こんにちは。今回および次回は久しぶりの「個人的な好みランキング」の最新版を掲載します。これまで購入&私のブログで紹介してきたイヤホンのランキング企画で、「あくまで私の好み」ということで、様々な利用シーンを想定して記載している普段のレビュー(レビューの方針についてはこちらを参照ください)とは異なる視点でまとめています。
→ 過去記事(前回): 【低価格中華イヤホン】 「個人的な好みランキング」 トップ10 (オマケつき) ※ 2019年10月編
ただ今回の「低価格中華イヤホン編」は、本当は9月くらいに掲載するつもりだったのですが、その時点では思いのほか世間一般の「人気」とはランキングがかなり乖離していたり、9月時点で未着だった何種類かのイヤホン(具体的には「TFZ LIVE 3」「TRN V90S」「KZ ASF」の3種類)を確認してからにしようと思い、このタイミングでの掲載となりました。そのため、今回の「低価格中華イヤホン編」のランキングは前回は2019年10月に掲載から1年ちょっとぶりの更新となりますね。なお次回は「ミドルグレード中華イヤホン編」でこちらは前回2020年4月から半年ちょっとぶりの更新となります。また長らく更新していない「総合ランキング」は年末年始あたりにまとめようと思っています。
さて、改めて「個人的な好みランキング」についてですが、前述の通りあくまで私の好みでランキングしておりますので、通常のレビュー評価とは必ずしも一致しません。
評価基準は今回も、私自身が「個人的にどれくらい好みか」というのを、
⑨ 「TINHIFI T2 PLUS」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (59ドル / 6,380円)
好み評点: 180 (総合評価 165 + 好み加点 15 )
「TINHIFI T2 PLUS」は、は最近国内版のリリースもアナウンスされた「TINHIFI」の普及グレードの新モデルです。「TINHIFI」(TIN Audio)の出世作ともいえる「T2」の名称と価格設定のみを引き継ぎ、デザインもドライバー構成も、そしてサウンドも全く異なる製品として登場しました。もともとODM/OEMメーカーだった同社の「TIN Audio」としての最初のプロダクトだった無印の「T2」は、円筒形のミニマルなデザインに対して中高域に特徴のある個性的なサウンドが印象的でした。その後評価の高まりに合せて「T3」「T4」と同社の質感の良い音質を継承しつつ、よりフラットかつニュートラルな方向へ進化し、改めてこの「T2 Plus」でデザインを一新し、「T4」の普及型ともいえるサウンドでまとめてきました。同じアンダー50ドルクラスでも第1位の「HZSOUND Heart Mirror」と比べるとどうしてもキャラの弱さを感じてしまうのですが、シンプルなデザイン同様に癖のない使いやすいサウンドは今後多くの方に受け入れられていくのではないかと思います(ちなみに最近あまり使ってないのでランキング外ですが、レビュー中でも記載の通り、本当は最初の無印「T2」の変態的サウンドのほうが好みです^^;)。
⑨ 「KZ ZAX」 [ 7BA+1DD / 初登場 レビュー ] (59ドル / 7,280円)
好み評点: 180 (総合評価 165 + 好み加点 15 )
同率9位は、おそらくKZでも現在最も売上が大きそうな商品と言うか、7BA+1DDで50ドル台という「コスパの鬼」あるいは「スペックモンスター」ぷりで、2020年度を代表する中華イヤホンのひとつとなった「KZ ZAX」です。「KZ ASX」と並んで、中華イヤホンの「恐竜的進化」における「現時点での回答」ですね。
「KZ ZAX」は7BA+1DDという「相当に非常識なスペック」をスマートフォンでも(推奨はしませんが)鳴らせるくらいの反応でチューニングし、従来のモデルから「足し算」で音を強化しながらも、中華ハイブリッドとしてのバランスでちゃんとまとめている、という「プロダクトとしての完成度」が最大の評価ポイントだと思っています。
気付いたら、11位~20位はKZ/CCAとTRNでほぼ埋め尽くされる結果となりました。まあリリースされている製品の数か半端じゃないですからね。というわけで11位は「CCA C10」と「KZ ZS10 Pro」を事実上リプレースする存在となる「CCA C10 PRO」です。前述の「KZ ZAX」などの陰に隠れていまひとつ人気の出ないモデルですが、「TRN V90S」同様、評判の良い製品の「リファインモデル」はちゃんと「良いところを延ばして」いるのがポイント。「CCA C10 PRO」は構成的には「KZ ZS10 Pro」に近いものの、内部チューニングは名称通り「CCA C10」をグレードアップしており、寒色系ドンシャリのなかで適度な温かさのある印象で、音質傾向だけなら個人的には「KZ ZAX」より好みです。「KZ ZAX」との順位の違いは「凄いぞ」要素の有無くらいです(笑)。
