こんにちは。今回は「CCA CSN」です。「KZ」同様に私のブログでもすっかりお馴染みとなった姉妹ブランド「CCA」の新しい1BA+1DD構成の低価格モデルで、3DD構成の「KZ DQ6」やTWS製品の「KZ Z1」でも搭載されている独特なシャーシ形状の10mm 二重磁気回路ダイナミックドライバー(「KZ Z1」では「XUN」テクノロジーと記載されていたドライバーですね)を搭載いしている点がポイントです。
KZ系の1BA+1DDでは昨年「X」モデルとしてグレードアップを果たした「KZ ZSTX」と「KZ ZSN Pro X」がありますが、この構成の完全新作のモデルとしては実は結構久々ですね。「CCA」ブランドでも「CCA CA4」以来約2年ぶりとなる1BA+1DD構成有線イヤホンの新製品です。まあTWS製品がその間に色々出ているのであまりそんな気はしませんが(^^;)。
「CCA CSN」は1BA+1DD構成のハイブリッドモデルですが、最近の「CCA CS16」や「KZ DQ6」などと同様にTWS製品と同様の細いノズル仕様の金属製ステムを採用しています。ハウジングは樹脂製でフェイスプレートは亜鉛合金製。
高域用のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーにはKZ/CCAでは毎度お馴染みの「KZ 30095」。しかし「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」などの従来のハイブリッドモデルがステムノズル部分に搭載されているのに対し、「CCA CSN」ではシェル本体部分のダイナミックドライバーの横に配置されています。高域用BAがノズル部分より従来モデル距離があることで従来とは異なるチューニングであることが伺えます。
そして中低域用のダイナミックドライバーには従来のハイブリッドモデルとは異なる独特な形状のシャーシに収納された10mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載しています。このドライバーは「KZ DQ6」にも搭載されているもので、TWS製品の「KZ Z1」で搭載された「XUN」ドライバーと同一と思われます。このユニットは、ドライバー背面部の独特な円錐状のシャーシ形状により、電磁コイルによりサウンドを増幅させる仕組みになっています。
「CCA CSN」のカラーバリエーションは「ブルー」と「ブラック」の2色が選択できます。購入はAliExpressおよびAmazonの主要セラーにて。価格はAliExpressが 15.99ドル~、アマゾンが 2,680円前後です。
AliExpress(Easy Earphones): CCA CSN
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): CCA CSN ※200円OFFクーポン配付中
■ XUNドライバー搭載で少し大きめのハウジング。装着性は良好ながらイヤーピースは今回も要交換
今回も例によって「ブルー」と「ブラック」のカラーバリエーションをそれぞれ異なるセラーから購入してみました。パッケージは本体カラーにあわせたイラストパッケージとなっています。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは本体装着済みMサイズおよびS/Lサイズと別バージョンのMサイズ、および説明書など。
「CCA CSN」の本体は樹脂製のハウジングに亜鉛合金製の厚みのあるフェイスプレートを組み合わせています。ハウジング部分の形状は「CCA CA16」(6BA+1DD)と似ており、最近のモデルだと「KZ DQ6」より少し大きく、「CCA CS16」(8BA)よりひとまわり小さいサイズ感です。金属製フェイスパネルは「CCA CA16」(6BA+1DD)のフェイスよりかなり厚みがあり、本体カラーに合わせてブルーはシルバー、ブラックはダークグレーにつや消し塗装されています。同様に金属製のステムノズルはブラックがゴールド、ブルーはシルバーメッキで仕上げられていますね。
フェイスパネル下部には「KZ DQ6」やTWS製品の「CCA CX4」と同様のスリット状のベント(空気孔)があります。フェイスパネルのデザインは「CCA CKX」から採用されている逆三角形の緩やかな窪みにCCAのロゴが刻印されたデザイン。どうも今後はこのデザインで行くみたいですね。
ハウジングの大きさおよび形状が「CCA CA16」(6BA+1DD)と類似しているため、装着性もほぼ同じで多くの方はしっかり装着できる形状だと思います。しかし、背面の張り出しがより大きい形状となっているため、合わない方は全く合わない可能性があります。個人的には「CCA CS16」(8BA)の張り出し部分が全く入らなかったのに対し、「CCA CSN」のほうは比較的しっかり装着できました。
