YTAO HYBRID 2+6

こんにちは。今回は「YTAO HYBRID 2+6」 です。名称通り6BA+2DD構成のハイブリッドで、ブルーのクリアシェルのイヤホンながらフェイスデザインを見ると「ちょっと一筋縄で行かない」アヤシイ雰囲気も醸し出していますが(^^;)、サウンドの質はかなり高く、ボーカル帯域を中心としたバランスながら高い解像感を持っており、明瞭な高域とパワフルな低域が楽しめるイヤホンです。いかにもマニア向けな製品ではありますが、個人的には結構好きなイヤホンですね。
YTAO HYBRID 2+6YTAO HYBRID 2+6
メーカーの「YTAO(櫻桃聲電)」は以前「なんちゃってNeptune」な1BAモデル「YTAO Unicorn」を出していたメーカーとして知っている方もいらっしゃるのではと思います。こちらは本家と比べて大幅に低価格の製品としての印象が強かったイヤホンでしたが、今回の「YTAO HYBRID 2+6」は一変して、300ドル前後、3万円オーバーと中華イヤホンとしては結構ハイグレード仕様の価格設定になっています。
YTAO HYBRID 2+6YTAO HYBRID 2+6

販売しているHCKのツイートでは当初から「変態イヤホン」と明言していましたが、6BA+2DDというちょっと変則的なマルチドライバー仕様も興味深いですし、その2DD部分は独特な形状の一体型2DDユニットを搭載しているのも気になるところです。きっと趣味丸出しな感じのフェイスデザインに目が行きますが、それだけでなく単なるキワモノとは言い切れないこだわりがいろいろ詰まっていそうです。

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YTAO HYBRID 2+6」は今回も中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」が販売をしています。購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」またはアマゾンの「NICEHCK」にて。
価格はAliExpressが278.35ドル、アマゾンが33,890円です。AliExpressでの購入方法はこちらをご覧ください。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): YTAO HYBRID 2+6
Amazon.co.jp(NICEHCK): YTAO HYBRID 2+6


■ 見るからに個性的なフェイスデザインと、独自性も垣間見える搭載ドライバー

YTAO HYBRID 2+6」のパッケージは「YTAO Unicorn」のときと同様のもののようで、シンプルなデザインの箱の中に入っています。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(丸いケースの中にたくさん入っています)、クロス布、ハードケースといった内容。イヤーピースはケースの中に白色とグレー(青色の芯)がS/M/Lサイズ、それ以外に、赤色Lサイズ、ブルーのSSサイズ、グレーLサイズの別バージョンが入っていました。
YTAO HYBRID 2+6YTAO HYBRID 2+6

本体はレジン製で少しラメグリッターの入ったブルーのクリアシェルにちょっとケバい感じ(^^;)のフェイスパネルが特徴的。左側の丸いマークがメーカーロゴらしいですね。ベント(空気孔)は側面上部にあります。コネクタは最近増えているqdcと形状互換のある0.78mm 2pin仕様。カバー部分で固定することから2pinコネクタの中では緩みにくさや耐久性が高めなことと、KZのタイプCコネクタ登場以降、中華ケーブルでqdcコネクタのリケーブル製品が増えていることもあり、最近のSIMGOTやNF Audio、またTINHIFIなどもこのタイプを採用し始めていますね。
YTAO HYBRID 2+6YTAO HYBRID 2+6
搭載されているバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーは、YATOロゴの入った独自のもの。コネクタ付近に配置された高域用と思われる2BAユニットが2基(合計4BA)と、ステム直下に配置された中音域用と思われる少し大きいBAユニットが2基(2BA)で片側6BAを構成。それぞれ音導管によりステムにつながっており、フィルターによる調整が行われているようです。そして2BAユニットはひとつの金属シャーシに格納されているのですが、興味深いのはシャーシ内で2基のダイナミックドライバーは向かい合って配置されているようで、その間の中央部分から音導管でステムに送られる構造となっています。このタイプだとハウジングによる影響が少ない仕様になっているのではと思われます。とても面白いですね。付属ケーブルは銀メッキ線タイプで比較的柔らかい樹脂被膜で覆われた左右の線材を手編みした2芯タイプとなっています。

