
こんにちは。今回はどちらかというと雑記ネタですね。発売前から話題となっていたJVCビクターの完全ワイヤレスイヤホン「Victor WOODシリーズ HA-FW1000T」ですが、私も11月5日に発売にあわせて予約注文で購入してみました。月末月初と仕事が立て込んでいたこともあり無試聴突撃です。
しかし個人的にはそのサウンドチューニングは非常に好印象だったものの、実際に使用する上で回避できない問題と直面してしまいました。というわけで、音質面の製品レビューなどは既に複数ネット上にありますし、今後も増えてくると思いますので、ここでは「私個人が直面した問題点」を中心に記載していきます。先に結論を言うと「できる限り購入前に自分の環境でペアリングして試聴をした方が良い」ということになりますね。


改めて、「Victor WOODシリーズ HA-FW1000T」はJVCビクターより発売された完全ワイヤレスイヤホン(TWS)のフラグシップモデルで、とにかく「音にこだわった」製品、ということになっています。「WOODシリーズ」ということで、TWS(完全ワイヤレス)製品ながら搭載ドライバーに木の振動板によるVictorの有線モデル「HA-FW1500」と同等レベルの「ウッドドームカーボンドライバー」を採用。また同社の「K2テクノロジー」をTWSで初搭載し、Qualcomm社の最新テクノロジーを採用するなどスペック面でも上位モデルらしい仕様を実現。さらにサウンドチューニングを「VICTOR STUDIO」が行うなど、こだわりが随所に詰まった製品になっています。この辺は既に多くのところで記載されていますので、ここでは要点のみを列記します。
・新開発「11mm ウッドドームカーボン振動板ダイナミックドライバー」を搭載。
・ビクタースタジオエンジニアが音質チューニングに参加。「プロが認めた良い音」を実現。
・「Qualcomm Adaptive ANC」ノイキャン対応。
・「aptX Adaptive」96kHz/24bit ハイレゾコーデック対応(LDACは未対応)。
・同社デジタル高音質化技術「K2テクノロジー」をTWS製品として初搭載。
・新開発「スパイラルドットPro」イヤーピースを付属。
Bluetooth | V5.2 |
---|---|
ドライバー | 11mm ウッドドームカーボン ドライバー |
コーデック | aptX Adaptive / aptX / AAC / SBC |
ANC | Qualcomm Adaptive ANC |
高音質化 | 「K2テクノロジー」搭載 スパイラルドットPro付属 Tuned by VICTOR STUDIO |
通話性能 | Qualcomm CVC MEMSマイク タッチ&トーク機能 |
再生時間 | 9時間(NC OFF) / 5.5時間(ON) ケース込み 最長27時間 |
充電時間 | 2.5時間(本体) 2.5時間(ケース) |
防水規格 | IPX4 |
その他 | 装着センサー(モード自動選択) 100段階ボリューム TrueWireless Mirroring対応 Power Class 1 |
重量 | 7.8g(片側)、45g(ケース) |
Amazon.co.jp: Victor HA-FW1000T
■ ボタン操作にメーカーの妙な意地(狂気?)を感じるも、個人的には「使い方次第」かなと。
普段、どんどん豪華さを増している中華イヤホンなんかをレビューしていると、いかにも日本の家電製品な「Victor HA-FW1000T」のパッケージは逆に新鮮ですね(^^;)。付属品は非常にシンプルで細かい説明はWebの説明書を見てね、というタイプです。


イヤーピース「スパイラルドット Pro」が5サイズ付属するのはいかにもJVC感あります。ちなみに普通の「スパイラルドット」と比べてどの程度違うのかはよく分かりませんでした。私は耳穴が小さく普段「スパイラルドット」もSサイズしか使わないからかも。Sサイズは付属のProもあまり違いませんでしたが、たぶんMサイズ以上だとちょっと違うのかもしれませんね。


「Victor HA-FW1000T」の本体形状自体は耳にフィットしやすいデザインを採用しています。ただ遮音性やよりダイレクトなサウンドを意識したせいか、ステムノズルがかなり直線的で長いのが気になりますね。この形状のため、普段使用しているイヤーピースのサイズでは上手く入らない場合もあるかもしれません。あるいは付属のスパイラルドットては安定せずすぐに耳から落ちそうになる方も多そうです。このようなケースでは通常よりワンサイズ小さくしてより耳穴奥まで挿入することでしっくりくる場合もありますが、それだけでは合わない方もいらっしゃるでしょうし、私のようにもともと耳穴が細い場合はどうしようもありませんね。そうなると他社製イヤーピースを組み合わせることになります。


