GK GS10

こんにちは。今回は「GK GS10」です。以前KZのOfficialストアで人知れずリリースされていて、「コレは何だろう」と思ってとりあえず購入しておいた製品ですね(^^;)。その後、結構ネット上でも知れ渡り、実際に購入したマニアの方もそれなりにいらっしゃったのですが、製品出荷は結構遅れて、しかも税関のトラブルでいちど返送されることもあったらしく、手元に届くまでに1ヶ月以上かかるという状態になりました。まあそんな製品ですが、現在はAmazonでプライム扱いで購入でき、さらに価格もAliExpressより安くなっていたりするので(「KZ Z1 Pro」のパターンだとすぐに上がる可能性もあります)、もしレビューをご覧になって気になった方はすぐにポチったほうが良いかもしれませんね(^^)。

■ 製品の概要と外観および装着性など。

GK GS10」は低価格中華イヤホンの代表的ブランド「KZ(Knowledge Zenith)」のサブブランドのひとつ「GK」の4BA+1DD構成のハイブリッドイヤホンです。「GK」はKZが以前使っていたブランドですが、最近になって低価格機用に復活させたらしいですね。なお、「GK」ブランドでは「GK GS10」のほか、透明シェルの1BA+1DDモデル「GK GST」もリリースしています。
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そのドライバー構成およびレイアウトはKZの以前の人気モデル「KZ ZS10 Pro」とほぼ同一で、相違点はアルミ合金製のフェイスプレートのデザイン程度ですね(ちなみに「KZ ZS10 Pro」は初期カラーがステンレス製、追加カラーモデルがアルミ合金製です)。また価格も「KZ ZS10 Pro」より少し低く設定されています。
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GK GS10」のカラーバリエーションはシルバーとブラックの2色が選択できます。
価格はAliExpressが29.09ドル~、アマゾンが2,480円~です。

GK GS10」のパッケージはKZの白箱タイプとほぼ同じで、付属品も本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lおよび装着済みMサイズ)、説明書の最小構成となります。ケーブルはCCAタイプのプラグ形状で線材は銅線タイプ。最近だと「CCA CA16」や「CCA C12」に付属するタイプCコネクタ仕様とおなじものです。
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GK GS10」の本体は透明なハウジングにシンプルなデザインのアルミ合金製フェイスプレートで「KZ ZS10 Pro」よりずいぶん大人しいイメージを受けます。「KZ ZS10 Pro」は追加カラーも含めて非常に多くのカラーバリエーションが存在するモデルですが、透明シェルのモデルだけはそういえばありませんでしたね。
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ハウジング部分の形状は「KZ ZSN」以降のKZ製シェルデザインと全く同じで装着性も同じですね。「KZ ZSN Pro X」「KZ ZS10 Pro」のどちらと比較しても同様な形状です。またドライバーの配置も「KZ ZS10 Pro」と同一です。ただフェイスプレートの「GK」のロゴ部分がメッシュパーツになっており、いちおう裏からカバーされているようですが「KZ ZS10 Pro」より僅かに音漏れを感じる印象です(よほど静かでなければそれほど大きさ差はありません)。
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またステムノズルも「KZ ZS10 Pro」などとおなじ太いタイプのアルミ合金製を採用していますが、イヤーピースは最近の細いTWS仕様とKZ製イヤホンと同じ非常に柔らかいタイプになります。このイヤーピースは耳穴が小さい方はまだ良いのですが、一般的にはコシがなくホールド感が良くないのであまり評判が良くありません。たぶんイヤーピースを交換するだけでも結構印象が変化しますね。イヤーピースは定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」などがお勧めですが、あまりコストをかけたくない方は他のイヤホンに付属のものや、それこそ100均で販売されているものでもサイズが合えば付属品より良い印象になる気がします。


■ インプレッション(音質傾向など)

GK GS10GK GS10」の音質傾向は基本的に「KZ ZS10 Pro」を完全に踏襲しています。インピーダンス 30Ω、感度111dB/mWと両方のイヤホンは仕様も全く同じで、同じドライバー構成、同じ配置なわけですから、まあ当然と言えば当然でしょう。ただフェイスプレートの厚さの違いなどにより僅かですが中低域に変化が生まれています。具体的には「よりボーカル帯域にメリハリのある印象」です。「KZ ZS10 Pro」は私のレビューでも「寒色系弱ドンシャリ」の「KZらしい派手めのサウンド」を代表する存在としてランキングなどでも紹介してきました。「GK GS10」はその傾向を踏襲しつつ、中低域を中心に音抜けをよくすることでよりボーカル帯域の主張が増し、メリハリのあるサウンドを楽しめる印象にアレンジされています。またリケーブルにより「ZS10 Pro」よりドンシャリさが増す変化もあるようで、かつての「ZS6」のような派手さを引き出すことも出来るかもしれませんね。

高域は明瞭な音で比較的強めの主張に感じます。KZらしい硬質な音で煌めきや鋭さも刺さる手前で鮮やかになります。標準ケーブルでは比較的効きやすいですがリケーブルにより結構刺激的に変化するかもしれません。
中音域は分離が良くKZらしい硬質で明瞭なサウンドです。音場は左右に広く、「KZ ZS10 Pro」より僅かにボーカル帯域の主張が強く感じます。ドライなサウンドで少し人工的な音ですが細かいディテールを実感することができます。
低域も分離の良い明瞭な音を鳴らします。量的にも十分ですが相対的には中音域を下支えする印象。解像度が高くキレのある音で、しっかりしたベースラインはとても心地良く感じます。重低音は最近のモデルには及びませんが適度な沈み込みがあります。


■ まとめ

というわけで、「GK GS10」は2千円台で4BA+1DDのハイブリッド構成、そしてかつての人気モデル「KZ ZS10 Pro」のサウンドを楽しめるモデルでした。シンプルなデザインは普段使いにもちょうど良く、より明瞭なサウンドを手軽に楽しみたい方には最適です。
また、「GK GS10」は「KZ ZS10 Pro」同様に結構アグレッシブなイヤホンですが、スマホ直挿しなどの場合はDAPで鳴らすよりウォームで少し大人しめに鳴るため、実はあまりオーディオに詳しくないライトユーザーも結構使いやすいという話もあります。一般的に、マニア向けの製品を聴き慣れていない方が使うと「高域が強すぎ」たり「聴き疲れしやすい」と感じたりするため、「GK GS10」については若干ウォームに鳴るくらいでちょうど良いかもしれない、というわけです。そのため、動画視聴やゲーム用でさらに解像感が欲しい方にも結構合います。オーディオ的には多少ネガティブな意味で「いかにもKZなイヤホン」といわれがちなサウンドですが、「実用性」は思いのほか高いと思いますよ(^^)。