KZ SA08

※2021年7月追記:
「KZ SK10」のリリースに合わせて、既存モデルの「KZ SA08」および「KZ SKS」「KZ Z1 Pro」も一括で技適認証を取得したようです。これにあわせて本文中で技適認証番号を追記しました。該当の認証情報はこちら(総務省サイト)となります。

こんにちは。今回は「KZ SA08」です。片側4BA搭載のマルチBA仕様の完全ワイヤレス(TWS)となります。最近はTWSでもマルチドライバーの製品は増えてきましたが、多くはハイブリッド構成でたまに2BA構成くらいの製品を見かける程度です。低価格中華イヤホンの代表的ブランドである「KZ」および 姉妹ブランドの「CCA」の製品でも1BA+1DD構成や4BA+1DD構成のハイブリッドで、低域も含めたマルチBAモデルは初めてだったと思います。
KZ SA08KZ SA08

KZ製の完全ワイヤレスイヤホンは独自のチップセットを使用しており、コーデックはAACまでの対応ですが、マルチドライバー構成を活かした高音質を実現しています。また「KZ SA08」では充電ケースのデザインが変わり、充電コネクタもようやくUSB Type-Cが採用されました。
ドライバー4BA構成
31376(2BA) + 29689 + 22955
Bluetooth5.0
コーデックAAC / SBC
再生モード通常 / 低遅延モード
バッテリ容量本体:30mAh、ケース:400mAh
充電コネクタUSB Type-C
サイズ(mm)本体:19 x 24 x 27、ケース:61 x 32
重量(g)(片側) 5.7、(ケース) 44
技適認証番号210-160781
KZ SA08」で搭載されるドライバーは4基のバランスド。アーマチュア(BA)ドライバーで、高域用の2BAユニット「31736」、中音域用の「29689」、低域用の「22955」の各KZ独自のBAドライバーを使用しています。どのユニットもKZ/CCAブランドの完全ワイヤレス(TWS)イヤホンでは初めて搭載されるものです。そして、非常に興味深いのは、この組み合わせはKZの片側8BAモデルの有線イヤホン「KZ AS16」の搭載ユニットをちょうど半分にしたものです。
 KZ SA08(片側4BA): 「31736 (2BA)」×1 + 「29689」×1  + 「22955」×1
 KZ AS16(片側8BA): 「31736 (2BA)」×2 + 「29689」×2  + 「22955」×2

KZ SA08KZ SA08
構成するドライバー数は異なるものの、有線イヤホンで実績のある組み合わせを踏襲することでKZにとって「最初のマルチBA仕様TWS」である「KZ SA08」を手堅くまとめることができたのだと思われます。ちなみに「KZ SA08」に搭載される各ユニットの高性能版(「s」つき型番)のBAユニットは10BA仕様の「KZ ASX」でも搭載されています。
シェル内にはこれらのユニットに加えて30mAhのバッテリ、フェイス部分にBluetooth 5.0対応のネットワーク基板とタッチセンサーが搭載されます。
KZ SA08KZ SA08

KZ SA08」の購入はAliExpressおよびアマゾンの各セラーにて。
価格はAliExpressが60.12ドル、アマゾンが6,970円~です。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
AliExpress(KZ Offical Store): KZ SA08
Amazon.co.jp(KZ offical shop): KZ SA08


■ 大きめながら装着製の良いシェル。再生時間は最短記録を更新、かも。

KZ SA08」のパッケージは「KZ Z1」などから採用されている、同社の有線イヤホンのパッケージより大きめの白箱タイプ。説明書は紙のケースに入っています。パッケージ内容はイヤホン本体、充電ケース、イヤーピース(S/M/Lサイズ、本体装着済みMサイズ)、充電ケーブル(USB Type-C)、説明書、保証書など。
KZ SA08KZ SA08
KZ SA08KZ SA08

シェルは樹脂製、ステムはアルミ合金製で他のKZ/CCA製TWSと同じ細いタイプ。最近では「KZ ASX」や「KZASF」でも採用されたタイプですね。シェル形状は「CCA CX10」などより耳にフィットしやすいデザインで、「KZ Z1」より厚みがあります。どちらも少し大きめのハウジングながら耳にしっかりホールドする形状で、耳から落ちることはめったに無いと思いますが、「KZ SA08」は少し耳から出ているような感じになりますね。
KZ SA08KZ SA08
また今年に入ってリリースされたこれら3種類の製品とも形状やステム角度が微妙に違いがあるため、人によっては機種によって装着感が異なると感じる場合もありそうです。KZ製TWSは充電ケース側の空きスペースが少なく、付属品以外のイヤーピースを使用した場合にケースに入らない、というケースもあるのですが、SpinFit CPなど組み合わせて利用できるものも何種類かはあるようですね。
KZ SA08KZ SA08
充電ケースは「KZ Z1」「CCA CX10」の四角タイプから円形タイプになりました。また「KZ S1」「KZ S2」などと同様に充電ポートもUSB Type-Cに戻りましたね。接続性は比較的良好で、混雑した都内での駅でもあまり途切れること無く再生できました。電波状態は「CCA CX4」「CCA CX10」と同等という印象です。またマルチBA構成のため再生時に僅かにホワイトノイズを感じますが気になる程度ではないようです。

