TRN ST2

こんにちは。今回は「TRN ST2」です。前回に引き続き中華イヤホンブランド「TRN」のエントリークラスの製品で、1BA+1DDのハイブリッド構成の製品になります。こちらも購入したのは割と以前で「積み」になっていました(^^;)。今後はこれらの製品も「簡易版レビュー」方式も使ってぼちぼち紹介できたらと思います。

■ 製品の概要と外観および装着性など。

TRN ST2」ですが、このイヤホンは、TRNブランドのいわくつきの処女作(笑)、「TRN V10(初期型)」のシェルデザインを踏襲しつつ新たにブラッシュアップし、ドライバー構成は1BA+1DD構成のシンプルなハイブリッドにしたモデルです。TRNでは低価格の1BA+1DD構成のモデルとしては某メーカーぽいデザインの「ST1」がありますが、今回の「ST2」はその後継的なモデルとして「TRNオリジナルのデザインに回帰した」と捉えるのが好意的な解釈かもしれませんね(^^;)。
ちなみにかつての「TRN V10」(2BA+2DD構成)はドライバーチューニングを大幅に変更した修正版が初期型には無かった白色ハウジングで現在も販売されており、区別のため「V40」という名称で販売されていた時期もありました。
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TRN ST2」のドライバー構成は高域用の「30095」BAと中低域用の10mm二重磁気回路ダイナミックドライバーの組み合わせで、ダイナミックドライバーの世代に違いがある可能性はあるものの「ST1」の構成を踏襲した内容になっています。いっぽうでステムノズルは金属製、コネクタはタイプC仕様、ケーブルは銀メッキ線と現在のTRNの要素も取り入れたアップデートとなっていますね。カラーバリエーションはブラックと透明の2色が選べます。

TRN ST2」の価格はAliExpressが13.11ドル~、アマゾンが2,180円~です。
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): TRN ST2

TRN ST2」のパッケージは最近の横向きレイアウトですが、内部構造イラストを載せたちょっと変わったバージョン。いっぽう付属品は従来通り、本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書などの最小構成となります。
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TRN ST2」の本体は樹脂製で形状は前述の通りかつての「TRN V10」を踏襲しています。ただステム部分はアルミ合金製、コネクタはタイプCとイマドキ仕様になっていますね。フェイス部分には最近のTRNの丸いロゴマークがプリントされています。今回はブラックモデルを選びました。この製品の場合トランスペアレント(透明)のキャラクターが強いですが、ブラックにすると金属製ステムなどの改良点も含めて安っぽさはかなり払拭される気がするのですが、いかがでしょう。
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ちなみにTRNは最初の「V10」以降、独自デザインとパクリデザイン(笑)、当たりとハズレを繰り返し、同社への評価が180度変わるきっかけとなった「V90」の登場までは、わりと「迷走」してる感じもありました。しかし最初の「V10」も低コストにこだわりすぎてはいたものの、シェルデザインなどはよく考えられており、今回の「TRN ST2」はフェイス部分はかなり大きく感じますが、装着するハウジング部分は結構コンパクトで、装着性も非常に良好です。
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そして付属ケーブルは銀メッキ線タイプにアップグレードされているのも嬉しいですね。プラグ部分がKZなどの製品より高級感があるのも好感できます。いっぽう付属イヤーピースは従来通りですので、例によって定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。


■ インプレッション(音質傾向など)

TRN ST2」の音質傾向は明瞭感のある寒色系ドンシャリ。要するに「TRNらしいサウンド」なわけですが、以前の「ST1」より派手さはかなり抑えられており、解像感やキレの良さは向上しつつ、聴きやすさも感じるバランスにチューニングされています。かつての「V10」(初期型)の鋭すぎる高域をご存じの方ならTRNの「成熟」を改めて実感することでしょう。特筆すべきは「寒色系ドンシャリ」の方向性を維持したまま、価格を下げ、音質を向上させていること。この傾向が嫌いな方は別に手を出さなくていいよ、という潔さも感じ、逆に好感を持てます(笑)。

TRN ST2高域はスッキリして伸びの良い明瞭な音を鳴らします。いかにも中華ハイブリッド、という音なので、慣れている方にはおなじみの音でしょう。しかし刺さりやすい帯域はコントロールされており、鋭さや煌めきを感じつつ聴きやすさも保たれているのは進化したポイントです。ただKZも含め低価格ハイブリッド特有の、いわゆる「金属質なギラつき」もちゃんと健在(?)です。
中音域は僅かに凹みますがボーカル帯域が近くで定位し女性ボーカルは伸びの良さを感じます。音場は広く臨場感を感じやすい音ですが、解像感や分離については「ST1」よりある程度の質の向上を感じます。適度な音場があり、硬質でドライな傾向も含め音数の多い曲でも十分に表現できている点は「KZ ZSTX」あたりとも遜色ない水準でしょう。ポップス、ロック、アニソンなどを楽しむ上では十分な表現力がありますし、ゲームや動画再生ではかなり実用的なサウンドとなるでしょう。
低域は力強さと深さを持ちつつ、中高域とのバランスの取れた鳴り方をします。ミッドベースはパワフルですが膨らや過度な響きは無く質の良さを感じます。また重低音の沈み込みも良好で締まりも良く、音数の多い曲での表現もしっかりしています。中高域との分離も良く籠もることはありません。


■ まとめ

というわけで、「TRN ST2」はアンダー20ドルのハイブリッド製品として、競合する「KZ ZSTX」とは明確に方向性の違う、ある意味トラディショナルな「TRNらしさ」を示しつつ、同社の着実な進化を改めて実感する手堅い仕上がりでした。あえて初代の「V10」のデザインを採用したの同社の「想い」を推しはかることはできませんが、もう少しメインに出て評価されてもアリかな、と感じました。いっぽうで、最近は様々な個性的なモデルも増えているため、「手堅さ」だけではどうしても「地味」に感じてしまうのも事実でしょう。個人的には購入したブラックモデルにあう黒色のケーブルと組み合わせて普段使いのアイテムに加えてみようかと思っています。