TRN BT20S Pro

こんにちは。今回は「TRN BT20S Pro」です。いわゆる有線イヤホンをワイヤレス化するアダプタでTWS(完全ワイヤレス)仕様のアダプタでは先駆け的な製品だった「BT20」シリーズの3つめのモデルとなります。機能的には人気モデル「TRN BT20S」を踏襲しつつ、最長72時間の稼働を可能とする大容量充電ケースと、コネクタ部分をモジュールとして交換可能にしたモデルとなります。
TRN BT20S ProTRN BT20S Pro

完全ワイヤレス(TWS)仕様のアダプタは、現在は同様な製品が数社から出ていますが、それらの製品よりかなり早い時期にBluetooth 5.0、AAC対応の「BT20」はリリースされており、マニアの間でも大変驚きがありました。その後チップセットがQualcomm「QCC3020」にアップグレードし、aptX対応を実現した「TRN BT20S」が登場し、実用的な性能と圧倒的な低価格もあって、中華イヤホンの世界では定番アイテムのひとつになりました。また「TRN BT20S」は中国の大手ポータブルオーディオブランドの「FiiO」にもOEMされ、ボタン操作など細部の仕様が変更された「FiiO UTWS1」として日本でもリリースされており、人気を博しています。

TRN BT20S / FOSTEX TM2 / iBasso CF01

いっぽうで、「FOSTEX TM2」や「iBasso CF01」といったTWSアダプタは価格的にはかなり高いものの充電ケースによるアダプタ本体の充電が可能で、「TRN BT20S」の左右それぞれにケーブルをつないで充電するタイプより一般的なTWSに近い使用感を実現していました。またケース側のバッテリによる長時間の利用も異なるポイントです。

TRN BT20S ProTRN BT20S Pro
そして、満を持して登場した「TRN BT20S Pro」では性能面はすでに定評のある「TRN BT20S」を踏襲し、チップセットにQualcomm「QCC3020」を採用。Bluetooth 5.0対応でaptX/AAC/SBCコーデックが利用可能です。また本体での連続9時間稼働に加えて大容量の充電ケースをセット。やっと「FOSTEX TM2」や「iBasso CF01」同様に本体をケースにマウントして充電するスタイルが可能になりました。本体+充電ケースでは最長72時間の長時間利用が可能です。また「FOSTEX TM2」でも採用れているモジュール式の交換可能コネクタを採用。MMCX、中華2pin、タイプC 2pinコネクタを組み合わせて使用可能なりました。

コネクタMMCX / 中華2pin / 2pin-S (タイプC)
Bluetooth5.0
チップセットQualcomm QCC3020
コーデックaptX / AAC / SBC
駆動時間9時間+64時間 (本体+ケース)
待機時間180時間/720時間 (本体+ケース)
バッテリ容量本体80mAh、ケース700mAh
充電時間1.5時間/2.5~3時間 (本体/ケース)
コネクタUSB Type-C
充電ケースは97mm×40mmとかなり大きめのサイズですが、そのぶん非常に大容量のバッテリを搭載しているなどかなり実用性に配慮した設計になっていますね。また選択できるコネクタにTRNやKZの最近のモデルで使用されているタイプC(カバー形状がqdc製イヤホンと互換性のある2pinコネクタ)が選択できるのもTRNらしいポイントで、これらの中華イヤホンを手軽にワイヤレス化できるメリットは大きいでしょう。
TRN BT20S ProTRN BT20S Pro

TRN BT20S Pro」の購入はAliExpressの各セラーまたはアマゾンにて、価格はAliExpressが 69.80ドル(TRN Offical Store)、アマゾンが7,999円程度で販売されています。購入時にコネクタの種類を選べるほか、別売りでコネクタモジュールのみを追加で購入することも可能です。こちらは千円程度で購入できます。
AliExpress(TRN Offical Store): TRN BT20S Pro
AliExpress(TRN Offical Store): BT20S Pro用 別売りコネクタモジュール

Amazon.co.jp(LuckLZ Audio Store): TRN BT20S Pro / 別売りコネクタモジュール
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): TRN BT20S Pro


■ 大型ケースで収納力も高い。大抵のイヤホンをTWS化できる交換式コネクタ

TRN BT20S Pro」のパッケージは写真入りのシンプルなもので、付属品も本体/ケースおよび充電ケーブルと説明書などのシンプルな内容。今回のモデルは充電ケーブルがUSB Type-Cになっています。また一緒に購入したオプションケーブルは小さな箱で届きました。
TRN BT20S ProTRN BT20S Pro

