HarmonicDyne P.D.1

こんにちは。今回は「HarmonicDyne P.D.1」という、400ドル近い価格設定のイヤホンです。購入したのは昨年の7月頃・・・約半年ほど書きかけのままだったネタとなります(滝汗)。今年から日曜日に「棚からレビュー」を不定期掲載しようと考えていますが毎週掲載していけば春くらいには「積み」イヤホンのレビューが、いややっぱり夏くらいまでかかりますかねぇ。まあそんな感じです(^^;

「HarmonicDyne」というと個性的なドライバーを搭載したヘッドホン製品で知られるブランドで、そんな同社が初めて手がけたイヤホン製品が今回紹介する「HarmonicDyne P.D.1」です。10mm平面駆動ドライバーと10mm CNTエッジ&DLCドーム振動板ダイナミックドライバーのハイブリッドという、なかなかの個性的モデルです。その構成ゆえ価格設定もやや割高ですし、ちょっとディープマニア向けイヤホンかもしれませんね。
HarmonicDyne P.D.1HarmonicDyne P.D.1

「HarmonicDyne」は「Zeus」や「Helios」といった個性的なヘッドホン製品をリリースしているメーカーで「THIEAUDIO」などと同様「Linsoul」系のブランドのようですね。そして同社が新たにイヤホン製品に参入した最初のモデルが「HarmonicDyne P.D.1」です。シェルは航空グレードのアルミニウム合金を採用し、5軸CNC機械加工プロセス、手作業による研削と研磨により自然な光沢を持った高級感のある仕上がりとなっています。

HarmonicDyne P.D.1HarmonicDyne P.D.1

ドライバーには10mmサイズの高磁力&高感度の平面駆動ドライバーと同サイズのエッジ部CNT&ドーム部DLCの複合振動板ダイナミックドライバーのハイブリッド構成を採用。これらの2つのドライバーは互いに補完し合い、正確で音楽的でありながら自然なサウンドを実現すべくサウンドチューニングを行っているとのこと。
さらに「HarmonicDyne P.D.1」では8芯 高純度OFC(無酸素銅)銀メッキ線の3.5mmステレオケーブルと4.4mm/5極バランス仕様の8芯 高純度銅線&銀メッキ線のミックスケーブルの2本のケーブルを付属。様々な再生環境とあらゆるジャンルのサウンドへの適合を目指したようです。

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HarmonicDyne P.D.1」の購入はAmazonまたは各セラーにて。価格はHiFiGoなどが 379ドル、Amazonが41,630円です。
HiFiGo(直営店): HarmonicDyne P.D.1 379ドル
Amazon.co.jp(HiFiGo): HarmonicDyne P.D.1 41,630円
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): HarmonicDyne P.D.1 41,380円


■ シンプルデザインの金属シェルと2種類の異なる線材の付属ケーブル

HarmonicDyne P.D.1」のパッケージはシンプルな白箱デザインですが表面加工された素材を使用するなどちょっとしたこだわりを感じますね。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル2種類、イヤーピース(2種類、S/M/Lサイズ)、6.35mm変換コネクタ、円形のレザーケース、製品カードなど。
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アルミニウム合金削り出しの本体はシンプルなデザインながら重量感があり、また仕上がりには精緻さを感じます。比較的コンパクトなハウジングのため装着性自体は悪くないと思います。イヤーピースは2種類のものが付属しますが個人的には、定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」などへの交換を推奨します。
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2種類の付属ケーブルはしっかりした太さのある8芯ケーブルで適度な硬さとともに使い勝手の良さもあります。コネクタはMMCXを採用していますのでリケーブルの選択肢は多いでしょう。
HarmonicDyne P.D.1HarmonicDyne P.D.1
また付属ケーブルを他のイヤホンで使い回すというのもありかもしれませんね(^^;)。


■ マニアほど好き嫌いが分かれる? イマドキのリスニングヘッドホン的な音作り

HarmonicDyne P.D.1」の音質傾向は、最近だと「W字型」などとも形容される、ドンシャリ方向(いわゆる「V字カーブ」)のサウンドでさらにボーカル帯域を持ち上げた印象のサウンド。厳密には中音域を持ち上げているというよりやや滑らかという意味で「U字型」みたいな表現をされる場合もあります。
HarmonicDyne P.D.1各音域が聴きやすく、ボーカルも際立っているため非常に楽しく感じるサウンドです。このようなアプローチはどちらかというとヘッドホン製品で増えている傾向のため、「HarmonicDyne」ブランドの従来のヘッドホンでのチューニングを踏襲しているのかなと思いました(実際には「Zeus」や「Helios」といった製品を聴いていないのでたんなる憶測です)。おそらく平面駆動ドライバーをフルレンジで鳴らしつつ、並列で配置されるダイナミックドライバーが中音域と低域をクロスオーバーして補完することで得られるサウンドだろうと想像します。

