こんにちは。前回に引き続き「【低価格中華イヤホン】個人的な好みランキング」の最新版を掲載します。後編では「50ドル~100ドル」(海外での販売価格)の低価格中華イヤホンのトップ10を掲載します。
前編「低価格中華イヤホン(50ドル以下)」編はこちらです。
→ 【低価格中華イヤホン (50ドル以下) 】個人的な好みランキング TOP20 / ※2021年8月版 前編
■ 50ドル以上(100ドル以下)は「低価格」イヤホン?
ちなみに、50ドル~100ドル、という区切りは「はたして低価格か」という話はありまして、前回のランキングの時は100ドル以下としながらも「アラウンド100ドルは除外」し、だいたい90ドルくらいで線引きを行いました(代わりに90ドル以上はひとつ上の「100~200ドル」のランキングで入れています)。100ドル付近、具体的には「94ドル」~「99ドル」くらいの価格設定のと製品は比較的多く、まあ日本で言うと1万円以下ということにするために「9,980円」に設定するみたいな感覚ですね。
ただこれが中華イヤホンでは無く、日本の専門店で購入する場面では、5千円以下というと、それこそ「E2000」「E3000」とか非常に限られた選択肢になり、実売で1万円程度あたりまでを「低価格」または「エントリー」クラスとするのが一般的かなと思います(「AONIC 215」、つまり旧「SE215SPE」を入れるかどうかが微妙なライン、といったところでしょうか)。
というわけで、この「50~100ドル」クラスでは前回の「50ドル以下」とは明らかにレベルが上がった、「ほぼミドルグレード」くらいの製品、という意味でランキングしていきたいと思います。中華イヤホンの世界ではできるだけ「コストパフォーマンス」ということは触れないようにしていますが(まあコスパが良いのは「普通」ということで)、それでもこのクラスは特にお買い得感はあるかもしれませんね。
■ 「個人的な好みランキング」の選定基準と評点について
③ 「NF AUDIO NM2」 [ 1DD / 前回(M)5位 レビュー ] (94ドル / 12,800円)
好み評点: 240 (総合評価 220 + 好み加点 20 )
「NF AUDIO NM2」は「ミドルグレード(100ドル前後~200ドル未満)」からの引っ越しランクインです。ミドルグレードでは169ドルの「NM2+」が前回トップでしたが、100ドルを僅かに下回るベースの「NM2」は本来別カテゴリーに属するべきでしょう。アンダー100ドルクラスのモニター系サウンドイヤホンではトップクラスのイヤホンです。また「NM2+」のキレすぎる高域がちょっと苦手、という方はコチラを試されると良いかもしれませんね。相対的に低域の量感も増すため、リスニングイヤホンとしてもより楽しめる製品でもあります。前回のランキングでも記載しましたが、モニター的ながら刺激も「NM2+」より控えめなぶん、店頭試聴では結構地味に感じるのがウィークポイントかもしれません。個人的には「NM2」のほうも、もっと人気&評価が上がるべき素晴らしいイヤホンだと思っています。
④ 「TFZ MY LOVE 4」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (89ドル / 13,800円)
好み評点: 230 (総合評価 200 + 好み加点 30 )
「TFZ大好きおじさん」らしく、トップ10のうちTFZが3本と、実はメーカー別割合では圧倒的な占有率です。ほんとうは「TxBEAR MONICA」も入れようかと思っていたので、それはさすがにキツいだろうということに私の中でなりました(^^;)。「TFZ MY LOVE 4」はおそらく第2.5世代、というか「KING PRO」あるいは「MY LOVE EDITION」のリファインバージョンと思われる仕様とサウンドのイヤホンです。シンプルなデザインにラインストーンをあしらったビジュアル的にも美しいデザインに、フラット寄りで定評のあるモデルをブラッシュアップしたサウンドを搭載した「いいとこ取り」なモデルともいえます。おそらく激戦区のアンダー100ドルクラスに挑んだ、TFZにしてもきっと「売れ線狙い」の製品でしょう。
とはいえマニアにとっては「TFZ MY LOVE 4」は正直なかなか謎なイヤホンかもしれません。「MY LOVE」シリーズは2016年の「SERIES 1S My Love」を起点に、「II」(2017年)、「III」(2018年)、「Edition」(2019年)と毎年リリースされるのが慣例のようになっていました。しかしコロナ禍の影響もあったのか、昨年2020年のリリースは無く、今年は「Edition」のマイナーチェンジ版を出して終わりかな、と思った矢先の「TFZ MY LOVE 4」の登場です。というかナンバリング的に「Edition」は別枠なのね、ということが判明したわけですが(^^;)。また「おそらくマーケティング的な理由」でドライバーの「世代」を伏せているのもちょっとわかりにくい要素になっていますね。でも「第2.5世代」(たぶん)の「TFZ MY LOVE 4」が「第3世代」の「LIVE X」より価格が少し高くてもいいじゃないですか。それだけ音もデザインもよいのですから(^^)。