⑭ 「KZ AS12」 [ 6BA / 前回7位 レビュー] (67ドル前後 / 実質7,700円~)
好み評点: 167 (総合評価 155 + 好み加点 12 )
⑮ 「KZ AS06」 [ 3BA / 前回10位 レビュー] (38ドル前後 / 実質3,700円~)
好み評点: 165 (総合評価 150 + 好み加点 15 )
そして、同様にKZのマルチBAモデルもスライドしてこの位置に。あれ最新の「KZ ASF」は?って、察してくださいね(笑)。「白日イヤホン」として昨年再び脚光を浴びた「KZ AS06」は代替製品がないこともあり、しばらくは健在だと思いますが、「KZ AS12」のほうは「KZ ASF」の登場でちょっと怪しい雰囲気に・・・。少し価格が高いのがネックですが、それでも6BAイヤホンとしては爆安ですし、現在でもKZのマルチBAモデルでプライスと音質のバランスが最も取れている製品だと思います。気になる方は早めに押さえておいたほうが良いかもですね。
⑯ 「KZ ZSTX」 [ 1BA+1DD / 初登場 レビュー ] (15.09ドル / 2,680円)
好み評点: 160 (総合評価 145 + 好み加点 15 )
2020年の低価格中華イヤホンの世界でおそらく最大のヒット(販売数)がこの「KZ ZSTX」でしょう。いや、AliExpressでの販売数見ると、本当にえげつないですよ。アマゾンでも相当に売れていると思います。つかみんな宣伝しすぎだって(笑)。まあ私も限定色の黒も含めてカラバリ全部買いましたが(^^;)。さらにコロナ禍で納期がかかったこともあり複数のセラーで買ったりその後サンプルもあったりで紫と緑はそれぞれ2~3個ずつ(滝汗)。たぶん知り合いに配ることになるでしょう。・・・それはさておき、この価格で、これだけちゃんとしたサウンドのイヤホン作れるKZってやっぱり凄いですね。とりあえずオーオタ以外の知人友人から「イヤホン何買えば良いかな?」って相談されたら、これをすすめて沼に落としましょう(違う)。また、このレビューを読んでるこれから中華に挑戦しようという方も、まずはコレを買ってしっかり沼に落ちてくださいね(ぉぃ)。
⑳ 「TRN STM」 [ 1BA+1DD / 初登場 レビュー ] (22.80ドル / 2,999円)
好み評点: 135 (総合評価 120 + 好み加点 15 )
そしてランキング最後は、KZとTRNの最新キャラ濃い系ハイブリッドです。「KZ ZSTX」に話題を持っていかれがちな感もある「KZ ZSN Pro X」ですが実力は決して引けを取りません。確かにオーディオ的には「KZ ZSTX」のほうが「ちゃんとした音」のイヤホンとして高い完成度を持ちますが、実際のところ、2千円~3千円程度のイヤホンの主要な用途には「動画視聴」や「ゲーム」などの比重もかなり高いと思われます。特に音楽コンテンツもストリーミング中心となり、リスニングも完全ワイヤレスが「主流」になっている昨今では、遅延の心配の無い有線イヤホンはゲームや動画のほうがむしろ主戦場かもしれません。そうなると迫力のある低域で臨場感のある「KZ ZSN Pro X」は強そうなデザインも含めてかなり有力なアイテムです。
いっぽう「TRN STM」はそんな市場のニーズなど全く気にせず、10ドル台のエントリークラスでフィルター交換式とか、「やってみたかっただけだろ、それ」という、ビルド的にも音質的にも結構ちゃんとしているのに「ネタ」イヤホンにしか思えない製品ではあります。とりあえず、マニアは「ネタ」用に買っておきましょう(笑)。なお、今回ランキング外となりましたが、興味深い、という意味では「TRN STM」以上に楽しかったのは「KZ EDX」(レビュー)ですね。「KZ ZSTX」からBAを取り除いたシングルダイナミックの構成でAliExpressでは10ドル以下の価格設定の今年発売の製品では最廉価モデルとなりますが、従来のKZとは少し異なる音作りがとても面白いです。リケーブルでとてもこの価格のイヤホンとは思えないサウンドに化けるので、こちらもひとつ持っているのも良いと思いますよ(^^)。
というわけで、上位陣はほぼ総入れ替えと、コロナ禍であっても相変わらず元気いっぱいな低価格中華イヤホンの世界を改めて実感しました。昨年のランキングの時も、次が楽しみとはいったものの、ここまで来たら早々変わらないだろう、と思いましたが全然そんなことはなかったですね。となると来年もまた想像を超えるレベルで激変するのかもしれませんし、いい加減落ち着くのかもしれません。とりあえず私も付き合えるところまで様子を見ていこうと思っています。