次に操作性について。こちらは「(多機能なのに)アプリが無い」という点がまず多くの方が挙げる点です。そのためかなり特殊なボタンの割り当てになっているのも「使いにくい」と言われる要素でしょう。確かに実際のボタンアサインを列記してみると、その種類の多さと複雑さはちょっと「げんなり」しそうになります。ただ、個人的にはこれについてはさほどネガティブには捉えておらず、結局は使う機能だけ覚えておいてあとは慣れろ、ってことなんでしょうね。
再生/停止 | 左側 1回タップ |
---|---|
外音取込み | 右側 1回タップ |
曲送り | 右側 2回タップ |
曲戻し | 右側 3回タップ |
音量DOWN | 左側 2回タップ |
音量UP | 左側 3回タップ |
ANCモード | 左側 4回タップ(OFF/ON) |
「K2」機能 | 右側 4回タップ(OFF/ON) |
受話 | 着信時左側 1回タップ |
終話 | 通話時1秒長押し(左 / 右) |
着信拒否 | 着信時1秒長押し(左 / 右) |
ミュート | 通話時左側 1回タップ |
マスク モード | 通話時右側 4回タップ |
通話切替 | 通話時右側 5回タップ |
音声認識 | 左側 1秒長押し |
装着センサー | 左側 5回タップ |
ビクターというと1980年代のソニーとのVHS・β戦争をまず思い出すのは現在では相当の「おっさん」世代になってしまいましたが(とほほ)、当時はビクターももちろんソニーだって技術屋先行のモノがいっぱいあって、ユーザーは新しい機能(あるいは「新しいボタンorスイッチ」)がついた製品ではまずその流儀を知ることから始めたものでした。その視点で捉えれば、よく使う機能は「慣れれば」問題なく使えるし、いちいち押す回数の多い機能はそういう優先度で使うのがこのイヤホンの「流儀」だとわかれば、それほど不便ではありません(個人的には)。

またノイキャンなどの機能は基本はこまめに変更せず「入れっぱなし」か「使わない」かで普段は固定しておくのがやはり「正解」でしょう。「Victor HA-FW1000T」で採用されている「Qualcomm Adaptive ANC」はチップセット組み込みの機能で、他メーカーのTWS製品のANC機能と比べて効き方は結構ソフトです。あんまり効かないかわりに音質変化も少ない、ということなのでしょう。他にも標準でONになっている「装着センサー」についてはANC以上に普段は操作しないことを想定しているのがわかりますね。
■ 音質面は抜群に素晴らしい。ただ個人的には装着性と致命的な相性問題で大いに悩まされる。
「Victor HA-FW1000T」の音質(「スパイラルドット Pro」使用)は個人的には価格に見合う申し分のないものでした。ウッドコーンらしい自然なサウンドで、解像感でおしてくるタイプではありませんが空間表現や鳴りの滑らかさなどは素晴らしですね。ただ、「これがビクタースタジオのチューニングか!」とか「まさにTWS版のFW10000!」みたいなことは全然無いので過剰に前のめりな期待だと「まあこのくらいだよねー」ってなるかもしれません(汗)。ただとにかく自然な音でイマドキのボーカル推しチューニングやメリハリ重視のサウンドがどうかな、という人には最適でしょう。なお、開封直後はやや低域強めに感じますが、エージングで多少印象に変化を感じました。
いっぽう全体として音像は明瞭なのですが、キレ感はもう少し欲しいかもしれません。また低域の響き方は多少もっさりします。この点については「K2」「ANC」「操作センサー」をすべてOFFで使用する方が良いでしょうね。

そして、それ以上に「致命的」に問題だったのが、端末との「相性」です。私は、「aptX Adaptive」対応の端末として、OPPOの「Find X3 Pro」を使用し、Apple MusicおよびAmazon Musicなどのロスレス/ハイレゾ対応ストリーミング、そしてUAPP(USB Audio Player Pro)などの再生アプリを使用する想定だったのですが、この端末とペアリングすると「全く使えない」ことが判明しました。原因は不明です。この「Find X3 Pro」とペアリングするとアプリの種類に関係なく、再生開始約30秒程度でいきなり無音状態になり、回復が一切出来なくなります。そこでいったんBluetoothをOFFにして再接続するとペアリングそのものが出来なくなります。

この「相性問題」については今のところ「Find X3 Pro」以外の機種での情報は見つかっていませんが、原因がわかっていないため、他の端末でも同様の現象が起こる可能性は否定できません。おそらく「aptX Adaptive」対応の最近のモデルで、多少マイナーな機種を使っている方はあらかじめペアリングして試聴するなど事前確認を行った方が良さそうですね。発売後売上は結構好調のようですし、実際に音質的には非常に優れていると思いますが、操作性なども含めると、価格以上にわりとハードルが高めのイヤホンかもしれませんよ(^^;)。