⑤ 「TIN HIFI T4」 [ 1DD(CNT) / 前回(M)13位 レビュー ] (99ドル~ / 11,800円)
好み評点: 220 (総合評価 210 + 好み加点 10 )
「ミドルグレード(100ドル前後~200ドル未満)」では10位以下になってしまっていた「TIN HIFI T4」は本来はこのくらいでしょう。100ドルオーバーに「T5」が登場した現在だからこそ、「T4」もひとつ下のクラスで再評価されるべきかもしれません。最近の出荷分では付属ケーブルが変更になったという話もあるので違いを確認してみるのも良いかもしれませんね。イヤホンとしての完成度はとても高く、価格の割に付属品が充実しているのも良いですね。CNTドライバーらしいキレのある解像感としっかりとした主張のあるサウンドが魅力的。傾向としてはフラット寄りで非常にバランスが良く、あらゆるジャンルの曲をクリアに鳴らす印象。非常に表現力豊かなイヤホンなのですが、やたら個性的な中高域を持った既存2DDモデルの「T2」「T2 PRO」の癖の強さと比べると「手堅いサウンド」のイヤホンという位置づけです。いっぽうで最近のモデルである「T2 PLUS」「T1 PLUS」はより聴きやすくバランスも良さそうですが、ややボーカル帯域寄りが顕著で「らしくない」感じもあり、中高域の伸びがもう少し欲しかったりもするので、結局「TIN HIFI T4」がTIN HIFIのアンダー100ドルではいちばん安定して良いよね、と思ってしまうのでした。
⑥ 「TFZ LIVE 3」 [ 1DD / 前回(L)5位 レビュー ] (66ドル / 10,800円)
好み評点: 205 (総合評価 180 + 好み加点 25 )
「TFZ LIVE 3」も引き続きのランクインです。低価格ランキングでは前回からひとつランクダウンですが、実は「好み評点」は大幅に向上しており、個人的に「再評価」したイヤホンでもあります。「LIVE」シリーズの「まんなか」のモデルで、第3世代ドライバー搭載モデルのなかでは最も低価格な製品でもありますね。ロングセラーの人気モデル「No.3」に代表される「第3世代」ドライバー特有の中低域の音場感を持ちつつ、中高域は結構派手に鳴るサウンドは「LIVE 1」とのキャラクターの統一が図られているようですね。TFZらしいキレの良さと「TxBEAR MONICA」にも共通する厚みのある低域、そして人気モデル「TFZ NO.3」譲りの包み込むような音場感が特徴的です。様々なモデルで使ってきたドライバーを活用することで、元気なだけでなく質感もしっかりキープしています。高域には適度な鋭さがあって、低域も重量感と解像感、そして深さが欲しい方には最適なイヤホンです。またリケーブルでも結構いろいろ変化が楽しめるなど、「MY LOVE 4」とはまた違う、「楽しいほうのTFZ」を堪能するのには最適なモデルといえるでしょう。
⑦ 「TRN VX」 [ 6BA+1DD / 前回(L)2位 レビュー ] (55.12ドル / 8,800円)
好み評点: 200 (総合評価 180 + 好み加点 20 )
「TRN VX」も前回の低価格ランキングからの再登場です。点数配分は少し変えていますが「好み評点」そのものは前回と同じです。2020年のスペックモンスター系中華ハイブリッドのなかでは「ZAX」に人気を持って行かれた感じでしたが、その後じわじわと評価も上がっていたようですね。正直なところ今回のランキングではこの「TRN VX」と「ZAX」のどちらかを入れようか、と思い、まあ私ならこっちだろうね、くらいの感じで決めました(笑)。実際これこそ「好み」の世界で、「俺はZAXの方が断然好き」という方も普通に大勢いらっしゃると思います。個人的にはモンスター系の特徴をもちつつバランスが良くつながりもニュートラルだから、といった感じです。とはいえ「KZ ZAS」と比べるとやはり「いかにも中華ハイブリッド」なサウンドで多少「下品」な印象もそのままなのですが、まあこれも「TRNらしさ」ではあるので、ひとつの選択肢としては押さえておきたいなと思っています。
⑧ 「TFZ MY LOVE Edition (2019/2021)」 [ 1DD / 前回(L)6位 レビュー ] (59ドル / なし)
好み評点: 195 (総合評価 170 + 好み加点 25 )