次回は「ミドルグレード中華イヤホン(100ドル~200ドルクラス)」の「個人的な好みランキング」となります。
ただ今回の「低価格中華イヤホン編」は、本当は9月くらいに掲載するつもりだったのですが、その時点では思いのほか世間一般の「人気」とはランキングがかなり乖離していたり、9月時点で未着だった何種類かのイヤホン(具体的には「TFZ LIVE 3」「TRN V90S」「KZ ASF」の3種類)を確認してからにしようと思い、このタイミングでの掲載となりました。そのため、今回の「低価格中華イヤホン編」のランキングは前回は2019年10月に掲載から1年ちょっとぶりの更新となりますね。なお次回は「ミドルグレード中華イヤホン編」でこちらは前回2020年4月から半年ちょっとぶりの更新となります。また長らく更新していない「総合ランキング」は年末年始あたりにまとめようと思っています。
さて、改めて「個人的な好みランキング」についてですが、前述の通りあくまで私の好みでランキングしておりますので、通常のレビュー評価とは必ずしも一致しません。
評価基準は今回も、私自身が「個人的にどれくらい好みか」というのを、
「総合評価」 (※「コストパフォーマンス」はランキング掲載時点での評価)
・「音質」 「デザイン(およびビルドクオリティ)」 「装着性」 「コストパフォーマンス」
「好み加点」
・「見た目の好み」 「傾向の好み」 「利用頻度」
といった視点で極めて主観的に割り振った「好み評点」の合計に基づきランキングしています。また「好み評点」は「総合評価」と「加点」に分けて掲載しています。「総合評価」の「コストパフォーマンス」および、「好み加点」の各項目は相対的に「かなり頻繁に」変動するため、同じイヤホンでもランキングの掲載時期に応じて「好み評点」が上下する場合があります。
このような理由のため過去のレビューで評価が高くても入れていないイヤホンも多くありますし、ランキングが毎回変動することもあります。異論も多数あると思いますが「あくまで私の好み」ですのでご了承ください。また、個々の詳細のレビューについては各「レビュー」リンクを参照くださいませ。
なお、「低価格中華イヤホン」の基準は、だいたい90ドル未満、日本でもアマゾンで1万円未満あたりの製品を想定しています。
→ ランキング対象レビュー①: 中華イヤホン(低価格/50ドル以下)
→ ランキング対象レビュー②: 中華イヤホン(100ドル未満) ※90ドル以上は対象外
■ 低価格中華イヤホン「個人的な好みランキング」 TOP 10
なお、「低価格中華イヤホン」の基準は、だいたい90ドル未満、日本でもアマゾンで1万円未満あたりの製品を想定しています。
→ ランキング対象レビュー①: 中華イヤホン(低価格/50ドル以下)
→ ランキング対象レビュー②: 中華イヤホン(100ドル未満) ※90ドル以上は対象外
■ 低価格中華イヤホン「個人的な好みランキング」 TOP 10
① | HZSOUND Heart Mirror | 220P / レビュー |
---|---|---|
② | TRN VX | 200P / レビュー |
③ | FiiO JadeAudio EA3 | 197P / レビュー |
④ | CCA CA16 | 195P / レビュー |
⑤ | TFZ LIVE 3 | 193P / レビュー |
⑥ | TFZ MY LOVE EDITION | 190P / レビュー |
⑦ | TRN V90S | 185P / レビュー |
⑧ | TFZ LIVE 1 | 183P / レビュー |
⑨ | TINHIFI T2 PLUS | 180P / レビュー |
⑨ | KZ ZAX | 180P / レビュー |
① 「HZSOUND Heart Mirror」 [ 1DD(CNT) / 初登場 レビュー ] (49ドル / 6,590円)
好み評点: 220 (総合評価 190 + 好み加点 30 )
今年の低価格中華イヤホンで色々な意味で最も驚かされた存在、それが「HZSOUND Heart Mirror」です。昨日まで幕下だったのが平幕からいきなり本場所で優勝しちゃうみたいな、えげつない大金星ですね。HZSOUNDは以前からあるメーカーでイヤホンもいくつかリリースしていましたが、最近はケースなどアクセサリーのほうが目立っていたようなブランドでしたので、突然どうしてこの製品が登場できたのかは本当に謎です。バランスの良い自然なサウンドで、アンダー50ドルの製品にもかかわらずミドルグレードの「Moondrop KXXS」のような透明感があり、同時にCNT振動版の明瞭感もスピード感もある非常に質の高い美音系イヤホンです。「1ランク上のサウンド」とか「○○円相当のサウンド」みたいなのは本来こういうので言うべきですよ、という気がする、他の低価格中華イヤホンとは明らかにレベルの違う製品です。そのため、「総合評価」も「好み加点」も群を抜いた評価としました。もし「次の製品」も同レベルで出してきたら「本物」だと思うのですが、今後が楽しみですね。
