LZ A2 PRO

こんにちは。今回は「LZ A2 PRO(2021年バージョン)です。「LZ HIFI Audio」は老舗の中華イヤホンブランドのひとつとして以前からのマニアの間では馴染みのあるメーカーですね。今回は2016年頃に発売された「A2/A2 Pro」の名称を継承し、全く新しく2021年バージョンとして生まれ変わった 2BA+1DDモデルです。
新しいデザインは見た目にも華やかで、3Dプリントによるコンパクトなシェルは装着感にも優れます。またLZらしい伸びやかな高域をもつ明瞭サウンドは流石という仕上がりで100ドル台のイヤホンの中でもかなりお勧め度の高い製品だと思います。

LZ A2 PRO (2021)LZ A2 PRO

LZ HIFI Audio」は前述の通り深圳で設立された中華イヤホンメーカーで、同社オーナーをマニア達が親しみを込めて呼んだ「老忠(Lao-zhong)」が「LZ」の由来とされます。従来のLZ製イヤホンでは金属ハウジングを採用しており、直近の「LZ A7」まで番号をカウントしながらスペックをグレードアップしてきました。それらの製品は音質面についてはマニアの間で高い評価を受けていましたが、本体デザインやアクセサリーなどは洗練されているとは言い難く、いまひとつマイナー感が拭えない印象もありました。また2016年に販売されていた当時の「LZ-A2/A2 Pro」もとてもシンプルなデザインのカナル型イヤホンだったようです。
LZ A2 PRO (2016)LZ A2 PRO
これに対して、今回リリースされた2021年バージョンの「LZ A2 PRO」では3Dプリンティングによるレジン製シェルにデザインを一新。デザインの上でもクールで使いやすい製品に進化しました。

この「LZ A2 PRO (2021)」では2BA+1DDのハイブリッド構成は継承しつつ、搭載ドライバーを一新。中高域にはKnowlers製のデュアルBAユニットを搭載。また低域用にはSAE炭素鋼振動板ダイナミックドライバーを搭載。ちなみに「SAE炭素鋼」は国際規格団体SAE Internationalで規格化されている鋼材のことで、これをどのように振動版に反映させているのか技術的な手法は不明ですが、低域の質感向上とともにパンチの効いたインパクトのあるローエンドを生み出すように調整されているようです。
LZ A2 PROLZ A2 PRO
また、今回の「LZ A2 PRO (2021)」では付属ケーブルの質感も大きく向上しています。高純度4N OFCと銀メッキOFCのハイブリッド構成による8芯ミックス線ケーブルを採用しています。

そして3Dプリンティングによるシェルは高品質な樹脂素材でつくられており、軽量ながら強度をもっています。また人間工学に基づいたデザインは快適な装着性を実現し、イエローのフェイスカバーが美しいアクセントになっています。
LZ A2 PROLZ A2 PRO

LZ A2 PRO (2021)」の購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」またはAmazonの「NICEHCK」にて。価格はAliExpressが139ドル、Amazonが15,250円です。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。またAmazonは国内在庫があればプライム扱いですぐに届きますし、為替等を考慮すればほぼ同額程度になりますね。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): LZ A2 PRO
Amazon.co.jp(NICEHCK): LZ A2 PRO


■ 3Dプリントのレジンシェルに質感の良いケーブル。大きく生まれ変わった外観。

新しい「LZ A2 PRO (2021)」のパッケージはシンプルな白箱デザイン。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(グレータイプと黒色タイプがそれぞれS/M/Lサイズ)、メタルケース、説明書、保証書。必要十分な内容でシンプルにまとめられています。
LZ A2 PROLZ A2 PRO
LZ A2 PROLZ A2 PRO

LZ A2 PRO (2021)」の本体はコンパクトなレジン製。ケーブルコネクタ部分は埋め込み2pinの用にも見えますが実際は窪みは浅く、中華2pinケーブルの突起部分がちょうど収まる程度になっています。そのため、ケーブルの方も中華2pinタイプのコネクタを採用しています。フェイスプレートはプリントではなく雲母のような個々に模様の異なる素材を使用しており、小さく「LZHIFIAUDIO」の文字があしらわれています。非常にコンパクトなシェルのため耳にも収まりやすく装着性も良好です。
LZ A2 PROLZ A2 PRO
LZとというと、従来はこう「惜しい」というか「残念」というかそういうデザインが多く、または「LZ A6」のように大きすぎて装着性に難あり、みたいなパターンもありましたね。そのため「音だけは良いのに」という流れが毎回のお決まりみたいな部分がありました。しかし今回の「LZ A2 PRO (2021)」は比べてみても他社の製品と遜色なく、多くの方が馴染みやすいデザインになりました。
LZ A2 PROLZ A2 PRO
またケーブルもLZはオプションのリケーブル製品も販売していたものの、イヤホンに付属するものはどうもチープ感が否めないパターンが多かったと思います。しかし、今回は逆にとってもゴージャス(笑)。線材もミックス線を採用しゴールドのコネクタが、本体デザインともよく合います。LZの外観へのアプローチの劇的な変化はもしかして販売しているHCKあたりから相当テコ入れが入りましたか?(^^;)。とにかくユーザーとしてはとても有り難い限りです。