2019年の限定版としてリリースされた「TFZ MY LOVE EDITION」ですが、リニューアル版として2021年仕様も限定販売されています。第2世代の「MY LOVE II」のシェルに、「KING PRO」の第2.5世代ドライバーをほぼそのまま搭載したモデルで、高めのインピーダンスとフラット寄りのサウンドは普及価格のTFZの新たな選択肢として「MLE」の略称とともに、日本未発売ながらマニアの間で広く浸透しました。現在ではその魅力を正当に継承した「MY LOVE 4」がリリースされたため、もうすぐ役割を終えようとしていますが、非常に使いやすいイヤホンとして、おそらく今後も愛用していくだろうと思います。
⑨ 「ThieAudio Legacy 2」 [ 1BA+1DD / 初登場 レビュー ] (99ドル / 10,880円)
好み評点: 185 (総合評価 160 + 好み加点 25 )
正直9位と10位は結構悩みました。今回ランクインした2モデルと「TFZ TxBEAR MONICA」(レビュー)、「CCA CA16」(レビュー)の過去にもランキング入りした製品を含めた4製品でどれを残すかいろいろ考えた結果、今回はこのランキングになりました。
「ThieAudio Legacy 2」はLinsoul系のブランド「ThieAudio」の最もエントリーなモデルで、美しいクリアシェルとバランスの取れたサウンドが特徴。なお、このモデルでは上位グレードとは異なりダイナミック部分がベリリウムドライバーという記載になっていますが、いわゆる「ベリリウムっぽさ」は皆無です。このイヤホンを堪能するポイントはまず脳内でベリリウムという事を消去して(笑)、純粋に質の良いハイブリッドと思って聴きます。フラット寄りながら適度に聴かせどころがあり、レジンシェルの見た目にマッチした、滑らかさと適度な温かさのあるサウンドで心地よく楽しめるイヤホンです。
⑩ 「BLON BL-A8」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (79.2ドル / 9,800円)
好み評点: 180 (総合評価 150 + 好み加点 30 )
そして10位は「BLON BL-08」です。BLONのイヤホンは低価格ランキングでも毎回候補に挙がるものの、今一歩他の製品に譲ることが多かった印象です。この製品は同社としては初めてのオーバー50ドルクラスですが、BLONらしらというか、「このメーカーのただ者ではない感じ」が見た目から全開に出たイヤホンですね。まずは見るからにインパクト抜群のスケルトンアクセサリーのようなデザイン。この製品の写真を載せた到着ツイートはマニア以外の方にもリツイートされ、もともとイヤホンにそれほど興味の無い層にも響く製品であることを実感しました。この奇抜な見た目にもかかわらず装着性や遮音性が想像以上に高く、BLONの成形技術の高さも実感します。音質面はあえて奇をてらうことなく適度に聴きやすくバランスの良い音。質感も良く、万人受けしやすい方向性です。「見た目が凄いのに音は普通に良い」と意外に思われることが多い製品ですが、上記の「マニアではないけど見た目に響く層」もターゲットに考えるなら、見た目以外の要素を徹底的に「万人受け」で質を高めるのは正解だと思います。こういう楽しい製品が増えると、中華イヤホン、ポータブルオーディオの裾野がさらに広がるのでは、という期待も込めての順位です。
というわけで今回の低価格中華イヤホンの「個人的な好みランキング」ですが、50ドル以下、100ドル以下のどちらのランキングも思ったより前回までのモデルもランクインしましたね。少なくともアンダー100ドルの世界ではKZ/CCAとTRNなどによるスペック競争も前回くらいをピークにひと段落し、そろそろ成熟期に入ってきた感じもありますね。いっぽうで今後はベリリウムなどの振動版がより積極的に低価格イヤホンで投入されたり、平面磁気、静電ドライバーなどハイエンドドライバーもこの価格帯で登場する(かも)など、別の意味でスペック競争の側面もまだまだあるようで、いろいろな意味で今後も目が離せませんね。
なお、「個人的な好みランキング」についてですが、以前から予告している「総合ランキング」は各価格帯のランキングが充実してきたことにより、あまり意味がなくなってきたかもしれません(各価格帯ランキングの「好み評点」を通して見れば全体の順位はわかりますので)。今後は「中価格帯」の最新版と、「所有するハイエンドイヤホン」の「好み評点付きまとめ」等を掲載したいな、と考えていたり。この辺はまだ未レビューのイヤホンが色々あったり、購入済み、購入予定のものもありますので、タイミングを見ながら掲載できればと思っています。
→ 【低価格中華イヤホン (50ドル以下) 】個人的な好みランキング TOP20 / ※2021年8月版 前編
■ 50ドル以上(100ドル以下)は「低価格」イヤホン?