ただ、ドンシャリ系のメリハリの効いた音が好きな方にはやや中途半端で、最近よく取り上げられるハーマンターゲットカーブなどフラット系のニュートラルサウンドを好まれる方には嫌がられそう、という気はします。例えば先日レビューした「HD8XX」もベースの「HD800S」をW字方向にチューニングした印象でしたが、この製品について最近コラボモデルをかなりの勢いで投入している有名海外レビュアーのCrinacle氏が酷評し倒してましたね。「HarmonicDyne P.D.1」についても検索するとCrinacle氏のレビューがあり、結果は予想通りの大爆死でした(笑)。
HarmonicDyne P.D.1個人的には全体的には聴きやすいバランスだと思うのですが、どうやらマニア度が高いほど好き嫌いがハッキリ分かれる製品のようです(^^;)。
ただ付属する2種類のケーブルについては銀メッキ線のシングルエンド(3.5mmステレオ)のほうが圧倒的に印象が良いです。ミックス線の場合再生環境にもよると思いますがこのW字のチューニングが崩れるというか、あまり合っていない印象を受けました。バランス化については付属のミックス線ケーブルより銀メッキOCC線などのケーブルに換えた方が良い気がしますね。

HarmonicDyne P.D.1」の高域はある程度の主張をもちつつ癖の無い効きやすい音を鳴らします。高磁力&高感度の平面駆動ドライバーにより直線的で歪みのない伸びの良さを感じますがより強い主張を持つ中音域の影響を少なからず受けています。シンバル音の細やかさや、中高域からの伸びのディテールなど非常に良さを感じる瞬間があるものの、いまひとつパッとしない印象もあり、バランスとしては一貫していない印象もあります。シングルエンドのケーブルでは全体として一定のまとまりは感じるものの、400ドル近い製品として考えればやや精度が足りないと言われても仕方ないかもしれませんね。

HarmonicDyne P.D.1中音域は癖の無い音ではあるものの、前述のようにかなり強めの主張で鳴ります。かなり前面で定位しハッキリと鳴るため非常にパワフルなサウンドに感じると思います。中高域は2種類のドライバーのクロスオーバーから平面ドライバー中心に移行する境界付近が多少荒く、派手に聞こえます。いっぽう中音域から中低域に関しては同社がもっとも注力した音域らしく、ハッキリした輪郭の音像表現と適切な解像感、余韻もしっかりとらえる分離があります。金属ハウジングによる明瞭感を感じさせつつも過度に硬質にならず、若干温かく自然に感じるチューニングになっています。ただ明らかにボーカル曲向けのチューニングで演奏は適切に分離しボーカルを下支えするものの、定位は正確ではありません。そのため音数の多い曲やインストゥルメンタルで演奏の質感を楽しのにはあまり向かないでしょう。音場は一般的なレベルですが、ヘッドホン的な音に包まれる感じを楽しめるのはこの製品の特徴のひとつといえるでしょう。

HarmonicDyne P.D.1低域もこのイヤホンの特徴のひとつで比較的質の高い、適切な解像感と深さのある音を鳴らします。適切に分離しつつ、中低域とは滑らかなつながりがあり男性ボーカルの低音などは心地よい厚みがあります。ミッドベースはスピード感と締まりがあり、直線的で過度に膨らむことはありません。重低音は十分な重さと深さがあり、しっかり沈み込んだうえで十分な解像度で鳴らすキレの良さがあります。
中高域に気になる部分はあるものの全体のバランスとしてはよく出来ており聴きやすく使いやすいイヤホンだと思います。その上で低域の質感は十分に高く、低域だけで選ばれる方もいらっしゃるかもしれません。この辺の音作りが「HarmonicDyne」の特徴なのかもしれませんね。

印象として100ドルオーバー、200ドルオーバーの製品は低価格イヤホンからランクアップしていろいろ質を高めるアプローチが顕著ですが、これが300ドルを大きく超えてくると逆に、刺さる人に刺さればいい、みたいなややニッチ寄りにチューニングが変わってくる気がします。まあさらに上の1000ドル、2000ドルのハイグレードになるとフラット方向に推移していくんですけどね。
今回の「HarmonicDyne P.D.1」もイマドキのヘッドホンを踏襲したイマドキの音作りを一見しているようで、実際は結構癖が強めの「変わり種」イヤホンでした。ただ特殊なドライバーを組み合わせることに注力しすぎたのか、音作りには粗削りな部分もあり、正直この価格だとちょっとお勧めはしづらい部分はあります。これが100ドル台だったら「興味のある方は買ってみてね~」とか書けますが。。。とりあえず、変なイヤホンに興味があり出費に抵抗感のない方であれば買ってみるのも良いと思いますよ(^^;)。