こんにちは。今回は「TRN MT1」です。例によって購入したのは少し前ですが、このところ色々買いすぎてるせいか、未レビューのイヤホンも増えるいっぽうですので、 なんとか順次掲載できればと思っています。
というわけで今回の「TRN MT1」ですが、最近の当たりイヤホンの連発と怒濤の「変態性の追求」が生み出したハイグレードの「BA15」のおかげで、個人的好感度爆上がり中の「TRN Audio」のエントリークラスの製品ですね。10mmのシングルダイナミックの構成ですが、例によって「どっかで見たことある」パ○リもとりオマージュを感じるデザインと、しっかりと仕上げてきているサウンドで使い勝手の良さを感じるイヤホンです。
「TRN MT1」はシリコンクリスタル複合バイオセルロース振動版を採用した10mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーをシングルで搭載。リケーブルに対応したイヤホンながら10ドル以下の低価格を実現しています。
ケーブルは最近のTRN製イヤホンでは標準となっているタイプC仕様。qdcコネクタと互換性のある2pin仕様で様々なリケーブルに対応出来ます。ハウジングはクリアーカラーの樹脂製を採用。カラーバリエーションはグレー、透明、グリーンの3色が選べます。
「TRN MT1」の購入はAliExpressおよびAmazonの各セラーにて。価格はAliExpressが7.60ドル~、Amazonが1,600円~です。AliExpressの購入方法はこちらを参照ください。AliExpressでは10ドル以下、日本円換算でも千円以下で購入できるのは魅力ですね。AliExpressでの購入に初めて挑戦したい、という方でも試しやすい製品かも知れません。
※Amazonのプライムデーとほぼ同じタイミングでAliExpressでもサマーセールがあります。セール価格はそれぞれのリンクを参照ください。
ただ、国内発送(プライム扱い)ですぐに入手したい、万が一の不良品の場合の返金・返品などのリスクを心配される場合はアマゾン経由でも千円台と十分に低価格で購入しやすい価格ですね。
Amazon.co.jp: TRN MT1 1,600円~
■ アンダー10ドルには見えない? クールにまとめられたシェルデザイン
私は4月上旬に他のイヤホン等とまとめてAliExpressで購入し、2週間ほどで手元に届いています。「TRN MT1」のパッケージは「TRN TA1」以降のモデルで採用されている本体画像がプリントされたデザイン。TENのロゴはパッケージ側面にのみ記載されており、「MT1」というモデル名を強調したデザインとなっています。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは黒色タイプでS/M/Lサイズ、説明書・保証書と従来の低価格モデルと同様です。
「TRN MT1」のハウジングは透明な樹脂製でステムノズル部分のみアルミ合金製。搭載されいてる10mmダイナミックドライバーの存在を確認できます。クリアグリーンは「NF Audio NM2」やかつての「qdc 2SE」などの製品を連想させるイメージでとても良い感じのカラーリングですね。
サイズやシェル形状は「KZ ZSTX」や「KZ EDX」に非常に近く、装着性もかなり近い印象。実際はTRNの1BA+1DDモデル「TRN ST1」のハウジング形状を踏襲しているのですが、樹脂製フェイスと新たなステムノズルなどもあり全く違うデザインに見えますね。ステム部分はハイグレードの「BA15」と同じ部品を使用しており、より高級感が増しています。またフェイス部分や全体のイメージを踏襲させたと思われる「NF AUDIO NM2」と比べると「TRN MT1」のほうが全体的に大きいサイズ感であることが伺えますね。
イヤーピースは他のTRN製イヤホン同様に中華イヤホンでは一般的なもので、KZ製イヤホン付属のものより相当マシだとは思っていますが、個人的にはやはり耳によりフィットするものに交換したいところです。具体的には定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、またよりフィット感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのが良いですね。
■ 明瞭感のある中高域と小気味よい低域。聴きやすくバランスの良いサウンド
「TRN MT1」の音質傾向は、聴きやすくまとまりのあるドンシャリ傾向。エージングは開封直後から数時間~1日程度で中高域の明瞭感や締まりが増し、本領を発揮する印象です。解像感や表現力の上では多少荒削りな音ではあるものの、超低価格のイヤホンとしてはかなりまとまりが良いイヤホンですね。また比較的鳴らしやすくスマートフォン直挿しでもそれなりに聴かせる実力があります。いっぽうで駆動力のある再生環境でしっかり鳴らすと明瞭かつメリハリのあるより分りやすいドンシャリに変化し、結構楽しいリスニングができます。これで10ドル以下は正直凄いかもしれない、ファーストインプレッションでそう感じさせる実力がありますね。
