TRN BT30

こんにちは。今回は「TRN BT30」です。前回に引き続き中国のオーディオブランド「TRN Audio」の製品ですが、今回は有線イヤホンをTWS(完全ワイヤレス)化するオーディオアダプタの新モデルです。同社の完全ワイヤレスアダプタは、これまで、「BT20」(AAC対応)、「BT20S」(QCC3020搭載、aptX対応)、「BT20S Pro」(充電ケース対応・コネクタ交換式モデル)と進化してきました。今回の「BT30」は「BT20S Pro」の形状および方式を踏襲しつつ、チップセットに最新のQualcomm「QCC3040」を採用しBluetooth 5.2への対応や接続安定性の強化を実現。さらにアンプチップ「MAX97220A」を搭載しより高出力かつ音質面の改善を行ったアップグレードモデルになります。
TRN BT30TRN BT30

もちろん、より高音質なイヤホンであれば、ハイグレードなイヤホンを音質面で優れたDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やアンプを経由してじっくり聴くのが本来の楽しみ方だと思いますが、完全ワイヤレスイヤホンの使い勝手の良さ、便利さを一度体験すると、これはこれでマニアでも魅力を感じますね。もちろんTWS製品も各社よりマニア向けの高音質モデルなども相次いでリリースされていますが、やはり自分のお気に入りのイヤホンをワイヤレスの便利さで使えたら、という要望もありますね。

「TRN」は最近でこそ200ドルオーバーの上位グレード製品もリリースし、ラインナップの幅を広げていますが、もともともは「低価格中華イヤホン」の一翼を担うメーカーです。同社のイヤホンは高音質・ハイスペックながら購入しやすい価格帯で、普段使いではちょっと気が引けるような高級イヤホンよりは気兼ねなく利用できるという側面もあります。このようなイヤホンをリリースしているメーカーが高性能な完全ワイヤレスアダプタを他社より手頃な価格で販売するのはとても理にかなっているなと思います。

TRN BT30TRN BT30

さて、そんな「TRN」の完全ワイヤレスオーディオアダプター「TRN BT30」ですが、前述の通り、チップセットにはBluetooth 5.2に対応したQualcomm製「QCC3040」を搭載。この時点で有線イヤホンを最新のTWS並で利用できることは確定するわけですが、さらに幅広いイヤホンに対応するため、アンプチップを別途搭載。通常のTWS製品および全モデルの「BT20S Pro」では消費電力を抑え、回路部分を小型化する理由からチップセットに内蔵されたアンプをそのまま使用するのですが、「TRN BT30」では「音質重視」「高出力化」のため別途「MAX97220A」アンプチップを搭載します。これにより本体の再生時間は「BT20S Pro」より短くなっていますが、もともと大容量のバッテリを搭載していることもあり、それでも本体6.5時間の十分な性能を維持しています。「QCC3040」を搭載することにより、コーデックとして「aptX」「AAC」に対応、また接続性を向上させるチップセット機能の「TrueWireless Mirroring」や通話ノイズキャンセリング機能の「CVC8.0」にももちろん対応しています。

TRN BT30TRN BT30 vs BT20S Pro

また、重要なポイントのひとつとして「TRN BT30」では海外での出荷時点で日本の技適認証を取得済みです。そのため、AliExpressで購入しても安心して日本国内で利用することができます。

TRN BT30」の購入はTRN製品を取り扱う主要セラーにて。価格はAliExpressが79.80ドルです。
AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。私は「LuckLZ Audio Store」で購入しました。
AliExpress(LuckLZ Audio Store): TRN BT30 ※11.11セール予定価格 59.28ドル

なお、付属するコネクタ部分は「MMCX」「タイプC 2pin(qdc)」「0.75mm 2pin」「0.78mm 2pin」から選択します。また他のコネクタもオプションとして個別に購入可能です。
AliExpress(LuckLZ Audio Store): TRN BT20S Pro/BT30用コネクタ(単品オプション)


■ 本体形状は「BT20S Pro」を踏襲。今回は最初から技適取得済みで日本でも安心して利用可能。

TRN BT30」のパッケージは最近の写真付のデザインですが、日本語での製品名表記もされているのが特徴的。前述の通り裏面には技適認証番号「214-109643」が記載されています。確認してみると「BT20S Pro」の技適認証を昨年取得した際に一緒に取得しているようです。
TRN BT30TRN BT30
パッケージ内容は、本体(充電ケース+本体)、接続コネクタ(購入時に選択した1種類)、充電用ケーブル、説明書。「TRN BT30」の充電ケースおよび本体形状は「BT20S Pro」と全く同じで、外観上の相違点は本体裏面にプリントされた製品名部分のみです。なお、「TRN BT30」では本体にも技適マークが最初からプリントされています。
TRN BT30TRN BT30
TRN BT30」の充電ケースは「BT20S Pro」と同様に一般的なイヤホン用ハードケースのような樹脂製合皮加工の表面でファスナー式の開閉となっています。そのため、ケースの開閉でのギミックはありません。ケース下部はほぼバッテリーのため、接続したイヤホンはケース上部のふた部分の空洞に入ります。そのためTRNやKZなどの主要なモデルほぼ全てで収納時に左右を交差させるようにちょっとずらして入れるなどの工夫が必要になります。
また交換式のコネクタ部分も「BT20S Pro」と同じ仕様でそのまま流用することも可能です。すでにAmazonでも購入可能なオプションコネクタを使用するほか、既に「BT20S Pro」を持っている方なら「TRN BT30」では異なるコネクタタイプのものを購入し、相互に交換する、などの使い方も可能です。
TRN BT30TRN BT30

