
こんにちは。今回は「KBEAR Robin」です。中国のイヤホンブランドとして個性的な製品を数多くリリースしている「KBEAR」の新モデルで、4BA+1DDのハイブリッド構成ながら50ドル前後の価格設定と特徴的なグラデーションのメタルフェイスプレートが特徴的なイヤホンです。
「KBEAR」はファブレスのブランドのようで、主に製造元/委託先の違いによりいくつかのシリーズが存在しますが、今回の「KBEAR Robin」は、1DD構成の「KS1」、1BA+1DDハイブリッドの「KS2」「LARK」と同系列の上位モデルに相当しますね。これらの既存の製品同様、「KBEAR Robin」も低価格ながら魅力的なシェルデザインとバランスの良いサウンドを実現しています。


「KBEAR Robin」は、既存の「KBEAR LARK」(1BA+1DD)のデザインを踏襲しつつ、ドライバー構成を4基のカスタムバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーおよび10mm二重磁気回路ダイナミックドライバーの組み合わせによる4BA+1DD構成に大幅にアップグレード。フェイスデザインも厚みのある亜鉛合金製フェイスプレートに「LARK」とは異なるパターンと独特なグラデーション塗装を施し、シンプルながら非常に印象的なデザインに仕上げられています。


4基のBAドライバーは中音域および中高域をカバーする「KBEAR-IF-K」BAユニットが1基、超高域と高域をカバーする「KBEAR-HI-K」BAユニットが3基の組み合わせで構成されます。低域は10mmサイズの二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載。これら片側5基のドライバーユニットによる 3Wayの出力は、ひとつの物理的クロスオーバー(フィルターなど)、2種類の電気的クロスオーバー(基板による出力調整)によりコントロールされており、最適なサウンドチューニングが行われています。


付属ケーブルは4N OFCケーブルでコネクタはTFZ製イヤホンと互換性のあるカバー形状の0.78mm 2pinコネクタを採用。様々なリケーブルにも対応します。また「KBEAR Robin」のカラーバリエーションは「ブルー」と「ブラック」の2色が選択できます。
「KBEAR Robin」の購入はAliExpressのEasy Earphones、またはAmazonのWTSUN Audioにて。価格はAliExpressが47.52ドル、Amazonが5,690円です。
AliExpress(Easy Earphones): KBEAR Robin
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■ グラデーションの分厚いフェイスプレートが特徴的。低コストながら嬉しいケース付き
「KBEAR Robin」のパッケージは「LARK」「NEON」といったケース付きモデルで採用されているボックスサイズのものです。ブルーの鮮やかなカバーが目を引きますね。


パッケージ内容は、本体、ケーブル、イヤーピースが2種類(それぞれS/M・Lサイズ)、ケーブル、ハードケース、説明書。この価格帯の低価格中華イヤホンではケース付きは少なく、使い勝手のよいサイズのハードケースが付属するのはとてもありがたいですね。


「KBEAR Robin」の本体は「LARK」と同じサイズ感で、亜鉛合金製の分厚いフェイスプレートと樹脂製のハウジング、アルミ合金製のステムノズルの構成になります。フェイスプレートのグラデーションのかかった塗装がとても印象的なデザインですね。


ハウジングの形状的にはKZやTFZなどのイヤホンと同様のサイズ感ですが、装着部分の角度の違いなどから、より装着性が高い印象なのは「LARK」などと同様です。


ケーブルはOFC銅線タイプで、「LARK」の銀メッキ線とはカラーが異なります。コネクタは従来機種同様にTFZタイプの2pinでリケーブルの選択肢は選びやすいですね。


本体形状を比較すると、樹脂製の「KS1」「KS2」とはステムノズルの形状が異なるほか、「LARK」とは同じくステムのメッシュ部分の仕様が異なります。イヤーピースは標準で2種類がふぞくしますが、主に高域の印象などが結構イヤーピースで変化するため、開口部の広いタイプに交換するのも良いですね。具体的には定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」など、自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。また、「AET07」の代わりに、ほぼ同等品の「KBEAR 07」を選ぶのも良いと思います。
■ 同価格帯の中華ハイブリッドとはひと味違う、明瞭ながら適度に滑らかなバランスの良いサウンド
「KBEAR Robin」の音質傾向は明瞭感のある弱ドンシャリ傾向で、全体的に癖の無いニュートラルなサウンドバランスながら高域および低域にしっかり聴かせどころがあり、低価格イヤホンながら質の良さを感じさせます。また最近の中華イヤホンで多くみられるようにボーカル帯域にもしっかりフォーカスしており、再生環境を問わず多くの方が心地よくリスニング出来るチューニングとなっているのも印象的です。

突出した何かよりバランスの良さと総合力の高さで光る、そんな印象のイヤホンですね。
「KBEAR Robin」の高域は、硬質で伸びやかな音を鳴らします。高域はイヤーピース、再生環境、あるいはリケーブルの有無などによる印象の変化が大きく、付属ケーブルでスマートフォン直挿しや小型DAPやオーディオアダプタ等で再生した場合は煌びやかさは感じるものの、やや中音域および低域の主張に対して後ろに下がる印象になります。「KBEAR Robin」は18Ω、110dB/mWとスマートフォンでも音量の取りやすいイヤホンですが、これらの再生環境ではボーカルおよび中低域主体となり、多くのポップス曲などでは問題ないものの、高域成分が多く、音数の多い曲では高域が多少騒々しく感じるかもしれませんね。

中音域は凹まずスムーズな印象で鳴ります。比較的ドライバー数の多いハイブリッドイヤホンにもかかわらず、クロスオーバーの制御がとてもうまく、つながりの良い音で再生されるのは好感が持てます。十分に駆動力のある再生環境では全体的に明瞭さのある見通しの良い音を鳴らし、高域同様に透明感があります。またボーカル帯域はニュートラルな印象で、自然な定位感とともに、適度な温かさを感じます。女性ボーカルの高音は過度に主張しないものの綺麗に伸び、男性ボーカルの低域も厚みのある低域とともに艶があります。KZ/CCAやTRNなどの中華ハイブリッドの硬質なサウンドと比べると多少柔らかく、質の良いシングルダイナミックのようなサウンドともいえるかもしれませんね。

「KBEAR Robin」はTFZのカバー形状の互換性がある0.78mm 2pinコネクタを採用しています。そのため、TFZ仕様のコネクタはもちろん、一般的な中華2pinおよびCIEM 2pinコネクタのケーブルをリケーブルで使用することができます。全体的に情報量をアップし、特徴を反映させるうえでは「KBEAR KBX4925」や「KBX4919」などの24芯ケーブルが相性が良いですね。他にも純銀線の「KBX4913」など様々な組み合わせを試してみるのも楽しいと思います。
というわけで「KBEAR Robin」は同価格帯の中華ハイブリッド製品とは少し方向性の異なる、より質感を重視したサウンドが魅力的なイヤホンでした。使い勝手の良い製品としてさまざまな方にお勧めしやすい製品だと思いますよ(^^)。