THIEAUDIO EST / TRIPOWIN Jelly

こんにちは。今回は中国のイヤホンセラー「Linsoul」発の2つのブランド「THIEAUDIO」と「TRIPOWIN」のイヤホンケーブルです。他の中華ケーブルと比べるとちょっと目立たない印象はありますが、毎回非常に質の高い製品をリリースしており、実は価格もちょっと他社よりお買い得だったりと実は結構狙い目だったりします。
「THIEAUDIO EST」「TRIPOWIN Jelly」THIEAUDIO EST
今回紹介するのは数多くの高音質イヤホンをリリスしている「ThieAudio」ブランドの「THIEAUDIO EST」アップグレードケーブルと、「TRIPOWIN」ブランドの16芯ケーブルの第2弾にあたる「TRIPOWIN Jelly」です。2種類のケーブルも、他では「ありそうでない」要素がある製品です。
購入はどちらもAmazonの「L.S オーディオ」にて。


THIEAUDIO EST Cable / 26AWG Litz 5N OCC Silver Plated Cable 100 wire x 4 core
【 中華2pin 】【 MMCX 】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】

THIEAUDIO ESTTHIEAUDIO EST

THIEAUDIO EST」ケーブルは、その名称の通り、「ThieAudio」ブランド製イヤホンのなかでもEST(静電)ドライバー搭載モデルの「THIEAUDIO Monarch」や「Clairvoyance」といったハイグレード製品向けの純正アップグレードケーブルとしてリリースされました。そのため、ハイエンドイヤホンとの組み合わせでも十分な実力を発揮できるよう、幅26AWGの高純度5N OCC(単結晶銅)銀メッキ線100本を4芯リッツ線構造で構成しており、より高い周波数特性と伝導性を実現しているとのこと。
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「ThieAudio」製イヤホン向けの純正アップグレードケーブルという仕様から組み合わせる同社製イヤホンに合わせてコネクタは中華2pinタイプを採用(海外LinsoulではMMCXも選択可能)。埋め込み2pinタイプのイヤホンには対応しないものの、「ThieAudio」以外にも「SeeAudio」などフラット2pinタイプのイヤホンでは組み合わせたときの外観だけでなく、折れにくさなど強度面でもメリットがあります。
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THIEAUDIO EST」は「THIEAUDIO Legacy3」などに同梱されるものと同じ、少し大きめのレザーケースで届きました。ケーブルと合わせて実用的なケースが付属するのも有り難いですね。ケーブルは質感の良いホワイトシルバーの線材で、アルミ削り出しのコネクタおよびプラグパーツと合わせて高級感があります。少し太さのある線材を使用した4芯線ですがしなやかさがあり取り回しは良好です。
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組み合わせた印象は、銀メッキ線ケーブルらしく明瞭感を持ちつつイヤホンの特徴を伸ばすタイプ。情報量は多く、特にバランス接続では分離性の向上とともに粒立ちや音場感が向上し、よりドライバーの特性を活かしたサウンドが楽しめます。もともと想定しているESTドライバー搭載の高音質ハイブリッドのイヤホンはもちろん、「THIEAUDIO Legacy3」や「Legacy2」といったマルチBAイヤホンとの相性も良好です。
THIEAUDIO ESTTHIEAUDIO EST
最近は埋め込み2pinを想定したCIEM 2pinのケーブルが主流となっていますが、中華2pinタイプのケーブルは「SeeAudio」や「Kinera」「QoA」のイヤホンも標準で採用しており、かなり幅広い範囲で使用できます。特に高品質の銀メッキ線ケーブルである「THIEAUDIO EST」の利用範囲は広く、例えば「Moondrop Variation」や「TRI i3 Pro」などのマルチドライバーハイブリッド、「NICEHCK Topguy」や「KBEAR Aurora」などのシングルダイナミック構成の高音質イヤホンなど、さまざまな組み合わせで実力を引き出してくれます。最近の人気モデルと見た目にも音質的にも相性の良いケーブルとして価格的にも手頃な良い製品だと思いますよ。


TRIPOWIN Jelly / Upgraded 32AWG 16 Core 21 Wire HiFi Earphone Cable
【 MMCX 】【 CIEM 2pin 】【qdc】【3.5mm】【2.5mm/4極】【4.4mm/5極】
Amazon.co.jp:(L.S オーディオ): 3,980円

TRIPOWIN JellyTRIPOWIN Jelly

TRIPOWIN Jelly」は、Linsoul系のイヤホン&ケーブルブランド「TRIPOWIN」の新しい16芯ケーブル。既にリリースされている16芯銀メッキ線&銅線ミックスの「Zonie」に続く製品で、1芯あたり3種類21本の線材を組み合わせたミックスケーブルとして構成されています。使用されている線材は、高純度単結晶銅(OCC)線、銀メッキOCC線、そしてグラフェン銅合金線の3種類。この3種類の線材の異なる特性をミックスすることでそれぞれの周波数帯域でよりリアルで明るく歪みの少ないサウンドを楽しめるとのことです。
TRIPOWIN JellyTRIPOWIN Jelly

実際のケーブルはグレーとカッパーピンクの線材を編み込んだ2色混合線で、おそらくカッパーピンクの方の芯線が銅線タイプ、グレーの方がグラフェン合金線と銀メッキ線の混合線タイプでこれを8本ずつ編み上げたケーブルかな、という印象です。以前レビューした「TRIPOWIN Zonie」および多くの16芯線同様に非常に柔らかいケーブルで、細い線をしっかり編み上げているため、様々なサイズや形状のイヤホンと組み合わせ印象です。
TRIPOWIN JellyTRIPOWIN Jelly

TRIPOWIN Jelly」の音質傾向は、煌めきを持ちつつバランスの良い印象の線材。グラフェン線材のケーブルというと「LINSOUL Nymph」をはじめ、とにかく重い鋼鉄ワイヤーのような外観と結構派手目に変化する傾向のハイグレードケーブルが印象にありますが、「TRIPOWIN Jelly」はそこまで派手、ということはなくイヤホンの特徴を活かして情報量を底上げします。とはいえ、多くの16芯線や24芯線とはやはりキャラクターの違いはあり、全体的により濃い音に変化し、高域については煌めき感の出音などに「グラフェンぽさ」を実感したりします。全体的なバランスを維持しつつ高域にもう少し抜け感や煌めきが欲しい、という場合に結構合うのではと思います。
TRIPOWIN JellyTRIPOWIN Jelly
例えば「NICEHCK Lofty」あたりは別途提供された「高域強化セット」の「H1」「H2」ケーブルより個人的には相性が良いと感じました(さらにもっと高域を、という方はグラフェン線で)。ほかにも「いかにも多ドラ」という感じのイヤホンとも相性が良いでしょう。「TRIPOWIN Jelly」はqdcコネクタ仕様も選べますし、価格も手頃なのでKZ/CCAやTRNのマルチBAモデル、例えば「KZ ASX」なども良い印象に変化するのではと思います(試していませんがたぶん「ASF」あたりも)。もちろんこれらのイヤホン以外にも、お使いのイヤホンで、16芯、24芯の大幅な情報量の向上に加えて、濃密さと高域の煌めきなどの変化が欲しいという場合には良い選択肢だと思います。

というわけで、Linsoul系ケーブルはちょっとマイナーな印象はありますが、今回紹介した2種類のケーブルは傾向的にも非常に使い勝手が良く、利用範囲の広さを感じました。気になった方はぜひとも挑戦してみてくださいね(^^)。