イヤーピースはグレーのシリコンタイプと、LZ製イヤホンで毎回同梱される黒色の柔らかいイヤーピースが付属します。特にMサイズ以上を使われる方は市販品に交換した方が装着性がアップするかもしれませんね。具体的には定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、「AZLA SednaEarfit Light Short」、また密着感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」などに交換するのも良いと思います。


■ LZ製イヤホンの楽しさを手軽に楽しめる、明るく伸びの良いドンシャリサウンド

LZ A2 PROLZ A2 PRO (2021)」の音質傾向は明るく伸びの良いドンシャリ傾向。スッキリとよく伸びる高域、パワーがあり深く沈む低域、輪郭が明瞭でキレの良さを感じるサウンドは同社の上位機種を連想させる部分も多く、「そうそう、LZのサウンドってこんな感じだったよね」と実感させてくれる楽しさがあります。またボーカル帯域も主張があり明るくスッキリした印象。再生環境によっては高域の主張が多少強くなるものの、同社の既存モデルより刺さり等はコントロールされている印象で、リスニングイヤホンとしてのバランスの良さを感じます。また最近はHCKで購入したエージングマシンを使用したエージングも行っていますが、120時間程度実施したところ、開封直後より中低域の厚みも増した印象です(実際はもう少し短い時間でも大丈夫だと思います)。

LZ A2 PRO (2021)」の高域は明るく非常に明瞭な音を鳴らします。再生環境によって多少前面に出た強めの主張を感じる場合がありますが、エージングにより中低域の厚みも増すため、相対的には適度なバランスになります。適度に刺さりをコントロールしたチューニングは最近の傾向にあわせているとも感じますが、それでも鋭い音は相応に鋭さがあり、シンバル音などを煌びやかで非常に鮮やかに表現してくれる印象はLZらしさを感じてちょっと嬉しくなります。また低価格ハイブリッドのような金属質なギラつきは無く、直線的に伸びる明瞭感も好印象です。

LZ A2 PRO中音域は強いほかの音域に比べて少なめになるかと思いきや、ボーカル帯域を中心とした主張があり、凹むことなく鳴ります。女性ボーカルおよび男性ボーカルとも比較的前面で癖の無い音で明瞭に再生され、情報量の多さを感じます。音場は一般的ですがハッキリした輪郭で分離の良さもあるため、音数の多い曲でも曇ること無く綺麗に鳴ってくれます。またKnowles製2BAの硬質な音に対して低域のダイナミックも同様な解像感とレスポンスの良さがあるため全体として非常に自然なバランスに仕上がっており、過度に派手にならない点も完成度の高さを感じます。

低域は力強さとともに締まりの良さがあります。エッジの効いた硬質な音でミッドベースもタイトな印象。エージングにより量感と厚みが増したように感じます。重低音も適度に深くキレのある印象でスピード感のある曲もしっかり下支えしつつ鳴ってくれます。強い高域を前提としたバランスではあるものの、聴かせどころをしっかり楽しませてくれる音作りで、分かりやすい方向性のリスニングイヤホンとして非常に面白いと感じました。
また前述の通り再生環境により結構印象が変わり、高域が強すぎると感じたり、逆に低域の主張が増す場合もありました。それでも個人的には付属ケーブルでの組み合わせが非常に好印象でしたので、リケーブルなどは特に不要だと思いますが、多少印象を換えたい場合は高純度銅線タイプのケーブルなどに変えてみるのも良いかもしれませんね。

というわけで、「LZ A2 PRO (2021)」はバランスの良いドンシャリ傾向と鮮明な高域の音作りでLZの健在ぷりを改めて実感しました。これまで同社のイヤホンで評価の高い機種はどうしても2万円オーバー、3万円オーバーと、中華イヤホンのなかでは中価格または高価格扱いになることが多く、音質面では評価は高くてもその価格を出す割にデザインが・・・みたいな声も少なからずありました。「LZ A2 PRO (2021)」ではかつての旧モデルの名称を復活させ、シンプルなドライバー構成としたことで、より購入しやすい価格帯を実現しつつ、見た目にも使いやすいデザインとしたことで、LZ製イヤホンの良さをより手軽に楽しめるようになりました。明るく伸びの良いサウンドを楽しみたい方にはオススメできる良作だと思いますよ(^^)。