See Audio Bravery

こんにちは。今回は「SeeAudio Bravery」です。個人的にも最近注目度爆上がり中の中国のイヤホンブランド「See Audio」の最新4BAモデルですね。例によって「結構前に買ってたけど国内版が出るって言うのであわててレビュー仕上げました」シリーズです(おい)。今回は9月くらいにHiFiGoで購入していて、そういえば購入後すぐに「買ってくれてありがと~。で、もちろんレビュー書くよね? あ、そうだついでにHead-fiとかにも投稿してくんない?」みたいなメールが矢継ぎ早に来てた気がしますが、すんません、どっちもやってませんでした(汗)。何というか、良いイヤホンほど、購入して、「あーええわこれ」で満足しちゃう(で、未レビューのままになる)パターンて、わかってもらえます?(知らんがな)

閑話休題、今回の「SeeAudio Bravery」は、日本向け3BAモデル「See Audio ANOU」とはまた異なるアプローチながら高い完成度を実現しています。中低域にやや厚みをもちつつも全体としては質の良いCIEM的なニュートラルサウンドで、個々の描写がとても綺麗な印象のイヤホンです。
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「See Audio」は2019年に生まれた非常に新しい深圳発のブランドで、まずは中国国内でCIEM(カスタムIEM)メーカーとして評価を高めてきました。その後ユニバーサルモデルとして2BA+1DD構成の「Yume」、そして日本市場限定の3BAモデル「ANOU」をリリースし、優れたサウンドチューニングで高い評価を得ています。

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そして今回の「SeeAudio Bravery」はより上位グレードにあたる4BA構成のモデルで、KnowlesおよびSonion製のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを採用。高域用に1基、低域用に2基のKnowles BAドライバーと、中音域用に1基のSonion BAドライバーで構成されます。See Audioの音響エンジニアはこのドライバーを様々なジャンルの曲で優れた特性を発揮できるよう、クリーンで原音忠実性の高いチューニングを行っています。滑らかな音色を備えた高解像度のサウンドで、伸びのある高域と音量を上げても聴きやすく高い明瞭度と透明度を維持し、力強い低域、美しいボーカルと詳細な演奏の表現を実現しているそうです。
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また、「SeeAudio Bravery」は付属ケーブルに中国の高級ケーブルブランド「HAKUGEI」製の6N OCC高純度単結晶銅線ケーブルを採用。またイヤーピースには「AZLA SednaEarfit XELASTEC」が3サイズ付属します。まさに全方位で高いグレードの部品で構成され、渾身のチューニングを施されたイヤホンといえるでしょう。
SeeAudio Bravery」(海外版)の購入は「HiFiGo」にて。価格は 279ドルです。
HiFiGo: See Audio Bravery

また11月6日より日本国内モデルの販売も開始されます。国内版の価格は37,550円です。
楽天市場(国内正規品): SeeAudio Bravery


■ 従来よりやや大きめのシェルサイズ。大理石調のフェイスデザインと質の高い付属品。

私は「SeeAudio Bravery」を「HiFiGo」で9月頃に購入しました。これまでもリケーブルの記事等で時々登場していますね(^^)。パッケージデザインは今回も「See Audio」のキャラクターのRinkoのイラストが描かれたものですが、「Yume」「ANOU」よりキャラクターを前面に出したデザインになっていますね。私が購入した際は上記のメーカー写真でも出てくるアクリルスタンドがオマケで付属していました。国内版では付属していないと思いますし、HiFiGoでも現在も付いているかは不明です。
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裏面には今回も周波数特性など詳細なスペック情報が記載されています。「See Audio」はもともとCIEMからスタートしたメーカーと言うこともあり、中国CIEMメーカーの最大手「qdc」や、最近では日本でも大人気の「Moondrop」などと同様に一貫してハーマン・ターゲットモデルを意識したチューニングを行っているのが特徴的です。

