TINHIFI T1 PLUS

こんにちは。今回は「TINHIFI T1 PLUS」です。中国のイヤホンブランド「TINHIFI」の新しいエントリーモデルですね。もともと「TIN Audio」ブランドで最初の「T2」の後にリリースされた「T1」の後継モデルの位置づけですが、「T2」に対する「T2 PLUS」同様に、今回も旧モデルとの共通性はほぼ無く(シングルダイナミック構成なところくらい)、全く新しくデザインされたイヤホンとなります。
→ 過去記事(一覧): TINHIFI(TIN Audio)のレビュー
TINHIFI T1 PLUSTINHIFI T1 PLUS

TINHIFI T1 PLUS」では10mmサイズのベリリウム振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載。ベリリウム振動板を使用した低価格の中華イヤホンは種類は多くありませんが、例えば「URBANFUN」のイヤホンなどが知られていますね(「URBANFUN」製イヤホンのレビュー)。もちろん、かの20万円級高級イヤホン「final A8000」で搭載されている「トゥルーベリリウム振動板」とは異なり、実質的には「URBANFUN」同様の「ベリリウムコート」振動板だと考えられます。なお、サイトでは「98% beryllium diaphragm」という記載がありますね(汗)。また最初の無印「T1」とは異なり「TINHIFI T1 PLUS」ではqdcコネクタと形状に互換性のある0.78mm 2pinコネクタを搭載。リケーブルが可能な仕様になりました。
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本体カラーは、「ピンク」「ホワイト」「ブラック」「グリーン」の4色が選択できます。
TINHIFI T1 PLUS」の購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」または「Easy Earphones」にて。AliExpressでの購入方法などはこちらを参照ください。価格は25.78ドル~です。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): TINHIFI T1 PLUS 25.78ドル
AliExpress(Easy Earphones): TINHIFI T1 PLUS 29.00ドル


■ ポップなカラーバリエーションも楽しい、シンプルなデザインの樹脂製ハウジング

TINHIFI T1 PLUS」のパッケージは低価格モデルと言うこともありシンプルな白箱タイプ。パッケージ内容もイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース、説明書、と至ってシンプルです。ただイヤーピースについては上位のモデル同様に、開口部の大きいタイプと小さいタイプの2種類でそれぞれS/M/Lサイズが同梱されます。
TINHIFI T1 PLUSTINHIFI T1 PLUS
TINHIFI T1 PLUSTINHIFI T1 PLUS
TINHIFI T1 PLUS」のハウジングはプラスチック製で、従来モデルの金属製とは異なるアプローチの製品であることがわかります。ただ外観は非常にシンプルで無地のフェイスパネルも含めてミニマルなデザインは継承されています。本体カラーは4色を選べますが、ブラックのみ半透明の単色シェル(ラメグリッター入り)で、ほかのカラーは無地のカラーフェイスパネルと透明ハウジングの構成になっています。
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フェイスパネルはKZやTFZなどの中華ハイブリッドイヤホンと同等の大きさがあるものの、側面はとても薄く、ステム部分への緩やかなカーブで耳にすっぽりと収まる印象。装着製は比較的良好です。イヤーピースは付属品のほか、定番のJVCの「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」など開口部の大きいイヤーピースを合せてより装着感を向上させるのも良いと思います。
TINHIFI T1 PLUSTINHIFI T1 PLUS
ケーブルは銀メッキ線タイプの撚り線で、取り回しは良く被膜も多少弾力があるためタッチノイズも気にならない印象。なお、ケーブルもブラックは黒色のケーブルが付属します。また従来モデルのMMCXから0.78mm 2pin仕様となり、コネクタカバー部分はqdcコネクタと互換性のある形状となっています。そのため、最近KZ/CCA向きに中華ケーブルで増えているqdc仕様のリケーブルが使用可能です。ちなみに極性はqdcではなくKZタイプCと同じCIEM極性で、ピンの太さが0.78mmという、SIMGOTやNF Audioなどで採用されているものと同じ、最近の中華イヤホンで増えている仕様ですね。