TRN BT20S Pro」の充電ケースは一般的なイヤホン用ハードケースのような樹脂製合皮加工の表面でファスナー式の開閉となっています。そのため、ケースの開閉でのギミックはありません。
TRN BT20S Pro」の本体部分は「TRN BT20S」より僅かに大きなサイズになっていますが装着した際にはほとんど違いが気にならないレベルです。デザイン的にもより意匠が加えられておりアップグレードしているのが分ります。また耳掛け部分は「TRN BT20S」同様に弾力のある素材で作られており、装着時にはしっかり耳にフィットします。
TRN BT20S ProTRN BT20S Pro
交換用のコネクタの本体接合部は専用の2pin仕様で交換はストレス無く行うことができます。なお、操作ボタンは「BT20S」に準拠しており、「FiiO UTWS1」のような本体側での音量調整はありません。この辺はブランドごとに仕様を分けている部分のようですね。今後FiiOから「TRN BT20S Pro」のFiiOバージョンが出ることがあればこの辺は対応される可能性が高いかもしれません。

再生/停止1回クリック
曲送り2回クリック
曲戻し3回クリック
受話・終話着信時にクリック
受話拒否着信時に2回クリック
音声アシスト1秒程度 長押し
電源ON(ボタン)左右それぞれ 1秒 長押し
電源OFF(ボタン)左右それぞれ 5秒 長押し
電源ON/OFF充電ケースから出す/戻す 
その他、電源ONの状態で3分間操作なしの場合に自動で電源がOFFになる機能や、通話中にダブルクリックで本体とスマートフォンの音を切り替える機能もあるようです。


■ BT20Sの癖のない傾向を踏襲。有線イヤホンでTWS的な利便性と長い稼働時間が魅力的

TRN BT20S Pro」の傾向はベースとなっている「TRN BT20S」および「FiiO UTWS1」と非常によく似ており、味付けは行わずイヤホンの特徴を活かしつつ明瞭感がある元気な鳴り方をします。反応の良いイヤホンの場合、再生時の無音部分では多少のホワイトノイズを感じますが(停止中は出力がオフになるためホワイトノイズも無くなります)、多くのイヤホンで特徴を活かせるサウンドだと思います。
TRN BT20S ProTRN BT20S Pro
またケースへの収納/取り出しで電源のOFF/ONができるのはやはり便利です。有線イヤホンでもTWSに近い操作性を実現できているのはかなり魅力的でしょう。ケースのふたの部分がイヤホンを取付けた場合の収納場所となり、よほど大きいサイズのイヤホンでなければ装着したまま収納できると思います。また本体のバッテリ稼働時間の長さについては通常のTWS製品より圧倒的に長く、そういった意味でも実用性は高いと思います。

TRN BT20S Pro」が特に相性が良いのはやはりTRNやKZなどの中華ハイブリッド系のイヤホンで、最新の「TRN VX」や「KZ ZAX」といいったドライバー数の多いイヤホンでも十分に楽しむことができると思います。
TRN BT20S ProTRN BT20S Pro
もちろん「KZ AS16」や「TRN BA8」といったマルチBAイヤホンでも再生時に多少ホワイトノイズを感じるものの特に違和感なく利用できました。ただし「TRN BT20S」と比べると僅かながら「TRN BT20S Pro」のほうがノイズが少なくなっているようですが、やはりマルチBAイヤホンの場合は多少大味な感じになるのは価格的にも仕方ないかもしれませんね。特にカスタムIEMなど非常に反応の良いイヤホンではホワイトノイズがより多く感じ、さらに「TRN BT20S Pro」のやや主張が強めに鳴る傾向が多少キツく感じる場合もあるようです。
いっぽうで多少駆動力の必要なイヤホンの場合、解像感や音の深みなどは「Shanling UP4」などのワイヤレスポータブルアンプには及ばないものの、割り切って使えば結構楽しめるサウンドだと思いました。

TRN BT20S Proというわけで、「TRN BT20S Pro」はお気に入りのイヤホンを気軽にワイヤレス化、TWS化するアイテムとしてかなり実用性の高い製品だと感じました。同様のiBassoやFOSTEXの製品より数分の1の価格で購入でき、音質的にも癖のない組み合わせやすい印象なのが良いですね。またKZやTRN用のタイプCコネクタが選べるのは大きな魅力でしょう。
なお、ノイズ特性や電波強度などで若干の改善はあるものの、音質傾向的にはベースとなった「TRN BT20S」および「FiiO UTWS1」と酷似していますので、こちらのレビューを併せてご覧いただければと思います。

・過去記事: 「FiiO UTWS1」 様々なイヤホンをaptX対応の完全ワイヤレス(TWS)化。実際買ってみたら「アレ」との違いもあったワイヤレスアダプタ【レビュー】
・過去記事: 「TRN BT20S」 aptX対応イヤーフック型完全ワイヤレスアダプタ & KZ純正「KZ HD Bluetooth aptX HD対応アップグレードケーブル」 【レビュー】

個人的には、「TRN BT20S Pro」のFiiOバージョンもリリースしてくれないかなと期待したいところですね。