YTAO HYBRID 2+6」は少し大きめのハウジングですが装着性は悪くないと思います。ただ厚さがあるうえほぼ箱状の形状ということもあり、ステムの角度を耳穴にあわせて動かせる余地がちょっと少なく、人によっては合う・合わないがある可能性があります。私もちょっとステム角度が合わなかったため、イヤーピースを「final E」タイプなど耳穴に合わせて角度をつけられるタイプのイヤーピースに変えることでしっかり装着できました。付属のイヤーピースはオマケ程度に思って、自分の耳に合うものを最初から別途用意した方が良いでしょう。まあ言うまでも無く、この価格帯の中華イヤホンを使用される方はまずイヤーピースは交換しちゃうのではと思いますが・・・


■ 見た目のデザインを裏切らない、「頭悪い系(褒め言葉)」ドンシャリサウンド

YTAO HYBRID 2+6」の音質傾向は結構なドンシャリで、濃密さのある多ドラ構成らしい音に加え、パワフル中心とした低域と中高域の明瞭感がとても印象的です。全体の印象は・・・まあ、確かになかなかの「変態イヤホン」ですね(笑)。普通のDAPで聴くといかにも中華ハイブリッド、という感じで割と聴きやすい鳴り方をしますが、駆動力強めの再生環境では、一気に派手さがアップし、強烈な個性を堪能できるのではと思います。なんと言うか、「良い意味で頭悪いサウンド」という感じで、リスニングイヤホンとしてどうか、というのは別として、個人的には結構好きです。
YTAO HYBRID 2+6ただ、「Shanling M6 Pro」や据え置きアンプのような駆動力のある再生環境ではローゲインで、あるいは私の手持ち環境では「Shanling M5s」や「FiiO M11」のような標準的な駆動力のDAPで「ちょっと大人しめ」にして聴く上でも、結構楽しめるイヤホンだと思います。全体的に音場は広く解像度は高い印象で、派手さの中にもボーカル帯域を中心とした密度の高さがあります。この濃厚さは似たようなバランスのKZなどの低価格中華ハイブリッドとは結構違いを実感する要素です。価格的にもデザイン的にも「非常にニッチな製品」であることは疑いようがありませんが、その前提であれば、過激さや濃密さのなかに楽しみを見つけたい方にはフェイスパネルのデザインを裏切らないサウンドではないかと思います。

YTAO HYBRID 2+6」の高域は、結構派手めに鳴ります。4基の高域用BAは明瞭さを感じつつ、煌びやかではっきりとした音で鳴ります。金属質な響きのある高音ですが、KZ/CCAやTRNなどに多い独特のギラつきは無く、元気で明瞭な音がまっすぐ届く感じは好印象です。ある程度駆動力のある環境では刺激は少し強調気味に感じ、高域成分の多い曲ではちょっと攻撃的に感じます。ただ不快な歯擦音は無く、また低域がしっかりとした力強さがあり、腰高にならずに全体のバランスはしっかり取れています。その上で刺さるべき音源ではしっかり刺さる、という感じは、「これはこれで有り」と思わせる印象です。
YTAO HYBRID 2+6中音域は癖がなく、密度の高い音を鳴らします。解像度および分離がよく、1音1音をしっかり捉えることができる印象です。少し離れて鳴っているように定位するもののボーカル帯域は存在感があります。音場は広く演奏は広がりを感じます。バランス的に高域や低域の派手さでも特に凹みを気にせず、むしろ1音1音をしっかり捉えることができるのは良いですね。また中高域の抜けも良好で女性ボーカルのハイトーンも綺麗に再生されます。
低域は力強く重量感のある音を鳴らします。ミッドベースは存在感があり適度な響きがありますが、中高域と被ることは無く、元気のある弾み方をします。重低音は深く地響きのような重さがあります。中高域に比べると解像感や分離はそれなりですが、スピード感のある曲や音数の多い曲でもある程度追随できる分離感は確保されているようです。低域も派手さのある音を鳴らすため、曲によっては多少聴き疲れしやすいかもしれません。

相性の良い曲は、ハードロック、EDMなどのほか、元気に鳴らす曲は全般で楽しめるのではと思います。いっぽうで、ポップスやアニソンなども多少派手ですがこのような傾向が好みの方にはいいのでは。ただやはり万人向けの印象ではないため、価格やデザインと併せて「わかっている方」向けのイヤホンだと思ったほうが良さそうです。まあ、HCKの自社ブランドの製品もそんな感じですし、どうやら「変態ウケ狙い」で最初から選んでる感じもありますね(笑)。まあ、冒頭に記載したとおり、HCKのそういう方向性も含め「個人的にはこういうイヤホンも結構好き」ですよ(^^;)。