Whizzer HE03AL

こんにちは。今回は「Whizzer HE03AL」です。中国のイヤホンブランド「Whizzer」の2BA+1DD構成のハイブリッドイヤホンです。「Whizzer」は製品種類は多くないものの、これまでもマニアの間では話題になる製品を毎回リリースしていますね。私のブログでは「Whizzer」製イヤホンは同社のデビュー作で一躍有名になるきっかけとなった「A15」以来の紹介となります。
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ちなみに、「Whizzer」からはしばらく前まで「Kylin A-HE03」という製品が販売されていましたが、今回の「Whizzer HE03AL」はそのアッパーグレードの製品にあたります。シェルはJ.IDEA+ Studioによる設計でメタリックシルバーのミニマルデザインが特徴的です。航空グレードのマグネシウムアルミニウム合金を高精度のCNC機械加工プロセスにて成形しています。またステムノズル部分はSU304ステンレス鋼素材で作られています。
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Whizzer HE03AL」のドライバー構成は、2BA+1DDのハイブリッドレイアウトは踏襲しつつ、ダイナミックドライバー部分には「10.2mm 第5世代アルミニウムダイナミックドライバー」を搭載。また高域を担当するバランスド・アーマチュア・ドライバーには「Kylin A-HE03」同様にKnowles製「TWFK-30017」デュアルBAドライバーを搭載しています。
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また「Whizzer HE03AL」ではサウンドのバランスを維持するために特許出願中の「M.P.D.S(Multiple Damping Balance System)」を備えた音響キャビティを採用。ステムノズルから見て前後二重の圧力調整弁を持つ多重ダンピング構造により最適な空気圧を調整します。
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これらの仕様により「Whizzer HE03AL」はインピーダンス30Ω、感度110dB/mW(最大113dB)と「Kylin A-HE03」とは異なるスペックとなっており、より質の高いサウンドを実現しています。

Whizzer HE03AL」の購入はHiFiGoの直販サイトまたはアマゾンにて。
価格は「HiFiGo」などでは229.90ドル、アマゾンでは25,299円(HiFiGoマーケットプレイス)です。為替手数料等を考慮するとどちらで購入してもほぼ同額に設定されていますし、届くまでの期間もほぼ同様ですので、どちらで購入しても問題ありません。通常はアマゾンのほうが購入しやすいですね。
HiFiGo: Whizzer HE03AL
Amazon.co.jp(HiFiGo): Whizzer HE03AL


■ コンパクトでシンプルかつシャープなシルバーデザイン。装着感も良好。

Whizzer HE03AL」はパッケージにもしっかりこだわりを感じます。化粧箱は引き出し式のカバーになっており、内箱もこだわりのあるデザインになっています。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(白、黒の2種類。それぞれS/M/Lサイズ)、クリーニングブラシ、レザーケース、説明書、保証書など。
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アルミ合金製の本体は非常に滑らかな表面処理が施されており、シンプルかつ美しい流線型のデザインとなっています。かつての「A15」の頃のビルドクオリティを思い出すと隔世の感がありますね。またシェルサイズもコンパクトにまとめられており耳穴の小さい方でも快適な装着感が得られるのではと思います。「Kylin A-HE03」と比較して全体のシルエットも微妙に変わっており、「Whizzer HE03AL」のほうがよりしっかり装着できるよう改善されているようです。
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本体コネクタ部分は2pin仕様ですが本体側に少し突起があり、ケーブル側の凹みで受ける形状になっています。この突起部分を気にしなければ2pin仕様のケーブルでリケーブルできそう、ではあります。「できそう」というのは、実は「Whizzer HE03AL」の2pin端子は一般的な0.78mm 2pin端子よりピン直径が細く、リケーブルは多少無理矢理押し込むことになります。そのためケーブル側のピンにも負担がかかりますし、本体側も付属ケーブルが緩くなるかもしれません。なにより装着状態でピンが折れる、というリスクも考慮するとリケーブルは相当に慎重に考えた方が良さそうです。
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付属ケーブルには5N OFC銀メッキコート線を採用。やや弾力のある樹脂被膜ですが非常に滑らかな手触りで絡まることも少なく取り回しは良好です。また結構大きめのしっかりしたレザーケースが付属するのは付属品の収納などを考慮しても良いですね。イヤーピースは2種類のタイプが付属。TFZ製イヤホンのイヤピと同様で開口部の大きさで印象が変わり、通常はボーカルなど中高域がダイレクトに伝わる開口部の大きい(黒色)タイプを、白色は低域が僅かに厚くなります。他にもフィット感の高いものを組み合わせるのも良いでしょう。具体的には定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」よりフィット感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのが良いですね。