KZ SA08」のフェイス部分のタッチセンサーの操作も従来のKZ/CCA製TWSと同様で、「再生/停止」(シングルタップ)や「曲送り」(右側2回タップ)/「曲戻し」(左側2回タップ)といった内容。タッチセンサーで音量の操作はできず、プレーヤー側で行う必要があります。そして「KZ SA08」にも低遅延モードが搭載されており、「左右どちらかを3回タップ」すると「High-performance Mode」というボイスアナウンスが入ります。逆にこのモードでもう一度3回タップすると「Standard Mode」というボイスアナウンスとともに標準のモードに戻ります。低遅延モードではよりゲームに適した低遅延での再生が可能ですがバッテリ消費はある程度早くなるようです(音質的な違いはほぼありません)。
再生/停止1回タッチ(左右どちらか)
曲戻し左側 2回タッチ
曲送り右側 2回タッチ
受話・終話着信時1回タッチ(左右どちらか) 
着信拒否着信時長押し(左右どちらか)
音声アシスタント左右どちらかを2秒長押し 
低遅延モード3回タッチ(左右どちらか)
手動オン/オフ3秒(ON) / 6秒(OFF) 長押し
電源オン/オフ充電ケースから出す/戻す 
ちなみに、KZ製イヤホンは有線イヤホンと同様の高音質ドライバーを搭載している代わりに連続稼働時間が短いことが共通したウイークポイントです。特に「KZ SA08」の本体バッテリーは「KZ Z1」と同じ片側30mAhで、「CCA CX10」の40mAhより少ない仕様です。そのため、こまめに充電ケースに戻して充電を行う使い方になります。そこで、今回も実際にフル充電から連続再生を行い、イヤホン本体での連続再生時間を測定してみました。結果、1時間20程度で「Low Battery」のアナウンスが流れはじめ、1時間35分くらいでバッテリー切れになりました。最短記録を更新しちゃいましたね(汗)。充電ケースでは5分程度の充電で再び使用できるようになります。なお、屋内の電波環境が良好な場所でテストしましたので、屋外での利用ではもっと短くなると思います。また充電ケース側のバッテリは400mAhが確保されており、単純計算で5~6回のフル充電がかのうな計算になります(実際はもっと少ないとは思いますが)。


■ かつてのKZらしい派手めのドンシャリサウンドをマルチBAらしい高い解像感と分離感で楽しめる

KZ SA08KZ SA08」の音質傾向は中低域寄りで元気さのあるパワフルな寒色系ドンシャリ傾向。印象としては6BA構成の有線イヤホン「KZ AS12」と「KZ ASF」の中間くらいのバランスかな、という感じ。さらに高域・中音域、低域の各BAユニットがわかりやすく主張しておりメリハリのある鳴り方をしています。まあこの辺は「KZ AS16」のドライバーをそれぞれ半分に減らした構成なわけですから、それぞれのユニットがより元気に鳴るいっぽうで各音域のつながりや滑らかさに違いが出てくるのは当然でしょう。ドライバーの種類だけで無く、組み合わせる数にもちゃんとした理由はあるわけですね。逆に「KZ SA08」のシンプルなマルチBA構成は各音域でスッキリした分離感があり、Bluetooth環境、それもLDACなどの高音質コーデックと比べると「普通」なAACコーデックの再生環境でも驚くほど明瞭な解像感を獲得しています。ドンシャリなTWSですが、それなりに音数の多い曲でも十分に耳コピで使えそうなくらいの表現力があります。

KZ SA08」の高域は明るくスッキリとした印象の音を鳴らします。非常に輪郭のハッキリした音でそれなりに主張の強さを感じるKZらしい高音で、自然な高域を好まれる方には少し演出可能に感じるかも知れません。ただ、鮮やかさのある音ですが刺激は刺さる少し手前くらいでコントロールされており、。派手さのなかにも聴きやすさを感じるのは好印象です。いかにも中華イヤホン、といった感じの金属質なギラつきを感じる部分もありますが、例えば「CCA CX4」や「KZ S2」の高域と比べると、よりまっすぐ綺麗に伸びる印象でシャリつきなどもありません。
KZ SA08中音域は凹むことなく癖の無い音で元気に鳴ります。多少メリハリが強の印象のため、音域ごとにドライバーの切れ目を感じる場合もありますが、解像度や分離は非常に良く、明るくスッキリした印象です。ボーカル帯域は前方で再生されますが、音場は左右に広く、定位は比較的良好です。中高域の抜けも良いですね。いっぽう中低域はメリハリが強さからちょっと派手さを感じやすい部分です。また演奏を楽しめるチューニングだと感じました。輪郭も明瞭で細かいディテールを実感することができます。
低域は情報量が多く、しっかりとした重さと量感のある鳴り方をします。分離の良いハッキリした音で、中高域が籠もることはありません。沈み込みも深く、締まりのある重低音の表現も感じる事ができます。キレのあるベースラインが印象的で輪郭のハッキリした音ですが、高域同様に多少人工的な音に感じる可能性はあります。この辺も「派手め」のアレンジのひとつと言えるでしょう。

相性の良いのはロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲のほか、インストゥルメンタルも広い音場と適度なメリハリにより楽しく聴くことができるでしょう。またキレと存在感のある低域はEDMなどでも合うと思います。いっぽうでやはり派手さがありドライなサウンドのため、バラード曲やジャズなどは元気すぎるかもしれませんね。


KZ SA08というわけで「KZ SA08」は「KZ ZS10 Pro」の頃のような派手さのある「いかにもKZなサウンド」ですが、個人的には最近の「CCA CX10」がちょっと暖色系な印象もあったため、こちらのサウンドの方が好感が持てます。この辺は好みが分かれる部分だと思いますが、元気でノリの良い、楽しいサウンドを求める方には「KZ SA08」は良い選択肢でしょう。また普段から中華イヤホンを楽しんでいる方には「KZ SA08」のサウンドは期待を裏切らないものです。またTWSのくせに耳コピで音を捉えるのも問題ない解像感や分離感、定位の良さはマルチBA仕様ならではの要素でしょう。本体の連続再生時間はいかんともしがたい部分ですが、他とはちょっと違う完全ワイヤレスとして結構楽しめると思いますよ(^^)。