好み評点: 220 (総合評価 190 + 好み加点 30 )
今年の低価格中華イヤホンで色々な意味で最も驚かされた存在、それが「HZSOUND Heart Mirror」です。昨日まで幕下だったのが平幕からいきなり本場所で優勝しちゃうみたいな、えげつない大金星ですね。HZSOUNDは以前からあるメーカーでイヤホンもいくつかリリースしていましたが、最近はケースなどアクセサリーのほうが目立っていたようなブランドでしたので、突然どうしてこの製品が登場できたのかは本当に謎です。バランスの良い自然なサウンドで、アンダー50ドルの製品にもかかわらずミドルグレードの「Moondrop KXXS」のような透明感があり、同時にCNT振動版の明瞭感もスピード感もある非常に質の高い美音系イヤホンです。「1ランク上のサウンド」とか「○○円相当のサウンド」みたいなのは本来こういうので言うべきですよ、という気がする、他の低価格中華イヤホンとは明らかにレベルの違う製品です。そのため、「総合評価」も「好み加点」も群を抜いた評価としました。もし「次の製品」も同レベルで出してきたら「本物」だと思うのですが、今後が楽しみですね。
② 「TRN VX」 [ 6BA+1DD / 初登場 レビュー ] (55.12ドル / 8,980円)
好み評点: 200 (総合評価 175 + 好み加点 25 )
2020年のスペックモンスター系中華ハイブリッドでは、もしかしたら不人気順でランキングしてしまった気もしますが(汗)、あえてTRNのモデルを上位にしました。理由は改めて聴き比べてみて、この「TRN VX」がいちばんニュートラルでバランスが整っていたから。KZの多ドラ系のモデルはドライバー数に物を言わせる押しの強さがありますが、「TRN VX」はもっとも癖がなく、音源をしっかり聴かせることに注力した音作りが好感できます。そのなかで高域だけは「TRNらしさ」というかハッキリした主張があり、中華ハイブリッドとしての個性も忘れていないところは興味深いですね。私も11.11セールでクロームメッキ仕様の限定モデルを買い増ししました。情報量の多いケーブルで楽しみたいイヤホンです。
③ 「FiiO JadeAudio EA3」 [ 1BA+1DD / 初登場 レビュー ] (42.49ドル / 5,300円)
好み評点: 197 (総合評価 172 + 好み加点 25 )
FiiOの直販専用のサブブランド「JadeAudio」から販売されているハイブリッドモデルが「JadeAudio EA3」です。FiiOブランドでも「FiiO FH1s」としてシェルカラーとケーブルが異なるバージョンがリリースされていました。最近では日本のアマゾンにも公式から出ているので入手が容易になりましたね。ドンシャリ傾向のハイブリッドらしい傾向でKnowles製のツィーターと大口径ダイナミックドライバーのコントラストが非常に心地良いですね。特に深く厚みのある低域は他の中華ハイブリッドの力押し感とは異なりしっかりと低音を聴かせるサウンド。ケーブルで結構印象が変わるので色々リケーブルで違いをみるのも楽しいですね。
TFZの新しい「LIVE」シリーズの第3世代ドライバー搭載モデルが「TFZ LIVE 3」です。こちらも結構異論がありそうですが、個人的にはこの位置で。例によって国内版の価格はちょっとアレで「低価格」の枠を超えちゃっていますが、最近では中国発送ながらTFZのオフィシャルショップが日本のアマゾンにも進出し、違和感のない価格で出していますので、メーカー保証をどう捉えるかで選んでみてはと思います。第3世代ドライバーを搭載した製品なかでは最も低価格で、同時にこのドライバーを搭載した製品の中では最も派手めのサウンド。まあ「低価格モデル」らしいチューニングといったところでしょう。TFZらしいキレの良さと「TxBEAR MONICA」にも共通する厚みのある低域、そして人気モデル「TFZ NO.3」譲りの包み込むような音場感が特徴的です。様々なモデルで使ってきたドライバーを活用することで、元気なだけでなく質感もしっかりキープしています。高域には適度な鋭さがあって、低域も重量感と解像感、そして深さが欲しい方には最適なイヤホンです。
⑦ 「TRN V90S」 [ 5BA+1DD / 初登場 レビュー ] (49.80ドル / 6,980円)
好み評点: 185 (総合評価 165 + 好み加点 20 )
