NICEHCK DarkJade

こんにちは。今回は「NICEHCK DarkJade」です。中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」のオリジナルケーブルは11.11前後のタイミングで一斉に新製品が登場していますが、なかでもハイグレードに位置づけられる製品ですね。銀メッキ高純度単結晶銅(OCC)線にイヤホンケーブルとしては珍しいグラフェンコーティングを施した線材を採用し、OCC線らしい自然な表現力ととともに高い解像感とより広い音場を感じさせるケーブルです。個人的にも「NICEHCK Oalloy」を初めて聴いたとき以来の「あ、このケーブルはかなり良いぞ」と感じるリケーブル効果で、価格は中華ケーブルとしてはハイグレードな位置づけですが、数万円以上のクラスのイヤホンを含めて幅広く利用できる質の高さを感じます。
グラフェンコートにより立ち上がりの早いスピード感のあるサウンドを実現し、さらに減衰を抑え、全音域に自然な印象をあたえるとのこと。従来の線材とはまた異なるアプローチのハイグレードケーブルが登場したのは嬉しいところですね。購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」またはアマゾンの「NICEHCK」にて。AliExpressでの購入方法はこちらをご覧ください。


 [ NICEHCK DarkJade ] NICEHCK 8芯高純度銀メッキ単結晶銅+グラフェンコーティング ケーブル
NICEHCK DarkJade 8 Strand Graphene Silver Plated OCC Earphone Cable Litz 3.5/2.5/4.4mm MMCX/0.78mm 2Pin Connector
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】

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NICEHCK DarkJade」は、高純度単結晶銅(OCC)の銀メッキ線にグラフェンコートを施した線材を用いた8芯タイプのハイグレードケーブルです。コネクタは0.78mmのCIEM 2pinとMMCX仕様が用意されており、3.5mmステレオおよび2.5mm/4極、4.4mm/5極のバランスコネクタが選択できます。
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「グラフェンコーティング」はイヤホンのダイナミックドライバーの振動版では最近では比較的ポピュラーなアプローチになっていますが、イヤホンケーブルとしてはかなり珍しいですね。グラフェンとは炭素原子の六角形格子の構造をもったシート状の結晶分子で同じく炭素結晶であるダイヤモンドより強い結合で平面強度はより高いとも言われます。芯材は1本あたり133本の線材を撚り合わせており、これを8芯線として束ねることで高い情報量を実現しています。

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届いた「NICEHCK DarkJade」はお馴染みのHCKのハードケースに収納されていました。見た印象としては鋼鉄製ワイヤーのようなメタリックさ、重厚感で、見た目にも非常に武骨さを感じる印象です(実際、一般的な8芯ケーブルより結構重いですね)。それぞれの芯材は中心線を薄い皮膜に複数に分かれた数十本の線材をまとめた線を撚り合わせることで構成されており、ひとつひとつの線の被膜そのものは弾力があるものの、全体としては適度な柔らかさで取り回しも良好です。また最近のHCKのケーブルは2pinが中華2pinから「CIEM 2pin」仕様に戻ったため、埋め込みタイプのCIEMなどでも利用できるようになっています。

NICEHCK DarkJadeNICEHCK DarkJade」の音質傾向は、線材の構成を分りやすく反映しておりOCC線らしい自然な変化をベースに、銀メッキ線の解像感とスピード感を加え、さらに全体的な音場感をより高いレベルに押し上げたような印象を感じます。中低価格の銀メッキ線ケーブルによく見られる中高域にやや派手さのある変化は無く、ハイグレードなイヤホンでも特徴を活かしつつ、全体的に広く、伸びの良さを感じる方向にグレードアップをしてくれます。全域にわたって見通しの良い音になるため、より音場が広く、立体的に感じる印象となりますね。OCC線の柔らかさのある傾向と銀メッキ線の明瞭さをグラフェンコートが高いレベルで調和させている、といったところでしょうか。

情報量は非常に多いもののあくまで自然な印象で変化するバランスの良いケーブルのため、ハイグレード製品を含むフラット傾向のイヤホンと相性の良さがあります。20万円クラスの「HIFIMAN RE2000」と組み合わせても高い表現力やバランスを変えること無く、より高い明瞭感とともに見通しの良さを向上させているのが分ります。おそらく下位モデルの「RE2000 Silver」ではさらに違いを感じるはずで、「NICEHCK DarkJade」によるグレードアップは最適なアプローチとひとつとなるでしょう。
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似たようなところではfinalの最新低価格モデル「A4000」との組み合わせも結構興味深かったですね。イヤホン本体よりケーブルのほうが高価になるため、あまり現実的なリケーブルではありませんが、軽量な樹脂ハウジングによる粗さが適度に締まり、ぐっと近くで定位しつつより立体的な音場で明瞭に鳴ってくれます。1グレード上がったような変化を実感できます。

NICEHCK DarkJade非常にバランスの良いケーブルのため、イヤホンの構成による相性は少なく、シングルダイナミック、マルチBA、ハイブリッドなどさまざまな構成のイヤホンで使うことができます。しかし、もともと派手な傾向のイヤホン、中高域寄りの寒色系の製品では、全体的に情報量がアップすることで聴いたときに中高域の印象が強くなり相対的に低域が弱く感じる可能性もあります。そのため価格的にも明らかにターゲットの異なるKZ/CCAのハイブリッドなどとの相性はいまひとつですし、他にも高域が強めのドンシャリ傾向のイヤホンではせっかくの良さが活かせず「ちょっと勿体ない」印象です。

ただ、同じ低価格中華ハイブリッドでも「TRN V90」では非常に良いバランスで変化したのが興味深かったですね。「TRN V90」および「TRN V90S」は情報量の多い銀メッキ線や16芯線ではハイ上がり気味となって高域がキツくなりすぎる傾向があるのですが、「NICEHCK DarkJade」では情報量を大幅に向上させつつつ自然な変化でコントロールができているようです。
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同様に5BA構成の「ROSE BR5 Mk2」もリケーブルで高域が強くなりやすいイヤホンですが、「NICEHCK DarkJade」では相対的に中高域が強めには感じるものの、より高い解像感で明瞭さをキレの良さを感じさせつつ、刺さる手前くらいで楽しむことができました。また3BA構成の「Shanling AE3」では全体的な見通しの良さが向上し、よりスッキリとした音場感とともに音の密度が向上していると感じました。


というわけで、「NICEHCK DarkJade」は高い解像感により、「凛とした印象」に感じさせる「グラフェンらしさ」のあるケーブルでした。個人的にはフラット傾向のイヤホンと合せることで、よりイヤホンの個性を感じさせるという意味でとても気に入っているケーブルですね。ただし、多くのイヤホンでは中高域の変化がより顕著で、相対的に低域がやや弱く感じる印象もあるため、相性というか「多少好みが分かれる」部分もありました。
中華イヤホンと並んで、中華イヤホンケーブルも、このように、ちょっとレアな構成も含めたさまざまな製品をより低価格で購入できることが魅力です。なかでも今回の「NICEHCK DarkJade」のようにとても個性的ながら非常に利用範囲が広く、またハイグレードなイヤホンでも良好なリケーブル効果が得られるケーブルは非常に魅力的ですね。私自身とても気に入ったケーブルですので、今回オーダーした2pin仕様に加えてMMCXタイプも買い増ししようと考えています。