AUDIOSENSE DT600

こんにちは。今回は「AUDIOSENSE DT600」です。高品質なマルチBAイヤホンを精力的にリリースしている「AUDIOSENSE」の最新モデルで、Knowles製バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを使用した6BAモデルとなります。また今回も美しいフェイスも印象的な3Dプリンティングによるレジンシェルで、見た目にも魅力的なイヤホンに仕上がっていますね。
AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600
AUDIOSENSE DT600」は中国のイヤホンブランド「AUDIOSENSE」の新しい6BAモデルです。同社は以前よりKnowles製ユニットを採用したマルチBAモデルに定評があり、同社の知名度を一気に高めた「T800」(現在は販売終了)のほか、現在までも数多くのモデルをリリースしています。今回の「AUDIOSENSE DT600」は現行モデルとしては「AQ7」(6BA+1DD)に次ぐドライバー数の多いモデルで、今回はKnowles製BAとAUDIOSENSEのカスタムBAのコンビネーションにより、非常に美しいシェルデザインを採用しながら250ドル以下の価格設定と、マニアにとって非常に魅力的な内容になっています。

AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600

AUDIOSENSE DT600」のドライバー構成は高域、中音域、低域それぞれに2BAユニットを採用。採用BAドライバーの型番は非公開ですが、Knowles製BAとAUDIOSENSEのカスタムBAの組み合わせで、それぞれの音域に2BAずつを割り当てた構成で3つの音導管から出力される構造になっています。
シェルはDLP-3Dプリンティングによるレジン製で、ハンドメイドにより個体ごとにデザインの異なるフェイスパネルとの組み合わせにより精度の高さと自分だけのイヤホンを彩る美しさを両立しています。
AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600

AUDIOSENSE DT600」の購入はAliExpressまたはAmazonの「AUDIOSENSE Official Store」にて。価格はAliExpressが248ドル、Amazonが25,980円です。為替および手数料を考慮すると円建てではAmazonのほうが安価になりますね。どちらも中国からの発送となりますが通常は2週間ほどで届きます。
AliExpress(AUDIOSENSE Official Store): AUDIOSENSE DT600
Amazon.co.jp(AUDIOSENSE Official Store): AUDIOSENSE DT600


■ 少し大きめシェルながら装着性は比較的良好。パープルカラーの美しいシェルデザイン。

「AUDIOSENSE DT600」のパッケージは先日レビューした「DT300」などと同様の黒箱にシルエットアートが描かれたタイプ。シンプルなパッケージに「AUDIOSENSE」のメーカーロゴやモデル名同様に「Knowles」ロゴもプリントされています。
AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600
中身は箱全面を埋め尽くすようなプラスチック製の防水ハードケースが入っており、付属品がその中に全て収納されています。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(シリコン3種類、それぞれS/M/Lサイズ。およびウレタン3ペア)、クリーニングブラシ、説明書、防水ハードケース。
AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600

AUDIOSENSE DT600」のシェルはパープルカラーのフルレジン製で例によって今回も3Dプリンティングによる美しい仕上がりです。クリアグリーンの3BAモデル「DT300」とシェルサイズおよび形状自体は同様。1個1個手作りされたフェイスプレートもクールさと華やかを両立した美しいデザインになっていますね。
AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600
「AUDIOSENSE」の最近のモデルは一貫して3Dプリントによるシェル成形を行っていますが、音導管やBA用のスペースを含めたシェルを成型ことで、低コスト化を実現できるだけで無く、より正確なBAの配置により柔軟なサウンドコントロールができるようになりました。またコスト的にもメリットがあると思います。
AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600
シェルサイズは以前の「T800」よりは小さいものの、ある程度の大きさがあります。そのため、装着時は背面の出っ張っている部分を耳の丈夫に押し込むような装着感となるため、多くの人にとっては問題ないと思いますが、耳の形状や大きさによっては合わない人もいらっしゃるかもしれませんね。付属するケーブルは今回は銅線タイプのケーブルとなります。コネクタ仕様はMMCX。取り回しが良く使いやすいケーブルです。
AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600
イヤーピースは黒色タイプ、グレータイプ、ソニー風、の3種類のシリコン製と、ウレタン製が3ペア付属します。選択肢が多いため自分に合うタイプを選ぶことは問題なさそうですが、他にも定番のJVC「スパイラルドット」やよりフィット感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」に交換するのも良いでしょう。耳にフィットするイヤーピースを選択することで遮音性は十分に高めることが出来ると思います。


■ 最新ロットは80Ωアダプター付属? 再生環境と好みで使い分けたいサウンド

AUDIOSENSE DT600AUDIOSENSE DT600」は標準ではインピーダンス14Ω、感度106±3dB/mWとマルチBAには多い低インピーダンスの反応の良い仕様で再生環境は結構デリケートな印象です。私の手元にある製品では付属していなかったのですが、現在届く「AUDIOSENSE DT600」ではパッケージに「80Ω インピーダンスアダプター」(アッテネーター)が袋に入って貼り付けられているようです。Head-Fiなどの海外レビューを見ると、このアダプターを付けた方が確実に印象が良くなる、とのことですが、80Ωのアッテネーターは所有していないため、手持ちで近い値の75Ωアッテネーター(DUNU製)を組み合わせた場合と、他にもリケーブルによりバランス接続した場合も含めて聴いてみました。