ただ、今回も付属のイヤーピースは非常にコシのない柔らかいものですので、交換した方が良いでしょう。ステムノズルが細いため選択肢は少ないですが、「final Eシリーズ」「Acoustune AET08」「RHAイヤーピース」などが対応できます。他にもソニーの「ハイブリッドイヤーピース」なども低価格ですし、耳のサイズが合えば良いと思います。
■ KZ/CCAのサウンドにゲーミングイヤホンを意識したかも?なサウンドチューニング
「CCA CSN」の音質傾向は、中低域寄りのドンシャリ。サイト記載のf値グラフは最近増えているW字型のカーブを描いており派手目の高域および低域に加えてボーカル帯域にもフォーカスした最近のKZ/CCAのハイブリッド製品のバランスを踏襲しています。しかし付属ケーブル、付属イヤーピース、スマートフォン等の再生環境の場合は、やや高域はKZ/CCAらしい硬質な煌めきを保ちつつややウォームで、ボーカルは少し距離を置いて定位し、低域は過度に響くことはないものの、量的に多めで弾むように鳴ります。明瞭な高域を好む方には、付属ケーブルの状態では少し籠もり気味に感じるかもしれませんね。
しかし、これは「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」に対して明確に差別化したチューニングだろうろ考えられます。というのも「KZ ZSN Pro X」のレビューもで記載しましたが、現在このクラスの製品の「メインターゲット」はマニア層ではなく、ゲーミングや動画視聴などで有線イヤホンのほうが良いと思っているライトユーザーです。実際「CCA CSN」の販売ページでもゲーミングで定位に優れていることを説明する画像がありますね。
「CCA CSN」では高域に「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」と同じ「KZ 30095」BAを搭載しつつ搭載位置をステム部分からハウジング部分に「下げる」事でKZらしいスッキリ目の硬質な高域を維持したまま僅かに主張を抑えてゲーミング時のストレスを感じさせないチューニングにしています。そして、ゲームや動画などに適した定位感と分離性を確保しつつ、より臨場感のあるサウンドで楽しむ、という方向性のチューニングが行われている印象です。過去のレビューでも「KZ ZSTX」はリスニングに、「KZ ZSN Pro X」はリスニングに加えて動画やゲームに、という書き方をしてきましたが、実際にiPadなどのタブレットに「CCA CSN」を直挿しして試してみると、「KZ ZSN Pro X」よりさらにこのような用途に振ったサウンドだと感じました。つまり、従来製品より「ゲーミングイヤホン寄りなチューニング」といえるかもしれませんね。
いっぽうで、駆動力のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やアンプに接続して聴いてみたり、情報量の多いケーブルにリケーブルすると、それまで少し控えめにしていた中高域が一気に主張をはじめ、いかにもKZ/CCAのハイブリッドらしいサウンドを堪能できます。ちょうど「CCA CSN」と同じタイミングでKZ純正のリケーブル製品が一斉にリリースしており、このようなニーズに合わせた「音の変化」を楽しむことも想定内のチューニングであるように感じます。一見すると外観をブラッシュアップしつつも音質的には似たような構成でドライバーの世代を組み替えて微妙に変化させているだけ、のようにも思えますが、実は市場のニーズの変化に柔軟に対応しながら方向性を最適化し、低コストの制約のなかでちょうど良い「落としどころ」を見つけようとしているのかもしれませんね。
「CCA CSN」の高域はKZらしい硬質な煌めきを感じつつ、刺激をおさえたさっぱり目の音を鳴らします。高域成分の多い曲では多少のシャリ付きを感じるような金属質な音ですが、従来のKZ/CCAのハイブリッド製品より刺激を感じやすい帯域により明確な谷があり、かなり力技で刺さりを抑えている印象もあります。前述の通りゲーミングなどの用途やライトユーザー層を考慮すると明瞭さを感じさせつつも刺激を抑える手法として有りだろうと思いますが、高域にこだわりのあるマニアの場合は「ZSTX」等よりやや抜けきらない印象を持つかもしれませんね。この辺は良し悪しというより「目的に応じたアプローチの違い」という感じでしょう。要はこの辺が気になる方は同クラスの場合は「ZSTX」や「ZSN Pro X」を選んでね、ということです。