■ TINHIFIでは珍しいボーカル曲が心地よい臨場感のある低域メインのサウンド。

TINHIFI T1 PLUS」の音質傾向は低域に厚みのある「中低域寄り」の弱ドンシャリ。おそらくTINHIFIでは初めての低域が印象的なサウンドです。初期の「T2」や「T2 PRO」の中高域寄りの個性的な傾向とも、最近の「TINHIFI T2 PLUS」のようなフラット寄りの傾向とも異なっており、従来のTINHIFIのイヤホンとしては外観に加えてサウンドも同社としては新しいアプローチの製品になっています。主にロックやポップスなどのボーカル曲向けのチューニングで厚みのある低域で臨場感のあるサウンドを楽しめます。

TINHIFI T1 PLUSTINHIFI T1 PLUS」は発売前にいくつかの国の複数のレビュアーに対して2種類のテストバージョンが送られており、実は私のところにも届いていました。このテストバージョンは製品版とはかなり異なるサウンドで、どちらもボーカル帯域メインの傾向ながら、最初に届いたものは無印「T1」(TIN Audio T1)に近いややフラット寄りのバランス、2番目はかつての無印「T2」(TIN Audio T2)のような多少癖のある中高域が印象的なサウンドでした。しかし、最終的にリリースされた製品版では中低域にかなり重点を置いたサウンドに変更されたようです。日本ではフラット寄りや中高域メインの傾向も人気が高いですが、海外のレビューを見るとパワフルな低域に対する要望がより強いようで、おそらく製品版ではその辺のフィードバックが反映されたのかもしれませんね。個人的には癖のある2番目のテストバージョンが最も好みでしたが、エントリーモデルとしての位置づけを考慮した「落としどころ」かもしれません。

TINHIFI T1 PLUS」の高域は、聴きやすく明瞭さより全体のバランスを意識したチューニングです。従来のTINHIFIの製品を知っている方にはこの高域は期待外れに思うかもしれません。分離もそれなりに良好ですが、限界は近くあまり正確な印象ではありません。しかし、刺さりなどの刺激はほとんどないものの、ある程度の鋭さは演出されており、ボーカル帯域を中心にしてバランスはとれていると思います。また長時間のリスニングでも聴き疲れしにくいと思います。

中音域は曲によっては僅かに凹みます。癖のない鳴り方をしますが、柔らかくウォームな音で解像感より雰囲気を楽しむ印象です。女性ボーカルは比較的綺麗に再生されますが、男性ボーカルの低音は少し分離が不足しているようで、曲によっては少し籠もりを感じる場合があります。音場の広さは普通ですが、厚みのある低域もあり臨場感のあるサウンドを楽しめます。
TINHIFI T1 PLUS
低域は従来のTINHIFI製イヤホンと比べるとかなり力強く、同時にタイトな鳴り方をします。おそらくベリリウムコートのドライバー特性が最も活かされている帯域だろうと思われます。前述の2種類のテストバージョンと比べてもかなりパワフルな印象ですね。スピード感のある鳴り方をしますが、量感があるため中高域との分離は今ひとつで曲によっては中低域に被りがあり活かせてないと感じる場合もあります。ポップスやアニソンなどのボーカル曲との相性は良く、厚みのある低域が心地よい音場感を生みますが、音数の多い曲やテンポの速い曲は向かないようです。

TINHIFI T1 PLUS」はTINHIFIでは珍しい低域メインのバランスで、ボーカル曲をとても楽しく聴くことができるチューニングが魅力的なイヤホンでした。また長時間のリスニングでも聴き疲れのないサウンドはエントリーモデルとしては使いやすくて良いと思います。
ただ、これまでのTINHIFIのイヤホンと比較すると今ひとつ慣れていないチューニングのためか詰めの甘さも感じられました。まあ個人的には2番目のテストバージョンのサウンドが結構好みだった、というのもありますね(^^;)。