ちなみに、50ドル~100ドル、という区切りは「はたして低価格か」という話はありまして、前回のランキングの時は100ドル以下としながらも「アラウンド100ドルは除外」し、だいたい90ドルくらいで線引きを行いました(代わりに90ドル以上はひとつ上の「100~200ドル」のランキングで入れています)。100ドル付近、具体的には「94ドル」~「99ドル」くらいの価格設定のと製品は比較的多く、まあ日本で言うと1万円以下ということにするために「9,980円」に設定するみたいな感覚ですね。
ただこれが中華イヤホンでは無く、日本の専門店で購入する場面では、5千円以下というと、それこそ「E2000」「E3000」とか非常に限られた選択肢になり、実売で1万円程度あたりまでを「低価格」または「エントリー」クラスとするのが一般的かなと思います(「AONIC 215」、つまり旧「SE215SPE」を入れるかどうかが微妙なライン、といったところでしょうか)。
というわけで、この「50~100ドル」クラスでは前回の「50ドル以下」とは明らかにレベルが上がった、「ほぼミドルグレード」くらいの製品、という意味でランキングしていきたいと思います。中華イヤホンの世界ではできるだけ「コストパフォーマンス」ということは触れないようにしていますが(まあコスパが良いのは「普通」ということで)、それでもこのクラスは特にお買い得感はあるかもしれませんね。
■ 「個人的な好みランキング」の選定基準と評点について
そして、繰り返しとなりますが、「個人的な好みランキング」について改めて説明すると、購入&私のブログで紹介してきたイヤホンのなかで、「あくまで私の好み」という基準でまとめたものです。様々な利用シーンを想定して記載している普段のレビュー(レビューの方針についてはこちらを参照ください)とは異なる視点でまとめています。
あくまで私の好みでランキングしておりますので、通常のレビュー評価とは必ずしも一致しません。
評価基準は今回も、私自身が「個人的にどれくらい好みか」というのを、極めて主観的に割り振った「好み評点」の合計に基づきランキングしています。そして「好み評点」は「総合評価」と「好み加点」に分けて掲載しています。
「総合評価」 (※「コストパフォーマンス」はランキング掲載時点での評価)
・「音質」 「デザイン(およびビルドクオリティ)」 「装着性」 「コストパフォーマンス」
「好み加点」
・「見た目の好み」 「傾向の好み」 「利用頻度」
「総合評価」の「コストパフォーマンス」および、「好み加点」の各項目は相対的に「かなり頻繁に」変動するため、同じイヤホンでもランキングの掲載時期に応じて「好み評点」が上下する場合があります。
このような理由のため過去のレビューで評価が高くても入れていないイヤホンも多くありますし、ランキングが毎回変動することもあります。異論も多数あると思いますが「あくまで私の好み」ですのでご了承ください。また、個々の詳細のレビューについては各「レビュー」リンクを参照くださいませ。
今回は「低価格中華イヤホン」の「50~100ドル」クラスということで、過去にレビューを掲載した次のリンクの中華イヤホンをランキングの対象としています。
→ 過去記事(一覧): 中華イヤホン(低価格/100ドル以下)のレビュー
また、今回のランキングでは「100ドル以下」としたため、前回は対象外として「ミドルグレード(100ドル前後~200ドル未満)」のランキングで登場した「90ドル~100ドル」のイヤホンも含めています。その場合、前回順位で「前回の低価格ランキング」の場合は「前回(L)○位」、「前回の中価格(100~200ドル)ランキング」の場合は「前回(M)○位」と表記しています。あらかじめご了承ください。
■ 低価格中華イヤホン(50~100ドル)「個人的な好みランキング」 TOP10
① 「Moondrop Aria」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (79.99ドル / 9,900円)
好み評点: 250 (総合評価 215 + 好み加点 35 )
今回の1位は「Moondrop Aria」としました。コレこそまさに今回のランキングにぴったり、というか、メーカー自身が激戦区の価格帯にぶつけてきた刺客ともいえる製品ですね。LCP(高分子液晶ポリマー)振動版を採用したダイナミックドライバー1基による製品で、音質傾向的には100ドルオーバーでCNT振動版を採用する「Starfield」のような少しドンシャリ方向でリスニング寄りのにチューニングしつつ、人気モデル「KXXS」などに見られる独特の柔らかさや透明感を継承した非常にバランスの良いサウンドに仕上げられています。ちなみに、同社では過去にも「Aria」という製品があったため、こちらを「Aria 2」と呼ぶ場合もあるようです。
