xDuoo XD05 BAL

こんにちは。今回はちょっと短めで「xDuoo XD05 BAL」についてご紹介します。購入し届いたのは5月下旬頃ですね。私のブログでは過去に「現在のレビュー環境について」で少しだけ触れています。
この秋にリリースされると言われる「aune BU2」と比較対象となる存在として、最近ちょっとだけ注目されはじめたのですが、レビュー等がほとんど無いためなかなか検討できない、という意見もあります。そこで、個人的に3ヶ月ちょっと使用しての感想なども含めてざっくりですが記載してみました。
まずメーカーの「xDuuo」についてですが、古くからのポータブルオーディオのマニアには結構おなじみの中国オーディオメーカーで、特徴的なポータブルアンプおよびDAPを数多くリリースしています。なかでも2015年に発売された「XD-05」は高音質・高出力なUSB-DAC搭載ポータブルアンプとして同社の代表的モデルとなりました。その後後継モデルの「XD05 Plus」が2019年にリリースされ、さらに2021に内部構造を一新した上位モデルとして登場したのが「xDuoo XD05 BAL」となります。
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xDuoo XD05 BAL」では搭載DACなど内部構造が一新されており、「XD-05」(AK4490)、「XD05 Plus」(AK4493)に対して、「xDuoo XD05 BAL」ではESS「ES9038Q2M」をデュアルで搭載。32bit/768kHzまでのPCMとDSD512までネイティブで対応。またその名称通り、従来の6.35mmステレオ出力に加えて4.4mmのバランス出力に対応し、アンプ出力としては同クラスのポータブルアンプと比較しても非常に高い1,000mW (32Ω)をシングルエンド、バランス接続の両方で実現しています。またTHD+N 0.0015%(バランスの場合 0.0009%)、S/N 115dB(バランスの場合 117dB)  と高出力ながら高いノイズ特性も持っています。 さらにQualcomm「CSR8675」ワイヤレスチップを搭載し、Bluetooth 5.0対応、LDAC/aptX HD、LL/AAC/SBCの各コーデックに対応します。
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それ以外にも各種デジタル入力に加えアナログの入出力も備えるなど、文字通りフルスペック使用のポータブルアンプといえるでしょう。機能面でも側面のモードスイッチや前面のOLEDパネル、ゲインおよびブーストモードでの出力調整、各フィルターモードなど細かい調整も可能です。
xDuoo XD05 BAL」の価格は429ドル。またAmazonでも44,500円~で購入できます。
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Amazon.co.jp(L.S オーディオ): xDuoo XD05 BAL


■ 交換用オペアンプ同梱ほか、マニア向け充実のパッケージ内容

xDuoo XD05 BAL」は銀色の大きめのパッケージで届きます。ポータブルアンプ製品としてはかなり存在感のある印象ですが、箱を開けてその理由に納得します。とにかく、よく分からないくらい(笑)、いろいろなものが同梱されています。
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パッケージ内容の本体および充電ケーブル、6.35mmステレオを3.5mmステレオに変換するコネクタ、そして本体用のゴム足くらいまでは普通の構成といえるでしょう。DAPやスマホなどのトランスポーター接続用のUSBケーブルについては「microUSB」「USB Type-C」そして「Lightning」用が入っているのはとても有り難いです。またPCへの接続用のUSB-Aへの変換コネクタ、xDuuo製デジタルトランスポーター「X10T」「X10T II」等との連携で使用できるAES接続ケーブルも入っています。ここまででもかなり充実した内容です。
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そして「xDuoo XD05 BAL」の最も特徴的な付属品として、さらに交換用オペアンプ(JRC「NJM5534DD」×2個)と交換用工具、予備ネジなども同梱されます。オペアンプがソケット式で交換可能になっているポータブルアンプは結構あるのですが、種類の異なるチップを同梱している製品は相当に珍しいでしょう。ちなみに「xDuoo XD05 BAL」で装着されているオペアンプは変換基板でソケットに刺さったTI「OPA1612A」が2基搭載されています。
これらの付属品とあとは説明書や保証書などと、非常に盛りだくさんの内容となっています。この製品が相当にコアなマニア向けであることを十分に理解させるものでもありますね。
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xDuoo XD05 BAL」のサイズは13×7.5×2.2cm、290g。大きさは一般的なポータブルアンプのなかではやや大きめですが、最近のスマートフォンと合わせるとそれほど違和感のないサイズ感。重量はそれなりにあり気軽に持ち歩きながら使う感じではないですが、こちらも「Cayin N6ii」と同じ重量で、最近のハイエンドDAPのサイズ感と比較して許容範囲かなと思います。
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ボリュームコントロールは側面の赤色のダイヤルを使用します。モード変更は反対側の側面にある「INPUT」ボタンを使用し、同じくBluetoothマークのボタンでワイヤレスモードにはダイレクトに切替もできます。あと「FILTER」については時々変える程度で使っています。

