、両者を比較すると「CCA CA16」はよりCCA的な、「KZ ZAX」はよりKZ的な印象を持つチューニングであることを実感します。
「KZ ZAX」のリケーブルについては、バランスの良さを活かし、イヤホンの傾向を変えずに明瞭感や透明感をアップさせるケーブルが良いでしょう。最近であれば「KBX4094」のような純銀線ケーブルも低価格で購入できるため、見た目的にも良い組み合わせです。中高域を中心に透明感がアップし、全体的な分離も向上するため、より聴きやすく、バランスの良いサウンドを実感します。また「KB4878(KBX4878)」など16芯銀メッキ線ケーブルでは全体的な情報量のアップによる解像感アップ、高域のキレの向上などが実感できます。
■ マニア心をくすぐるスペックモンスターであり続けるか、普通に「良い」イヤホンを追求するのか。
というわけで、「KZ ZAX」は最近のKZの方向性を踏襲しつつ、恐竜的なスペック向上とともに、音質的にも確実にレベルアップしているのを実感できる製品でした。繰り返しますが、このスペックでこの価格はやはり「異常」で、コストパフォーマンス的にもとんでもない製品だと思います。
ただし、「KZ ZAX」が「恐竜的スペックモンスター」であると同時に、「普通に、バランスが良く、音が良いイヤホン」となったことで、メーカーとしての味でありキャラクターとして僅かに残している「KZらしさ」であり「中華ハイブリッド的な音作り」は評価の上で良し悪しが分かれる要素になるかもしれません。
従来のKZ製イヤホンでは、「音の良さ」とは別のフィルターとして「KZらしい音、中華ハイブリッドの音が好きか/嫌いか」という選択肢がありました。しかし「KZ ZAX」ではドライバー数を積み重ね、徹底したチューニングを施すことで、音質的にレベルアップするいっぽうで「らしさ」の部分はあまり気にならなくなってきています。KZらしさやスペックといった、マニアにとっては「盛り」の要素を除いた、単純な音質比較では、より低価格で、より高音質なイヤホンは他にも存在しています。例えば「この音質を実現するのに、たまたまKZは7BA+1DDという構成が必要だったかもしれないが、○○なら50ドルのシングルダイナミック構成でより高音質を実現できている」という評価のイヤホンを何種類か思い当たる方もいらっしゃるのではと思います。それらはサウンドシグネチャがより理想的なカーブを描いている、という意味の場合もありますし、個人的な好みを加えた評価で、という場合もありますね。
ただ、「KZ」というブランドの「中華イヤホン」という「商品」としては、「KZ ZAX」は非常に魅力的で、これまでのどのモデルより完成されたプロダクトであると感じます。その魅力度は他社の製品と比較しても群を抜くものでしょう。7BA+1DDという低価格イヤホンとしてはあまりに非常識なスペックは所有欲をくすぐりますし、デザインや装着性は前述の通り十分に実用的なものです。そして、音質的にもKZの下位モデルから順次アップグレードしていくうえでは、解像度や音場感、自然なサウンドバランスなど、グレードに見合った非常に説得力のある製品と言えるでしょう。そういった意味で60ドル台、7千円前後という価格はとんでもなくコストパフォーマンスに優れたイヤホンであることは間違いないと思います。昨年の「低価格中華イヤホンの好みランキング」で「KZ ZS10 Pro」について「別に音がすごく良いとは思わないけど、いかにも中華、いかにもKZという音を楽しむのに最適なイヤホン」という理由でカラバリを揃え、上位にランキングさせましたが、その流れでいえば「KZ ZAX」は「KZ好きの現時点での到達点」みたいなところはあるでしょうね。私も手元にあるブルーに加えてブラックのカラーバリエーションも購入しておこうかと考えています(^^)。
■ マニア心をくすぐるスペックモンスターであり続けるか、普通に「良い」イヤホンを追求するのか。
というわけで、「KZ ZAX」は最近のKZの方向性を踏襲しつつ、恐竜的なスペック向上とともに、音質的にも確実にレベルアップしているのを実感できる製品でした。繰り返しますが、このスペックでこの価格はやはり「異常」で、コストパフォーマンス的にもとんでもない製品だと思います。
ただし、「KZ ZAX」が「恐竜的スペックモンスター」であると同時に、「普通に、バランスが良く、音が良いイヤホン」となったことで、メーカーとしての味でありキャラクターとして僅かに残している「KZらしさ」であり「中華ハイブリッド的な音作り」は評価の上で良し悪しが分かれる要素になるかもしれません。
従来のKZ製イヤホンでは、「音の良さ」とは別のフィルターとして「KZらしい音、中華ハイブリッドの音が好きか/嫌いか」という選択肢がありました。しかし「KZ ZAX」ではドライバー数を積み重ね、徹底したチューニングを施すことで、音質的にレベルアップするいっぽうで「らしさ」の部分はあまり気にならなくなってきています。KZらしさやスペックといった、マニアにとっては「盛り」の要素を除いた、単純な音質比較では、より低価格で、より高音質なイヤホンは他にも存在しています。例えば「この音質を実現するのに、たまたまKZは7BA+1DDという構成が必要だったかもしれないが、○○なら50ドルのシングルダイナミック構成でより高音質を実現できている」という評価のイヤホンを何種類か思い当たる方もいらっしゃるのではと思います。それらはサウンドシグネチャがより理想的なカーブを描いている、という意味の場合もありますし、個人的な好みを加えた評価で、という場合もありますね。
ただ、「KZ」というブランドの「中華イヤホン」という「商品」としては、「KZ ZAX」は非常に魅力的で、これまでのどのモデルより完成されたプロダクトであると感じます。その魅力度は他社の製品と比較しても群を抜くものでしょう。7BA+1DDという低価格イヤホンとしてはあまりに非常識なスペックは所有欲をくすぐりますし、デザインや装着性は前述の通り十分に実用的なものです。そして、音質的にもKZの下位モデルから順次アップグレードしていくうえでは、解像度や音場感、自然なサウンドバランスなど、グレードに見合った非常に説得力のある製品と言えるでしょう。そういった意味で60ドル台、7千円前後という価格はとんでもなくコストパフォーマンスに優れたイヤホンであることは間違いないと思います。昨年の「低価格中華イヤホンの好みランキング」で「KZ ZS10 Pro」について「別に音がすごく良いとは思わないけど、いかにも中華、いかにもKZという音を楽しむのに最適なイヤホン」という理由でカラバリを揃え、上位にランキングさせましたが、その流れでいえば「KZ ZAX」は「KZ好きの現時点での到達点」みたいなところはあるでしょうね。私も手元にあるブルーに加えてブラックのカラーバリエーションも購入しておこうかと考えています(^^)。
それにしてはあまり音漏れはしませんね。
ただ水濡れについては他のイヤホンより注意が必要かもしれません。