また「KXXS」より若干コンパクトになったハウジングにつや消しブラックの落ち着いた表面加工とシンプルなデザイン、Drop限定版「KXXX」付属と同じ布張りのケーブル、その他付属品なども充実。そして価格も抑えてきているとなれば、「これは売れるよね」と思わせる説得力があります。とりあえず「Moondrop」というブランドへの入り口として、同社製品の魅力を感じつつ、どのようなジャンルでも使いやすいサウンドで楽しめる「逸品」といえるでしょう。
② 「KZ ZAS」 [ 7BA+1DD / 初登場 レビュー ] (66ドル / 7,500円~)
好み評点: 245 (総合評価 210 + 好み加点 35 )
そしてお馴染み、みんな大好きKZです(笑)。7BA+1DDのハイブリッドは昨年「KZ ZAX」を出していますが、こちらはシェルデザインもドライバー構成も一新した全く新しいモデルです。音質面も「劇的」に進化しており、「歴代KZ最高の音質」という個人的な感想と、ビジュアル面でも一皮むけた美しさがあり、やはり圧倒的なプライスパフォーマンスと合わせてこの順位に設定しました。
ちなみ「KZ ZAS」の評価について、個人的には多くのレビューで「ありがち」な、従来の「ZAX」、「ZS10 Pro」、「ZSX」等との単純比較では印象がミスリードされてしまうのではと思ったりもしています。詳細は「KZ ZAS」のレビューを参照いただくとして、KZはTWS製品を作っていく中でシェルデザインに影響されずにサウンドコントロールが出来るダイナミックドライバーを作ることが出来たことが「KZ ZAS」なり低価格ランキング1位の「KZ DQ6」を生み出せた最大の理由ではと思っています。同社はこの2モデルに搭載された「XUN」ドライバー以外にも「KZ SK10」などで採用された新しいTWS用ダイナミックドライバーも登場しており、それらを採用した有線モデルも今後登場するかもしれませんね。「KZ ZAS」では良くも悪くも「KZ」らしさといわれた金属質な高域のギラつきも、人工的に感じるキレ重視の派手な鳴り方もコントロールされ、マルチドライバーによる高い解像感とキレのあるサウンドによる「寒色系弱ドンシャリ」の方向性自体は維持したまま、より滑らかで質の良いサウンドに進化させました。「中華ハイブリッド」という枠を超えて、普通に「とても良いイヤホン」だと思いますよ。
今回は「低価格中華イヤホン」の「50~100ドル」クラスということで、過去にレビューを掲載した次のリンクの中華イヤホンをランキングの対象としています。
→ 過去記事(一覧): 中華イヤホン(低価格/100ドル以下)のレビュー
また、今回のランキングでは「100ドル以下」としたため、前回は対象外として「ミドルグレード(100ドル前後~200ドル未満)」のランキングで登場した「90ドル~100ドル」のイヤホンも含めています。その場合、前回順位で「前回の低価格ランキング」の場合は「前回(L)○位」、「前回の中価格(100~200ドル)ランキング」の場合は「前回(M)○位」と表記しています。あらかじめご了承ください。
■ 低価格中華イヤホン(50~100ドル)「個人的な好みランキング」 TOP10
① | Moondrop Aria | 250P / レビュー |
---|---|---|
② | KZ ZAS | 245P / レビュー |
③ | NF AUDIO NM2 | 240P / レビュー |
④ | TFZ MY LOVE 4 | 230P / レビュー |
⑤ | TINHIFI T4 | 220P / レビュー |
⑥ | TFZ LIVE 3 | 205P / レビュー |
⑦ | TRN VX | 200P / レビュー |
⑧ | TFZ MY LOVE Edition (2019 / 2021) | 195P / レビュー |
⑨ | ThieAudio Legacy 2 | 185P / レビュー |
⑩ | BLON BL-A8 | 180P / レビュー |
① 「Moondrop Aria」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (79.99ドル / 9,900円)
好み評点: 250 (総合評価 215 + 好み加点 35 )
今回の1位は「Moondrop Aria」としました。コレこそまさに今回のランキングにぴったり、というか、メーカー自身が激戦区の価格帯にぶつけてきた刺客ともいえる製品ですね。LCP(高分子液晶ポリマー)振動版を採用したダイナミックドライバー1基による製品で、音質傾向的には100ドルオーバーでCNT振動版を採用する「Starfield」のような少しドンシャリ方向でリスニング寄りのにチューニングしつつ、人気モデル「KXXS」などに見られる独特の柔らかさや透明感を継承した非常にバランスの良いサウンドに仕上げられています。ちなみに、同社では過去にも「Aria」という製品があったため、こちらを「Aria 2」と呼ぶ場合もあるようです。
