BLON BL-A8

こんにちは。今回は「BLON BL-A8 (Prometheus)」です。これまでも個性的なデザインのイヤホンを相次いでリリースしてきた「BLON(WGZBLON)」ですが、いよいよここまできたか、と思わずにはいられない、かなりの意欲作ですね。
過去記事(一覧): 「BLON(WGZBLON)」製イヤホンのレビュー
スケルトンのメタルアクセサリーのようなデザインはイヤホンの枠を超えファッションアイテムとしてもいけそうな可能性を感じます。実際、このイヤホンが到着した際のツィートはその過激な見た目でマニア以外の方にも反響があったようです。いっぽうで人目を引くデザインとは裏腹にサウンドはとても手堅く、バランスが良く完成度の高いものです。アンダー1万円クラスのイヤホンのなかでもぜひとも押さえておきたいアイテムのひとつですね。
BLON BL-A8 (Prometheus)BLON BL-A8 (Prometheus)
BLON BL-A8」は3Dプリント技術で一体成形された亜鉛合金製の金属ハウジングを採用。非常に独創的なデザインながら10mmサイズのドライバーを収容するスペースを確保し、メタルフレーム状のハウジングもしっかり耳にフィットするデザインを採用しています。

BLON BL-A8 (Prometheus)BLON BL-A8 (Prometheus)
BLON BL-A8」は10mmサイズの「lightweight Diaphragm」極薄軽量の振動板を採用したダイナミックドライバーをシングルで搭載。同様のドライバーは6mmサイズのものを以前レビューした「BLON BL-MINI」で搭載しており、表現力の高さには定評があります。
BLON BL-A8 (Prometheus)BLON BL-A8 (Prometheus)
BLON BL-A8」のカラーリングはクローム処理された「シルバー」と、メタリックな質感を楽しめる「ブラック」の2色。コネクタは0.78mm 2pin仕様で従来の独自のカバー付きのコネクタではない一般的な仕様になりました。

BLON BL-A8 (Prometheus)」の購入はAliExpressの「Easy Earphones」またはAmazonの「WTSUN Audio」にて。価格はAliExpressが79.2ドル~、Amazonが9,800円です。
AliExpress(Easy Earphones): BLON BL-A8 Prometheus
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): BLON BL-A8 


■ インパクト抜群ながら考え抜かれたデザイン。音漏れも無く抜群の装着性。

BLON BL-A8」のパッケージはシンプルなパッケージデザイン。こちらも以前のT○Z風から少しずつ変わってきましたね。パッケージング自体にはそれほどコストをかけていませんがちゃんと存在感があって良いと思います。
BLON BL-A8BLON BL-A8
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは例によって通常タイプがS/M/Lサイズ、円錐状のタイプが大小の2種類、布製ポーチ、説明書。
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亜鉛合金製のイヤホン本体はやはり相当に奇抜なデザインで驚かされます。3Dプリンティングによる一体成形ということですが、他にはない楽しさがあります。「BL-MINI」もドライバー収納スペース以外の余分な空洞をそぎ落としたら円筒を曲げたような形状になりました、みたいな感じでしたが、「BLON BL-A8」もステムノズルから直線的に配置された10mmドライバーを収納するスペースと2pinコネクタをつなぐ中心の骨格部分(?)のミニマムなハウジングに、それ以外は耳にフィットさせるための外骨格部分が覆っている構造なのが確認できます。
BLON BL-A8BLON BL-A8
その外骨格部分は耳にしっかりフィットするようにデザインされており装着性は驚くほど良好です。また相互に補強し合うようなフレーム構造になっているためゆがむことも無く見た目以上に強度もあります。そしてこのようなスケルトン状のデザインのためアルミなどと比べて多少重い亜鉛合金を使用しつつも比較的軽量にまとめられている点も装着性を高める上で良い効果になっていそうです。このようにステム部分を中心にしっかり耳にフィットし、ドライバーまわりは密閉された構造のため(中央部分のベントを探してみましたが見つかりませんでした。空気の出し入れはステムノズルのみのようです)、音漏れはほぼ皆無で遮音性も高い印象です。
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ケーブルは2pinタイプの銀メッキOFC(無酸素銅)線で適度に柔らかく取り回しの良い印象。コネクタは突起部分の全くない仕様ですが、リケーブルの場合は中華2pin、CIEM 2pinなどが使用できますね。またイヤーピースは付属のもののほか、より耳のサイズに合わせて交換するのも良いでしょう。具体的には定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、より密着感の強いタイプではSpinFit「CP100+」、AZLA「SednaEarfit XELASTEC」などフィット感を高めるのが好印象ですね。


■ 奇抜なデザインに対してサウンドは極めてまっとう。実は「普通に良い」使いやすいイヤホン

BLON BL-A8」の音質傾向は見た目の奇抜さに対して「非常にまっとうで、適度に高音質。リスニングに最適で良質なサウンドバランス」という仕上がり。音質面で突出したポイントはありませんが、万人受けしやすい緩やかなドンシャリ傾向で、明瞭かつ聴きやすくスッキリしたサウンドは普段使いとして多くの人が好感しやすいものでしょう。「BL-MINI」でも感じられた低価格ながら良質でバランスの良いサウンド、という「BLON」の最近のアプローチをしっかり反映したサウンドといえます。またインピーダンス32Ω、感度115dB/mWと一般的なイヤホンと同様の鳴らしやすさで、スマートフォン直挿しを含め多くの再生環境でも十分に楽しめる印象です。