好み評点: 200 (総合評価 175 + 好み加点 25 )
2020年のスペックモンスター系中華ハイブリッドでは、もしかしたら不人気順でランキングしてしまった気もしますが(汗)、あえてTRNのモデルを上位にしました。理由は改めて聴き比べてみて、この「TRN VX」がいちばんニュートラルでバランスが整っていたから。KZの多ドラ系のモデルはドライバー数に物を言わせる押しの強さがありますが、「TRN VX」はもっとも癖がなく、音源をしっかり聴かせることに注力した音作りが好感できます。そのなかで高域だけは「TRNらしさ」というかハッキリした主張があり、中華ハイブリッドとしての個性も忘れていないところは興味深いですね。私も11.11セールでクロームメッキ仕様の限定モデルを買い増ししました。情報量の多いケーブルで楽しみたいイヤホンです。
③ 「FiiO JadeAudio EA3」 [ 1BA+1DD / 初登場 レビュー ] (42.49ドル / 5,300円)
好み評点: 197 (総合評価 172 + 好み加点 25 )
FiiOの直販専用のサブブランド「JadeAudio」から販売されているハイブリッドモデルが「JadeAudio EA3」です。FiiOブランドでも「FiiO FH1s」としてシェルカラーとケーブルが異なるバージョンがリリースされていました。最近では日本のアマゾンにも公式から出ているので入手が容易になりましたね。ドンシャリ傾向のハイブリッドらしい傾向でKnowles製のツィーターと大口径ダイナミックドライバーのコントラストが非常に心地良いですね。特に深く厚みのある低域は他の中華ハイブリッドの力押し感とは異なりしっかりと低音を聴かせるサウンド。ケーブルで結構印象が変わるので色々リケーブルで違いをみるのも楽しいですね。
「CCA CA16」は「KZ ZAX」より人を選ぶというか、KZ/CCA系のイヤホンの中でも特に再生環境にシビアで、同社のTWS製品のようなシェル形状にも多少好みが分かれる製品ですね。ただし、「情報量が多く質の良いケーブルにリケーブルする」「ちゃんと耳にフィットするイヤーピースに交換する」、そして「駆動力のあるDAPやポータブルアンプでしっかり鳴らす」という条件をクリアすれば、マルチドライバーらしい濃厚さはありますが、KZ/CCA系イヤホンのなかで最も質の高い音を鳴らします。KZやCCAは10ドル台の低価格品から100ドルオーバーの「多ドラ」製品まで、基本同じマイク付きケーブルが選択でき、スマートフォンでも鳴らせる、つまり「同じマス市場」をターゲットに音作りをしています。そんななかで「CCA CA16」だけはなんとか「ドライバー構成に見合った」ところに近いチューニングのイヤホンに仕上がっています。ただ、最近では「KZ」と「CCA」のブランドの差別化もほぼ無くなっているため、この辺がちゃんとマニアに訴求できてない気もしますね。もしさらなるハイブランドを作って付属品やフェイスデザインなどをリニューアルした「CCA CA16」をリリースできたら、巷の評価も全く違うものになるかもしれません。
TFZの新しい「LIVE」シリーズの第3世代ドライバー搭載モデルが「TFZ LIVE 3」です。こちらも結構異論がありそうですが、個人的にはこの位置で。例によって国内版の価格はちょっとアレで「低価格」の枠を超えちゃっていますが、最近では中国発送ながらTFZのオフィシャルショップが日本のアマゾンにも進出し、違和感のない価格で出していますので、メーカー保証をどう捉えるかで選んでみてはと思います。第3世代ドライバーを搭載した製品なかでは最も低価格で、同時にこのドライバーを搭載した製品の中では最も派手めのサウンド。まあ「低価格モデル」らしいチューニングといったところでしょう。TFZらしいキレの良さと「TxBEAR MONICA」にも共通する厚みのある低域、そして人気モデル「TFZ NO.3」譲りの包み込むような音場感が特徴的です。様々なモデルで使ってきたドライバーを活用することで、元気なだけでなく質感もしっかりキープしています。高域には適度な鋭さがあって、低域も重量感と解像感、そして深さが欲しい方には最適なイヤホンです。
前回2位の「TFZ MY LOVE EDITION」(通称「MLE」)がこの順位です。というか、トップ10では「MLE」以外はすべて初登場ですね。ほんと中華イヤホンの世代交代は早い・・・。日本では結局正式には販売されず、クロームメッキ仕様のみ直販で「TFZの国内正規版購入者限定」で購入できるという変則的な販売方法をとっています。とはいえ、「TFZ LIVE 1」(第2世代)と「TFZ LIVE 3」(第3世代)の間に入る「第2.5世代」で価格設定もちょうど真ん中くらい(海外版では)ということで、相変わらず「ちょうど良い」低価格TFZというポジションは変わっていません。意識したわけではないですが、結果的にランキングもグレード順になりましたね。「KING PRO」をベースにしたフラット寄りのサウンドは、個人的には音質傾向的には今でも「MLE」が3種類の中では一番好きです。現在も普段使いやリケーブルのレビュー等で登場頻度の比較的多いイヤホンです。
