TRN CS2

こんにちは。今回は「TRN CS2」です。中華イヤホンブランド「TRN Audio」のエントリークラスの製品で、「TRN CS2」はシングルダイナミック構成(1DD)のイヤホンになります。同社からはすでに「TRN MT1」と「TRN CS1」というシングルダイナミックモデルがリリースされていますが、今回は「TRN ST2」(1BA+1DD構成)と同じシェルデザインで、より豊富なカラーバリエーションが楽しい製品になりますね。

■ 製品の概要と外観および装着性など。

TRN CS2」は「ST2」からBAの除いた1DDバージョン、ということで、シェル形状としてはTRNブランドの最初の製品である「TRN V10」を踏襲したデザインを採用。「TRN CS2」および「ST2」ではよりこのデザインをブラッシュアップし、金属製ステムノズルやタイプC仕様のコネクタなど現在のモデルに見合った仕様になっています。

TRN CS2TRN CS2

TRN CS2」のドライバー構成は「10mm 二重磁気回路ダイナミックドライバー」をシングルで搭載。内容的には「TRN MT1」と同じですね。カラーバリエーションは、「クリアブラック」、「クリアグレー」、「クリアブルー」、そして追加色の「クリアレッド」の4色が選べます。

TRN CS2TRN CS2

TRN CS2」の価格はAliExpressが8.80ドル~、アマゾンが1,780円~です。
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): TRN CS2

TRN CS1」のパッケージはラインアートが描かれた従来タイプのボックスデザイン。付属品も従来通り、本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)、説明書・保証書などの最小構成となります。
TRN CS2TRN CS2

TRN ST2」の本体はクリアカラーの樹脂製で、形状は「TRN ST2」と同じですがフェイス部分に「CS2」と記載されています。ハウジング部分は「TRN V10」を踏襲しつつ、ステム部分はアルミ合金製、コネクタはタイプCを採用。この最初のモデルから採用されているTRNにとって伝統的なデザインはやや大きめですが装着性は非常に良く、しっかり耳にフィットするのが特徴的です。
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今回は気がついたらグレー、ブルー、そしてレッドの3色を購入していました。このカラバリ癖はいい加減どうかと自分でも思ってはいます(^^;)。プラスチックシェルですが、IEM風の形状とポップなカラーバリエーションでこれはこれで楽しいかな、と思っていたりもします。
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付属ケーブルおよびイヤーピースは従来使用のものですが、ケーブルについてはタイプC仕様ですね。イヤーピースについては例によって定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。


■ インプレッション(音質傾向など)

TRN CS2TRN CS2」の音質傾向は、中低域寄りのドンシャリ傾向ですが、高域も比較的明瞭に出ており、全体としてはより各音域の主張を増した派手めのサウンドになっています。同じ二重磁気回路ダイナミックドライバーを採用する「TRN MT1」と比べて、多少感度が高いこともあり、よりパワフルに感じるサウンドだと思います(どちらもインピーダンスは22Ωですが、感度は「MT1」が106dBに対して「TRN CS2」は118dB)。ただ、見通しの良さや、伸びるところは伸びる、沈むところは沈む、など音質面での忠実性では「MT1」のほうが良い印象です。
いっぽう「TRN CS2」も各音域の主張は強めなものの、全体としてのバランスは良く、また刺激などは抑えられているため、同社のハイブリッドモデルより聴きやすい印象があります。最近の打ち込み系の楽曲と相性が良く、ライトユーザーを中心にストリーミング等でヒットチャートを楽しなどの使い方には最適なイヤホンといえるでしょう。

TRN CS2TRN CS2」の高域は多少硬質ながら明瞭で伸びの良い音を鳴らします。中音域に対して若干後方に定位するものの主張はしっかりしており、アンダー10ドルクラスのイヤホンと考えれば十分な質感があります。より中低域寄りの「TRN CS1」は「TRN CS2」より空気のベールを被っているように感じ、明瞭感や解像感では価格差以上の違いがあります。いっぽう「TRN MT1」との比較ではどちらも非常によく似た印象ですが、「TRN MT1」のほうがややスッキリしておりディテールの表現には優れます。いっぽうの「TRN CS2」はより強めの主張で元気に鳴ってくれる印象があります。ただどちらも刺さりなどの刺激は抑えられており、聴きやすくまとめられています。

中音域は、ほとんど凹む事無く十分な主張で鳴ります。高域同様に癖の無い聴きやすい印象。ボーカル帯域には多少メリハリがありTRNらしい派手さも感じます。より感度が高くなったこともあり、スマートフォン直挿しでも快適に使用することができ、ストリーミング音源やYouTubeなどの動画再生、あるいはゲームなどさまざまな音源で元気なサウンド楽しめるでしょう。また十分に駆動力のあるDAPやアンプであればより明瞭感が増し、女性ボーカルの高音の伸びなどもより良く感じます。音場は「TRN MT1」より僅かに狭い印象ですが、動画やゲームなどでの臨場感は十分に楽しめると思います。

TRN CS2低域も中高域同様に主張がありますが、全体としてバランスが良くまとまっている印象。ミッドベースは力強さを感じつつ過度に膨らむことは無く中高域を下支えします。そのためより重く厚みのある低音を好む方にはもう少し強さが欲しいと思うかも知れません。重低音の沈み込みはやや浅い印象はありますがスピード感があるため、EDMなども結構楽しめそうです。
またイヤーピースによる印象の変化もあるイヤホンのため、いまいち音が遠く感じたり音抜けが良くない場合はフィット感のあるイヤーピースに交換することをお勧めします。低域についても締まりなどに結構違いが出るようです。


■ まとめ

というわけで、「TRN CS2」は「TRN MT1」と同じドライバーを搭載したシングルダイナミック構成ながら、「よりTRNらしさ」を感じさせる製品にまとまっている印象でした。イヤホンとしてのまとまりや自然さ、さらに言うとオーディオ的な評価では「TRN MT1」のほうが高くなると思いますし、TRNもそれを目指して仕上げていると思います。いっぽうの「TRN CS2」は、既存のTRNのサウンドを知っている人たちにとって、より分かりやすい方向性のサウンドとして製品化しているようにも感じます。ただ、マニアではないライトユーザーでも分かりやすく楽しめるサウンドであり、カラーバリエーションによる見た目の楽しさも含め「これはこれでアリ」と思わせるイヤホンだと感じました。