■ Whizzerらしさ追求した「質の高い寒色系ドンシャリ」サウンド

Whizzer HE03ALWhizzer HE03AL」の音質傾向は明瞭感のある寒色系ドンシャリ。複合振動板とアルミ製音響キャビティを持つ第5世代ダイナミックドライバーおよびブラッシュアップされたシェルによって、Whizzerらしいシャープなキレの良さを持ちつつ、高い質感の自然なディテール表現を両立している印象です。見通しが良く広めの音場に直線的に伸びるサウンドはとても気持ちよく、硬質でスピード感のある音を鳴らしつつ、ボーカル帯域には適度な光沢を感じます。低域は力強さを感じつつ締まりのあるタイトな印象で全体的にスッキリした印象にまとめています。金属質な寒色系ドンシャリながら、一般的な低価格中華ハイブリッドの派手さとは異なる癖のないサウンドで、この価格帯に見合う質の高さを感じます。

Whizzer HE03AL」の高域は伸びの良いスッキリ目で明瞭な音を鳴らします。Knowles TWFKの特徴を活かし、解像感があり煌びやかさと適度な鋭さを感じつつ刺さる手前くらいのバランスにまとめられています。分かりやすくドンシャリ傾向のサウンドながら派手になりすぎず、いっぽうで抜けの良い見通しの良さがあります。

Whizzer HE03AL中音域は曲によっては僅かに凹みますが、分離が良くボーカル帯域は伸びやかでしっかりした主張があります。女性ボーカルの高域なピアノの高音など中高域の抜けは良く、男性ボーカルも締まりがあり過度に膨らむこと無く再生されます。印象としては硬質な音ですが人工的な印象にはならず、適度に光沢のある自然な輪郭で表現してくれるのが心地よいです。音場は奥行きはやや浅いものの適度な広さがあり窮屈さはありません。多くのジャンルの曲を気持ちよく聴かせてくれるサウンドです。

低域は力強く量感のある音を鳴らします。重低音も深く重い沈み込みがあり、ブラッシュアップされた新しいダイナミックドライバーの質の高さを感じます。ミッドベースは直線的で力強さを感じつつタイトで歯切れの良さが印象的で、全体的な分離の良さもあり音数の多い曲でもしっかり対応します。スピード感のあるハードロックやEDMでも聴き応えがありますね。

Whizzer HE03AL」はロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲はもちろん、低域の解像感やキレの良さからEDMや音数の多いハードロックなどでも相性の良さがあります。いっぽうで派手すぎず自然な鳴りのため、大人しめのバラードやスローテンポの曲でも十分に楽しめる実力があります。
Whizzer HE03AL明瞭なサウンドが好みの方でモニター系よりバランスの良いリスニングサウンド、さらに質感を高めたい方には最適なイヤホンといえると思います。最近はこの価格帯の製品ですとドンシャリ傾向でもボーカル帯域にフォーカスしたサウンドが多く、いっぽうではモニター系の音作りに向かいがちですので、「Whizzer HE03AL」のようなサウンドは結構「ありそうでない」かもしれませんね。また比較的鳴らしやすく、再生環境に依存せず質の高いサウンドが楽しめるのもポイントです。同時に多少強めに駆動力をかけても破綻することなく濃くなるポテンシャルの高さも好感できます。

そうなるとやはり気になるのはリケーブルについてですが、付属のタイプの銀メッキ線の場合、これからの湿度の高い季節に屋外などで日常的に使用すると緑化なども気になってきます。そうでなくてもリケーブルなどの選択肢は持っておきたいところです。前述の通り「Whizzer HE03AL」はピンの直径が0.78mmより細いため、通常の2pinケーブルの場合かなりキツめの感じになります。いっぽうで少し細い0.75mmだと普通に取り付けることができます。ただ比較的入手が容易なケーブルで、「Whizzer HE03AL」で使用可能な製品だと同じく0.75mm規格を採用しているTRN製のケーブルくらいに限定されそうです。TRNの中華2pinタイプは「0.75mm」と「0.78mm」が選択できますので、「0.75mm」タイプの16芯銀メッキ線「TRN-T2」や「TRN-T6」などが利用できました。
Whizzer HE03ALWhizzer HE03AL

というわけで、「Whizzer HE03AL」は200ドル台の製品として現時点での注目度はあまり高くないようですが、製品としての完成度は非常に高く、また「ありそうでなかった」質の高い寒色系ドンシャリのサウンドがとても心地よく感じました。個人的には利用可能なケーブルをもう少し探してみるなどまだまだ楽しめる余地を感じてます。低価格中華イヤホンからのアップグレードのひとつとして気になる方は挑戦されるのも十分にお勧めできるイヤホンだと思いますよ(^^)。