KBEAR ST1

こんにちは。今回は「KBEAR ST1」です。最近の中華イヤホン界隈はハイスペック化やハイグレード化は進むなかで、一部のノーブランド品を除くと耳掛けタイプが主流になっていますね。しかしマニア以外の方からするとむしろ「ちょっと敷居が高い」印象を持つかもしれません。低価格中華イヤホンでもノーブランド品以外で「音の良い普通のカナル型イヤホン」のニーズは多いのではと思います。
そんななか「KBEAR ST1」はアマゾンでも千円台の「マニアじゃない人も普通に選択肢に入れられる価格帯」で、しっかりした金属ハウジングを採用し、音質面でも家電量販店などで販売されている同価格帯のイヤホンとはレベルの違う「ちゃんとしたオーディオクオリティ」を実現した製品です。
KBEAR ST1」は最近マニアの間でも注目度が高くなっている中国のイヤホンブランド「KBEAR」の低価格モデルで、アルミ合金製の金属ハウジングに高音質ドライバーを搭載しつつ千円台の低価格を実現しています。最近ではイヤホンといえばTWS(完全ワイヤレス)のようなワイヤレス製品のことをイメージするような流れにもなっていますが、低価格でより質の高いサウンドを楽しめ、また遅延が無い有線イヤホンだからこそのゲーミングや動画視聴、オンライン会議などの用途にも最適な製品といえるでしょう。
KBEAR ST1KBEAR ST1
KBEAR ST1」は高分子ポリマー(PET)振動版を採用した8.7mmサイズのダイナミックドライバーをシングルで搭載。イヤホン本体はCNC加工されたアルミニウム合金製で金属製ハウジングながら片側5gの軽量設計で、左右が分りやすいように赤・青のマーキングがされています。ケーブルは取り回しの良いTPE樹脂被膜を採用。3ボタン(音量UP/DOWN、マルチファンクション)仕様のリモコンマイク付きモデルを選択することもできます。
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KBEAR ST1」の購入はアマゾンの「HiFiHear Audio」にて。
価格はマイク無しモデルが 1,599円、マイク付きモデルが 1,699円です。
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): KBEAR ST1
※現在購入時に10% OFFとなるクーポンを配付中です。

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KBEAR ST1」のパッケージはコンパクトな箱で届きました。この箱はKBEARブランドのリケーブル製品のパッケージを使ったもので、そこに製品のカバーを付けています。パッケージ内容はイヤホン本体、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、布製ポーチ。この価格のイヤホンで収納ポーチが付属するのは有り難いですね。今回はマイク付きモデルでオーダーしました。
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KBEAR ST1」の本体は、カナル型イヤホンとしては大きすぎず使いやすいサイズ感です。アルミ合金のハウジングは想像以上に非常に軽く、重さで耳から落ちる心配はほとんどなさそうです。またTPE樹脂被膜のケーブルも絡まりにくく、また曲り癖もないためとても使いやすい印象。通常の装着方法では少しタッチノイズは感じますが、分岐部分のケーブルも一定の長さがありマイク付きモデルも含めて耳掛け装着も可能となっています。
KBEAR ST1このクラスのイヤホンで音の良いもの、というと日本では「final E1000」(またはマイク付きの「E1000C」)や「E500」などが比較対象になりそうですが、搭載ドライバーの大きさの違いからハウジングの太さは少し差がありますが、長さはほぼ同じで装着感にも大きさ差はないようです。また、マイク付きモデルについてはマルチファンクションと音量調整ができる3ボタンタイプで、より直感的に操作できるのも、実は細かいメリットだったりします。
KBEAR ST1」ではS/M/Lサイズのイヤーピースが付属します。ただ市販のイヤーピースに交換することでより音質面で印象を向上することが出来ます。手軽なアップグレードとして検討されるのも良いでしょう。JVC「スパイラルドット」やAcoustuneの「AET07」などがお勧めです。今回私は定番の「スパイラルドット」を選択しました。イヤーピースを替えることで主に低域の質感が向上し、より臨場感のあるサウンドを楽しめます。