また「KXXS」より若干コンパクトになったハウジングにつや消しブラックの落ち着いた表面加工とシンプルなデザイン、Drop限定版「KXXX」付属と同じ布張りのケーブル、その他付属品なども充実。そして価格も抑えてきているとなれば、「これは売れるよね」と思わせる説得力があります。とりあえず「Moondrop」というブランドへの入り口として、同社製品の魅力を感じつつ、どのようなジャンルでも使いやすいサウンドで楽しめる「逸品」といえるでしょう。
② 「KZ ZAS」 [ 7BA+1DD / 初登場 レビュー ] (66ドル / 7,500円~)
好み評点: 245 (総合評価 210 + 好み加点 35 )
そしてお馴染み、みんな大好きKZです(笑)。7BA+1DDのハイブリッドは昨年「KZ ZAX」を出していますが、こちらはシェルデザインもドライバー構成も一新した全く新しいモデルです。音質面も「劇的」に進化しており、「歴代KZ最高の音質」という個人的な感想と、ビジュアル面でも一皮むけた美しさがあり、やはり圧倒的なプライスパフォーマンスと合わせてこの順位に設定しました。
ちなみ「KZ ZAS」の評価について、個人的には多くのレビューで「ありがち」な、従来の「ZAX」、「ZS10 Pro」、「ZSX」等との単純比較では印象がミスリードされてしまうのではと思ったりもしています。詳細は「KZ ZAS」のレビューを参照いただくとして、KZはTWS製品を作っていく中でシェルデザインに影響されずにサウンドコントロールが出来るダイナミックドライバーを作ることが出来たことが「KZ ZAS」なり低価格ランキング1位の「KZ DQ6」を生み出せた最大の理由ではと思っています。同社はこの2モデルに搭載された「XUN」ドライバー以外にも「KZ SK10」などで採用された新しいTWS用ダイナミックドライバーも登場しており、それらを採用した有線モデルも今後登場するかもしれませんね。「KZ ZAS」では良くも悪くも「KZ」らしさといわれた金属質な高域のギラつきも、人工的に感じるキレ重視の派手な鳴り方もコントロールされ、マルチドライバーによる高い解像感とキレのあるサウンドによる「寒色系弱ドンシャリ」の方向性自体は維持したまま、より滑らかで質の良いサウンドに進化させました。「中華ハイブリッド」という枠を超えて、普通に「とても良いイヤホン」だと思いますよ。
③ 「NF AUDIO NM2」 [ 1DD / 前回(M)5位 レビュー ] (94ドル / 12,800円)
好み評点: 240 (総合評価 220 + 好み加点 20 )
「NF AUDIO NM2」は「ミドルグレード(100ドル前後~200ドル未満)」からの引っ越しランクインです。ミドルグレードでは169ドルの「NM2+」が前回トップでしたが、100ドルを僅かに下回るベースの「NM2」は本来別カテゴリーに属するべきでしょう。アンダー100ドルクラスのモニター系サウンドイヤホンではトップクラスのイヤホンです。また「NM2+」のキレすぎる高域がちょっと苦手、という方はコチラを試されると良いかもしれませんね。相対的に低域の量感も増すため、リスニングイヤホンとしてもより楽しめる製品でもあります。前回のランキングでも記載しましたが、モニター的ながら刺激も「NM2+」より控えめなぶん、店頭試聴では結構地味に感じるのがウィークポイントかもしれません。個人的には「NM2」のほうも、もっと人気&評価が上がるべき素晴らしいイヤホンだと思っています。
④ 「TFZ MY LOVE 4」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (89ドル / 13,800円)
好み評点: 230 (総合評価 200 + 好み加点 30 )
「TFZ大好きおじさん」らしく、トップ10のうちTFZが3本と、実はメーカー別割合では圧倒的な占有率です。ほんとうは「TxBEAR MONICA」も入れようかと思っていたので、それはさすがにキツいだろうということに私の中でなりました(^^;)。「TFZ MY LOVE 4」はおそらく第2.5世代、というか「KING PRO」あるいは「MY LOVE EDITION」のリファインバージョンと思われる仕様とサウンドのイヤホンです。シンプルなデザインにラインストーンをあしらったビジュアル的にも美しいデザインに、フラット寄りで定評のあるモデルをブラッシュアップしたサウンドを搭載した「いいとこ取り」なモデルともいえます。おそらく激戦区のアンダー100ドルクラスに挑んだ、TFZにしてもきっと「売れ線狙い」の製品でしょう。
