FiiO FH3

こんにちは。5月に入りましたが今年もコロナ禍の大型連休となってしまいましたね。ステイホームのなかで私もたまっている書きかけ記事を仕上げていこうと思っていたりします。というわけで、過去に購入したイヤホンを振り返って紹介する「棚からレビュー」ネタ、今回は「FiiO FH3」です。中国の大手ポータブルオーディオブランド「FiiO」の2BA+1DD構成のハイブリッドモデルで発売から半年ほどの人気モデルですね。購入したのは今年の初めでレビューはそれから書きかけのままになっていました。

海外では上位モデルの「FH5」の後継となる「FiiO FH5s」が「2BA+2DD」の変則的な構成でリリースされましたし、1DDモデルの「FiiO FD5」も300ドル超え、4万円ほどの価格設定にもかかわらず好評のようです(「FiiO FD5」は私も購入しており、後日レビュー予定です)。というわけで、最近イヤホンブランドとしても注目度の高まっている「FiiO」製品も少しずつ網羅して行けたらと思っています。
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ちなみに、「FiiO」のハイブリッドイヤホンは1BA+1DD構成の「FiiO FH1s」、次いで今回レビューする2BA+1DD構成の「FiiO FH3」、そしていちおう現時点の上位モデルに「FiiO FH5」(3BA+1DD)があり、最上位が「FiiO FH7」(4BA+1DD)となります。また「FH1s」はこれは以前レビューした「JadeAudio EA3」のFiiO版になります(ブランドロゴと付属ケーブル等が異なる)。
個人的には「FiiO FH5」を昨年購入しており、これが結構気に入ったこともあり、今年に入って「FiiO FH3」も購入しました。まあ、さらに遡ると2020年4月に掲載したミドルグレード中華イヤホンのランキングの最後のほうで「今後はFiiOやShanlingなどのイヤホンも買っていこう」みたいなことを書いていて、実際に11月末のランキングでは「Shanling AE3」を登場させたりしていましたね。というわけで、今後はFiiOのイヤホン製品も買える範囲で(笑)行ってみようと思っています。

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さて、「FiiO FH3」はKnowles製のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーを2基とベリリウムコーティング振動板を採用した10mmダイナミックドライバーの組み合わせによるハイブリッドモデルです。搭載されているBAは高域用がFiiO製イヤホンでは定番の「RAB-33518」、中音域用が「ED-30262」を使用しています。FiiOの特許技術「S.TURBO Acoustic Design」による物理的・電気的手法を組み合わせた3wayのクロスオーバー処理により、各音域に渡りスムーズなサウンドを実現しているようです。
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付属するケーブルは「FH5」と同様の銀メッキ高純度単結晶銅ケーブルとなります。芯あたり96本の素線による4芯ケーブルを樹脂被膜で覆った仕様です。他モデル同様にMMCXコネクタを採用し、純正のアップグレードケーブルやワイヤレスアダプタ(「UTWS3」や「UTWS1」など)のほか、さまざまなリケーブルにも対応します。

FiiO FH3」の価格は海外版が129.99ドル~、日本国内版は18,340円(税込み/アマゾン)です。
Amazon.co.jp(国内正規品): FiiO FH3
AliExpress(FiiO Offical Store): FiiO FH3
HiFiGO: FiiO FH3


■ 充実した付属品と質感の高い金属ハウジング。付属ケーブルはちょっと使いづらいかも。

FiiO FH3」のパッケージは同社製品らしく同価格帯の製品の中でも特にしっかりした印象。付属品も充実しています。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースはシリコンタイプ3種類(それぞれS/M/Lサイズ)、ウレタンタイプ2種類、クリーニングブラシ、布製ポーチ、ハードケース、説明書など。
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ブラックの金属製ハウジングはシンプルなデザインながらフェイス部分の波形模様が特徴的。耳にフィットしやすいデザインで装着性も良好です。イヤーピースのバリエーションが多く、音色傾向も含めて合うものを選びやすいのも良いですね。他にも定番のJVC「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、「AZLA SednaEarfit XELASTEC」、SpinFit「CP100+」など開口部が大きめのタイプで、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのもお勧めです。
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付属のケーブルは「FH5」と同じ硬い被膜で覆われた銀メッキ線タイプで、質感は良いものの取り回しは今ひとつです。MMCXコネクタを採用していることもありリケーブルは容易なので、好みに合ったケーブルを選択するのも良いでしょう。


