NICEHCK DB1

こんにちは。気がつけば2021年もあと1ヶ月・・・、相変わらずレビュー掲載のペースが戻らない今日この頃です。さすがにそろそろ気合いを入れたいのですが、師走になるとそれはそれで(困った)。というわけで、いくつかのレビューは年明け以降に持ち越しになりそうな雰囲気でございます。

というわけで、今回は「NICEHCK DB1」です。中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」のオリジナルブランド「NICEHCK」のエントリーモデルですね。届いてから1ヶ月くらい経ちますか(汗)。すでにHCKからは2DDモデルの「DB2」という製品が存在しますが、こちらは1DD構成でプライスを下げつつ、主にライトユーザーを中心に幅広くオススメできる製品に仕上がっています。
NICEHCK DB1NICEHCK DB1

NICEHCK DB1」は独BAYER製のプラスチック素材をシェルに採用し、美しいクリアデザインで仕上げられています。最近の流行り?を意識してか、パッケージアートで独自キャラクターを採用したことでマニア界隈では「HCK、お前もか!?」と軽く話題になったような(^^;)。
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ドライバー構成はシンプルなシングルダイナミック仕様で、10mmサイズの「PUバイオロジカルファイバー複合振動板 N50高性能磁気回路ダイナミックドライバー」を搭載しています。まあ要するに複合樹脂の振動板を使用した高出力ドライバーということですね。コネクタは0.78mm 2pin仕様でコネクタカバー形状はNX7タイプ、つまりTFZ製イヤホンと互換性のあるタイプです。他にも中華2pinやCIEM 2pinのケーブルにも交換可能です。
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NICEHCK DB1」のカラーバリエーションは「グレー」と「ブルー」の2色が用意されています。
購入はAliExpressの「NiceHCK Audio Store」またはアマゾンの「NICEHCK」にて。
価格はAliExpressが15.99ドル、アマゾンが2,150円です。AliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK DB1
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK DB1


前述の通り「NICEHCK DB1」のパッケージはキャラクターアートが描かれたボックスデザインを採用しています。本体カラーでパッケージに違いはありません。今回は2色とも選択し、低価格モデルと言うこともあり、それぞれマイク付き、無しの両方でオーダーしました。
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クリアカラーの樹脂製ハウジングは比較的コンパクトでKZなどの製品に比べるとより耳にすっぽり収まるサイズ感です。カラーによってステムノズルの金属パーツのカラーが異なります。フェイスプレートにシルクスクリーンプリントされた模様と最近のモデルで採用されているNICEHCKのロゴがワンポイントですね。クセのないデザインで男女問わず普段使いでも違和感のない印象。
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ケーブルはしなやかな被膜で絡まりにくく使いやすい印象。たぶん最近のKZのゴツい被膜のケーブルと比較してもこちらのほうが多くの方が好感しそう。なお、マイク付モデルはシングルボタンタイプのリモコンになります。
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イヤーピースはグレーのシリコンタイプが3サイズ付属しているほか、よりフィット感を高めるために定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」などに交換するのも良いでしょう。


■ この価格帯ではありそうでなかった、良い意味で「普通」に使いやすいサウンド。

NICEHCK DB1」の音質傾向は緩やかなV字カーブを描く聴きやすいバランスで、良い意味で中庸な万人向けサウンド。10ドル台、2千円ほどの価格設定などを考慮しても、いわゆるマニア向けではなく、「有線タイプのイヤホンが欲しい」と思っている幅広い層にアピールしたいアイテムだろうと思います。
NICEHCK DB1そう考えると刺激を抑えつつ見通しの良い高域や、存在感をもちつつ締まりのある低域、そしてスッキリとして聴きやすいボーカルなどの中音域と、非常に分かりやすく好感できそうなサウンドだと思います。特にオーディオなどに興味のない多くのユーザーがイメージする、あるいは普段使っているような、やや籠もり気味で抜け感のない、あるいは過剰に低域が響くようなイヤホンから、「NICEHCK DB1」で聴いてみると、もやが晴れたような明瞭感を感じるでしょう。その時点でこのイヤホンは十分に存在価値があり、多くのライトユーザーにお勧めできるでしょう。