とはいえマニアにとっては「TFZ MY LOVE 4」は正直なかなか謎なイヤホンかもしれません。「MY LOVE」シリーズは2016年の「SERIES 1S My Love」を起点に、「II」(2017年)、「III」(2018年)、「Edition」(2019年)と毎年リリースされるのが慣例のようになっていました。しかしコロナ禍の影響もあったのか、昨年2020年のリリースは無く、今年は「Edition」のマイナーチェンジ版を出して終わりかな、と思った矢先の「TFZ MY LOVE 4」の登場です。というかナンバリング的に「Edition」は別枠なのね、ということが判明したわけですが(^^;)。また「おそらくマーケティング的な理由」でドライバーの「世代」を伏せているのもちょっとわかりにくい要素になっていますね。でも「第2.5世代」(たぶん)の「TFZ MY LOVE 4」が「第3世代」の「LIVE X」より価格が少し高くてもいいじゃないですか。それだけ音もデザインもよいのですから(^^)。
⑤ 「TIN HIFI T4」 [ 1DD(CNT) / 前回(M)13位 レビュー ] (99ドル~ / 11,800円)
好み評点: 220 (総合評価 210 + 好み加点 10 )
「ミドルグレード(100ドル前後~200ドル未満)」では10位以下になってしまっていた「TIN HIFI T4」は本来はこのくらいでしょう。100ドルオーバーに「T5」が登場した現在だからこそ、「T4」もひとつ下のクラスで再評価されるべきかもしれません。最近の出荷分では付属ケーブルが変更になったという話もあるので違いを確認してみるのも良いかもしれませんね。イヤホンとしての完成度はとても高く、価格の割に付属品が充実しているのも良いですね。CNTドライバーらしいキレのある解像感としっかりとした主張のあるサウンドが魅力的。傾向としてはフラット寄りで非常にバランスが良く、あらゆるジャンルの曲をクリアに鳴らす印象。非常に表現力豊かなイヤホンなのですが、やたら個性的な中高域を持った既存2DDモデルの「T2」「T2 PRO」の癖の強さと比べると「手堅いサウンド」のイヤホンという位置づけです。いっぽうで最近のモデルである「T2 PLUS」「T1 PLUS」はより聴きやすくバランスも良さそうですが、ややボーカル帯域寄りが顕著で「らしくない」感じもあり、中高域の伸びがもう少し欲しかったりもするので、結局「TIN HIFI T4」がTIN HIFIのアンダー100ドルではいちばん安定して良いよね、と思ってしまうのでした。
⑥ 「TFZ LIVE 3」 [ 1DD / 前回(L)5位 レビュー ] (66ドル / 10,800円)
好み評点: 205 (総合評価 180 + 好み加点 25 )
「TFZ LIVE 3」も引き続きのランクインです。低価格ランキングでは前回からひとつランクダウンですが、実は「好み評点」は大幅に向上しており、個人的に「再評価」したイヤホンでもあります。「LIVE」シリーズの「まんなか」のモデルで、第3世代ドライバー搭載モデルのなかでは最も低価格な製品でもありますね。ロングセラーの人気モデル「No.3」に代表される「第3世代」ドライバー特有の中低域の音場感を持ちつつ、中高域は結構派手に鳴るサウンドは「LIVE 1」とのキャラクターの統一が図られているようですね。TFZらしいキレの良さと「TxBEAR MONICA」にも共通する厚みのある低域、そして人気モデル「TFZ NO.3」譲りの包み込むような音場感が特徴的です。様々なモデルで使ってきたドライバーを活用することで、元気なだけでなく質感もしっかりキープしています。高域には適度な鋭さがあって、低域も重量感と解像感、そして深さが欲しい方には最適なイヤホンです。またリケーブルでも結構いろいろ変化が楽しめるなど、「MY LOVE 4」とはまた違う、「楽しいほうのTFZ」を堪能するのには最適なモデルといえるでしょう。
⑦ 「TRN VX」 [ 6BA+1DD / 前回(L)2位 レビュー ] (55.12ドル / 8,800円)
好み評点: 200 (総合評価 180 + 好み加点 20 )
「TRN VX」も前回の低価格ランキングからの再登場です。点数配分は少し変えていますが「好み評点」そのものは前回と同じです。2020年のスペックモンスター系中華ハイブリッドのなかでは「ZAX」に人気を持って行かれた感じでしたが、その後じわじわと評価も上がっていたようですね。正直なところ今回のランキングではこの「TRN VX」と「ZAX」のどちらかを入れようか、と思い、まあ私ならこっちだろうね、くらいの感じで決めました(笑)。実際これこそ「好み」の世界で、「俺はZAXの方が断然好き」という方も普通に大勢いらっしゃると思います。個人的にはモンスター系の特徴をもちつつバランスが良くつながりもニュートラルだから、といった感じです。とはいえ「KZ ZAS」と比べるとやはり「いかにも中華ハイブリッド」なサウンドで多少「下品」な印象もそのままなのですが、まあこれも「TRNらしさ」ではあるので、ひとつの選択肢としては押さえておきたいなと思っています。