■ FiiOらしいフラット方向ながらより低域を強調したリスニング向けのサウンドバランス

 FiiO FH3FiiO FH3」の音質傾向は中低域寄りながらフラット方向から弱ドンシャリくらいのバランスで鳴ります。多くの中華ハイブリッドが比較的分りやすいV字カーブを描くドンシャリ傾向のなかで、FiiOのイヤホンは主に中音域の表現力にポイントをおいたフラット方向のチューニングが特徴的です。ただ再生環境によってはやや低域が強く感じるかもしれませんね。
以前からの人気モデルである「FiiO FH5」がより音場感のあるサウンドを楽しめるのに対し、 「FiiO FH3」はボーカル帯域を中心によりダイレクトさを感じつつ、より臨場感のあるエネルギッシュな低域が心地良い「楽しいサウンド」を「優れたサウンドバランス」で実現している製品といえるでしょう。非常に使い勝手が良いサウンドで、アンダー2万クラスの製品のなかでは定番に位置づけられるのも納得できる仕上がりです。フラット方向のハイブリッドというと「FH5」(あるいは「FH5s」)の価格帯で1BA+1DD構成の「Shure AONIC4」などもありますが、Shureらしいモニターライクな印象もある「AONIC4」に対して「FiiO FH3」はより明確にリスニングイヤホンとしてのアプローチが鮮明になっている印象ですね。特に3BAを搭載する「FH5」より「FiiO FH3」のほうが相対的に低域の印象が強く、ハイブリッドらしいバランスになっているともいえるでしょう。

FiiO FH3」の高域は、自然さを損なわない範囲で明るく、明瞭さがあります。適度に主張が有り煌めきとスッキリとした伸びの良さを感じます。しかし、多くのハイブリッド製品にありがちな人工的な硬さはなく、見通しの良い空気感と滑らかを感じる高音です。刺さりなどの刺激はコントロールされており聴きやすい印象です。ただ中高域との繋がりでは「FH5」よりハイブリッドらしさを感じる部分はありますね。

FiiO FH3中音域は癖のない音で凹むことなく鳴ります。同クラスのハイブリッドイヤホンと比べると穏やかでややウォームな印象も受けますが、音像の輪郭は自然ながらフォーカスはハッキリしており、全体として滑らかさを感じるバランスになっています。特にボーカル帯域は余韻を感じさせるふくよかさがあり、ギターなどの音色も優れた分離で捉えやすく美しい音色で鳴ります。音場は奥行きは一般的ですが広さがあり自然な定位があります。ロック、ポップスなどのボーカル曲だけでなく、さまざまなジャンルのインストゥルメンタルも心地よく楽しめるサウンドです。ただ、ハイブリッドらしいシャープさやキレの良さを求める方にはあまり向かないかもしれまん。

低域は全体のフラット方向のバランスを維持しつつ、より力強く、解像度の高い音を鳴らします。ミッドベースの情報量は多く、重低音の沈み込みも良く締まりがあります。ベリリウムコーティング振動板のダイナミックドライバーは低音域に高い解像感と分離性をもたらしているようで、いっぽうで過度に輪郭を強調すること無く、誇張のない自然な音をしっかりと表現してくれる印象です。ただ量感については再生環境によってはやや強すぎると感じる場合もあります。

FiiO FH3この価格帯のイヤホンとしては全体的なバランスは優れており付属品も過不足はありません。ただ「FH5」でもいえることですが付属のケーブルは被膜が硬く、取り回しが今ひとつなのはちょっとだけ残念なところです。
「FiiO FD5」ではより柔らかい8芯銀メッキ線タイプになりましたが、「FiiO FH3」でも同様に情報量の多い銀メッキ線ケーブルへ換えてみるのも良いでしょう。個人的には「TRI TR4908」や「NICEHCK ForX」あたりの8芯高純度単結晶銅銀メッキ線がお勧めです。

さて、同価格帯で個人的に特にお勧め度の高いイヤホンとして挙げていたのは「NF Audio NM2+」、「Moondrop KXXS」または「KXXX」、「TFZ KING EDITION」、ハイブリッドでは「IKKO OH10 Obsidian」や「TRI i3」、「BQEYZ Spring2」あたりになりますが、「FiiO FH3」もこれらの製品と十分に比較できるレベルのサウンドだと実感しています。
→過去記事: 【ミドルグレード中華イヤホン】 「個人的な好みランキング」 TOP 20(販売価格 100ドル前後~200ドル) ※2020年11月編

ただサウンドバランスとしては、これらの製品のなかでは「ちょっと中庸」という印象で、個性という点であまり特筆すべき点はありませんが、それだけ様々な場面で使いやすいイヤホンであるともいえます。予算が限られていて、どれか1個を選ぶ、というときに、あまり失敗しない選択肢ともいえるでしょう。まずはこの辺から購入して、より自分の好みを明確にしていく、というアプローチも良いかもしれませんね。

というわけで「棚からレビュー」ネタはまだまだ色々あるのですが、今後も通常のレビューの合間で時々入れて行ければと思います。4月に未レビューの新しいイヤホンも結構いろいろ購入していますが、あと1回、次回もネタ記事の予定です。次回は久しぶりの「まとめ記事」を掲載予定です。これまでのランキングでは「総合」以外では「低価格中華」「ミドルグレード中華」のランキングを掲載していますが、また別のカテゴリーを追加しようと思っています。また内容もランキングとは異なる切り口となる予定です(^^)。