もちろん価格的な割り切りは存在しており、解像感や空間表現、低域の表現力など上位モデルや他の価格帯のイヤホンには及ばない部分は多くあります。またこの価格帯はKZが「KZ ZSTX」などの定番モデルがありますし、さらにその下にもKZおよびTRNが矢継ぎ早にモデルを追加しており、一長一短やアプローチの違いなど、なかなか比較が難しい部分もあったりします。結局は見た目なりで気に入ったものを買う、という流れになるのかもしれませんね。そうなると「NICEHCK DB1」のちょっとだけこだわりを感じるデザインや例のパッケージが効いてくる可能性もあります。なお、個人的には付属ケーブルは「NICEHCK DB1」のものがいちばん使いやすいよ(マイク付も含め)と思いました。

NICEHCK DB1NICEHCK DB1」の高域は寒色系の明瞭な音ですが、最近の「KZ EDX Pro」や「TRN MT1」などのシングルダイナミック機と比べると多少柔らかく聴きやすい印象があります。解像感はそれなりですが直線的で見通しが良いので上の方の音も綺麗に伸びますし、細かい音もそれなりに聞こえます。極端に主張が強いわけでも、中低域を強調し刺激を抑えているわけでもなく、普通に伸びの良い音を鳴らし、刺激は抑えたバランスにチューニングされた、「良い意味で普通の音」です。
長らくこの価格帯でオーディオ製品として聴ける製品が長らくKZなどの低価格中華イヤホンくらいしかなかったこともあり、メリハリの強い派手なサウンドが基準になってるフシもあり、逆に「NICEHCK DB1」の高域が多少レアに感じてしまうのも不思議な感じではあります。

中音域は最近の洋楽チャートに多い低音強めの曲ではちょっと凹みますが、ボーカル帯域を中心に味付け無くスッキリとした音で楽しめる印象。ロック、ポップス、アニソンなど幅広い音源で楽しむことが出来ます。音場は普通~やや狭い印象で、定位にもモニター的な正確さはありませんが、あくまでオーディ的な解釈をした場合。高域同様にこの価格帯のイヤホンとしては分離性が高く見通しも良いためゲーミングや動画視聴では十分な臨場感と位置把握ができます。また音声がハッキリ聞こえるという意味で、マイク付モデルでオンライン会議用などで使っても問題ないでしょう。これらの用途では細くしなやかさがあり比較的絡まりにくいケーブルがKZやTRNと比べてメリットに感じるかもしれませんね。

NICEHCK DB1低域はミッドベースを中心に存在感のある音で中高域を下支えします。分離は良く籠もるようなことはありません。またミッドベースは角に膨らむこと無く締まりも良いため非常に聴きやすい印象を受けます。重低音は量感はありますが響き重視で解像感はそれなりですが、たとえばYouTubeやNetflixなどの映像は非常に迫力と臨場感のある重い音を鳴らし、いっぽうで響きが強すぎることもなく、ゲームなどではちゃんと物音を把握できるなどの分離性を発揮できるバランス。やはりライトユーザーを想定した普段使いに最適化されたサウンドといえるでしょう。

というわけで、「NICEHCK DB1」は、見た目も装着性も割と良好で、KZやTRNとはアプローチの異なる、万人向けの使いやすいサウンドバランスといったありそうで無かった低価格モデルでした。AliExpressではパッケージアートを掲載して、逆にアマゾンのほうはスペック推しな感じになっていますが、「このパッケージの方がウケがいい」と思って採用したのであれば、両方載せておけばいいんじゃないかな、と思ったり。硬派なマニアはともかく、ライトユーザーをこの製品のボリュームゾーンと考えるのであれば、KZあたりより親しみがあって良い印象をもつかもね、とも思いますよ(しらんけど^^;)。