TRIPOWIN×HBB Mele

こんにちは。2月に入りましたが、引き続き週2回ペースのレビューと日曜日に不定期で「棚からレビュー」のペース配分で掲載していこうと思っております(^^)。
というわけで今回は「TRIPOWIN×HBB Mele」です。Linsoul系のイヤホン&ケーブルブランド「TRIPOWIN」が有名海外レビュアーのhawaiibadboy(HBB)氏とコラボレーションした製品になりますね。デモ確か購入&製品が届いたのは昨年の10月くらいだったような・・・(汗)。まあ依頼じゃないとレビューする前に満足しちゃうパターンて、ありますよね(おい)。最近はコラボというとCrinacle氏がらみの製品が次々に登場していますが、HBB氏のほうもKZの「DQ6s」がリリースされていますし、「TRIPOWIN」コラボももうすぐ上位モデル「Olina」が登場するらしいですね。そんなわけで「Mele」は今のうちに仕上げておくことにしました。

■ 製品の概要と特徴など。

「Linsoul」系ブランド「TRIPOWIN」もこれまでコストパフォーマンスに優れたイヤホンやケーブル製品を次々とリリースしていますが、同社が「Bad Guy Good Audio Reviews」の「hawaiibadboy(HBB)」氏とコラボレーションした最初のモデルが「Mele」です。この製品を生み出した「Project Mele」では当初よりオーディオファンコミュニティを念頭に置いて設計されており、手頃な価格で優れたオーディオパフォーマンスとプロフェッショナルなチューニングの実現を目指したようです。
※個人的にはこの辺のHBB氏のアプローチが、データに基づく理想的なサウンドを目指しているCrinacle氏コラボ製品との違いとしてとても興味深く思っています。

TRIPOWIN×HBB MeleTRIPOWIN×HBB Mele

TRIPOWIN×HBB Mele」はTRIPOWINによって新たに設計された「Accutuneテクノロジー」を初めて採用した10mmグラフェン振動版 二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載。一般的なダイナミックドライバーと異なり、Accutuneドライバーは、ドライバー自体に組み込まれた正確に計算されたキャビティを使用することでウジングの形状に影響せずピンポイントで精度の高いチューニングが可能です。
TRIPOWIN×HBB MeleTRIPOWIN×HBB Mele

TRIPOWIN×HBB Mele」のハウジングは航空グレードの7シリーズ・アルミニウム合金を使用し精緻なCNC加工により成形されています。またケーブルは4芯 OCC 高純度単結晶銅ケーブルが採用されています。カラーバリエーションは「ブラック」「ゴールド」「ブルー」の3色が選択可能です。
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TRIPOWIN×HBB Mele」の購入はアマゾンのL.S オーディオまたはAliExpressなどの各セラーにて。価格はアマゾンが5,480円、AliExpressなどが44.99ドルです。
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): TRIPOWIN×HBB Mele
Linsoul(linsoul.com): TRIPOWIN X HBB Mele


■ 製品外観および装着性など。

パッケージは「MELE」というモデル名とロゴのみのシンプルな黒箱デザイン。大きめのイヤホンケースが入っておりケースの中に付属品一式が収まっています。パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル(接続済み)、イヤーピース、説明書など。
RIPOWIN×HBB MeleRIPOWIN×HBB Mele

本体は非常に軽量でかつ耳に収まりやすいコンパクトなデザインです。プリント柄の樹脂フェイスプレートが貼り付けられていますがデザイン自体は特に凝ってる印象はありません。装着性なども良好なのですが、もう少し見た目にもこだわっても良いのではと思わなくもありません。

RIPOWIN×HBB MeleTRIPOWIN×HBB Mele

ケーブルは4芯銀メッキ線でフラットな2pinタイプのためリケーブルの選択肢も広いともいます。個人的には付属ケーブルで特に不満はありませんし、再生環境もあまり選ばない鳴らしやすさも感じますが、好みに応じて色々リケーブルを楽しんでみるのも良いかもしれませんね。イヤーピースについても付属品のほか、定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、またよりフィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」などへの交換も良いと思います。