好み評点: 185 (総合評価 165 + 好み加点 20 )
個人的にはかなり聴き慣れた、いわゆる「中華ハイブリッド」の系譜のサウンドです。そのなかで現時点で「ひとつの完成形」と言って良いのかこの「TRN V90S」ではないかと思います。やや派手さを感じる寒色系のドンシャリで、硬質な高域とパワフルな低域、キレがあり明瞭なボーカル帯域。そしてやや金属質なギラつきを感じる中華ハイブリッド独特の中高域の質感。中華ハイブリッドは通い慣れたファストフードのような分りやすいテイストがありますが、素材を楽しみたい方からするとメリハリが強すぎる、ちょっと「下品なサウンド」が醍醐味だと思っています。「TRN V90S」はこのようなサウンドをしっかり表現しつつ、さらに前モデルの「TRN V90」が一躍人気となった中低域の深く広い音場感が加わり、非常に濃厚で分りやすい「てりやきバーガー」のような製品かもしれませんね(異論は認めます^^;)。ただ付属ケーブルでかなりちゃんと鳴るため、逆に派手め傾向の銀メッキ線や16芯線ケーブルにリケーブルすると「キツすぎる」という特徴も「V90」譲りだったりします。
⑧ 「TFZ LIVE 1」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (39.99ドル / 6,200円)
好み評点: 183 (総合評価 165 + 好み加点 18 )
「LIVE」シリーズのエントリークラスに位置する「TFZ LIVE 1」は、やや派手なドンシャリ傾向ながら、TFZらしい明瞭な中高域とキレのあるサウンドで普通に使いやすいイヤホンだと思います。残念ながら私のブログでも繰り返し推してきた人気モデルの「SERIES 2」や「T2G(T2 Galaxy)」とはちょっと傾向が異なりますが、より中高域の明瞭感をアップしたアグレッシブなサウンドはこれはこれで楽しいと印象です。中国発送で送料がプラスされるものの、アマゾンでもTFZのオフィシャルショップで3千円台で販売されるなど、手ごろな価格感を考慮すればかなりレベルの高いイヤホンだと思います。
⑧ 「TFZ LIVE 1」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (39.99ドル / 6,200円)
好み評点: 183 (総合評価 165 + 好み加点 18 )
「LIVE」シリーズのエントリークラスに位置する「TFZ LIVE 1」は、やや派手なドンシャリ傾向ながら、TFZらしい明瞭な中高域とキレのあるサウンドで普通に使いやすいイヤホンだと思います。残念ながら私のブログでも繰り返し推してきた人気モデルの「SERIES 2」や「T2G(T2 Galaxy)」とはちょっと傾向が異なりますが、より中高域の明瞭感をアップしたアグレッシブなサウンドはこれはこれで楽しいと印象です。中国発送で送料がプラスされるものの、アマゾンでもTFZのオフィシャルショップで3千円台で販売されるなど、手ごろな価格感を考慮すればかなりレベルの高いイヤホンだと思います。
⑨ 「TINHIFI T2 PLUS」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (59ドル / 6,380円)
好み評点: 180 (総合評価 165 + 好み加点 15 )
「TINHIFI T2 PLUS」は、は最近国内版のリリースもアナウンスされた「TINHIFI」の普及グレードの新モデルです。「TINHIFI」(TIN Audio)の出世作ともいえる「T2」の名称と価格設定のみを引き継ぎ、デザインもドライバー構成も、そしてサウンドも全く異なる製品として登場しました。もともとODM/OEMメーカーだった同社の「TIN Audio」としての最初のプロダクトだった無印の「T2」は、円筒形のミニマルなデザインに対して中高域に特徴のある個性的なサウンドが印象的でした。その後評価の高まりに合せて「T3」「T4」と同社の質感の良い音質を継承しつつ、よりフラットかつニュートラルな方向へ進化し、改めてこの「T2 Plus」でデザインを一新し、「T4」の普及型ともいえるサウンドでまとめてきました。同じアンダー50ドルクラスでも第1位の「HZSOUND Heart Mirror」と比べるとどうしてもキャラの弱さを感じてしまうのですが、シンプルなデザイン同様に癖のない使いやすいサウンドは今後多くの方に受け入れられていくのではないかと思います(ちなみに最近あまり使ってないのでランキング外ですが、レビュー中でも記載の通り、本当は最初の無印「T2」の変態的サウンドのほうが好みです^^;)。