中音域は僅かに凹み、少し離れて鳴りますがボーカル帯域には鮮やかさがあります。従来のKZ/CCA同様に硬質かつドライでやや人工的な印象はあるものの、明瞭で癖のない音を鳴らします。音場は一般的で自然な広さですが、「ZSTX」や「ZSN Pro X」より空間表現が上手く、前述の通り特にゲーミング用途や動画視聴での音の位置を捉え安い印象です。最近登場している360度再生や7.1ch(8D)のヘッドフォン用の動画では「CCA CSN」はより分りやすく臨場感を楽しむことが出来ます。オーディオ的には最近のポップスなどの音源との相性は非常に良く感じます。ただ付属ケーブルでの分離感はそれなりのため音数の多い曲ではやや団子状になって聴こえます。また上記の空間表現とは別で、演奏の定位については必ずしも正確ではありません。この辺も「ZSTX」とのチューニングの違いを鮮明に感じるところでしょう。また後述の通り、リケーブルにより一気に主張が増し、分離も向上します。
低域は十分な量感を持ちつつも「XUN」ドライバー特有の過度に膨らむこと無く自然な締まりを感じる音を鳴らします。「ZSN Pro X」のようなパワフルさとは異質で、同じ「XUN」ドライバーを搭載する「KZ DQ6」にも近い印象がありますが、多少スッキリしておりスピード感があります。付属ケーブルでも解像感はそれなりに高く、特にミッドベースではキレの良さも感じますね。付属ケーブルでも中高域と被ることは無く分離し、臨場感のあるサウンドを生み出しています。さらにリケーブルにより情報量が増すことで、相対的にメリハリが向上するとともに、重低音の厚みと深さも増すようです。
「CCA CSN」をリケーブルする場合、手頃な選択肢は「NICEHCK C8s」シリーズなど比較的変化の分りやすい銀メッキ線ケーブルでしょう。付属ケーブルでは少し下がっていた中高域の存在感が向上し、全体的によりリスニング寄りのドンシャリ傾向に変化します。ボーカル帯域も前に出て明瞭に感じますね。またイヤホン自体が低価格ですので、それを考慮すると以前レビューした「JSHiFi Hi8」(1,650円)や、3.5mmステレオに限定されますが、KZ純正でリリースされた「KZ 8芯 OFC 銀メッキ線ケーブル」(1,680円)も良い選択肢でほぼ同様の変化を得られます。
というわけで、「CCA」ブランドとしては久しぶりに更新されたシンプルな1BA+1DD構成の低価格ハイブリッドモデルでしたが、すでに人気モデルとして定着した姉妹ブランドKZの「KZ ZSTX」および「KZ ZSN Pro X」と被りそうで被らない、このクラスの実際の購入層を意識した音作りが印象的でした。それは3DD構成の「KZ DQ6」がちょっとトリッキーな構成で実現したアプローチとも異なっており、よくもまあこの10ドル台~20ドル台のなかで色々な引き出しを見つけられるものだなと思います。とりあえず、3千円以下のKZ/CCAの選択肢のなかでは、最もバランスの良いリスニングイヤホンは「KZ ZSTX」で、さらにパワフルで密度感のあるサウンドでは「KZ ZSN Pro X」、そして音楽配信で各種チャートを押さえつつゲームや動画などをより気軽に楽しみたい方は「CCA CSN」という選び方で良いかなと思いますよ。
「CCA CSN」は1BA+1DD構成のハイブリッドモデルですが、最近の「CCA CS16」や「KZ DQ6」などと同様にTWS製品と同様の細いノズル仕様の金属製ステムを採用しています。ハウジングは樹脂製でフェイスプレートは亜鉛合金製。
高域用のバランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーにはKZ/CCAでは毎度お馴染みの「KZ 30095」。しかし「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」などの従来のハイブリッドモデルがステムノズル部分に搭載されているのに対し、「CCA CSN」ではシェル本体部分のダイナミックドライバーの横に配置されています。高域用BAがノズル部分より従来モデル距離があることで従来とは異なるチューニングであることが伺えます。
そして中低域用のダイナミックドライバーには従来のハイブリッドモデルとは異なる独特な形状のシャーシに収納された10mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載しています。このドライバーは「KZ DQ6」にも搭載されているもので、TWS製品の「KZ Z1」で搭載された「XUN」ドライバーと同一と思われます。このユニットは、ドライバー背面部の独特な円錐状のシャーシ形状により、電磁コイルによりサウンドを増幅させる仕組みになっています。
「CCA CSN」のカラーバリエーションは「ブルー」と「ブラック」の2色が選択できます。購入はAliExpressおよびAmazonの主要セラーにて。価格はAliExpressが 15.99ドル~、アマゾンが 2,680円前後です。
AliExpress(Easy Earphones): CCA CSN