BLON BL-A8つまり、「BLON BL-A8」のサウンドはひとことでいうなら「多くの人が聴きやすく、まとまりのある、普通に良い音のイヤホン」といった感じでしょう。そのあまりに奇抜なデザインから「もっと過激なサウンド」を期待した方も多そうですし、マニア視点では結構意外かもしれませんね。しかし、(私も含めた)マニアではなく、「BLON BL-A8」のデザインに(メタルアクセ的なガジェットとして)興味を持たれた方を想定すると、マニア受けは良いが再生環境を選んだり癖が強すぎたりするサウンドより、聴きやすく使いやすい「万人受けしやすい」ほうが良いでしょう。「見た目」で購入ターゲットを選ぶようなタイプのイヤホンは、音質面については様々な嗜好を考慮した「最大公約数的なアプローチ」のほうが「正解」だと思うわけです。そういった意味で「BLON BL-A8」は100ドル以下の価格設定も含め、十分にその目的に合致した、成功した製品だと感じました。

BLON BL-A8」の高域は明瞭かつ見通しの良さを感じつつ、適度に刺激をコントロールされた聴きやすい音を鳴らします。伸びや解像感はこの価格帯のイヤホンとしては及第点レベルですが、やや硬質で煌びやかさを感じるサウンドは明るく適度な鮮やかさがありあまり不満を感じることはないでしょう。高域成分の多い曲でも比較的はっきりした輪郭がありますが少し下がって鳴ることもありきつめの鋭さはあまり感じないと思います。金属ハウジングらしいスッキリ感も残しつつ聴きやすくまとめている印象です。

BLON BL-A8 (Prometheus)中音域は僅かに凹むもののボーカル帯域が少し強調された印象で、最近の多くの中華イヤホン同様に全体的に弱ドンシャリでまとめつつボーカル帯域の主張を増すチューニングといえるでしょう。「BLON BL-A8」は決して派手なサウンドではありませんが、低価格中華ハイブリッドに慣れている方でも違和感なく楽しめると思います。またボーカルが少し前に出て適度な厚みを持って再生されるため、多くの方が心地よくリスニングできる「万人受けしやすいサウンド」と捉えることもできるでしょう。全体としては味付けのない自然な印象で、正確な定位とは言いがたいものの適度な広さと奥行きを感じる音場感も併せてリスニングの楽しさをうまく演出しています。ストリーミングでグローバルのチャートを楽しむ上で過不足ない最適なチューニングで、同時に邦楽ポップスやアニソンなども楽しめるサウンドです。

BLON BL-A8 (Prometheus)低域は十分な量感をもちつつも直線的かつ軽快な印象で、やはりボーカル帯域を下支えするチューニングという印象です。BLONではより低価格ながら低域を重視した「BL-03」や、ボーカル帯域にフォーカスしつつ中高域寄りで結構「特徴的」だった「BL-05」など「わかりやすく好みが分かれる」イヤホンを経て、それ以降のモデルでは同社らしい金属ハウジングの特徴を活かしつつ「売れ線のサウンド」に結構フォーカスした印象があります。「BLON BL-A8」の低域はそのアプローチがより鮮明に出ている印象で、おそらく上記のようなジャンルを聴く上では最適で、適度にタイトで分離が良く、同時に力強さのあるサウンドに感じるでしょう。ただ、ドライバーとしては中高域の表現力にフォーカスしている印象もあり、重低音の解像感はそれなりで多少割り切っている部分もあります。また全体的にキレ重視のサウンドでは無い部分は低域で最も感じるため、この辺の質感を重視される方には正直向きません。つまり「すげーロックな外観だけど、すげーロックなサウンドにはあまり向かない」イヤホンというわけですね(笑)。

このように実は結構最近の中華イヤホンらしいサウンドにまとめられた「BLON BL-A8」ですが、リケーブルによって見た目に合わせた(?)多少アグレッシブな変化を楽しむこともできます。ドライバーのポテンシャルもあるのであまり過激に鳴らし過ぎても逆に今ひとつかもしれませんが、情報量の多いケーブルでしっかり駆動力をかけてやることで、それまでボーカル帯域の後ろで大人しくしている高域や低域が息を吹き返したりします。
BLON BL-A8 (Prometheus)見た目的にもぴったりなのは最近リリースされたKBEARの24芯ケーブル「KBX4925」(KBEAR Show)あたりでしょう。このケーブルの2pin仕様は中華2pinでは無く「BLON BL-A8」と同じフラットなタイプなので見た目にも最適です。他にも様々なケーブルとの組み合わせを試してみるのも楽しいですね。また「TRN BT20S Pro」などのTWSアダプタを組み合わせてワイヤレス化するのも良さそうです。
というわけで、「BLON BL-A8」は見た目イヤホンとしても、普段使いのアイテムとしてもマニアはもちろん多くの方にお勧めしやすい製品でした。他とは違う個性的なイヤホンを探している方には最適なイヤホンかもしれません。今後も同社からの低価格ながら「狙った」製品が登場してくることがとても楽しみではあります(^^)。