■ インプレッション(音質傾向など)

TRIPOWIN×HBB Mele」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリで、非常に聴きやすくバランスの良さを感じます。メーカーサイトをみるとサウンドチューニング自体は「BLON BL-03」をベースにしているという記載があり、確かに「TRIPOWIN×HBB Mele」は「BL-03」のサウンドバランスと非常によく似ています。
The Mele was tuned with the legendary BLON BL03 in retrospect.
Once hailed for its incredible price-to-performance value, the BL03 took the global market by the storm.
TRIPOWIN×HBB Mele実際に比較してみると「BL-03」の特徴であるパワフルで深い低域を踏襲し、非常に存在感のある低域をベースに分離性を高め、より中高域の見通しが向上した印象もありますね。個人的には「BL-03」の亜鉛合金製のシェルはやや重く、また独特のシェル形状で装着性も今ひとつだったため、軽さと装着性のうえで大きく改善されており、イヤーピースの選択の幅も広くなっている点だけ取っても「TRIPOWIN×HBB Mele」のほうが好印象ですね。ただし、CNT振動板を使用している「BL-03」に比べ、グラフェン振動板の「TRIPOWIN×HBB Mele」は特に高域の描写などで僅かですが解像感の違いを感じたりもしました。

TRIPOWIN×HBB Mele」の高域は聴きやすく滑らかな音を鳴らします。グラフェン振動版の採用のためか、「BL-03」(CNT振動板)より明瞭感や煌めきは控えめな印象ですが、曇ることは無く、また低価格中華ハイブリッドのような過度なギラつきも無いため聴きやすく心地よい印象がありますね。刺激を感じやすい帯域は上手くコントロールされており刺さり等はありません。

TRIPOWIN×HBB Mele中音域は曲によっては僅かに凹みますが、癖の無い音をしっかり鳴らす印象で、滑らかさと見通しの良さを感じます。ボーカル帯域は適度な距離がありますが表現に不足はありません。僅かに温かく解像感もそれなりですが、分離の良さとレスポンスの良さが生み出す音像表現は非常に自然で質の良さを感じさせる音作りの上手さがありますね。
最近の中華イヤホンはW字とかU字とかいわれるボーカル帯域を少し持ち上げた弱ドンシャリのバランスが増えています。この手のサウンドも決して悪くはないのですが、いわゆるドンシャリのV字カーブには相応の合理性があり、バランス良くチューンイングされたイヤホンはやはり好感が持てます。「TRIPOWIN×HBB Mele」では「BL-03」と比べてミッドレンジを下げる、つまりより分かりやすいドンシャリ傾向にするチューニングを施しているらしく、そのアプローチは成功していると感じます。

低域は「BL-03」の非常に評価の高かったサウンドをしっかり踏襲しており、低価格ながらその厚みと室の高さは特筆すべきでしょう。特に重低音の深さと重さについては「BL-03」よりさらにアップグレードされている印象です。重低音は非常に深く沈み込み、存在感のある音を鳴らします。ミッドベースは、これだけ存在感のある低域ながら過度に響くことは無く、中高域との分離も良く全体としてはスッキリまとまっているのは好感が持てますね。


■ まとめ

TRIPOWIN×HBB Mele」はアンダー50ドルのイヤホンのなかで、特に低域の質感と聴きやすさのバランスで選ぶ上では良い選択肢となるでしょう。いっぽうで、ベースとなっているのが「BL-03」ということもあってか、「価格なり」の部分も踏襲している点は仕方のない部分かもしれません。また最近鮮やかなブルーカラーも選択できるようになったものの、「おおよそデザインしているとはいえない」地味なシェル形状から所有欲がそそられない、という方も多いかもしれませんね。ただ、例えば中華ハイブリッドの派手なドンシャリとは一線を画するサウンドを楽しみたい方には良い選択肢になると思いますよ。個人的には今後登場するらしい上位モデルの方にも期待をしています。