Amazon.co.jp(HiFiHear Audio): CCA CSN ※200円OFFクーポン配付中
■ XUNドライバー搭載で少し大きめのハウジング。装着性は良好ながらイヤーピースは今回も要交換
今回も例によって「ブルー」と「ブラック」のカラーバリエーションをそれぞれ異なるセラーから購入してみました。パッケージは本体カラーにあわせたイラストパッケージとなっています。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは本体装着済みMサイズおよびS/Lサイズと別バージョンのMサイズ、および説明書など。
「CCA CSN」の本体は樹脂製のハウジングに亜鉛合金製の厚みのあるフェイスプレートを組み合わせています。ハウジング部分の形状は「CCA CA16」(6BA+1DD)と似ており、最近のモデルだと「KZ DQ6」より少し大きく、「CCA CS16」(8BA)よりひとまわり小さいサイズ感です。金属製フェイスパネルは「CCA CA16」(6BA+1DD)のフェイスよりかなり厚みがあり、本体カラーに合わせてブルーはシルバー、ブラックはダークグレーにつや消し塗装されています。同様に金属製のステムノズルはブラックがゴールド、ブルーはシルバーメッキで仕上げられていますね。
フェイスパネル下部には「KZ DQ6」やTWS製品の「CCA CX4」と同様のスリット状のベント(空気孔)があります。フェイスパネルのデザインは「CCA CKX」から採用されている逆三角形の緩やかな窪みにCCAのロゴが刻印されたデザイン。どうも今後はこのデザインで行くみたいですね。
ハウジングの大きさおよび形状が「CCA CA16」(6BA+1DD)と類似しているため、装着性もほぼ同じで多くの方はしっかり装着できる形状だと思います。しかし、背面の張り出しがより大きい形状となっているため、合わない方は全く合わない可能性があります。個人的には「CCA CS16」(8BA)の張り出し部分が全く入らなかったのに対し、「CCA CSN」のほうは比較的しっかり装着できました。
ただ、今回も付属のイヤーピースは非常にコシのない柔らかいものですので、交換した方が良いでしょう。ステムノズルが細いため選択肢は少ないですが、「final Eシリーズ」「Acoustune AET08」「RHAイヤーピース」などが対応できます。他にもソニーの「ハイブリッドイヤーピース」なども低価格ですし、耳のサイズが合えば良いと思います。
■ KZ/CCAのサウンドにゲーミングイヤホンを意識したかも?なサウンドチューニング
「CCA CSN」の音質傾向は、中低域寄りのドンシャリ。サイト記載のf値グラフは最近増えているW字型のカーブを描いており派手目の高域および低域に加えてボーカル帯域にもフォーカスした最近のKZ/CCAのハイブリッド製品のバランスを踏襲しています。しかし付属ケーブル、付属イヤーピース、スマートフォン等の再生環境の場合は、やや高域はKZ/CCAらしい硬質な煌めきを保ちつつややウォームで、ボーカルは少し距離を置いて定位し、低域は過度に響くことはないものの、量的に多めで弾むように鳴ります。明瞭な高域を好む方には、付属ケーブルの状態では少し籠もり気味に感じるかもしれませんね。
しかし、これは「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」に対して明確に差別化したチューニングだろうろ考えられます。というのも「KZ ZSN Pro X」のレビューもで記載しましたが、現在このクラスの製品の「メインターゲット」はマニア層ではなく、ゲーミングや動画視聴などで有線イヤホンのほうが良いと思っているライトユーザーです。実際「CCA CSN」の販売ページでもゲーミングで定位に優れていることを説明する画像がありますね。
「CCA CSN」では高域に「KZ ZSTX」や「KZ ZSN Pro X」と同じ「KZ 30095」BAを搭載しつつ搭載位置をステム部分からハウジング部分に「下げる」事でKZらしいスッキリ目の硬質な高域を維持したまま僅かに主張を抑えてゲーミング時のストレスを感じさせないチューニングにしています。そして、ゲームや動画などに適した定位感と分離性を確保しつつ、より臨場感のあるサウンドで楽しむ、という方向性のチューニングが行われている印象です。過去のレビューでも「KZ ZSTX」はリスニングに、「KZ ZSN Pro X」はリスニングに加えて動画やゲームに、という書き方をしてきましたが、実際にiPadなどのタブレットに「CCA CSN」を直挿しして試してみると、「KZ ZSN Pro X」よりさらにこのような用途に振ったサウンドだと感じました。つまり、従来製品より「ゲーミングイヤホン寄りなチューニング」といえるかもしれませんね。