そして操作は本体側面の物理ボタンで行います。電源のON/OFF、曲送り/曲戻しをはじめ、TWS製品にあるひととおりの操作は利用可能です。ただ、「TRN BT30」でも音量のUP/DOWNについては対応していないようです。

再生/停止1回クリック
曲送り2回クリック
曲戻し3回クリック
受話・終話着信時にクリック
受話拒否着信時に2回クリック
音声アシスト1秒程度 長押し
電源ON(ボタン)左右それぞれ 1秒 長押し
電源OFF(ボタン)左右それぞれ 5秒 長押し
電源ON/OFF充電ケースから出す/戻す 
その他、電源ONの状態で3分間操作なしの場合に自動で電源がOFFになる機能や、通話中にダブルクリックで本体とスマートフォンの音を切り替える機能も従来通り踏襲されています。


■ 接続安定性の向上とアンプチップ搭載による高出力化。より利用範囲の拡大した定番アイテム。

TRN BT30TRN BT30」の傾向は癖の無いイヤホンの特徴を活かしつつ明瞭感がある元気な鳴り方をします。基本的には「BT20S Pro」とよく似た印象ですが、新たにアンプチップを搭載したことで出力が大幅に向上しており、ドライバー数の多いハイブリッドや鳴らしにくさのあるシングルダイナミックなど特に駆動力で変化しやすいイヤホンでその違いを実感します。全体的に伸びるところはよく伸び、沈むところはよく沈む、メリハリや見通しの良さなどを感じると思います。またCIEMなどのマルチBAイヤホンで「BT20S Pro」では高域がキツめに出るなど、いわゆる「ハイ上がり」に近い状態になっていたイヤホンでも音質傾向を変えずにしっかりと鳴ってくれるなど駆動力が確実に向上しているのを実感できます。

また、「QCC3040」チップセットにより、接続性も向上しており、「TrueWireless Mirroring」による接続が可能な対応デバイスの場合、より混雑した場所でも安定した接続性を維持しました。最近はストリーミングでもロスレス配信などでより高ビットレートでの利用も増えており、従来よりさらに接続性の違いを実感できますね。「TRN BT30」は、音質面および性能面において、少なくとも「BT20S Pro」との価格差以上の違いは実感することが出来ました。

TRN BT30ただ、やはりいくつかウィークポイントも残っています。まず、充電ケースの下部に窪みがほとんどないため、イヤホン収納時に左右を交差させて無理矢理入れてる感があること。大きいサイズのイヤホンを組み合わせたい方は入るのかどうか気になる方も多いでしょう。実際は、結構大ぶりな形状の「TRN X7」のようなイヤホンでも収納に工夫して入れれば収納に問題はありませんし、最大級のシェルサイズのイヤホンである「TRI i3」(Proじゃないほう)も質問を頂き試しましたがなんとか収納できました。このように結構大きいサイズでもなんとかなるとは思いますが、「TRI i3」の場合はMMCXコネクタだったため、片方を90度回転させてスペースを確保していたりもします。CIEMなどを組み合わせる場合など注意した方がいい場合もあるでしょう。

また、ノイズ特性ですが、「BT20S Pro」のSNR 88dBから「TRN BT30」では98dBに向上し、またノイズフロアも9μVと大幅に政情向上しています。しかし、実際に反応の良いイヤホンで聴いてみるとやはり再生開始時には「サー」というホワイトノイズが若干発生します。この辺が同等のノイズ性能の「FiiO UTWS3」のほうが実感として優れており、多少改善の余地がありそうです。また、音量調整機能は今回も搭載されていないのはやはり残念ですね。こちらも「FiiO UTWS3」では端末と独立した音量調整ができるため、端末側ボリュームとの組み合わせでより細かい調整が可能になるため、便利に思っている方もいらっしゃると思います。
TRN BT30いっぽうで、「TRN BT30」はコネクタ部分を簡単に交換でき、また交換用のオプションコネクタも千円台と低価格で購入できる点はやはり大きなメリットです。あえて複数用意してこのコネクタ部分でイヤホンを交換して使い分ける、という楽しみ方もできるのはこのシリーズの大きな特徴といえるでしょう。特徴を理解して使用すれば、中華イヤホンに限らず、数万円クラスのイヤホンでも十分に実用的なサウンドで楽しめます。個人的には最近あまり使って無かったイヤホンと組み合わせて活用するなど、有線イヤホンとの使い分けも良いかなと思っています。
TRNのTWSアダプタも最初の「BT20」から4モデル目となり、いよいよ本格的に活用できる製品に進化してきました。TWS製品の機能面や使いやすさには魅力を感じつつ、音質面や装着性などでいまひとつ満足していなかった方や、愛用のイヤホンをより手軽にストリーミングなどでも楽しみたい方には、利用範囲をひろげる製品として、今後も定番アイテムのひとつになりそうですね(^^)。