⑨ 「KZ ZAX」 [ 7BA+1DD / 初登場 レビュー ] (59ドル / 7,280円)
好み評点: 180 (総合評価 165 + 好み加点 15 )
同率9位は、おそらくKZでも現在最も売上が大きそうな商品と言うか、7BA+1DDで50ドル台という「コスパの鬼」あるいは「スペックモンスター」ぷりで、2020年度を代表する中華イヤホンのひとつとなった「KZ ZAX」です。「KZ ASX」と並んで、中華イヤホンの「恐竜的進化」における「現時点での回答」ですね。
「KZ ZAX」は7BA+1DDという「相当に非常識なスペック」をスマートフォンでも(推奨はしませんが)鳴らせるくらいの反応でチューニングし、従来のモデルから「足し算」で音を強化しながらも、中華ハイブリッドとしてのバランスでちゃんとまとめている、という「プロダクトとしての完成度」が最大の評価ポイントだと思っています。
しかし、個人的な好みとしては音質的に「そろそろ食傷気味」という印象も否めず、この順位となりました。「KZ ZAX」は間違いなく「凄いイヤホン」ではありますが、音質自体は「この価格としては相当良いが、いかにも中華イヤホンの音で、マニアからは好みが分かれる」という評価になります。KZのアプローチは中華イヤホンとしてひとつの大きな潮流を作ったことは確かだと思いますが、現在はユーザー層が厚くなることでより多様化し、さまざまなアプローチの製品を「選べる」ようになりました。KZは現在も中華イヤホンの世界では最強に近いメーカーですが、頻度の高い商品サイクルは技術力だけでなくユーザーの「飽き」とも戦わなければならないフェーズに入っているのかもしれませんね。
■ 低価格中華イヤホン「個人的な好みランキング」 第11位~20位
⑪ | CCA C10 PRO | 178P / レビュー |
---|---|---|
⑫ | TRN V90 | 175P / レビュー |
⑬ | KZ ZSX | 170P / レビュー |
⑭ | KZ AS12 | 167P / レビュー |
⑮ | KZ AS06 | 165P / レビュー |
⑯ | KZ ZSTX | 160P / レビュー |
⑰ | KBEAR LARK | 157P / レビュー |
⑱ | SIMGOT MEETURE MT3 PRO | 150P / レビュー |
⑲ | KZ ZSN Pro X | 145P / レビュー |
⑳ | TRN STM | 135P / レビュー |
⑭ 「KZ AS12」 [ 6BA / 前回7位 レビュー] (67ドル前後 / 実質7,700円~)
好み評点: 167 (総合評価 155 + 好み加点 12 )
⑮ 「KZ AS06」 [ 3BA / 前回10位 レビュー] (38ドル前後 / 実質3,700円~)
好み評点: 165 (総合評価 150 + 好み加点 15 )
そして、同様にKZのマルチBAモデルもスライドしてこの位置に。あれ最新の「KZ ASF」は?って、察してくださいね(笑)。「白日イヤホン」として昨年再び脚光を浴びた「KZ AS06」は代替製品がないこともあり、しばらくは健在だと思いますが、「KZ AS12」のほうは「KZ ASF」の登場でちょっと怪しい雰囲気に・・・。少し価格が高いのがネックですが、それでも6BAイヤホンとしては爆安ですし、現在でもKZのマルチBAモデルでプライスと音質のバランスが最も取れている製品だと思います。気になる方は早めに押さえておいたほうが良いかもですね。
⑯ 「KZ ZSTX」 [ 1BA+1DD / 初登場 レビュー ] (15.09ドル / 2,680円)
好み評点: 160 (総合評価 145 + 好み加点 15 )
2020年の低価格中華イヤホンの世界でおそらく最大のヒット(販売数)がこの「KZ ZSTX」でしょう。いや、AliExpressでの販売数見ると、本当にえげつないですよ。アマゾンでも相当に売れていると思います。つかみんな宣伝しすぎだって(笑)。まあ私も限定色の黒も含めてカラバリ全部買いましたが(^^;)。さらにコロナ禍で納期がかかったこともあり複数のセラーで買ったりその後サンプルもあったりで紫と緑はそれぞれ2~3個ずつ(滝汗)。たぶん知り合いに配ることになるでしょう。・・・それはさておき、この価格で、これだけちゃんとしたサウンドのイヤホン作れるKZってやっぱり凄いですね。とりあえずオーオタ以外の知人友人から「イヤホン何買えば良いかな?」って相談されたら、これをすすめて沼に落としましょう(違う)。また、このレビューを読んでるこれから中華に挑戦しようという方も、まずはコレを買ってしっかり沼に落ちてくださいね(ぉぃ)。