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パッケージ内容は、イヤホン本体、HAKUGEI製ケーブル、AZLA XELASTECイヤーピース(S/M/Lサイズ)、ウレタンフォームイヤーピース(S/M/Lサイズ)、メタルケース、説明書、保証書、そのた「Rinko」キャラクターカードやシールなど色々。写真のアクリルスタンドは特典付録となります。

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SeeAudio Bravery」の本体は従来の「Yume」「ANOU」よりかなり大きめのシェルサイズ。フェイスプレートは大理石調でメタルプレートのロゴ及びマークで装飾されています。レジンは非充填タイプで全体としては非常に軽量です。マルチBAモデルながら側面にベント(空気孔)があり、このシェル形状もサウンドチューニングに多少影響しているかもしれませんね。コネクタは従来機種同様に埋め込みタイプではないフラットな2pin仕様です。
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シェルサイズが大型化したぶん装着性は「Yume」「ANOU」より下がりますが、それを補う意味で標準イヤーピースが密着性の高い「AZLA XELASTEC」になりました。印象としてはシェル本体やケーブルの耳掛け部分は補助的でほぼイヤーピースによりしっかり耳に固定する感じになるようです。多くの場合は付属の「AZLA XELASTEC」で問題なく装着できるでしょう。ちなみに私は耳穴が小さく、Sサイズでもちょっと大きかったので、別途「AZLA SednaEarfit XELASTEC」のXSサイズを用意しました。
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そして付属ケーブルはCIEM 2pin仕様の中国の高級ケーブルブランド「HAKUGEI」製の6N OCC単結晶銅線ケーブルが付属します。布巻の太めのケーブルでコネクタやプラグ部分はいかにも「HAKUGEI」ですね。太さがありますが、取り回しは良く使いやすい印象です。


■ ニュートラルながら厚みと透明感のある上質なサウンド。

See Audio BraverySeeAudio Bravery」の音質傾向は、やや中低域に厚みのある印象ながらフラット寄りのサウンドバランス。全体的にニュートラルで、見通しが良く透明感のあるサウンドのなかで個々の描写がとても綺麗な印象です。購入して最初に感じたのは「あー。これは良い買い物したなぁ」という印象(笑)。質の良いCIEMのような音作りで、決して突出した特徴があるわけでは無いのですが、似たような方向性のサウンドを探すと、どうしてもそれなりの金額の製品になってしまうためですね。「SeeAudio Bravery」も十分にそれなりの価格ですが、それでもミドルグレードクラスの価格で購入できるマルチBAイヤホンとしてはかなりレベルが高い製品といえるでしょうね。また「SeeAudio Bravery」では適度な厚みと色彩豊かな表現力が加わりリスニング向けとしての完成度を高めている印象です。

SeeAudio Bravery」のサウンドは、3BAの「ANOU」より2BA+1DDハイブリッドの「Yume」の方向性を踏まえてより高レベルのリスニングチューニングを行っています。「ANOU」は日本市場向け、というポジショニングで具体的にはアニソンなどのボーカル曲が「映える」ようにややカマボコ寄りのチューニングを施しています(ここ数年の傾向で様々なメーカーの「日本向け」というチューニングは「アニソン向け」という意味に置き換えてもだいたい合ってる、という印象があります)。これに対して、ベースとなった「Yume」はハイブリッド構成ながらいわゆるハーマンターゲット・カーブを強く意識したチューニングを行っており、いっぽうの「SeeAudio Bravery」では高域(Kowles)、中音域(Sonion)の各BAの質感を高め、低域ではKnowles製2基のBAにより、しっかりとした厚みと表現力を得て「Yume」よりグレードアップしています。

See Audio BraverySeeAudio Bravery」の高域は、明瞭で伸びの良い、かつ刺激を適度にコントロールした音を鳴らします。全体のバランスとしては中音域を支えるようなバランスで量的には他の音域寄り控えめですが、中音域より前面で鳴るため十分な主張を持っており物足りなさを感じることはありません。刺さりやすい帯域を絶妙にコントロールしているため非常に聴きやすく、いっぽうでスッキリとした伸びの良さも確保されています。音色は明るく鮮やかさがあり、Knowles BAらしい高い解像感と過度に強調しない明瞭ながら自然な輪郭など質の高さも感じます。

