NICEHCK 「SpaceCloud」「BlueComet」「BlueIsland」

こんにちは。今回は「NICEHCK」のハイグレード仕様のイヤホンケーブルを3種類まとめて紹介します。今回のシリーズの特徴はどれも「ブルー」のカラーリングという点。「HCK」は中国のイヤホンセラーの老舗であり、プライベートブランド「NICEHCK」も個性的な製品をリリースするプライベートブランドとして私のブログではすっかりお馴染みの存在となっています。イヤホンケーブルでは最近は質の高い新しい線材を積極的に採用し、中華ケーブルと分類されるなかでもハイグレードな製品を次々とリリースしています。ただ、確かにこれらのケーブルもブラック系(布張り)、金色系、シルバー系のカラーリングはありましたが「青系」は出ていませんでしたね。

今回紹介する「NICEHCK SpaceCloud」「NICEHCK BlueComet」「NICEHCK BlueIsland」の3種類はそれぞれ異なる性質をもつハイグレードケーブルですので、その違いを比較していきたいと思います。3種類の中で高額なケーブルほど使用している線材の「質」が高いものを使用しているのは「それはそうだろう」と思うのですが、興味深いのは、それぞれのケーブルの「リッツ線構造」が「NICEHCK SpaceCloud」がタイプ2、「NICEHCK BlueComet」がタイプ4、そして「NICEHCK BlueIsland」がタイプ6と低価格のケーブルほど複雑な構造を取っている点です。これにより単純に線材による違いだけではない、それぞれのケーブルごとの特徴が出ており、組み合わせるイヤホンや傾向にあわせて選べるようになっているのが「さすがHCK」という感じがします。

すべてのケーブルでコネクタ仕様は「MMCX」「CIEM 2pin」のほか、KZ/CCA/TRNなどで利用できる「qdc 2pin」が選択可能です。またクローム仕上げのプラグは3.5mmステレオのほか、2.5mm/4極、4.4mm/5極のバランス接続が選択できます。
NICEHCK BlueIslandNICEHCK BlueComet
NICEHCK SpaceCloud」「NICEHCK BlueComet」「NICEHCK BlueIsland」の購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」にて。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。また既にマニアの間では人気商品のようですので、いずれアマゾンでも購入できるようになるかもしれませんね。※「NICEHCK SpaceCloud」「NICEHCK BlueComet」はアマゾンに入荷しましたのでリンクを追加しました。


[NICEHCK SpaceCloud] NICEHCK 6N 銀メッキOCC & 7N OCCミックス リッツケーブル
NiceHCK SpaceCloud Flagship 6N Litz Silver Plated OCC+7N OCC Mix Coaxial Earphone Cable
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【qdc】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】

NICEHCK SpaceCloudNICEHCK SpaceCloud
NICEHCK SpaceCloud」は後述の2種類より少し後にリリースされたケーブルで、200ドル近い価格設定のフラグシップケーブルですね。製品名は宇宙の星雲をイメージしているようです。ライトブルーのクリアカラー被膜に覆われた高純度単結晶銅線および銀メッキ線のミックスケーブルです。0.08mmの6N銀メッキOCC線を15本、同じく0.08mmの7N OCC線を15本束ねた線材を使用してます。それぞれの線材ごとに撚り線したものを組み合わせており、リッツ線構造は「タイプ2」だと思われます。シルバーとカッパーブラウンのそれぞれの線材のコントラストが光沢の有るライトブルーの被膜から透けて見えることでメタリックな独特の印象を作り出しています。
NICEHCK SpaceCloudNICEHCK SpaceCloud
製品はお馴染みのNICEHCKロゴのイヤホンケース(ブルー)に入って届きました。HCKのハイグレード仕様のケーブルではこのケースが付いてくるのでとても有り難いですね(使い勝手の良いケースですので)。少し太めの線材ですが今回の3製品のなかでは太さ的にはいちばん「普通」で、弾力があって絡まりにくい樹脂被膜とあわせて取り回しは最も良い印象。
NICEHCK SpaceCloudNICEHCK SpaceCloud
ちなみにミックス線というと、たとえばNICEHCK C24シリーズのように銀メッキ線および銅線それぞれに被膜で覆った線材を用意して複数編み込んだ2種類の芯を組み合わせた、という意味のミックス線が中華ケーブルでは多く存在しますが、最近では「NICEHCK SpaceCloud」のようにひとつの芯材で複数の種類の線を使用してリッツ線構造で生成するケーブルも増えてきましたね。どちらの方法もそれぞれの特徴やメリットがありますが、前者がそれぞれの経路で異なる音の伝わり方をして最後に交わるに対し、「NICEHCK SpaceCloud」などでは2種類の特徴を持ったひとつの線材として「いいとこ取り」をします。ただあまり質の良くない線材や構成だとそれぞれの傾向を打ち消し合う恐れもあるため、品質的にも生産面でもより高い材料や技術が必要になってきます。ハイグレードケーブルならではの構成といえるでしょう。
SpaceCloudNICEHCK SpaceCloud
見た目の美しさだけでなく、内容的にもこだわりを感じる「NICEHCK SpaceCloud」ですが、その音質傾向は、一気に明瞭さを向上させ、イヤホンのポテンシャルを驚くほど際立たせる印象です。よく「空気の膜を取り払う」という表現を使いますが、「NICEHCK SpaceCloud」は私が試してきたケーブルの中でもトップクラスに透明感があり、音の輪郭、定位、音場感などをより忠実かつ明瞭に伝えることができるようです。
NICEHCK SpaceCloudNICEHCK SpaceCloud
もともと音場感や解像感に優れるイヤホンではさらに見通しが良くなり、オーケストラ演奏やライブ音源等、より実在感のある空間表現を楽しめます。また鮮やかさや濃密さを楽しみたいイヤホンではさらに粒立ちのよい精緻な描写を実感できます。ケーブル自体による味付けは無いのですが、とにかく全域に渡って表現力が高いため、数万円クラスのイヤホンでも付属ケーブルと比較して高高域や重低音での違いを感じやすいかも知れません。これらの場合、高域の煌めきや伸びが向上したり、低域は重低音を中心に厚みと解像感が増して感じます。
今回MMCXでオーダーしましたが、さらに追加で購入をしたくなりました。中華イヤホンにとらわれず、より多くの数万円クラス、あるいはそれ以上のグレードのイヤホンと組み合わせて欲しい高品質なケーブルだと思います。