⑱ 「SIMGOT MEETURE MT3 PRO」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (7,800円)
好み評点: 150 (総合評価 140 + 好み加点 10 )
音質面ではどちらももっと上位でも全く問題ありません。特に「KBEAR LARK」のまとまり感はヤバイ。これどこのファクトリーで作ってるんでしょうね。たぶんODMでこれまでも相応のイヤホン作ってるところだと思うのですが。ただこの価格にするために結構な数を生産してるっぽいので、気に入った方はカラバリも買いそろえて人にも勧めて、さらなる次のモデルにも期待できるようにしましょう(笑)。「MT3 PRO」は比較的手が届きやすいSIMGOT、という印象のイヤホンでまずまずの仕上がりですが、群雄割拠の中華イヤホンの中では完全にキャラが埋没しちゃいましたね。こちらも次のモデルに期待です。
好み評点: 150 (総合評価 140 + 好み加点 10 )
音質面ではどちらももっと上位でも全く問題ありません。特に「KBEAR LARK」のまとまり感はヤバイ。これどこのファクトリーで作ってるんでしょうね。たぶんODMでこれまでも相応のイヤホン作ってるところだと思うのですが。ただこの価格にするために結構な数を生産してるっぽいので、気に入った方はカラバリも買いそろえて人にも勧めて、さらなる次のモデルにも期待できるようにしましょう(笑)。「MT3 PRO」は比較的手が届きやすいSIMGOT、という印象のイヤホンでまずまずの仕上がりですが、群雄割拠の中華イヤホンの中では完全にキャラが埋没しちゃいましたね。こちらも次のモデルに期待です。
⑳ 「TRN STM」 [ 1BA+1DD / 初登場 レビュー ] (22.80ドル / 2,999円)
好み評点: 135 (総合評価 120 + 好み加点 15 )
そしてランキング最後は、KZとTRNの最新キャラ濃い系ハイブリッドです。「KZ ZSTX」に話題を持っていかれがちな感もある「KZ ZSN Pro X」ですが実力は決して引けを取りません。確かにオーディオ的には「KZ ZSTX」のほうが「ちゃんとした音」のイヤホンとして高い完成度を持ちますが、実際のところ、2千円~3千円程度のイヤホンの主要な用途には「動画視聴」や「ゲーム」などの比重もかなり高いと思われます。特に音楽コンテンツもストリーミング中心となり、リスニングも完全ワイヤレスが「主流」になっている昨今では、遅延の心配の無い有線イヤホンはゲームや動画のほうがむしろ主戦場かもしれません。そうなると迫力のある低域で臨場感のある「KZ ZSN Pro X」は強そうなデザインも含めてかなり有力なアイテムです。
いっぽう「TRN STM」はそんな市場のニーズなど全く気にせず、10ドル台のエントリークラスでフィルター交換式とか、「やってみたかっただけだろ、それ」という、ビルド的にも音質的にも結構ちゃんとしているのに「ネタ」イヤホンにしか思えない製品ではあります。とりあえず、マニアは「ネタ」用に買っておきましょう(笑)。なお、今回ランキング外となりましたが、興味深い、という意味では「TRN STM」以上に楽しかったのは「KZ EDX」(レビュー)ですね。「KZ ZSTX」からBAを取り除いたシングルダイナミックの構成でAliExpressでは10ドル以下の価格設定の今年発売の製品では最廉価モデルとなりますが、従来のKZとは少し異なる音作りがとても面白いです。リケーブルでとてもこの価格のイヤホンとは思えないサウンドに化けるので、こちらもひとつ持っているのも良いと思いますよ(^^)。
というわけで、上位陣はほぼ総入れ替えと、コロナ禍であっても相変わらず元気いっぱいな低価格中華イヤホンの世界を改めて実感しました。昨年のランキングの時も、次が楽しみとはいったものの、ここまで来たら早々変わらないだろう、と思いましたが全然そんなことはなかったですね。となると来年もまた想像を超えるレベルで激変するのかもしれませんし、いい加減落ち着くのかもしれません。とりあえず私も付き合えるところまで様子を見ていこうと思っています。
次回は「ミドルグレード中華イヤホン(100ドル~200ドルクラス)」の「個人的な好みランキング」となります。
個人的にはT2Gが選外になったのが驚きでした。
私自身このブログを参考にT2Gを購入して以来、とても気に入っているのですが、今回のランキングの変わりようを見て、また中華イヤホンの沼にはまってみようと思います(笑)。
今後のレビューも期待しております。