いっぽうで、駆動力のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やアンプに接続して聴いてみたり、情報量の多いケーブルにリケーブルすると、それまで少し控えめにしていた中高域が一気に主張をはじめ、いかにもKZ/CCAのハイブリッドらしいサウンドを堪能できます。ちょうど「CCA CSN」と同じタイミングでKZ純正のリケーブル製品が一斉にリリースしており、このようなニーズに合わせた「音の変化」を楽しむことも想定内のチューニングであるように感じます。一見すると外観をブラッシュアップしつつも音質的には似たような構成でドライバーの世代を組み替えて微妙に変化させているだけ、のようにも思えますが、実は市場のニーズの変化に柔軟に対応しながら方向性を最適化し、低コストの制約のなかでちょうど良い「落としどころ」を見つけようとしているのかもしれませんね。
「CCA CSN」の高域はKZらしい硬質な煌めきを感じつつ、刺激をおさえたさっぱり目の音を鳴らします。高域成分の多い曲では多少のシャリ付きを感じるような金属質な音ですが、従来のKZ/CCAのハイブリッド製品より刺激を感じやすい帯域により明確な谷があり、かなり力技で刺さりを抑えている印象もあります。前述の通りゲーミングなどの用途やライトユーザー層を考慮すると明瞭さを感じさせつつも刺激を抑える手法として有りだろうと思いますが、高域にこだわりのあるマニアの場合は「ZSTX」等よりやや抜けきらない印象を持つかもしれませんね。この辺は良し悪しというより「目的に応じたアプローチの違い」という感じでしょう。要はこの辺が気になる方は同クラスの場合は「ZSTX」や「ZSN Pro X」を選んでね、ということです。
中音域は僅かに凹み、少し離れて鳴りますがボーカル帯域には鮮やかさがあります。従来のKZ/CCA同様に硬質かつドライでやや人工的な印象はあるものの、明瞭で癖のない音を鳴らします。音場は一般的で自然な広さですが、「ZSTX」や「ZSN Pro X」より空間表現が上手く、前述の通り特にゲーミング用途や動画視聴での音の位置を捉え安い印象です。最近登場している360度再生や7.1ch(8D)のヘッドフォン用の動画では「CCA CSN」はより分りやすく臨場感を楽しむことが出来ます。オーディオ的には最近のポップスなどの音源との相性は非常に良く感じます。ただ付属ケーブルでの分離感はそれなりのため音数の多い曲ではやや団子状になって聴こえます。また上記の空間表現とは別で、演奏の定位については必ずしも正確ではありません。この辺も「ZSTX」とのチューニングの違いを鮮明に感じるところでしょう。また後述の通り、リケーブルにより一気に主張が増し、分離も向上します。
低域は十分な量感を持ちつつも「XUN」ドライバー特有の過度に膨らむこと無く自然な締まりを感じる音を鳴らします。「ZSN Pro X」のようなパワフルさとは異質で、同じ「XUN」ドライバーを搭載する「KZ DQ6」にも近い印象がありますが、多少スッキリしておりスピード感があります。付属ケーブルでも解像感はそれなりに高く、特にミッドベースではキレの良さも感じますね。付属ケーブルでも中高域と被ることは無く分離し、臨場感のあるサウンドを生み出しています。さらにリケーブルにより情報量が増すことで、相対的にメリハリが向上するとともに、重低音の厚みと深さも増すようです。
「CCA CSN」をリケーブルする場合、手頃な選択肢は「NICEHCK C8s」シリーズなど比較的変化の分りやすい銀メッキ線ケーブルでしょう。付属ケーブルでは少し下がっていた中高域の存在感が向上し、全体的によりリスニング寄りのドンシャリ傾向に変化します。ボーカル帯域も前に出て明瞭に感じますね。またイヤホン自体が低価格ですので、それを考慮すると以前レビューした「JSHiFi Hi8」(1,650円)や、3.5mmステレオに限定されますが、KZ純正でリリースされた「KZ 8芯 OFC 銀メッキ線ケーブル」(1,680円)も良い選択肢でほぼ同様の変化を得られます。
というわけで、「CCA」ブランドとしては久しぶりに更新されたシンプルな1BA+1DD構成の低価格ハイブリッドモデルでしたが、すでに人気モデルとして定着した姉妹ブランドKZの「KZ ZSTX」および「KZ ZSN Pro X」と被りそうで被らない、このクラスの実際の購入層を意識した音作りが印象的でした。それは3DD構成の「KZ DQ6」がちょっとトリッキーな構成で実現したアプローチとも異なっており、よくもまあこの10ドル台~20ドル台のなかで色々な引き出しを見つけられるものだなと思います。とりあえず、3千円以下のKZ/CCAの選択肢のなかでは、最もバランスの良いリスニングイヤホンは「KZ ZSTX」で、さらにパワフルで密度感のあるサウンドでは「KZ ZSN Pro X」、そして音楽配信で各種チャートを押さえつつゲームや動画などをより気軽に楽しみたい方は「CCA CSN」という選び方で良いかなと思いますよ。