こんにちは。今回は中国の低価格中華イヤホンブランド「KZ」の新しい4種類の純正アップグレードケーブルです。同様の中華イヤホンブランドの中でも既にリケーブル製品で先行する「TRN」とは異なり、KZはこれまであまり積極的にケーブル製品をリリースしていませんでしたが、今回線材の異なる4種類のケーブルを一斉にリリースしました。どれも高純度の無酸素銅(OFC/Oxygen Free Copper)線を使用していますが、銅線タイプ、銀メッキ線タイプに加えて、より多くの線材を使用したミックス線タイプも2種類リリースしており、いきなり充実したラインナップになりましたね。どれもKZ/CCAのイヤホン付属ケーブルと比べると見た目にも音質的もしっかりしたアップグレードとなりそうです。
ちなみに「TRN」が複数のコネクタおよびプラグを揃え、自社製イヤホン向け以外にも幅広くリケーブル製品として展開しているのに対し、「KZ」はあくまで自社製イヤホン向け、しかも現時点では「タイプC」コネクタのみで「KZ ZSTX」など従来型コネクタ仕様のイヤホンは対象にしていない割り切りです。そのかわり価格は大きく抑えられており、さすがKZ、という感じもあります。今回私はリリースに合せてAliExpressで購入しましたが、ちょうどアマゾンでも出始めましたので併せてリンクを掲載します。
KZ 金・銀・銅ミックス線(784コア) 8芯 アップグレードケーブル(オレンジゴールド)
KZ Gold Silver and Copper Mixed (784 core) Upgrade Cable
【KZ タイプC】【3.5mm】
KZの新しいアップグレードケーブルは、ベースとなる「高純度無酸素銅(OFC)線ケーブル」を含め、4種類のケーブルをリリースしています。「KZ Gold Silver and Copper Mixed Upgrade Cable」は、高純度無酸素銅(OFC/Oxygen Free Copper)線と、この銅線に加えて、銀メッキ銅線、さらにゴールドメッキフィルムを定着した金メッキ銅線の3種類の線材を使用したミックス線の8芯ケーブルとなります。編み込まれた8本の芯材は、1芯あたりこの3種類の線を合計7本使用し、それぞれの線材はさらに14本の線材で構成されています。つまり芯材あたり98本、8芯合計では784本の線材で構成されたケーブルとなります。
以前のKZ純正のアップグレードケーブルというとかつて「きしめんケーブル」と呼ばれた銀メッキ線が大人気になって以来いまひとつパッとした製品が出ていませんでしたが(そういえば例の「白日」のMVでも「KZ AS06」に「きしめんケーブル」使っていましたね^^)、今回のシリーズはバランスケーブル等の選択肢はないものの線材自体は定番化しそうなしっかりしたものです。
「KZ Gold Silver and Copper Mixed Upgrade Cable」もかなり太さのある8芯ケーブルで被膜はやや硬く、HCKあたりの100ドル級のケーブルのような存在感がありますね。プラグおよび分岐部分も同価格の中華ケーブルより太さのある部品が使用されています。太めの線材がしっかり編み込まれていますが取り回しは良く、絡まりにくいのも良いですね。
リケーブル後の音質変化は、イヤホンの傾向を踏襲しつつ各音域の粒立ちが大きく向上し、より濃く、密度感のあるサウンドを楽しめます。付属ケーブルより情報量が大幅に向上しますが、KZおよびCCAのイヤホンとの組み合わせで、もともとの傾向を変えずに全体的な質を向上させる変化は純正ならではといえるでしょう。一般的に中高域の見通しが向上する銀メッキ線と、中低域の厚みが増す銅線の傾向をミックスしつつ、さらに金メッキ線が加わったことで、全体的に自然なバランスながらKZらしいメリハリの良さをより引き立たせる印象ですね。高域の煌めき感、低域の締まりをよりハッキリと実感できるため、音のフォーカスがより鮮明になったような印象を受けます。見た目にもグレードアップ感がありますが、音質面でも上位モデルを含めて特徴を引き立たせるケーブルといえるでしょう。どのシリーズとも合わせやすい印象ですが、特にドライバー数の多いハイブリッド系のモデルと相性の良さがあります。
KZ シルバー&ブルー ミックス線(784コア) 8芯 アップグレードケーブル(シルバー/ブルー)
KZ Silver/Blue Mixed (784 core) Upgrade Cable
【KZ タイプC】【3.5mm】
AliExpresss(LuckLZ Audio Store):14.75ドル / Amazon.co.jp: ‐
ブルーのストライプデザインがひときわ印象的な「KZ Silver/Blue Mixed Upgrade Cable」は、シルバーカラーのの銀メッキOFC(高純度無酸素銅)線と、ブルーカラーのエナメル被膜線の8芯ハイブリッドケーブルとなります。こちらも芯材あたり98本の線材を使用し、それぞれの線を構成する線材を14本、8芯合計で784本の線材を使用した構成になります。※こちらのケーブルはアマゾンではまだ販売されていません。
今回リリースされた4種類のケーブルの中でもひときわ目をひくケーブルがこの「KZ Silver/Blue Mixed Upgrade Cable」ですね。こちらも784本の線材を使用しているため太さのあるケーブルです。透明な被膜の銀メッキ線の間にブルーのエナメル銅線が編み込まれている組み合わせは印象的です。こちらも被膜はやや硬さがありますが取り回しは良く使いやすいケーブルです。