中音域はフラットで癖の無い音を鳴らします。ボーカル帯域がカマボコ気味に感じる「ANOU」とは逆に、定位としては一番後ろでありのままの音を鳴らす印象。そのため僅かに温かくより自然な印象にまとまっています。いっぽうで非常に透明感が高く、見通しが良いため、ボーカル帯域が非常に鮮明に描かれ、決して淡泊な音にはならないところは同社の音作りの上手さを感じます。女性ボーカルやピアノは自然な距離感ながらクリアで伸びのある印象。男性ボーカルは厚みと余韻が楽しめます。音場は自然ですが低域用の2BAの影響もあってか中低域に厚みを持っているため心地よい奥行き感があります。演奏は自然に分離し、正確な定位で音像を捉えることが出来ます。モニターライクな音ではありませんが、あくまで自然かつ透明感があり、素材をしっかり楽しめるリスニングサウンドという印象です。

See Audio Bravery低域は非常に慎重にチューニングされた印象があり、このクラスのマルチBAイヤホンのなかでも特に質感の良さを感じる仕上がりです。最も厚みのある音域で、中高域より前面で鳴りますが、滑らかかつ綺麗に他の音域と分離します。存在感のあるミッドベースと同様に深く鳴り響く重低音。しかしどちらも過度に演出せず、滑らかさや聴きやすさを重視しているようにも感じます。十分な量感があるものの力強さはあまり強調されておらず、適度な密度感とスピード感を持ったリスニング指向のチューニングが行われています。単に(フラットな)「Yume」のダイナミックを2基のBAに置き換えた、という感じではなく、この構成ならではのアレンジを低域の質感と表現力に求めた印象ですね。そのため、派手さやメリハリの強さ、臨場感などを低域に求める方には合わないだろうと思います。とはいえ、パンチのある曲もリラックスしたサウンドもそつなく鳴らすポテンシャルの深さを感じるサウンドです。

このように「SeeAudio Bravery」は全体として非常にまとまりのある完成度の高いイヤホンという印象で、さまざまなジャンルの曲を楽しめる懐の深さがあります。いっぽうで、キレやスピード感、メリハリなどを求めるサウンドとは一線を画しており、良し悪しと言うより区別をする必要がありますね。あとはこの手の「際立った特徴はないが良く聴くとひとつひとつの質が高い」サウンドに対して、300ドル前後の価格を有りと思うかかもしれません。最近では200ドル台~300ドル台は高音質イヤホンの超激戦区で非常に上質で個性的な製品が次々登場しているため、そのなかでは「SeeAudio Bravery」は結構「通好み」なイヤホンだとは思います。

See Audio Bravery個人的には、「SeeAudio Bravery」は決して唯一無二という感じではないものの、そのリスニング的な質の高さは同様の構成でも有名CIEMメーカーの製品で感じる事が多いもので、それらのメーカーの製品よりおそらく相当に手頃な価格で購入できたことへの満足感から「良い買い物をした」という印象です。このような傾向のイヤホンに興味がありつつ有名CIEMメーカーの製品はなかなか気軽に買える価格ではないなと思っていた方には、なんとか手が届きそうなところでそっと背中を押してくれる存在かもしれません。落ち着いた大理石調のブラックのフェイスデザインや上質なケーブルなど、見た目のアピールは控えめながらしっかり所有欲を満たしてくれる仕上がりもそういったキャラクターに合っていますね。
とりあえず、普通に「音が良い」イヤホンを探している方はまずは試聴をしてみてはいかがでしょう。またこの手の傾向のイヤホンを既に複数持ってるマニアであれば、もし興味があれば無試聴突撃でもまずハズレは無いよ、と言い切れる非常に優れたイヤホンだと思いますよ(^^)。