■ この価格帯としては明瞭感のある元気なサウンド。多くの方が様々な用途で楽しめる仕上がり

KBEAR ST1KBEAR ST1」の音質傾向は明瞭感のあるドンシャリ。千円台の低価格イヤホン(特にノーブランド品)の多くは、やたら低域がズンズンと響くわりに中高域が膜を被ったように籠もった印象だったり、色が抜けたような淡泊な印象だったりするのですが、「KBEAR ST1」では金属ハウジングの特徴を上手く活かしたシャープでキレのある高域と、明瞭な鮮やかさと伸びの良さを感じるボーカル帯域が非常に心地良い印象。低域もしっかりと存在感を持って締まりのある音で弾むように鳴ります。特にマニアではない方でも一聴して「とても明瞭感のある良い音」と感じるチューニングだと思います。

KBEAR ST1」の高域はこの価格帯としては明瞭で伸びの良い音を鳴らします。適度な鋭さが有りますが、刺さる少し手前で調整されているため過度に刺激を感じることはないでしょう。ハイハット等のシンバル音も軽くならず描写できる解像感があります。
中音域は癖のない音で曲によっては僅かに凹みますが、ボーカル帯域はキレが有り心地良いサウンドです。全体的に元気な出音ですね。適度な音場感で演奏との分離もこの価格帯のイヤホンとしては良好だと思います。そのためボーカル帯域は少し下がって定位しますが、ストリーミングで流れる最近のポップスなどのリスニングを想定するとあまり遠さを感じることはないでしょう。定位もある程度自然なので映画などの動画視聴やゲーミングでの利用でも臨場感のあるサウンドで違和感なく使えると思います。
KBEAR ST1低域は量的には十分で自然ですが、この価格帯のイヤホンは低域過多のものが多いため、やや淡泊に感じる方もいるかもしれません。低域の量感や締まりはイヤーピースなどで結構変化するため付属イヤーピースで抜けるような印象があればより耳にフィットし奥までしっかり装着できるものに交換することをお勧めします。解像感はそれなりで質感では「KBEAR KS1」などに大きく譲りますが、重低音もそれなりに実感でき、過度に膨らむこと無く締まりのある音を弾ませるため、中高域を気持ちよく下支えしてくれる印象です。
気軽に使えるイヤホンとしてジャンルにこだわること無く楽しめる印象ですが、ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲で相性の良さを感じます。

前述の「final E1000/E1000C」や「E500」は「KBEAR ST1」よりかなりニュートラルな音作りでオーディオ的には真面目な印象なのですが、「final E1000/E1000C」ではバランスが良い反面、比較すると多少平坦に感じやすく、その傾向から中音域の輪郭の緩さが気になるかもしれません。「E500」は音場や定位感が圧倒的に優れている反面、メリハリや臨場感など「リスニングでの楽しさ」は「KBEAR ST1」のほうが感じるでしょう。解像感や分離の良さでもこの価格帯の製品としてはまずまずで、アマゾンなどでも数多く出てくる似たようなノーブランド品とは頭ひとつ抜けた音質だと思います。もっとも中華イヤホンの世界でも主要メーカーの製品はクオリティが大きく底上げされていますので、少し上の価格帯の「KBEAR KS1」や「KZ EDX」などではリケーブルによりさらに高い音質を実感できますが、「KBEAR ST1」のマニア以外の方も手軽に使える部分は存在感がありますね。

というわけで、「KBEAR ST1」は千円台で購入できるシンプルなカナル型イヤホンとして、アマゾンでも数多く出てくる製品の中で定番になりうる実力を持った製品だと思います。マニア以外の方も安心して使えるクオリティがあり、様々な用途で幅広くお勧めできると思います。またマニアの方も普段使いのアイテムとして手頃なアイテムだと思いますよ。