結論としては、確かにアッテネーターを通した方がスッキリした印象にはなるものの、今回試した75Ωでも相当に鳴りにくくなるため、より抵抗の高い80Ωでは高出力の据置きアンプなど、鳴りにくいヘッドホンと同様の再生環境を使用することが望ましい印象でした。逆にアッテネーターは使用せず、高域だけでなく中低域の底上げも期待できるリッツ線タイプのケーブルなどにリケーブルし、バランス接続することで、DAP等でもハイ上がりを起こすようなボリュームに上げる必要なく、付属ケーブルより明瞭でバランスの良いサウンドを楽しむことができました。
どちらが良いかは好みの部分ですので一概にはいえませんが、「どうせ見た目に合わせてリケーブルするつもり」だった方は、使用される環境と相性の良いケーブルを選びバランス接続などを行うことで付属のアッテネーターは使用しなくても大丈夫そうです。
AUDIOSENSE DT600 + 75ohm AttenuatorAUDIOSENSE DT600 + NICEHCK SpaceCloud
今回私は4.4mm/5極バランスコネクタの「NICEHCK SpaceCloud」を組み合わせました。正直なところ見た目の色合いで選んだ感はありますが、なかなか相性も良かったようです。なお「cooyin 8芯 単結晶銅+銀メッキ単結晶銅ケーブル(紫)」も別コネクタで持っていますが線材自体は同じものののようです。また付属ケーブルでも試した中では「TOPPING A50s」などアッテネーターを使用しない方が好印象だったアンプもあります。
最近では鳴らしにくいイヤホンはそれなりにありますが、傾向的にはわりと上流を選ばないよう調整されている製品が増えていますので、その感覚だと「AUDIOSENSE DT600」はちょっと扱いにくいイヤホンに感じるかもしれません。少なくともその辺は「わかっている」マニア向けの製品ではあると思います。とはいえ個人的には上流やケーブルでもっと悩ましいマルチBAイヤホンは数多く(主にセラー系で)レビューしていますし、なかにはDAPのホワイトノイズのテスト用に使ってる超センシティブなイヤホンもありますので、そういったものに比べれば6BAとしてはよく出来ているイヤホンじゃないかなーと、思ったりしています。あくまで個人的な感想ではあります(^^;)。

AUDIOSENSE DT600この辺を踏まえて、「AUDIOSENSE DT600」を見ていくと、やはり高域は上流の影響を最も受けやすい印象があります。付属ケーブルでそのまま鳴らした場合、同クラスのマルチBAイヤホンと比べてややウォームに感じるかもしれません。もっとも同社の「DT200」や「DT300」も多少似た印象があり、聴きやすいサウンドという捉え方もあるため、好みが多少分かれる程度かもしれません。ただこの環境でもより駆動力のある再生環境、例えば手持ちの「Shanling M6 Pro」あたりや据置きでも比較的小型の「TOPPING A50s」クラスでも十分に見通しが良く曇りの無いサウンドが楽しめました。また前述の通りリケーブルではケーブルの相性により鳴り方の印象に変化があるものの、情報量の多いケーブルでは明瞭感の改善という意味では効果が得られるようです。
そして、80Ωインピーダンスアダプタの代わりに用意したDUNUの75Ωアッテネーターを使用すると、より高出力の再生環境が必要ですが、より癖の無い直線的な鳴り方になります。確かに手頃な解決策だとは思いますが、何種類かアッテネーターを試した印象としては、何故いろいろあるアッテネーターのなかでも結構マイナーな80Ωを付属するようにしたのかは正直よく分からない印象です。この辺は最近になって別途付属するようになった理由(というか公式の見解)をメーカーから説明したほうが良いかもしれませんね。

中音域はサウンドバランスはニュートラルでKnowles製BAらしい密度感のある音を滑らかに鳴らします。音場は比較的広く奥行きも感じられます。ボーカルは自然な距離感で定位も自然な印象です。
なお、中音域も付属ケーブルでは再生環境によりウォームに感じたり、逆に多少暴れたりとある意味マルチBAイヤホンらしさはあります。ただ籠もるようなことは無いため基本的には聴きやすいサウンドです。アッテネーターを使用すると多少寒色寄りに変化しますが、それ以上にニュートラルさをより感じるようになります。標準ケーブルやリケーブルでのサウンドが比較的ボーカル帯域に密度感のあるサウンドだったのに対し、より無味無臭のモニター的な印象になります。この辺も好みの問題かなぁ、とは思いますが、私自身はモニター的な音なら他にもっと向いているイヤホンがあるので、せっかくならアッテネーター無しでこのイヤホンの「味」みたいなものを楽しむ方がいいかな、と感じました。まあ選択肢があるというのは良いことだとは思います。

AUDIOSENSE DT600低域はマルチBAイヤホンとしては非常にパワフルで深い音を鳴らします。まるでハイブリッドモデルのような低域を6BAイヤホンで作り出しているのは特筆に値します。前回の「DT300」の低域はいかにも「3BAイヤホンらしい低域」で特に悪くは無いものの突出したポイントになりませんでした。しかし「T800」や「DT200」など、やはりAUDIOSENSEはマルチBAでいかに低域を表現するか、というところがポイントのメーカーだと思います。今回の「AUDIOSENSE DT600」はいかにも同社らしいパワフルさと質感で、この低域は様々なポイントを差し置いても検討する理由になるかもしれません。アタックは強めで重低音は深さと重さを感じます。ミッドベースも締まりがあり、解像感のある音を鳴らします。ただキレの良さについては質の良いシングルダイナミックと比べると及ばないため、音数が多くスピード感がある曲ではスッキリしきれない部分があります。とはいえ、これは多くのマルチBAイヤホンで当てはまる部分ですので、6BAイヤホンを検討されている方にとっては大きなウィークポイントにはならないでしょう。

というわけで、「AUDIOSENSE DT600」は多少好みを選ぶ、マニア向けのイヤホンであることは否めないものの、非常に美しい外観と比較的コストパフォーマンスに優れた価格設定など、魅力的な製品であることも確かです。興味のあるマニアの方であれば挑戦してみるのも良いと思いますよ。