⑧ 「TFZ MY LOVE Edition (2019/2021)」 [ 1DD / 前回(L)6位 レビュー ] (59ドル / なし)
好み評点: 195 (総合評価 170 + 好み加点 25 )
2019年の限定版としてリリースされた「TFZ MY LOVE EDITION」ですが、リニューアル版として2021年仕様も限定販売されています。第2世代の「MY LOVE II」のシェルに、「KING PRO」の第2.5世代ドライバーをほぼそのまま搭載したモデルで、高めのインピーダンスとフラット寄りのサウンドは普及価格のTFZの新たな選択肢として「MLE」の略称とともに、日本未発売ながらマニアの間で広く浸透しました。現在ではその魅力を正当に継承した「MY LOVE 4」がリリースされたため、もうすぐ役割を終えようとしていますが、非常に使いやすいイヤホンとして、おそらく今後も愛用していくだろうと思います。
⑨ 「ThieAudio Legacy 2」 [ 1BA+1DD / 初登場 レビュー ] (99ドル / 10,880円)
好み評点: 185 (総合評価 160 + 好み加点 25 )
正直9位と10位は結構悩みました。今回ランクインした2モデルと「TFZ TxBEAR MONICA」(レビュー)、「CCA CA16」(レビュー)の過去にもランキング入りした製品を含めた4製品でどれを残すかいろいろ考えた結果、今回はこのランキングになりました。
「ThieAudio Legacy 2」はLinsoul系のブランド「ThieAudio」の最もエントリーなモデルで、美しいクリアシェルとバランスの取れたサウンドが特徴。なお、このモデルでは上位グレードとは異なりダイナミック部分がベリリウムドライバーという記載になっていますが、いわゆる「ベリリウムっぽさ」は皆無です。このイヤホンを堪能するポイントはまず脳内でベリリウムという事を消去して(笑)、純粋に質の良いハイブリッドと思って聴きます。フラット寄りながら適度に聴かせどころがあり、レジンシェルの見た目にマッチした、滑らかさと適度な温かさのあるサウンドで心地よく楽しめるイヤホンです。
⑩ 「BLON BL-A8」 [ 1DD / 初登場 レビュー ] (79.2ドル / 9,800円)
好み評点: 180 (総合評価 150 + 好み加点 30 )
そして10位は「BLON BL-08」です。BLONのイヤホンは低価格ランキングでも毎回候補に挙がるものの、今一歩他の製品に譲ることが多かった印象です。この製品は同社としては初めてのオーバー50ドルクラスですが、BLONらしらというか、「このメーカーのただ者ではない感じ」が見た目から全開に出たイヤホンですね。まずは見るからにインパクト抜群のスケルトンアクセサリーのようなデザイン。この製品の写真を載せた到着ツイートはマニア以外の方にもリツイートされ、もともとイヤホンにそれほど興味の無い層にも響く製品であることを実感しました。この奇抜な見た目にもかかわらず装着性や遮音性が想像以上に高く、BLONの成形技術の高さも実感します。音質面はあえて奇をてらうことなく適度に聴きやすくバランスの良い音。質感も良く、万人受けしやすい方向性です。「見た目が凄いのに音は普通に良い」と意外に思われることが多い製品ですが、上記の「マニアではないけど見た目に響く層」もターゲットに考えるなら、見た目以外の要素を徹底的に「万人受け」で質を高めるのは正解だと思います。こういう楽しい製品が増えると、中華イヤホン、ポータブルオーディオの裾野がさらに広がるのでは、という期待も込めての順位です。
というわけで今回の低価格中華イヤホンの「個人的な好みランキング」ですが、50ドル以下、100ドル以下のどちらのランキングも思ったより前回までのモデルもランクインしましたね。少なくともアンダー100ドルの世界ではKZ/CCAとTRNなどによるスペック競争も前回くらいをピークにひと段落し、そろそろ成熟期に入ってきた感じもありますね。いっぽうで今後はベリリウムなどの振動版がより積極的に低価格イヤホンで投入されたり、平面磁気、静電ドライバーなどハイエンドドライバーもこの価格帯で登場する(かも)など、別の意味でスペック競争の側面もまだまだあるようで、いろいろな意味で今後も目が離せませんね。
なお、「個人的な好みランキング」についてですが、以前から予告している「総合ランキング」は各価格帯のランキングが充実してきたことにより、あまり意味がなくなってきたかもしれません(各価格帯ランキングの「好み評点」を通して見れば全体の順位はわかりますので)。今後は「中価格帯」の最新版と、「所有するハイエンドイヤホン」の「好み評点付きまとめ」等を掲載したいな、と考えていたり。この辺はまだ未レビューのイヤホンが色々あったり、購入済み、購入予定のものもありますので、タイミングを見ながら掲載できればと思っています。