[NICEHCK BlueComet] NICEHCK 6N 高純度 OCCリッツ線ケーブル(メタリックブルー)
NiceHCK BlueComet Earbud Cable high-end 8 Core 6N Litz OCC Replace Wire
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【qdc】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】

NICEHCK BlueCometNICEHCK BlueComet
NICEHCK BlueComet」は落ち着いたトーンのメタリックブルーの被膜をより複雑なリッツ線構造で仕上げたケーブルです。リッツ線構造は「タイプ4」だと考えられ、中国江西産の0.08mm 6N単結晶銅線を使用し、12本を中心部で撚り線にして薄い皮膜で覆い、その周囲を24本の線を撚り線にすることで覆う二重構造になっています。このように複数の被膜線を縄状に撚って構成するリッツ線構造(タイプ4)をとることで伝送時の高周波損失を最小限に抑える効果が期待できます。
NICEHCK BlueCometNICEHCK BlueComet
一般的に高周波を流すケーブルでは表皮効果(より高周波が外周をながれる現象)と近接効果(近接する信号が損失する現象)により、高周波つまり「高域」が減衰しやすくなる傾向があります。そのため例えば銀メッキ線では高域が流れる外周分をより電導性の高い銀メッキで覆うことで高域の減衰を押さえより伸びの良い音を実現します。いっぽうで低価格の高純度銅線ケーブルでは全体として十分な情報量をもちつつもやはり高域の減衰はあるため、相対的に「低域が強くなる」傾向になります。それに対して、線材のなかで中央部分を被膜で覆い、外周部と絶縁したリッツ線構造を採用した「NICEHCK BlueComet」では、構造的に高域の減衰を抑制し高純度銅線の特性を最大限に引き出したケーブルであるといえると思います。
NICEHCK BlueCometNICEHCK BlueComet
NICEHCK BlueComet」ケーブルは黒色の従来タイプながらやはりHCKのケースに入って届きました。前述のようなリッツ線構造と不透明のより厚みのある外部被膜のため「SpaceCloud」より線材は少し太さがあり、全体としてもより重量感のあるケーブルに仕上がっています。しかし適度に弾力があり手触りの良い樹脂被膜により取り回しは良く、落ち着いた色もあって使いやすい印象です。
BlueCometNICEHCK BlueComet
NICEHCK BlueComet」の音質傾向は、OCC線らしくイヤホンの傾向を引き出しつつ自然な変化を与えるタイプのケーブルです。全体的に音が濃く鳴る方向に変化しつつ、非常に輪郭のはっきりした明瞭さがあります。前述のリッツ線構造によるアプローチは上手くいっているようで、低域だけが強くなることは無く、高域も綺麗な印象です。音像がハッキリとすることで見通しが向上し、さらに音の濃さが増すため、組み合わせるイヤホンによってはよりメリハリが増す印象。3種類の中では最も派手めに感じるケーブルかもしれませんね。
NICEHCK BlueCometNICEHCK BlueComet
ただ実際はケーブルとしての味付けは無く、情報量を大きく向上さて解像感や分離感を増すというタイプのケーブルの「すごく良いヤツ」という感じなので、高音を強くしたい、低音を厚くしたい、みたいな低価格ケーブルで多くきかれるようなアプローチには向きません。組み合わせるイヤホンのサウンドバランスを維持しながら、それぞれの個性をより分りやすく引き立てるケーブル、といった感じでしょう。イヤホンの傾向にあわせて、ボーカルの艶感、キレの良さやスピード感、あるいは1音1音の粒立ちの良さを向上させたい場合などに最適ではないかと思います。また見通しが良くなることで音場も広く立体的に感じますのでモニター系のサウンドとも相性の良さがありますね。ハイブリッドやシングルダイナミックでこのケーブルが合うイヤホンは実は結構多そうです。とりあえずTFZ用2pinコネクタも、出ないかなぁ(笑)。