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電源スイッチは前面にあり、他にゲインの切り替え、さらにブーストモードの切り替えスイッチがあります。背面にはCOAX/Optical兼用SPDIFデジタル入力(3.5mmタイプ)、AES/EBU入力、アナログ入出力(3.5mm)、USB接続用と給電用のType-Cコネクタがそれぞれ付いてます。アナログ入力は「INPUT」切替で「AUX」モード時に入力となり、それ以外のデジタル入力時は出力に自動で切り替わります。また背面のスイッチでバッテリを経由させず外部電源を使用するモードに切り替えることも可能で、据置きでの利用などでバッテリを消耗させたくない場合に便利ですね。


■ もうこれでいいんじゃないかな、と思わせる高出力&高音質

xDuoo XD05 BAL」を実際に使った印象ですが、解像度が高く癖の無い音で、とにかくパワフルさが印象的です。またそのパワーを下支えするノイズの少なさとダイナミックレンジの広さがあり、手軽にイヤホンのポテンシャルを引き出し、「本領を発揮」させることができるアンプなのではないかと思います。
少なくとも「xDuoo XD05 BAL」を経由して「駆動力不足」ということはまず無く、非常に鳴らしにくいイヤホンやヘッドホンも余裕で鳴らします。また、私自身イヤホンのレビューで「情報量が多く味付けの無いケーブルにリケーブルすることで云々」という記述をちょいちょいしますが、実は「xDuoo XD05 BAL」の場合そのパワーでより多くの情報をイヤホン側に伝えるため、このようなリケーブルと同等以上の効果を得ることが出来ます。
具体的には「xDuoo XD05 BAL」で聴くとイヤホンによって「ふつうのDAPではちょっと高域が曇りぎみだったイヤホンが明瞭になった」とか「中音域がものすごく濃くなった」みたいな印象の変化が起きるかもしれません。多くの場合で「音が良くなった」と実感するのではと思います。

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ちなみに、「xDuoo XD05 BAL」の側面にある大きめのボリュームダイヤルは結構重く、安易に回らない設計になっています(たぶん意図的だと思います)。このように大出力なアンプのため、誤操作で想像以上の大音量になることを防ぐための仕様と思われます。
xDuoo XD05 BAL」側の音量はある程度固定しておいて、細かい音量調節は接続するトランスポーター(スマートフォンやDAPなど)側で行った方が良いでしょう(一部のDAP等にあるトランスポート時に音量操作をアンプ側に委ねるタイプではちょっと厳しいかもしれませんね)。特に反応の良いマルチBAなどをつなげる場合は音量調整のコツを掴むために多少再生環境にあわせた工夫が必要かもしれませんね。

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ワイヤレス接続については「xDuoo XD05 BAL」自体が日本の代理店で取り扱っている製品ではないため自己責任での確認となります。実績のあるQualcomm製のLDACおよびaptX HDに対応したワイヤレスチップセットを採用していますので接続性は非常に安定してます。また音質面でも有線接続同様の高音質で利用できます。「Apple Music」や「Amazon Music HD」などのロスレス/HD配信を気軽に高音質で楽しむのには最適といえるでしょう。

というわけで、ざっくりした紹介となりましたが、「xDuoo XD05 BAL」の機能面、音質面での完成度の高さは3ヶ月間使用していて申し分なく、正直なところ最近はハイエンド以上のDAPへの関心が急速に薄れるほどになっています。ただ初代の「XD-05」の頃とは異なり、現在のxDuooは日本の代理店が無いためいろいろ自己責任で扱う必要があります。また製品自体もオペアンプ交換を実質認めているなどかなりマニア向けな仕様であることも理解しておく必要があります。そのうえで、海外セラーとのやりとりに問題が無く、十分な理解と経験があるマニアであれば挑戦してみるのも良いかなと思います。個人的には購入してとても満足しています(^^)。