過去にレビューしたKZの1DDモデル「KZ EDX」は「リケーブルすると結構化けるイヤホン」として紹介しましたが、「TRN MT1」はインピーダンス22Ω、感度106dB/mWとスマートフォンでも鳴らしやすく、KZより質の良いケーブルが付属することもあって、「素の状態」でも十分に実用的なサウンドです。ライトユーザーの最初の中華イヤホンとしても、あるいはマニアの普段使いのアイテムとしても楽しめる製品でしょう。あえてマイク付きモデルを選んでオンライン会議やゲーム用に使用するのも良いですし、「TRN BT20S」のようなアダプタでワイヤレスイヤホン化するのもアリかもしれません。その場合、1万円以下のTWS製品が相手なら「TRN MT1」のサウンドで同等以上の実力を発揮してくれそうです。
「TRN MT1」の高域は、多少硬質ながらスッキリしつつ聴きやすい音を鳴らします。TRNのドンシャリというとハイブリッドモデルでは「刺さる人には結構刺さる」というややシャリ付きのある金属質な音が特徴的でした。しかしこれは同社のハイブリッドモデルで多く採用される高域用BA「30095」(おそらく「Bellsing 30095」と同じで、KZも自社向けチューニングの同じドライバーを「KZ 30095」として使っています)の特性で、同様にBAを持たない「KZ EDX」も他のKZ製ハイブリッドとは高域の印象が異なります。しかし、「KZ EDX」の高域は付属ケーブルでは多少緩く感じられたのに対し、「TRN MT1」は付属ケーブルでも明瞭な音を鳴らします。解像感はそれなりですが非常に聴きやすく、ハイハットなどのシンバル音も綺麗に鳴るなど、普段使いとしては十分なサウンドだと思います。また後述の通りリケーブルによりさらに明瞭さを増したキレのあるサウンドも楽しめます。
中音域は曲よって僅かに凹みますが、聴きやすくまとまりのある音を鳴らします。癖の無いつながり良い音でボーカル帯域も過度に強調されることなく自然に再生されます。高域同様解像感や分離などグレードの違いを感じやすい点はそれなりではあるため、音数の多い曲では演奏の1音1音まで捉え切れてない印象はあるものの、スマートフォン直挿しでも圧縮されたストリーミング音源やYouTubeなどの動画再生、あるいはゲームなどさまざまな音源を幅広く楽しめる明瞭さがあります。また十分に駆動力のあるDAPやアンプであればより明瞭感が増し、女性ボーカルの高音の伸びなどもより良く感じます。音場は標準的ですがハイブリッドモデルより派手さを抑えているため定位を捉えやすく、動画やゲームなどで位置を掴む上では良い印象をもちそうです
低域は「KZ EDX」のような分りやすくパワフルさはないものの、全体としてバランスが良く十分な量感があります。ミッドベースが弾むように鳴る印象で重量感より小気味良さを感じる低域ですね。そのため派手なドンシャリを好む方にはもう少し強さが欲しいと思うかも知れません。重低音の沈み込みはやや浅い印象はありますがスピード感があるため、EDMなども結構楽しめそうです。またイヤーピースによる印象の変化もかなり大きいイヤホンのため、いまいち音が遠く感じたり音抜けが良くない場合はフィット感のあるイヤーピースに交換することをお勧めします。低域についても締まりなどに結構違いが出るようです。
「TRN MT1」はポップス、ロック、またはアニソンなどのボーカル曲を中心にストリーミングなどで気軽に楽しむのに最適なサウンドです。また臨場感などの点ではKZのパワフルな低域が好みの方も多そうですが、ゲームや動画視聴でも明瞭な中高域で十分に楽しめると思います。
そして「TRN MT1」はリケーブルも対応しますが、多くの場合付属ケーブルでも十分にバランスの良い音を鳴らします。逆に「KZ EDX」では良い方向に変化する銀メッキ線タイプのケーブルなど、やや派手目に変化するケーブルの場合、「TRN MT1」の場合は中高域が強めでバランスが崩れるためあまりお勧めできません。「TRN MT1」と相性が良いのはTRN純正「TRN T4s」や「NICEHCK LitzOCC」「KBEAR KBX4915」などの高純度単結晶銅線ケーブルでしょう。これらのケーブルでは中低域の厚みが増すとともに全体的にメリハリが増し、より濃い音に変化します。他にもミックス線ケーブル等でも相性の良いものがありますので色々試してみるのも楽しいですね。
というわけで、「TRN MT1」はアンダー10ドル、つまりAliExpressなどでは数百円で購入できる超低価格のイヤホンにもかかわらず、必要十分なサウンドを実現した「小粒でもピリリとおいしい」イヤホンでした。細かい音質表現では価格相応に割り切っている部分も結構ありますが、マニアなら「この価格でもこれだけ遊べる」という楽しみがありますし、ライトユーザーやこれから中華イヤホンを購入してみようという方には「ダメもと」の価格で想像以上のサウンドを実感できるかもしれません。個人的には販売されているセラーが限られているものの、グレーのほうもさらに「NM2」ぽさがあるので、買い増ししようと思っています(^^;)。
ロット違いと言われているロゴが「Dynamic」のものを所持していす
こちらでレビューされているのは初期ロットと思われる
「Dyuamic」のものですが
フィルターのデザインが違いますね
実際どれくらい音に違いがあるのか興味があります