[NICEHCK BlueIsland] NICEHCK 5N OCC & 銀メッキ線ミックス リッツ線ケーブル(ブルー)
NiceHCK BlueIsland 5N Litz high-end OCC Silver Plated Cable Earphone Upgrade Cable
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【qdc】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】
AliExpresss(NiceHCK Audio Store):99.99ドル~ / Amazon.co.jp(NICEHCK): ‐

NICEHCK BlueIslandNICEHCK BlueIsland
そして「NICEHCK BlueIsland」は、3種類の中ではいちばん低価格ですが、圧倒的に「太さ」があり、見た目にもインパクトのあるケーブルです。内容としては江西産の0.05mmの5N 単結晶銅線140本と0.05mm 5N OCC銀メッキ線224本によるミックスケーブルですが、最大の特徴は特に複雑な「タイプ6」のリッツ線構造を取っていること。銀メッキ線を束ねた中央のファイバーコアをしっかりと被膜で覆い、その外周をやはりそれぞれ被膜で覆われた「タイプ4」構造の銀メッキ線4束と高純度銅線4束を撚り線状に編み込んでいます。全体を覆うクリアブルーの被膜からはこの2種類の外周の束が2色の螺旋状のカラーリングに見えます。
NICEHCK BlueIslandNICEHCK BlueIsland
線材の純度としては他の2種類より少し落ちるようですが、圧倒的な複雑さをもつ構造で仕上げることにより、高純度銅線と銀メッキ線の2種類の線材の特徴を引き出すとともに、歪みなどの雑味のない滑らかで自然な表現力を持つ仕様になっています。
NICEHCK BlueIslandNICEHCK BlueIsland
NICEHCK BlueIsland」も同様にブラックのケースで届きました。なにより太さにインパクトがあるケーブルですね。同じ2芯タイプの「NICEHCK BLOCC」も布張りということもありそれなりに太さがありましたが、それ以上の太さで手持ちのなかでは最も太いケーブルのひとつだと思います。しかし表面を薄く覆う透明な樹脂被膜は非常に滑らかなで触りで、適度な弾力がありつつ、反り返りは少なく、非常に扱いやすく、取り回しの良い印象です。
BlueIslandNICEHCK BlueIsland
NICEHCK BlueIsland」の音質傾向は非常にニュートラルで、イヤホンのポテンシャルを引き出すタイプのケーブル。3種類の中でも最も自然で音域の傾向の変化は少ない印象です。非常に多くの線材を使用しているため情報量はかなり多いのですが、そのことにより音がキツくなったり派手になったりということは無く、あくまで自然に見通しの良さや音場感、粒立ちなどが向上します。そのため元々情報量が多く高品質なサウンドを実現しているイヤホンとの組み合わせが最適です。逆に比較的低価格のイヤホンではあまり違いを感じにくいと思いますし分りやすいリケーブル効果を期待される方には拍子抜けすることも考えられます。
NICEHCK BlueIslandNICEHCK BlueIsland
しかし元々のポテンシャルが高いイヤホンとの組み合わせでは、高域の透明感が増しより見通しの良さを実感したり、いっぽうで低域の表現力が増し、重低音の描写がより深くなる印象を受けます。またボーカルと演奏の定位をより実感しやすくなるなど、全体的な音場感、そして空気感を捉えやすくなります。リケーブルでより「音質」を向上させたいが、サウンドバランスに変化は加えたくないという場合に最適でしょう。シングルダイナミック、マルチBA、ハイブリッドと土曜様な構成のイヤホンとも合せやすいケーブルですが、何かを変えるというより、お気に入りのイヤホンのサウンドをさらに「深化」させるためのケーブル、といった印象ですね。


というわけで、3種類のハイグレードケーブルをまとめて紹介しましたが、こうやってみてみると、それぞれの特徴というか「狙っているところ」が非常に明確でとても面白いですね。どれも非常に良いケーブルで個人的にも異なるコネクタ仕様で買い増しをしたいと感じました。貴方のお気に入りのイヤホンも「青の世界」に招き入れてみてはいかがでしょうか(^^)。