リケーブル後の音質傾向はやはり自然な範囲ながら鮮明さが増す印象のケーブルです。KZおよびCCAのイヤホンはもともと明瞭感のある傾向のサウンドですが、多少硬質さが引き立つ印象はあるものの、中高域の鮮やかさが増し、より明るく彩りのあるサウンドを楽しめます。いっぽうで高域の刺激が極端に強くなることはなく、もともとのバランスを維持しているのも純正ケーブルならではでしょう。こちらもどのシリーズのモデルとも合いますが、特にマルチBAとの相性が良い印象です。傾向そのものに大きな変化はないものの、付属ケーブルでは籠もりがちなマルチBAモデルで中高域を中心に主張と伸びが向上します。また見た目のクールさでイヤホンを引き立たせるケーブルでもありますね。
KZ 8芯 高純度無酸素銅(OFC)銀メッキ線 アップグレードケーブル(シルバー)
KZ 8 Core OFC oxygen-free copper Silver-plated Upgrade Cable
【KZ タイプC】【3.5mm】
2種類のミックス線ケーブルに対し、「KZ 8 Core OFC Silver-plated Upgrade Cable」はシルバーカラーのシンプルな8芯銀メッキ線ケーブルとなります。特徴としては4N(99.995%)の高純度無酸素銅銀メッキ線を使用し、多くの中華ケーブルが採用している低コストの薄いメッキではなく、外部機関の審査によると線材(0.08mm)あたり0.214μmの銀メッキ処理を行ったより高純度な銀メッキ線を使用。この線材を8芯合計152本使用した質の高い銀メッキ線ケーブルとのことです。
上記2本のケーブルがかなり結構太さのあるケーブルだったのに対し、こちらの「KZ 8 Core OFC Silver-plated Upgrade Cable」は一般的な太さのケーブルです。それでもKZ製イヤホンに付属するケーブルや以前販売されていた8芯ケーブルと比べるとしっかりとした太さがあります。やや硬めの透明な被膜と厚めの銀メッキコートを施している関係か、見た目は銀メッキ線と言うより純銀線のようにもみえるケーブルです。どのようなカラーのイヤホンにも合せやすいこともあり、とても使いやすいケーブルですね。
リケーブル後の印象は、イヤホンの傾向を維持しつつ、付属ケーブルより全体の情報量を向上させます。また銀メッキ線らしく中高域の見通しが良くなり、たとえば「CCA CSN」のように付属ケーブルでは少し高域が抑え気味のイヤホンでも明瞭さが向上するのを実感できます。より質の高い銀メッキコートを行うことで、低価格の銀メッキ線ケーブルにありがちな極端に高域の刺激が増すような派手な変化は無く、あくまで自然に解像感が増すのが特徴的です。そういった意味では分りやすい変化はあまりありませんが、シルバーカラーの見た目同様にKZおよびCCAのどのイヤホンとも合せやすく、かつ付属ケーブルよりそれぞれの特性を感じやすいという意味で、使いやすく手軽なアップグレードといえるでしょう。
KZ 8芯 高純度無酸素銅(OFC)銀メッキ線 アップグレードケーブル(ピンクカッパー)
KZ 8 Core OFC oxygen-free copper Upgrade Cable
【KZ タイプC】【3.5mm】
そして、「KZ 8 Core OFC Upgrade Cable」は今回紹介しているケーブルの中のベースとなる高純度無酸素銅(OFC/Oxygen Free Copper)ケーブルとなります。芯材ごとに高純度の銅線を透明な被膜で覆った銅線色のケーブルですね。芯材あたり0.08mmの線材を19本束ねて構成し、これを8本編み込んだ8芯ケーブルで、合計152本の線材が使用されています。価格もAliExpressでは10ドル以下の設定となっています。
最後に最もシンプルな8芯銅線ケーブルの「KZ 8 Core OFC Upgrade Cable」も10ドル以下、千円台で購入できるケーブルとしては非常に質感の良いものです。適度な太さがあり、やや硬めの被膜ながら取り回しも良好。こちらもKZ/CCAなどのイヤホンの手軽なアップグレードとして定番化しそうですね。
リケーブル後の音質傾向は、こちらもイヤホンの特性を買えることなく情報量を向上させる非常にニュートラルなケーブルです。付属ケーブルでも高域に派手さを感じる場合のリケーブルには銀メッキ線よりこちらの高純度銅線ケーブルの方が相性が良く感じるでしょう。リケーブルすることで各音域および定位を付属ケーブルより捉えやすくなる印象です。また、付属ケーブルと比べて中低域の情報量や音場感が向上することで、特にハイブリッドモデルではそのパワフルなサウンドをより実感できるのではと思います。
どのケーブルもケーブルの太さ、金属製プラグ等の質感により見た目にも一気にグレードアップできるのが良いですね。最近のKZ/CCAのイヤホンは非常に多くのドライバーを搭載するなど高性能化が著しいですが、相対して付属ケーブルの貧弱さが気になります。KZ純正の新しい8芯OFCケーブルは、どれも見た目にも音質面でもイヤホン本体のスペック向上に見合う、純正ならではのアップグレードケーブルだと思います。